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公開番号2024011542
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-25
出願番号2022113609
出願日2022-07-15
発明の名称積層体の製造方法
出願人帝人株式会社
代理人個人
主分類B32B 27/30 20060101AFI20240118BHJP(積層体)
要約【課題】 非常に高度な耐摩耗性(例えば、ガラス並みのもの)を維持しながら、可視光の透明性及び紫外線遮蔽性を発現し、更に長期の屋外暴露に耐え得る耐候性、耐久性を全て満たした積層体を大気圧下、簡易なプロセスで安定的に製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 有機樹脂基材上に特定のアクリルシリコーン樹脂組成物を活性化エネルギー線で硬化させ中間層を形成し、この中間層の表面を酸素をキャリアガスとした大気圧プラズマにより表面処理を行い、引き続き酸素および有機ケイ素化合物をキャリアガスとして有機ケイ素化合物をプラズマ重合してハードコート層を形成する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
工程(1)
有機樹脂基板上において、アクリルシリコーン樹脂組成物を活性エネルギー線で硬化させて中間層を形成し、ここで、上記アクリルシリコーン樹脂組成物が、
100質量部の下記成分(i)
100~800質量部の下記成分(ii)、
5~50質量部の下記成分(iii)、
200~500質量部の下記成分(iv)、
20~800質量部の下記成分(v)
を含有し、かつ下記成分(ii)、及び下記成分(v)の合計質量部を下記成分(i)~(v)の合計質量部で割った値(以下「無機成分率X」と表現する)が0.4~0.8である、アクリルシリコーン樹脂組成物であり、
工程(2)
工程(1)で得られた上記中間層の表面を、大気圧プラズマを生成するための電極対にプラズマ励起電力を供給するための電源装置として20k~3MHzで単一周波数の正弦波の電力を出力する電源とインダクタンスおよびキャパシタンスが可変であるLC共振回路と前記電極対に直列に接続されるパルス制御素子とを有する電源装置を用い、酸素をキャリアガスとして生成した大気圧プラズマにて表面処理を行う工程
工程(3)
工程(2)に引き続いてキャリアガスとしてアルコキシシランおよび酸素を供給して前記大気圧プラズマ環境下でプラズマ重合を行うことにより、ハードコート層を形成することを含む、積層体の製造方法:
成分(i):
下記一般式(I)で表されるビニル系重合体:
Poly-[(A)

-co-(B)

-co-(C)

] (I)
(式中、A、B及びCは、それぞれ独立に、ビニル系単量体単位を示し、角括弧及び-co-は、ランダム共重合体であることを表し、a、b及びcは、モル分率を表し、Aは、アルコキシシリル基を有するビニル系単量体単位であって、aは、前記ビニル系重合体全量に対して単量体単位Aが1~50質量%となるようなモル分率であり、Bは、紫外線吸収性ビニル系単量体単位であって、bは、前記ビニル系重合体全量に対して単量体単位Bが5~40質量%となるようなモル分率であり、Cは、前記B及びCのビニル系単量体単位と共重合可能な他の単量体単位であって、cは、前記ビニル系重合体全量に対して単量体単位Cが[100-(単量体単位Aの含有率)-(単量体単位Bの含有率)]質量%となるようなモル分率である)、
成分(ii):
下記一般式(II)で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解物から選ばれる少なくとも1種を(共)加水分解・縮合することにより得られる加水分解縮合物、






Si(OR


4-m-n
(II)
(式中、R

及びR

は、各々独立に、水素原子又は炭素数1~20の非置換又はビニル性重合性基を有することができる1価炭化水素基であり、置換基同士が相互に結合していても良く、R

は、炭素数1~3のアルキル基であり、m及びnは、各々独立に、0又は1であり、かつm+nは、0、1又は2である)
成分(iii):
ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体であって、成分(i)には該当しないビニル系重合体、
成分(iv):
アルコキシシリル基を有さないビニル系重合性単量体であって、活性エネルギー線照射前は重合体及び/又は縮合物を形成しておらず、成分(i)及び成分(ii)には該当しないビニル系重合性単量体、
成分(v):
無機金属酸化物。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記有機樹脂基材が単層である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機樹脂基材が、共押し出し又はラミネートしたベース樹脂とキャップ層とを有する複数層からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ハードコート層の厚みが3~50nmの範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(2)の表面改質により、前記中間層の表面を水接触角40°以下、かつ表面粗さ0.7~20nmとする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
ASTM D3359、B方式の密着テープ試験、及び3日間、65℃に保ったイオン交換水を用いた、ASTM D870に準じた密着テープ試験において、97%以上の合格値を有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
プラズマ重合に用いる上記アルコキシシランの平均組成が、下記式(A)である、請求項1又は2に記載の方法:
式(A):(SiH







(式中、Rは、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基等の炭化水素基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のカルボキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、またはヒドロキシ基であり、xは、0.5~2、yは、0.1~1、zは、0.5~1.5、かつ、nは、1~6である)。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法に関するものである。特に、本発明は、耐候性及び耐摩耗性に優れ、厳しい使用環境下でも長期的に使用することのできる積層体の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
有機樹脂材料は耐衝撃性、軽量性、加工性等の特徴を生かして、多方面の用途で使用されている。特に近年、その特性を生かして各種車両の窓材の用途に、表面硬度や耐摩耗性を高めた有機樹脂成形物を適用しようとする動きがある。このような用途ではガラス並みの高度な耐摩耗性や屋外での耐候性が要求される。例えば自動車では、ワイパー作動時の擦り傷防止やウインドウ昇降時の擦り傷防止等において高いレベルの耐摩耗性が要求されるし、非常に高い温度や湿度の環境下での使用も前提にしなくてはならない。
【0003】
従来、プラスチック等の有機樹脂基材の表面に、高硬度、耐擦傷性の付与を目的とした表面保護塗膜を形成するコーティング剤として、加水分解性オルガノシランを加水分解又は部分加水分解して得られる組成物からなるコーティング剤、あるいはこの組成物にコロイダルシリカを混合したコーティング剤が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1~3には、オルガノアルコキシシラン、このオルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物、並びにコロイダルシリカからなり、過剰の水でアルコキシ基をシラノールに変換してなるコーティング剤が提案されている。しかし、これらの湿式コーティングにより得られる塗膜は、硬度が十分でなく、代替対象のガラスに対比して耐擦傷性が劣るという問題があった。
【0005】
これら湿式コーティングにより得られる塗膜の耐擦傷性不足の課題を克服するために上記湿式コーティング層に更に有機ケイ素化合物をプラズマ重合することによって得られた硬質被膜の最表層を設ける方法も提案されている。この方法を用いればガラスと同等以上の耐擦傷性を持つ積層体が得られることが知られていた。
【0006】
しかし、長期に亘り太陽光や風雨に耐え得るコーティング膜とするためには、まだ別の課題を有している。上記の耐擦傷性を有する湿式コーティング層は紫外線をカットする能力に乏しく、樹脂基材、基材接着性を付与するためのプライマー層、あるいはそれらの界面が紫外線で劣化・変色するという現象が見られる。これを防止するため、上記プライマー層に紫外線吸収剤を添加する方法、及びプライマーを構成する有機樹脂中に、紫外線吸収性の有機置換基を、化学結合を介して導入する方法が提案されている。ここでいう紫外線吸収剤及び紫外線吸収性の有機置換基とは、例えばベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン等の置換基、及びそれらを含有する有機化合物のことを指す(特許文献4~7を参照)。
【0007】
上記方法は、プライマー層に有機系の紫外線吸収剤を含ませ、紫外線カットする方法であるが、本来、プライマー層は、下地有機樹脂基材とシリコーン層との密着性向上を主目的としており、上記紫外線吸収剤の添加量が多くなりすぎると、密着力低下や透明性低下といった問題が生じる。また、長期間に亘る屋外曝露試験、促進耐候性試験において、プライマー層に上記紫外線吸収剤及び/又は紫外線吸収性の有機置換基を導入する方法だけでの紫外線カットでは、有機樹脂基材の劣化、変色防止に対して十分ではないことが明らかとなってきた。
【0008】
これら欠点を補う方法として、一方では、シリコーン層にも有機系紫外線吸収剤を添加する方法も以前から行われてきた。しかしながら、これらの化合物をコーティング組成物に単純に添加しただけでは、塗膜とした後の耐久性、即ち長期曝露後の紫外線吸収剤の表面からのブリード、流出が発生し、持続性に乏しいものである。そこで、コーティング層の主成分であるシロキサン化合物と化学結合が形成できるような、シリル変性した有機系紫外線吸収剤を用いる方法もこれまで開示されている(特許文献8~11を参照)。これは、紫外線吸収剤がシロキサンマトリックスに強固に結合しているため、持続性は向上したが、その一方、本来のコーティング層の耐擦傷性が大幅に低下、あるいは可撓性低下によるミクロクラックの発生が顕著になる結果となった。このように、有機系の紫外線吸収剤を用いる方法には、耐候性を伸ばすため添加量を増やすほどシリコーン膜の硬度が低下するという本質的な欠点がある。
【0009】
また、このような湿式コーティングシステムは、高度な耐候性を付与でき得るものの、複数層積層工程を必要としているため、製造時間の短縮、収率の増加、最終的なコスト減の点から、この簡素化が急務となっている。
【0010】
実際の湿式コーティングシステムの構成は、有機樹脂基材、プライマー層、湿式コーティング層の少なくとも3層からなり、ここでいうプライマー層は主に、アクリル系コーティングにより形成され、湿式コーティング層は主に、シリコーンハードコーティングにより形成されている。つまり、有機樹脂基材に対し、プライマーウェットコーティングを塗布及び硬化させて、その後更にシリコーンハードコーティングを塗布及び硬化して、積層体を形成するものである。
(【0011】以降は省略されています)

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