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公開番号2024009516
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-23
出願番号2022111098
出願日2022-07-11
発明の名称水和電子の生成方法
出願人学校法人立命館
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類B01J 35/39 20240101AFI20240116BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】フェムト秒パルスレーザー照射装置又は深紫外光照射装置などといった、高エネルギーの大型且つ高価な光源を使用することなく、且つ、レアメタルも不要な、水和電子の生成方法を提供すること。
【解決手段】 遷移金属がドープ、及び/又は、吸着されており、表面に、有機配位子を有する下記一般式(1)で表されるナノ粒子に、可視光又は紫外光を照射する工程を有する、水和電子の生成方法。
ZnX (1)
〔式(1)中、Xは第16族元素を示す〕
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
遷移金属がドープ、及び/又は、吸着されており、表面に、有機配位子を有する下記一般式(1)で表されるナノ粒子に、可視光又は紫外光を照射する工程を有する、水和電子の生成方法。
[化1]
ZnX (1)
〔式(1)中、Xは第16族元素を示す〕
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
前記式(1)におけるZnに対する前記遷移金属のドープ率が0.5~11.0モル%である、請求項1に記載の生成方法。
【請求項3】
前記可視光又は紫外光の強度は50mW/cm

~300kW/cm

である、請求項1に記載の生成方法。
【請求項4】
前記可視光又は紫外光の波長は300~600nmである、請求項1~3の何れか1項に記載の生成方法。
【請求項5】
遷移金属がドープ、及び/又は、吸着されており、表面に、有機配位子を有する下記一般式(1)で表されるナノ粒子に、可視光又は紫外光を照射することにより得られる水和電子により炭素-ハロゲン結合を切断する工程を有する、ハロゲン化合物を分解する方法。
[化2]
ZnX (1)
〔式(1)中、Xは第16族元素を示す〕

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水和電子の生成方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
水和電子は、アルカリ金属類と同程度の高い還元電位と、分子間反応を起こすために充分な長さの寿命とを有することから、難分解性のハロゲン系物質の分解反応、並びに窒素又は二酸化炭素の固定化などといった、多様な化学反応分野での利用が期待されている。
【0003】
しかしながら、一般的に水和電子生成のためにはフェムト秒パルスレーザー照射装置といった、高エネルギーの大型且つ高価な光源又は世界的に生産が制限されている低圧水銀灯などの深紫外光照射装置を使用する必要がある。
【0004】
比較的低強度の光源による水和電子の生成方法の報告もされているが、イリジウム触媒などの極めて高額なレアメタルが必要であり、コスト面等を考慮すれば産業技術として実用化することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、フェムト秒パルスレーザー照射装置又は深紫外光照射装置などといった、高エネルギーの大型且つ高価な光源、または環境負荷の高い光源を使用することなく、且つ、レアメタルも不要な、水和電子の生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所定のナノ粒子を使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、以下の水和電子の生成方法を提供する。
項1.
遷移金属がドープ、及び/又は、吸着されており、表面に、有機配位子を有する下記一般式(1)で表されるナノ粒子に、可視光又は紫外光を照射する工程を有する、水和電子の生成方法。
[化1]
ZnX (1)
〔式(1)中、Xは第16族元素を示す〕
項2.
前記式(1)におけるZnに対する前記遷移金属のドープ率が0.5~11.0モル%である、項1に記載の生成方法。
項3.
前記可視光又は紫外光の強度は50mW/cm

~300kW/cm

である、項1に記載の生成方法。
項4.
前記可視光又は紫外光の波長は300~600nmである、項1~3の何れかに記載の生成方法。
項5.
前記可視光又は紫外光の波長は355~405nmである、項1~3の何れかに記載の生成方法。
項6.
遷移金属がドープ、及び/又は、吸着されており、表面に、有機配位子を有する下記一般式(1)で表されるナノ粒子に、可視光又は紫外光を照射することにより得られる水和電子により炭素-ハロゲン結合を切断する工程を有する、ハロゲン化合物を分解する方法。
[化2]
ZnX (1)
〔式(1)中、Xは第16族元素を示す〕
【発明の効果】
【0008】
以上にしてなる本発明に係る水和電子の生成方法によれば、フェムト秒パルスレーザー照射装置や深紫外光照射装置といった高エネルギーの大型且つ高価な光源を使用することなく、且つ、レアメタルも不要である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
CuをZn原子組成に対して1%ドープしたZnSナノ結晶水溶液の(a) 時間分解吸収スペクトルと(b) 700 nmにおける吸光度時間変化。
CuをZn原子組成に対して4%ドープしたZnSナノ結晶水溶液の(a) 時間分解吸収スペクトルと(b) 700 nmにおける吸光度時間変化。
CuをZn原子組成に対して6%ドープしたZnSナノ結晶水溶液の(a) 時間分解吸収スペクトルと(b) 700 nmにおける吸光度時間変化。
異なる励起光強度におけるCuをZn原子組成に対して6%ドープしたZnSナノ結晶水溶液の(a) 700 nmにおける吸光度時間変化と(b) 励起直後のシグナルと10 マイクロ秒におけるシグナルの差分の励起光強度依存性。
CuをZn原子組成に対して11%ドープしたZnSナノ結晶水溶液の(a) 時間分解吸収スペクトルと(b) 700 nmにおける吸光度時間変化。
CuをZn原子組成に対して4%ドープしたZnSeナノ結晶水溶液の(a) 時間分解吸収スペクトルと(b) 700 nmにおける吸光度時間変化。
紫外光照射前後のクロロ酢酸、ナノ結晶、トリエタノールアミン混合水溶液の
1
H NMRスペクトル。
紫外光照射前後の4-トリフルオロメチル安息香酸、ナノ結晶、トリエタノールアミン混合水溶液の
19
F NMRスペクトル。
紫外光照射前後のペルフルオロオ クタンスルホン酸(PFOS)、ナノ結晶、トリエタノールアミン混合水溶液の
19
F NMRスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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