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公開番号
2024019054
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-02-08
出願番号
2023119657
出願日
2023-07-24
発明の名称
積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
B32B
27/36 20060101AFI20240201BHJP(積層体)
要約
【課題】表面易接着性と、ポリエステルフィルムからのオリゴマーや紫外線吸収剤などの低分子量物の析出を抑制する樹脂層を有する積層フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面の最表層に、樹脂層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、
前記樹脂層Xの表面自由エネルギーにおける水素結合力γSh、及び分散力γSdが下記式1を満たし、
150℃で1時間熱処理した後の、下記式2で定義される反射光の変化が0.05以下であることを特徴とする、積層ポリエステルフィルム。
式1:0.10≦γSh/(γSh+γSd)≦0.20
式2:L(SCI)-L(SCE)/L(SCI)
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面の最表層に、樹脂層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、
前記樹脂層Xの表面自由エネルギーにおける水素結合力γSh、及び分散力γSdが下記式1を満たし、
150℃で1時間熱処理した後の、下記式2で定義される反射光の変化が0.05以下であることを特徴とする、積層ポリエステルフィルム。
式1:0.10≦γSh/(γSh+γSd)≦0.20
式2:L(SCI)-L(SCE)/L(SCI)
続きを表示(約 930 文字)
【請求項2】
紫外線吸収剤を含有し、波長380nmにおける光線透過率が10%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記樹脂層Xが、透過型電子顕微鏡で得られる断面観察において2層以上の積層構成を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記樹脂層Xを構成する樹脂層のうち、最表面に位置する樹脂層をX1としたときに、前記樹脂層X1がポリエステル樹脂を含むことを特徴とする、請求項3に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記樹脂層Xを構成する樹脂層のうち、前記ポリエステルフィルムと接する層を樹脂層X2としたときに、前記樹脂層X2が、水酸基と多官能アクリロイル基を有する樹脂と、メチロール基を有するメラミン化合物を含むことを特徴とする、請求項3に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記ポリエステルフィルムの厚みが10μm以上50μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項7】
前記樹脂層X1の厚み、および前記樹脂層X2の厚みが、共に30nm以上800nm以下であることを特徴とする、請求項4に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項8】
温度85℃、湿度85%の環境下で500時間の湿熱処理を施した後の前記樹脂層X1の表面自由エネルギーにおける極性力γSpと水素結合力γShの合計値の変化量が0.0mN/m~3.0mN/mであることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項9】
原子間力顕微鏡(AFM)で測定した1μm四方の前記樹脂層X1の弾性率ばらつき像におけるドメイン面積が500nm
2
以下である、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項10】
光学用フィルムに用いられることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルフィルムに樹脂層が積層された積層ポリエステルフィルム及びその製造方法に関する。さらに詳しくは加熱処理を伴う加工工程を経ても透明性を維持し、積層や貼り合わせをする材料との接着性に優れる積層ポリエステルフィルム、それを用いた光学用フィルム、車両用ディスプレイ、車両用電子部品に及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。特に近年、フラットパネルディスプレイ向けの反射防止材料やタッチパネル関係の表示材料をはじめとした各種光学用フィルムとしての需要が高まっている。このような用途では様々な機能を付与するために、コーティング加工や、電極材料や光学フィルムを貼り合わせる加工をすることが多い。
【0003】
しかしながらポリエステルフィルムは、上記加工工程における熱処理において、オリゴマーや紫外線吸収剤などの低分子揮発物の析出に伴う白化や表面の汚染を生じるため、最終製品として適用できないことがあった。
【0004】
そのため、これまでにポリエステルフィルムの低分子揮発物の析出抑制を目的として、種々の検討が行われている。例えば、ポリエステルフィルムの製造工程内で樹脂組成物の塗布を行うインラインコート法により、水酸基とアクリロイル基を有する樹脂(A)と、メチロール基を有するメラミン化合物(B)を含む樹脂組成物塗膜を設ける方法(特許文献1)が検討されている。また、表層にトリシクロデカン構造を有するジオール成分を含むポリエステル樹脂と硬化剤を含有した樹脂層を設ける方法(特許文献2)や、さらにポリエステルフィルムにオリゴマー析出防止層、粘着層を順次積層させてオリゴマー析出抑制と易接着機能の付与を実現する方法(特許文献3)が検討されている。
【0005】
また、近年、液晶パネルを搭載する自動車が増加している。このような自動車に搭載されている液晶パネルは高温下や高湿下に長時間さらされることが多いため、液晶パネル構成する易接着フィルムにも、耐湿熱性及び高温耐久性が求められてきている。
【0006】
湿熱雰囲気に曝された易接着フィルムは、フィルム内部から表面に異物が析出することにより、以下に示すような問題が生じる。例えば、析出物が光を散乱してフィルムの透明性を悪化させる、粘着剤やハードコートとの積層に用いている場合に析出物が界面に堆積して密着性が低下する、偏光素子を含む偏光板を貼合した保護フィルムとして用いている場合に析出物が偏光子樹脂に浸透して偏光特性の低下や色抜けなどの特性劣化を生じる、等である。このような問題を解決する手法として、架橋剤量を低減して耐熱水性や高温高湿下での密着性を向上させた易接着フィルムが知られている(特許文献4、5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2016-55584号公報
特開2017-65114号公報
特開2012-92314号公報
特開2009-214531号公報
特開2014-65887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の樹脂層は緻密な硬化層を形成させることにより、ポリエステルフィルムからの低分子揮発物の析出を防止することができるが、易接着機能はほとんど有していない。特許文献2の樹脂層は、易接着性やオリゴマー析出抑制効果ともに不十分である。また、特許文献3のように、ポリエステルフィルムにオリゴマー析出防止層、易接着層を順次積層させ、オリゴマー析出抑制と易接着機能の付与を目的とした塗膜を設ける方法は、ポリエステルフィルム上に、オリゴマー析出防止層、粘着層と順次積層する。そのため、製造工程が複数となり、製品の歩留まりが低下するだけでなく、製造コストも高くなる。また、オリゴマー析出防止層が完全に架橋硬化した後で、その上に易接着層形成用の塗液を塗布した場合には、表面エネルギーの差から塗布ハジキが生じやすく、均一な塗布が難しい問題があった。
【0009】
また、特許文献4、5に開示されている方法では、湿熱試験後の透明性と密着性をある程度改善するものの、これらをともに満足する性能を具備する易接着フィルムは得られないのが現状である。本発明者らが、湿熱試験後に透明性と密着性が低下する原因を検証したところ、湿熱雰囲気下で発生する表面析出物は、易接着層に含まれる反応性化合物の残渣物であることが判明し、反応性化合物量を低減化すれば、これらの問題点が改善することが判明した。一方、本発明者らの検討においては、反応性化合物は易接着層の強度や対象物との初期密着性に強く関連しており、単に反応性化合物量を低減するだけでは十分な密着性を得られないことも明らかとなった。
【0010】
そこで、本発明は上記の欠点を解消し、易接着性と高温時の低分子揮発物の析出抑制性の相反する性質を併せ持ち、且つ湿熱雰囲気下においても透明性を維持することができる樹脂層を有する積層ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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