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公開番号2023142603
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-10-05
出願番号2022049572
出願日2022-03-25
発明の名称多層積層フィルム
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B32B 27/36 20060101AFI20230928BHJP(積層体)
要約【課題】本発明は、熱履歴によって反射性能を制御できる一方で、光沢感や透明度は変化しない多層積層フィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも一方方向に配向した層Aと、層Aとは異なる層Bが交互に51層以上積層した多層積層フィルムであって、隣接する層Aと層Bの合計厚みが180nm以上1000nm以下となる層がフィルム全体の層数に対して30%以上であり、層Bの平均層厚みが80nm以下5nm以上であり、示差走査熱量測定(DSC)による融解エンタルピー(ΔHm)が3J/g以上を示すピークが2つ以上存在又は融解曲線の温度範囲が40℃以上100℃以下である多層積層フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも一方方向に配向した層Aと、層Aとは異なる層Bが交互に51層以上積層した多層積層フィルムであって、隣接する層Aと層Bの合計厚みが180nm以上1000nm以下となる層がフィルム全体の層数に対して30%以上であり、層Bの平均層厚みが80nm以下5nm以上であり、示差走査熱量測定(DSC)による融解エンタルピー(ΔHm)が3J/g以上を示すピークが2つ以上存在又は融解曲線の温度範囲が40℃以上100℃以下である多層積層フィルム。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
隣接する層の厚み比が1.5以上10.0以下である層がフィルム全体の層数に対して80%以上である、請求項1に記載の多層積層フィルム。
【請求項3】
層Bの平均層厚みが5nm以上60nm以下である、請求項1または2に記載の多層積層フィルム。
【請求項4】
150℃2時間加熱後の最大反射率の変化が10%以上70%以下、内部ヘイズの変化が1%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の多層積層フィルム。
【請求項5】
層Aを構成する熱可塑性樹脂が結晶性ポリエステルを主成分とし、層Bを構成する熱可塑性樹脂が層Aを構成する熱可塑性樹脂よりも5℃~100℃低い融点を有する熱可塑性樹脂を主成分とする、請求項1~4のいずれかに記載の多層積層フィルム。
【請求項6】
層Bを構成する熱可塑性樹脂がナフタレンジカルボン酸に由来する構造を含むポリエステルを主成分とする、請求項1~5のいずれかに記載の多層積層フィルム。
【請求項7】
層Bを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点温度が90℃以下60℃以上である、請求項1~6のいずれかに記載の多層積層フィルム。
【請求項8】
入射角度12°、波長600nm~2600nmの範囲において少なくとも何れかの波長において最大反射率が20%以上100%以下である、請求項1~7のいずれかに記載の多層積層フィルム。
【請求項9】
多層積層フィルム面に垂直に入射する可視光の透過率が50%以上100%以下であり、前記多層積層フィルム面の法線に対して20°、40°、60°の角度で可視光が入射したときのそれぞれのP波の反射率(%)をRp20、Rp40、Rp60とした場合にRp20≦Rp40<Rp60の関係を満足し、かつ前記Rp60が10%以上100%以下である、請求項1~7のいずれかに記載の多層積層フィルム。
【請求項10】
前記多層積層フィルムの法線に対して60°の角度で入射したときのP波の反射光の彩度が20以下0以上である請求項9に記載の多層積層フィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱によって反射率を制御することができる一方で加熱による透明度の低下を抑制することができる多層積層フィルム、および当該多層積層フィルムを用いた成形体に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
異なる複数の熱可塑性樹脂を交互に積層した多層積層フィルムは、積層する樹脂の屈折率と層厚みを制御することで様々な波長の光を反射することができる(特許文献1)。しかしながら、これらの多層積層フィルムでは、多層積層フィルムに加わる熱履歴によって積層フィルムを構成する樹脂の配向や熱結晶化度が変化するため反射性能が大きく変化することや、光沢感や透明度が低下して多層積層フィルムが白濁する問題があった。この問題に対して多層積層フィルムが熱履歴を受けても、反射性能の変化が小さい多層積層フィルムが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表平9-506837号公報
国際公開第2005/095097号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加飾用途などに光を反射する多層積層フィルムを用いる場合は、多層積層フィルムのフィルム面内において反射率にグラデーションを持たせることで意匠性を付与することが求められる場合がある。その他にも、特定の反射率を持つ多層積層フィルムを製造し、その多層積層フィルムに対して加工を行うことで、用途に応じて様々な反射率に調整することが求められる場合がある。このようなケースでは反射率を調整する一方で、意匠性の観点から光沢感や透明度は変化しないことが求められる。しかしながら、特許文献1に開示された多層積層フィルムでは熱履歴を受けた際に反射性能は変化するが、光沢感や透明度は低下してしまう。特許文献2に開示された多層積層フィルムでは熱履歴を受けた際に光沢感や透明度は低下しないが、反射性能も変化しない。以上のように従来技術では熱履歴を受けた際に反射性能が変化し、光沢感や透明度は変化しない特性の両立に課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の構成よりなる。すなわち、少なくとも一方方向に配向した層Aと、層Aとは異なる層Bが交互に51層以上積層した多層積層フィルムであって、隣接する層Aと層Bの合計厚みが180nm以上1000nm以下となる層がフィルム全体の層数に対して30%以上であり、層Bの平均層厚みが80nm以下5nm以上であり、示差走査熱量測定(DSC)による融解エンタルピー(ΔHm)が3J/g以上を示すピークが2つ以上存在又は融解曲線の温度範囲が40℃以上100℃以下である多層積層フィルムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、熱履歴によって反射性能を制御できる一方で、光沢感や透明度は変化しない多層積層フィルムおよびその多層積層フィルムを用いた成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
融解エンタルピー(ΔHm)が3J/g以上を示すピークが2つ以上存在する一例
融解曲線の温度範囲が40℃以上100℃以下である一例
本発明の多層積層フィルムの層Aと層Bの層厚みを説明する模式図
本発明の多層積層フィルムの方位角を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の多層積層フィルムは、少なくとも一方方向に配向した層Aと、層Aとは異なる層Bが交互に51層以上積層した多層積層フィルムであって、隣接する層Aと層Bの合計厚みが180nm以上1000nm以下となる層がフィルム全体の層数に対して30%以上であり、層Bの平均層厚みが80nm以下5nm以上であり、示差走査熱量測定(DSC)による融解エンタルピー(ΔHm)が3J/g以上を示すピークが2つ以上存在又は融解曲線の温度範囲が40℃以上100℃以下である、多層積層フィルムである。
【0009】
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。
【0010】
本発明の多層積層フィルムは、少なくとも一方方向に配向した層Aと、層Aとは異なる層Bが交互に51層以上積層した多層積層フィルムであることが必要であり、層Aと層Bは熱可塑性樹脂からなることが好ましい。ここで少なくとも一方方向に配向とはフィルムの面内で任意に選択させる直交する2方向および該面に垂直な方向の少なくとも一方方向に熱可塑性樹脂の分子鎖が配向している状態のことをいい、屈折率を測定することによって、フィルムの面内で任意に選択させる直交する2方向および該面に垂直な方向のいずれかにおいて0.03以上異なる場合に配向しているとみなすことができる。また、層Aとは異なる層Bの「異なる」とは、層Aと層Bのそれぞれの層におけるフィルムの面内で任意に選択させる直交する2方向および該面に垂直な方向の屈折率について、少なくとも一方方向において層Aと層Bで屈折率が0.01以上異なることをいう。また、交互に積層したとは、層Aと層Bが厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいう。このような態様の具体例としては、多層積層フィルムが層Aと層Bからなる場合であれば、A(BA)n、B(AB)n(nは繰り返し単位を表す自然数、以下同じ。)のように順に積層されたものが挙げられる。また、層A、層Bと異なる第三の層Cからなる多層積層フィルムも好ましく、多層積層フィルムが層A、層B、及び第三の層Cからなる場合であれば、その配列は特に限定されるものではないが、例えば、C(BA)nCやC(ABC)n、C(ACBC)n等のように一定の規則性をもって順に積層されたものが挙げられる。このように屈折率等の光学的性質の異なる複数の熱可塑性樹脂層が交互に積層することにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係より所望の波長帯域の光を選択的に反射させる干渉反射を発現させることが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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