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公開番号
2024030286
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-03-07
出願番号
2022133060
出願日
2022-08-24
発明の名称
地震予測方法及び地震予測システム
出願人
富士防災警備株式会社
,
富士ロボテクスセキュリティ株式会社
代理人
弁理士法人タス・マイスター
主分類
G01V
1/01 20240101AFI20240229BHJP(測定;試験)
要約
【課題】効率よく正確に地震発生を予測する方法およびシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、観測手段によりビスマス214の半減期より短い一定期間ごとに大気中のγ線の量を観測し、データ取得手段により観測した前記大気中のγ線の量のうち、ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量を取得し、データ検出手段により取得したビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量の計測データの平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出し、地震発生予測手段により検出された前記異常値が生じた時期に基づいて、前記地震の発生時期を予測する地震予測方法及び地震予測システムである。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
地震予測方法であって、
ビスマス214の半減期より短い一定期間ごとに大気中のγ線の量を観測する観測段階と、
観測した前記大気中のγ線の量のうち、ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量を取得する取得段階と、
取得した前記ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量の計測データの平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する検出段階と、
検出された前記異常値が生じた時期に基づいて、前記地震の発生時期を予測する予測段階と
を含むことを特徴とする。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の地震予測方法であって、
前記予測段階は、前記異常値が生じたときから2~14日後に地震が発生すると予測することを特徴とする。
【請求項3】
請求項2に記載の地震予測方法であって、
前記予測段階は、前記異常値が生じたときから4~9日後に地震が発生すると予測することを特徴とする。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の地震予測方法であって、
前記異常値は、前記ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量が基準値を超えた場合及び前記ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量が基準値を超えた回数が一定数を超えた場合の少なくとも何れかの場合に発生したと判断することを特徴とする。
【請求項5】
請求項1から3の何れか1項に記載の地震予測方法であって、
前記観測段階は、大気中のγ線の量を測定する測定段階と、測定した大気中のγ線の量を、スペクトラム解析によりエネルギーごとのγ線量を分析する分析段階とを含むことを特徴とする。
【請求項6】
地震予測システムであって、
ビスマス214の半減期よりも短い一定期間ごとに大気中のγ線の量を測定するγ線観測手段と、
前記γ線観測手段により観測した大気中のγ線の量のうち、ビスマス214が放出するエネルギーのγ線の量の計測データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得した前記ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量の計測データの平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出するデータ検出手段と、
前記データ検出手段により検出された前記異常値が生じた時期に基づいて、前記地震の発生時期を予測する地震発生予測手段と
を含むことを特徴とする。
【請求項7】
請求項6に記載の地震予測システムであって、
前記地震発生予測手段は、前記異常値が生じたときから2~14日後に地震が発生すると予測することを特徴とする。
【請求項8】
請求項7に記載の地震予測システムであって、
前記地震発生予測手段は、前記異常値が生じたときから4~9日後に地震が発生すると予測することを特徴とする。
【請求項9】
請求項6から8の何れか1項に記載の地震予測システムであって、
前記異常値は、前記ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量が基準値を超えた場合及び前記ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量が基準値を超えた回数が一定数を超えた場合の少なくとも何れかの場合に発生したと判断することを特徴とする。
【請求項10】
請求項1から3の何れか1項に記載の地震予測システムであって、
前記γ線観測手段は、大気中のγ線の量を測定するγ線測定手段と、測定した大気中のγ線の量を、スペクトラム解析によりエネルギーごとのγ線量を分析するγ線分析手段とを含むことを特徴とする。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震予測方法及び地震予測システムに関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
地震前兆現象の候補の一つとして、地震の数日前から破壊域に微小破壊(マイクロクラック)があることが知られている。そのため、マイクロクラックの発生を検知することができれば、地震発生を予測することが可能となるため、現在ではマイクロクラックの発生を検知する方法が様々研究されている。
【0003】
ここで、大気中のラドン222(
222
Rn)の濃度変化を計測することにより、マイクロクラックの発生を検知する方法が考えられている(非特許文献1)。ラドン222は、岩石中に含まれるラジウム226(
226
Ra)が放射性崩壊することで発生する。そのため、ラドン222は、地殻中に存在しており、マイクロクラックにより発生したラドン222の一部は地下水に溶け込んで流出し、一部は地殻の空隙に溜り、空気中に放出される。実際に地震発生前に大気中のラドン222の濃度が異常に上昇した例も報告されている(非特許文献1)。ラドン222は放射性物質であるため、ラドン222の放射線を観測することにより地震予測が可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構,量子生命・化学部門,“兵庫県南部地震前に大気中ラドンの濃度変動を観測。臨界現象数理モデルへ適用し地震予知に活用も”,[online],2018年12月26日、独立行政法人 放射線医学総合研究所,広報室,[2022年6月15日検索],インターネット <URL:https://www.qst.go.jp/site/qms/1575.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ラドン222の濃度の観測には以下のような困難が伴う。
1.ラドン222の濃度を観測するためには、ラドン222から発生するα線を測定する必要がある。しかし、α線の放射距離(飛程)は、大気中では3cmから8cmと非常に短い。従って、マイクロクラックから発生したラドン222を素早く正確に測定するためには、地表(地面)にα線の測定器を設置して測定する必要がある。
2.α線の飛程の短さから、ラドン222の発生を正確に測定するためには、ラドン222の観測点を多くする必要がある。例えば観測点は網目状に間隔を開けず設置する必要がある。
3.ラドン222は無臭、無色、不活性の気体であり、空気中に放出されたラドン222は、風によって発生点から移動してしまう可能性がある。ラドン222の半減期は3.8日であるため、その間に移動してしまうと、発生点が絞りづらい。
上記理由から、ラドン222の濃度を観測することによる地震予測は効率が悪く正確性に欠ける。
従って、効率よく正確に地震発生を予測する方法及びシステムが求められている。本発明の目的は、効率よく正確に地震発生を予測する地震予測方法及び地震予測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、マイクロクラックの発生を検知する方法について、更に検討した。地中に存在するラドン222は、原子崩壊により、更にビスマス214(
214
Bi)に変化する。従って、大気中のビスマス214の濃度を観測することによりラドン222の濃度を観測しなくともマイクロクラックの発生を検知することができるという結論に至った。
【0007】
但し、ビスマス214は、半減期が19.9分と短いため、測定時期によっては、検出できない場合が生じる。従って、ビスマス214の半減期よりも短い一定期間ごとにビスマス214の濃度を観測する。これによりビスマス214が発生した場合も漏れなく検出することができる。また、発生したビスマス214は、風により発生地点から大気中を移動する前に崩壊する。従って、ビスマス214を観測することによりラドン222と比較して発生点を絞りやすい。
【0008】
また、ビスマス214は、ラドン222と異なりγ線を放出する。γ線は大型のシンチレーション検出器であれば容易に検出できる。また、γ線は飛程が地表から電離層までと非常に長い。従って、ビスマス214の発生地点から離れていても、ビスマス214の濃度を観測することができる。
以上のようにビスマス214の濃度観測によるマイクロクラック検知はリアルタイム性を有し、濃度の観測も容易である。
【0009】
上記課題を達成するため、本発明は以下のような構成を備えている。
(1) 地震予測方法であって、
ビスマス214の半減期より短い一定期間ごとに大気中のγ線の量を観測する観測段階と、
観測した前記大気中のγ線の量のうち、ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量を取得する取得段階と、
取得した前記ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量の計測データの平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する検出段階と、
検出された前記異常値が生じた時期に基づいて、前記地震の発生時期を予測する予測段階と
を含むことを特徴とする。
【0010】
(1)の地震予測方法によれば、ビスマス214が放出するエネルギーを有するγ線の量を観測するため、観測点における大気中におけるビスマス214の濃度を観測することができる。ラドン222が崩壊した物質であるビスマス214の濃度を観測することにより、マイクロクラックの検知が可能となり、これにより地震の予測が可能となる。
特に、ビスマス214は、半減期が20分弱と短く、崩壊が早いので、半減期よりも短い時間間隔で測定することにより、発生したビスマスを漏れなく検出することができるようになる。ビスマス214は半減期の短さから、大気中において風により発生点から遠方に移動してしまう前に崩壊してしまうので、観測点から離れた位置で検出される確率が低くなる。従って正確な発生位置が特定でき、マイクロクラックの発生位置を正確に検知できる。また、ビスマス214が放出するエネルギーのγ線は飛程が長いため、観測点を多く設けなくてもよい。従って、(1)の地震予測方法は、効率よく正確に地震発生を予測することが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)
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