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公開番号
2023167514
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2023-11-24
出願番号
2022078768
出願日
2022-05-12
発明の名称
末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体の製造方法、末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体の製造方法、末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体、及び末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体
出願人
AGC株式会社
代理人
弁理士法人大谷特許事務所
主分類
C08G
65/331 20060101AFI20231116BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】反応性ケイ素基を高い導入率で導入できる末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体を、環境への負荷が低く、簡略化されたプロセスで得ることができる製造方法、該末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体から得られる、末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体の製造方法、該末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体、及び該末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体を提供する。
【解決手段】複合金属シアン化物錯体触媒の存在下、オキシアルキレン重合体(A)が有する水酸基と、脂環式エポキシ化合物(B)が有するエポキシ基とを反応させる、オキシアルキレン重合体(X)の製造方法であって、前記オキシアルキレン重合体(A)は、少なくとも1つの末端に前記水酸基を有し、前記脂環式エポキシ化合物(B)は、炭素-炭素不飽和基を有する置換基(a)(ただし、アリル基は除く)を有し、前記オキシアルキレン重合体(X)は、末端に前記置換基(a)に由来する炭素-炭素不飽和基を有する、オキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
複合金属シアン化物錯体触媒の存在下、オキシアルキレン重合体(A)が有する水酸基と、脂環式エポキシ化合物(B)が有するエポキシ基とを反応させる、オキシアルキレン重合体(X)の製造方法であって、
前記オキシアルキレン重合体(A)は、少なくとも1つの末端に前記水酸基を有し、
前記脂環式エポキシ化合物(B)は、炭素-炭素不飽和基を有する置換基(a)(ただし、アリル基は除く)を有し、
前記オキシアルキレン重合体(X)は、末端に前記置換基(a)に由来する炭素-炭素不飽和基を有する、オキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記オキシアルキレン重合体(A)の数平均分子量が、2000~50000である、請求項1に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
【請求項3】
前記オキシアルキレン重合体(A)1分子あたりの平均水酸基数が、1~8である、請求項1に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
【請求項4】
前記オキシアルキレン重合体(A)は、プロピレンオキシドに由来する構成単位を含む、請求項1に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
【請求項5】
前記オキシアルキレン重合体(A)は、さらにエチレンオキシドに由来する構成単位を含み、
前記オキシアルキレン重合体(A)を構成する全ての構成単位に対する前記エチレンオキシドに由来する構成単位の割合が、1~30質量%である、請求項4に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
【請求項6】
前記脂環式エポキシ化合物(B)の脂環式骨格は、環形成炭素数が3~12の単環構造又は多環構造である、請求項1に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
【請求項7】
前記脂環式エポキシ化合物(B)は、下記式(i)で表される化合物である、請求項1に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
JPEG
2023167514000016.jpg
48
61
(式(i)中、
R
1
~R
4
から選ばれる1つは、前記置換基(a)を表し、
前記置換基(a)ではないR
1
~R
4
は、水素原子を表す。)
【請求項8】
前記R
2
又はR
3
が、前記置換基(a)である、請求項7に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
【請求項9】
前記置換基(a)が、ビニル基、ビニルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、及びプロパルギル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
【請求項10】
前記脂環式エポキシ化合物(B)が、1-ビニル-2,3-エポキシシクロヘキサン、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体の製造方法、末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体の製造方法、末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体、及び末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体に関する。
続きを表示(約 4,400 文字)
【背景技術】
【0002】
従来から、オキシアルキレン重合体が有する末端の水酸基に、反応性の炭素-炭素不飽和基を導入する方法や、さらにその炭素-炭素不飽和基を反応性ケイ素基に変換して、末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体を得る方法について、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、オキシアルキレン重合体が有する末端の水酸基を、金属アルコキシドに変換した後、アリルクロリド等のハロゲン化アリルを用いて末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体に変換し、さらにその炭素-炭素不飽和基を反応性ケイ素基に変換する方法が記載されている。
また、特許文献2には、オキシアルキレン重合体が有する末端の水酸基を、金属アルコキシドに変換した後、3-クロロ-2-メチル-1-プロペン等のハロゲン化メチルプロペンを用いて末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体に変換し、さらにその炭素-炭素不飽和基を反応性ケイ素基に変換する方法が記載されている。
また、特許文献3には、末端に水酸基を有するオキシアルキレン重合体に、アルカリ金属塩を作用させた後、炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物を反応させ、次いで炭素-炭素不飽和結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させて、炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体に変換し、さらにその炭素-炭素不飽和基を反応性ケイ素基に変換する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2002-88148号公報
特開2000-345023号公報
国際公開第2013/180203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1及び2の方法では、末端に金属アルコキシドが導入されたオキシアルキレン重合体とハロゲン化アリル又はハロゲン化メチルプロペンを反応させる際、後に行う反応性ケイ素基への変換を速やかに進行させるために、副生塩である金属ハロゲン化物を取り除く晶析工程が必要となる。この晶析工程は、大量の排水が発生するため、環境への負荷が高く、製造工程が煩雑になるという問題があった。
また、文献1及び文献3の方法では、炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体の末端に有するアリル基は、反応性ケイ素基に変換する際に、一定の割合で2重結合の転位が発生するため、これにより反応性ケイ素基の導入率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するものであり、反応性ケイ素基を高い導入率で導入できる末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体を、環境への負荷が低く、簡略化されたプロセスで得ることができる製造方法、該末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体から得られる、末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体の製造方法、該末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体、及び該末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所定の脂環式エポキシ化合物(B)を用いて得られた末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体が、晶析工程を経ることなく製造でき、かつ反応性ケイ素基を高い導入率で導入できることを見出したことに基づく。
【0008】
本発明は、以下の手段を提供する。
[1] 複合金属シアン化物錯体触媒の存在下、オキシアルキレン重合体(A)が有する水酸基と、脂環式エポキシ化合物(B)が有するエポキシ基とを反応させる、オキシアルキレン重合体(X)の製造方法であって、
前記オキシアルキレン重合体(A)は、少なくとも1つの末端に前記水酸基を有し、
前記脂環式エポキシ化合物(B)は、炭素-炭素不飽和基を有する置換基(a)(ただし、アリル基は除く)を有し、
前記オキシアルキレン重合体(X)は、末端に前記置換基(a)に由来する炭素-炭素不飽和基を有する、オキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
[2] 前記オキシアルキレン重合体(A)の数平均分子量が、2000~50000である、上記[1]に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
[3] 前記オキシアルキレン重合体(A)1分子あたりの平均水酸基数が、1~8である、上記[1]又は[2]に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
[4] 前記オキシアルキレン重合体(A)は、プロピレンオキシドに由来する構成単位を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
[5] 前記オキシアルキレン重合体(A)は、さらにエチレンオキシドに由来する構成単位を含み、
前記オキシアルキレン重合体(A)を構成する全ての構成単位に対する前記エチレンオキシドに由来する構成単位の割合が、1~30質量%である、上記[4]に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
[6] 前記脂環式エポキシ化合物(B)の脂環式骨格は、環形成炭素数が3~12の単環構造又は多環構造である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
[7] 前記脂環式エポキシ化合物(B)は、下記式(i)で表される化合物である、上記[1]~[6]のいずれかに記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
JPEG
2023167514000001.jpg
48
61
(式(i)中、
R
1
~R
4
から選ばれる1つは、前記置換基(a)を表し、
前記置換基(a)ではないR
1
~R
4
は、水素原子を表す。)
[8] 前記R
2
又はR
3
が、前記置換基(a)である、上記[7]に記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
[9] 前記置換基(a)が、ビニル基、ビニルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、及びプロパルギル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[8]のいずれかに記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
[10] 前記脂環式エポキシ化合物(B)が、1-ビニル-2,3-エポキシシクロヘキサン、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[9]のいずれかに記載のオキシアルキレン重合体(X)の製造方法。
[11] 上記[1]~[10]のいずれかに記載の製造方法により得られたオキシアルキレン重合体(X)が末端に有する前記炭素-炭素不飽和基と、下記式(ii)で表される加水分解性基を有するヒドロシラン化合物(C)とを反応させるオキシアルキレン重合体(Y)の製造方法であって、
前記オキシアルキレン重合体(Y)は、末端に反応性ケイ素基を有する、オキシアルキレン重合体(Y)の製造方法。
-SiX
n
R
3-n
(ii)
(式(ii)中、
Xは加水分解性基又は水酸基を表し、
Rは炭素数1~20の一価の有機基を表し、
nは1~3の整数であり、
nが1の場合、複数のRは、同一でも異なっていてもよく、
nが2又は3の場合、複数のXは、同一でも異なっていてもよい。
ただし、Rは加水分解性基を除く。)
[12] 末端に下記式(1)で表される基を有する、末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体(X1)。
JPEG
2023167514000002.jpg
43
79
(式(1)中、
R
1
~R
4
から選ばれる1つは、炭素-炭素不飽和基を有する置換基(a)(ただし、アリル基は除く)を表し、
前記置換基(a)ではないR
1
~R
4
は、水素原子を表し、
*aは、前記オキシアルキレン重合体(X1)が有するオキシアルキレン鎖への結合位置を表す。)
[13] 末端に下記式(2)で表される基を有する、末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(Y1)。
JPEG
2023167514000003.jpg
43
79
(式(2)中、
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反応性ケイ素基を高い導入率で導入できる末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体を、環境への負荷が低く、簡略化されたプロセスで得ることができる。また、前記末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体から得られる、末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体の製造方法、該末端に炭素-炭素不飽和基を有するオキシアルキレン重合体、及び該末端に反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体が提供される。また、末端に反応性ケイ素基を2個有するオキシアルキレン重合体の製造方法、該末端に反応性ケイ素基を2個有するオキシアルキレン重合体が提供される。
【0010】
本明細書における用語及び表記についての定義及び意義を以下に示す。
「水酸基価」は、JIS K1557-1:2007に準拠した測定により求められる。
「水酸基価換算分子量」は、56100/(水酸基価)×(開始剤の活性水素の数)の式から算出した値である。
「炭素-炭素不飽和基量」は、オキシアルキレン重合体が有する末端の水酸基に、炭素-炭素不飽和基を導入して得られた生成物中の炭素-炭素不飽和基量[mmol/g]を指し、
1
H-NMRの内部標準法から求められる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により求められる。
(【0011】以降は省略されています)
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