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公開番号2023133241
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-09-22
出願番号2023036345
出願日2023-03-09
発明の名称積層フィルム
出願人東レ株式会社
代理人
主分類G02B 5/26 20060101AFI20230914BHJP(光学)
要約【課題】 本発明は、広反射帯域、高反射率の光学特性を備え、かつ、成形性が良好な積層フィルムに提供することをその課題とする。
【解決手段】 異なる3種類以上の熱可塑性樹脂層を有し、前記3種類以上の熱可塑性樹脂層が一定の繰り返し単位で合計9層以上積層されており、クロスカット評価における剥離率が10%未満であって、かつ、100℃における100%伸長応力が0.7MPa以上10MPa以下であることを特徴とする、積層フィルムである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
異なる3種類以上の熱可塑性樹脂層を有し、前記3種類以上の熱可塑性樹脂層が一定の繰り返し単位で合計9層以上積層されており、クロスカット評価における剥離率が10%未満であって、かつ、100℃における100%伸長応力が0.7MPa以上10MPa以下であることを特徴とする、積層フィルム。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
横軸を波長(nm)、縦軸を反射率(%)とする300nm以上2500nm以下の波長帯域における分光スペクトルにおいて、最も長波長帯域に位置する100nm以上にわたり連続して30%以上の反射率を示す波長帯域を波長帯域Π、前記波長帯域Πにおける中心波長をλ、前記波長帯域Πの分光スペクトルと反射率のベースラインとで囲まれる領域面積をS、前記熱可塑性樹脂層の合計積層数をnとしたときに、0.010≦S/(λ・n)≦0.300を満足することを特徴とする、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂層の種類が3種類であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
透過色調測定における明度L*が0.1以上70以下であり、かつヘイズが0.1%以上5.0%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項5】
0℃~200℃での動的粘弾性測定において、最も高温側に確認されるピークのピークトップ温度が100℃以上160℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項6】
熱機械分析の定荷重測定において変曲点が2つ以上5つ以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項7】
請求項1または2に記載の積層フィルムを用いてなることを特徴とする、成形体。
【請求項8】
請求項1または2に記載の積層フィルムを備えることを特徴とする、電子機器。
【請求項9】
請求項1または2に記載の積層フィルムを備えることを特徴とする、交通機関。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、広反射帯域、高反射率の光学特性を備え、かつ、成形性が良好な積層フィルムに関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
特定波長帯域の光線を遮蔽・抽出可能な光制御フィルムは、光や熱線などの環境因子から製品の内部環境や構成成分の劣化を防止する目的や、特定波長帯域の光線のみを抽出して所望の色調に発色させる目的で、多岐の分野にわたり実用化されている。代表例として、建材や自動車用途では室内温度上昇を抑制するための赤外線カットフィルム、工業材料用途では紫外線レーザー表面加工時の過剰な紫外線を吸収するための紫外線カットフィルム、電子情報分野ではディスプレイ光源から発せられる眼に有害な青色光線を遮蔽するブルーライトカットフィルムや拡散・喪失するバックライトの光を再帰反射させることができる輝度向上フィルム、自動車内装材やモバイル筐体用途では金属調を付与するための可視光全域を反射する金属調フィルム、などが利用されている。その他、食品、医療、農業、インクなどの分野においても、内容物の光劣化を抑制する目的で光制御フィルムが用いられる。特に、電子情報分野においては光制御フィルムのニーズが高く、近年の曲面ディスプレイやフォルダブルディスプレイなどの薄型傾向に従い、構成部材の一つである光制御フィルムへの薄膜化の要望も高まっている。
【0003】
特定の波長帯域のみの光線を急峻に遮蔽でき、かつ、簡便に波長帯域を調整できる光制御フィルムとして、屈折率の異なる層をフィルム厚さ方向に積層し、光干渉理論に基づく干渉反射を利用した、反射タイプの光制御フィルムが注目されている。中でも、2種類の屈折率の異なる層(A層、B層)を交互に積層する(AB)m構成(mは自然数)の光制御フィルムは多くの公知技術が報告されており、例えば、層厚みに連続的に傾斜分布を付与することで広い波長帯域の光線を反射できること、また、所望の波長帯域以外に発生する不要な短波長側の反射帯域(高次反射と称する)を抑制するために、光学厚みを波長の1/4に設計する技術(特許文献1)が報告されている。さらには3種類以上の屈折率の異なる層(A層、B層、C層)を規則的に積層することで、より広い反射帯域の光線を反射できる技術(特許文献2、3)も報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2010-184493号公報
特開平4-313704号公報
特開2020-122974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3が開示する2種類あるいは3種類以上の屈折率の異なる樹脂を積層することで光線を反射するタイプの光制御フィルムにおいて、高反射率化・反射帯域の広帯域化を実現するためには、積層数を増やす、あるいは、積層する樹脂同士の屈折率差を高めることが必要となる。しかしながら、前者の場合は、フィルム厚みが厚くなり近年の薄膜化傾向に反する態様になる点、後者の場合は、基本化学骨格の異なる樹脂同士を積層することが必要であり、屈折率が異なる樹脂層の界面で層間剥離が起こる点が問題となる。更には成形時においても、成形途中で層間剥離が起こりやすく、樹脂が追従せず破断しやすいため、成形性に劣る場合があり、実用面での大きな問題があった。
【0006】
上記の問題を解決するべく、本発明の積層フィルムは、広反射帯域かつ高反射率の光学特性を維持しつつ、成形性に優れる積層フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。すなわち、異なる3種類以上の熱可塑性樹脂層を有し、前記3種類以上の熱可塑性樹脂層が一定の繰り返し単位で合計9層以上積層されており、クロスカット評価における剥離率が10%未満であって、かつ、100℃における100%伸長応力が0.7MPa以上10MPa以下である積層フィルム、である。
【0008】
また、本発明の積層フィルムは以下の態様とすることもでき、これを用いた成形体、電子機器、交通機関とすることもできる。
(1) 異なる3種類以上の熱可塑性樹脂層を有し、前記3種類以上の熱可塑性樹脂層が一定の繰り返し単位で合計9層以上積層されており、クロスカット評価における剥離率が10%未満であって、かつ、100℃における100%伸長応力が0.7MPa以上10MPa以下であることを特徴とする、積層フィルム。
(2) 横軸を波長(nm)、縦軸を反射率(%)とする300nm以上2500nm以下の波長帯域における分光スペクトルにおいて、最も長波長帯域に位置する100nm以上にわたり連続して30%以上の反射率を示す波長帯域を波長帯域Π、前記波長帯域Πにおける中心波長をλ、前記波長帯域Πの分光スペクトルと反射率のベースラインとで囲まれる領域面積をS、前記熱可塑性樹脂層の合計積層数をnとしたときに、0.010≦S/(λ・n)≦0.300を満足することを特徴とする、(1)に記載の積層フィルム。
(3) 前記熱可塑性樹脂層の種類が3種類であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4) 透過色調測定における明度L*が0.1以上70以下であり、かつヘイズが0.1%以上5.0%以下であることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5) 0℃~200℃での動的粘弾性測定において、最も高温側に確認されるピークのピークトップ温度が100℃以上160℃以下であることを特徴とする、(1)~(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6) 熱機械分析の定荷重測定において変曲点が2つ以上5つ以下であることを特徴とする、(1)~(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
(7) (1)~(6)のいずれかに記載の積層フィルムを用いてなることを特徴とする、成形体。
(8) (1)~(6)のいずれかに記載の積層フィルムあるいは(7)に記載の成形体を備えることを特徴とする、電子機器。
(9) (1)~(6)にいずれかに記載の積層フィルムあるいは(7)に記載の成形体を備えることを特徴とする、交通機関。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、広反射帯域かつ高反射率の光学特性を維持しつつ、成形性に優れる積層フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
波長帯域Πを説明するスペクトルを表す図である。
波長帯域Πを説明するスペクトルを表す図である(反射波長帯域において、反射率が20%未満を示す領域が一部でも含まれる場合)。
波長帯域Πを説明するスペクトルを表す図である(300nm以上2500nm以下の波長帯域を超えて反射率が20%以上を示す波長帯域が長波長側に存在する場合)。
波長帯域Πを説明するスペクトルを表す図である(分光反射スペクトルのベースラインが脈流状の反射率変化を示す場合)。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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