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公開番号2024019732
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-09
出願番号2024000159,2022097950
出願日2024-01-04,2018-03-16
発明の名称免疫調節性融合タンパク質およびその使用
出願人フレッド ハッチンソン キャンサー センター
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 15/62 20060101AFI20240202BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】細胞外結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含有する免疫調節性融合タンパク質であって、標的の結合により、T細胞などの宿主細胞における調節性シグナルが生じ得る、融合タンパク質を提供すること。
【解決手段】本開示は、がんまたは感染症などのある特定の疾患を処置するための、そのような免疫調節性融合タンパク質を発現する免疫細胞の使用にも関する。ある特定の態様では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインを含有する細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質::標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
図面に記載の発明。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
配列表に関する記述
本出願に付随する配列表は、紙コピーの代わりにテキスト形式で提供され、これによって参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、360056_447WO_SEQUENCE_LISTING.txtである。テキストファイルは322KBであり、2018年に3月15日に作成されたものであり、EFS-Webを介して電子的に提出される。
続きを表示(約 5,100 文字)【背景技術】
【0002】
T細胞に基づく免疫療法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団の中で腫瘍反応性T細胞が見いだされた時に開発され始めた(Clarkら、Cancer Res.、29巻:705頁、1969年)。1つの戦略は、養子T細胞移入として公知であり、一部の状況では、腫瘍反応性について予め選択した腫瘍浸潤リンパ球を単離すること、IL-2の存在下で抗CD3抗体および抗CD28抗体によって誘導される腫瘍反応性T細胞をクローン拡大させること、ならびに、最終的に、拡大させた細胞集団を、腫瘍を担持する患者に注入し戻すこと(化学療法およびIL-2の反復投与と共に)を伴う(Dudleyら、Science、298巻:850頁、2002年)。腫瘍浸潤リンパ球を用いるこの形態の養子T細胞療法は、技術的に煩わしいことがあり、また、完全寛解は黒色腫を有する患者のほんの一部にしか導かれず、他のがんではめったに有効でない(Besserら、Clin. Cancer Res.、16巻:2646頁、2010年)。
【0003】
腫瘍反応性T細胞クローンの単離は、別の免疫療法的手法、つまり、腫瘍細胞上に発現する主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)分子(ヒトではヒト白血球抗原(HLA)分子として公知)によって提示される腫瘍関連ペプチドなどの所望の標的に対する特異性を付与するために、例えばベクター送達系を使用してT細胞に導入することができる、特定の抗原に特異的な組換えT細胞受容体(TCR)の生成につながる。別の手法では、一般には、例えば抗腫瘍療法の状況では腫瘍に特異的であるまたは関連する抗原に結合することができる抗原結合ドメインと、それと連結した、TCRシグナル伝達ドメインなどの一次シグナル伝達ドメインまたは一部の状況では共刺激シグナル伝達ドメインなどのエフェクタードメインを含む1つまたは複数の細胞内成分を含有する、キメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれる合成受容体を導入する。TILの投与とは異なり、TCRまたはCAR T細胞免疫療法を操作するための基本的な手順は、一般に、腫瘍標的化部分をコードする導入遺伝子を用いてヒトT細胞を遺伝子改変し、組換えT細胞をex vivoにおいて拡大させ、拡大させた組換えT細胞を患者に輸注し戻すことである。
【0004】
組換えTCRを発現するT細胞を使用する養子T細胞療法には、特に、ある特定のB細胞がんにおいて有望な臨床的有用性があることが示されている。しかし、有効なT細胞活性化は、多くの場合、同時の共刺激シグナルを必要とするまたはそれにより増強される(ChenおよびFlies、Nat. Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)。腫瘍微小環境では、共刺激分子は一般に下方制御される。結果として、がん抗原に特異的な組換えTCRを発現するT細胞には、IL-2を介した外因性刺激が一般に必要である。
【0005】
T細胞の活性化は、TCRが抗原提示細胞(APC)上のMHCに提示された特異的なペプチドと会合すると開始される(Rossyら、Frontiers in Immunol.、3巻:1~12頁、2012年)。T細胞とAPCの相互作用の点は免疫学的シナプス(immunological synapse)になり、これは、中心部のcSMAC、周辺部のpSMAC、および遠位のdSMACを含めた3つの同心性超分子活性化クラスター(SMAC)で構成される(Rossyら、Frontiers in Immunol.、3巻:1~12頁、2012年)。cSMAC内では、共刺激受容体によりシグナル伝達分子が動員されてTCRシグナルが増幅し得る。そのような共刺激受容体はCD28を含み得、一部の状況では、TCRと共にマイクロクラスターを形成して活性化の閾値を低下させる(ChenおよびFlies、Nat. Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)。T細胞によって発現される膜貫通タンパク質によるcSMACへの接近は、細胞外ドメインのサイズによって制限される可能性がある。例えば、CD45は大きな外部ドメインを有し、一般には免疫学的シナプスから排除され、それにより、TCRシグナル伝達を阻害するその能力が妨げられる(JamesおよびVale、Nature、487巻:64~69頁、2012年)。
免疫療法の分野では、がんまたは感染などの様々な疾患を処置するために、宿主細胞に免疫調節性シグナルをもたらす代替組成物および方法が依然として必要とされている。本明細書で開示される実施形態は、これらの必要性に対処し、他の関連する利点をもたらすものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
ChenおよびFlies、Nat.Rev.Immunol.(2013年)13巻:227~242頁
Rossyら、Frontiers in Immunol.(2012年)3巻:1~12頁
JamesおよびVale、Nature(2012年)487巻:64~69頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある特定の態様では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインを含有する細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質::標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとする。
【0008】
一部の実施形態では、融合タンパク質と標的の間で形成される複合体またはそのような融合タンパク質::標的複合体の一部(一般に、そのような複合体の細胞外部分)の長さまたは空間距離は、特定の距離であるかまたは特定の距離にまたがり、例えば、一部の実施形態では、ある特定の距離未満またはおよそある特定の距離未満の距離である。一部の態様では、融合タンパク質::標的複合体(または、一般には、その細胞外部分)の距離は、50nm未満もしくは約50nm未満、40nm未満もしくは約40nm未満、30nm未満もしくは約30nm未満、または20nm未満もしくは約20nm未満、または15nmに等しいかもしくはそれ未満、もしくは約15nmに等しいかもしくはそれ未満である。一部の実施形態では、当該距離は、10nmもしくは約10nm、11nmもしくは約11nm、12nmもしくは約12nm、13nmもしくは約13nm、14nmもしくは約14nm、15nmもしくは約15nm、16nmもしくは約16nm、17nmもしくは約17nm、18nmもしくは約18nm、19nmもしくは約19nm、または20nmもしくは約20nm、例えば、14nmもしくは約14nmまたは15nmもしくは約15nmなどである。一部の態様では、距離は、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離である、または、TCR-ペプチド/MHC複合体に関しては、TCRの細胞外ドメインの膜最近位部分、例えば残基と、MHC(例えば、MHCIもしくはMHCIIなどのHLA)分子の膜最近位部分、例えば残基の間の距離、または、そのような複合体の細胞外部分がまたがる距離(または、CD8、CD4、CD28、およびそれぞれの結合パートナーまたはそのリガンドを含有する複合体などの、シナプス内に含有されることが公知の細胞外部分がまたがる空間距離)と、同じ、ほぼ同じ、もしくは実質的に同じ距離である。一部の実施形態では、複合体の空間距離は、2つの異なる細胞の膜間の距離を指し、第1の細胞と第2の細胞は、それぞれ、それらの表面上に、細胞が互いと近傍になった場合に膜間で複合体を形成し得る結合パートナーを発現する。一部の態様では、距離は、TCRとMHC分子との同族相互作用の間で形成される複合体の細胞外部分がまたがる距離と同じ、ほぼ同じ、または実質的に同じ距離である。融合タンパク質が、普通は免疫学的シナプスに進入することまたは抗原受容体と共局在することができる分子に由来する結合ドメインを含む場合などの一部の態様では、距離は、分子(融合タンパク質に使用される結合ドメインを有する)と天然の結合パートナーとの間で形成される複合体がまたがる距離と同様であるかまたは同じである。融合タンパク質が、普通は免疫学的シナプスに進入することができないまたは普通は抗原受容体と共局在することができない分子に由来する結合ドメインを含む場合などの一部の態様では、距離は、分子(融合タンパク質に使用される結合ドメインまたはその機能的部分を有する)とその天然の結合パートナーとの間で形成される複合体がまたがる距離とは異なる、例えば、その距離よりも短いまたは実質的に短い。
【0009】
一部の実施形態では、本開示の融合タンパク質の細胞外成分内の結合ドメインは、阻害分子、例えば、免疫阻害受容体または免疫チェックポイント分子などの免疫阻害分子などの阻害シグナルを送達することができる分子の標的結合部分を含有する。一部の態様では、そのような分子は、糖タンパク質、チェックポイントファミリーメンバーである。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、糖タンパク質、チェックポイントファミリーメンバーに由来するか、または、B7もしくはB7結合分子ではないか、または、CD28-B7-スーパーファミリーメンバーではない(例えば、CD28、CTLA4、ICOS、もしくは他のB7ファミリー結合分子ではない)結合ドメインを含む。例示的な糖タンパク質、チェックポイントファミリーメンバーは、CD200R、SIRPα、CD279(PD-1)、CD2、CD95(Fas)、CTLA4(CD152)、CD223(LAG3)、CD272(BTLA)、A2aR、KIR、TIM3、CD300、またはLPA5、またはそのような分子のいずれかの結合性改変体を含む。一部の実施形態では、本開示の融合タンパク質の細胞外成分内の結合ドメインは、前述のもののいずれかの結合パートナー、またはそのような分子のいずれかの結合性改変体を含む。そのような実施形態の一部の態様では、融合タンパク質の細胞内部分は、共刺激シグナルなどの刺激シグナルをT細胞などのリンパ球に送達することができるシグナル伝達ドメイン、例えば、CD28、4-1BB、ICOSの共刺激領域、または他の共刺激分子などを含む。一部の態様では、細胞外結合部分がチェックポイントまたは免疫阻害分子に由来する場合には、融合タンパク質の細胞内部分は、チェックポイントまたは免疫阻害分子などの阻害分子の細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。一部の態様では、融合タンパク質は、CD3ζシグナル伝達ドメインまたは一次シグナルをT細胞に送達することができる他のドメインなどの一次シグナル伝達ドメインを含まない。
【0010】
ある特定の態様では、細胞外成分またはその結合部分は、CD200Rの結合部分またはその改変体などの、CD200に特異的に結合することができる、分子の結合ドメインまたは外部ドメインを含有する、またはこのドメインである。一部の実施形態では、結合ドメインは、CD47に特異的に結合することができる、分子または外部ドメインの結合領域、例えば、SIRP外部ドメインまたはそのCD47結合領域など、例えば、SIRPα外部ドメインまたはそのCD47結合領域などであるまたはそれを含む。一部の実施形態では、結合ドメインは、PD-L1分子またはPD-L2分子またはLAG3分子に結合することができる。例示的な標的は、本発明で提供される融合タンパク質および組成物を用いて処置または改善される疾患もしくは状態に関連するもしくはそれのある特定の細胞もしくは組織、例えば、腫瘍細胞もしくは腫瘍微小環境などにおいて発現が増大するもしくは上方制御される、または、腫瘍などの患部組織に浸潤しているリンパ球などの免疫細胞上で一般に上方制御される受容体が結合する、1つもしくは複数のタンパク質であり得る。
(【0011】以降は省略されています)

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