発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、トランスジェニックマウスに関し、特にウイルス受容体がコードされたトランスジェニックマウスに関する。 続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】 【0002】 糖尿病に関して、平成28年 厚生労働省の推計では、日本人の糖尿病患者数が1000万人、予備軍も含めると2000万人にも達すると公表されている。さらに、国際糖尿病連合(IDF)は、2019年世界の糖尿病患者は4億6300万人、2045年には7億人に登ると警鐘を鳴らしている。 【0003】 このように、国内外で糖尿病患者の広がりとその増加は、社会的問題であるばかりでなく、個々人の健康、経済、そして生活の質に関わる重要な課題である。糖尿病は、社会の経済的な進展に伴う生活習慣病として、過食、肥満、運動不足、加齢の影響が大きいと理解されているが、ウイルス感染の重要性も認識されつつある。 【0004】 これまでにウイルスによる糖尿病について、多くの基礎的、臨床的研究が蓄積され、様々なウイルスが糖尿病発症に関与することが知られている。その候補ウイルスとして、コクサッキーB群(CoxB)ウイルス、A型肝炎ウイルス、風疹ウイルス、ムンプスウイルス、及びロタウイルス等が挙げられている。さらに、近年、世界を震撼させている新型コロナウイルスも糖尿病発症に関わるとの興味深い報告も相次いでいる。 【0005】 現在、糖尿病原因候補ウイルスの中でもエンテロウイルスに属するコクサッキーB群(CoxB)ウイルスが急性発症糖尿病患者膵島に認められるとの報告が積み重なっている(例えば、非特許文献1,2参照)。 【0006】 また、分離したウイルスが実験的に免疫を脆弱化したマウスに糖尿病を発症させるとの報告が存在している(例えば、非特許文献3,4,5参照)。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0007】 Jimbo E, Kobayashi T, Takeshita A, Mine K, Nagafuchi S, Fukui T, Yagihashi S. Immunohistochemical detection of enteroviruses in pancreatic tissues of patients with type 1 diabetes using a polyclonal antibody against 2A protease of Coxsackievirus. J Diabetes Investigation published online. Nagafuchi S (Guest Editor).Editorial:Regulation of viral infection in diabetes. Biology 10:529, 2021. Nagafuchi S, Mine K, Takahashi H, Anzai K, Yoshikai Y. Viruses with masked pathogenicity and genetically susceptible hosts. J Med Virol 91:1365-1367,2019 with August Issue Front Cover. Flodstroem M, Maday A, Balakrishna D, Cleary MM, Yoshimura A, Sarvetnick N. Target cell defense prevents the development of diabetes after viral infection. Nat Immunol. 3:373-382, 2002. McCartney SA, Vermi W, Lonardi S, Rossini C, Otero K, Calderon B, Gilfillan S, Diamond MS, Unanue ER, Colonna M. RNA sensor-induced type I IFN prevents diabetes caused by a β cell tropic virus in mice. J Clin Invest. 121:1497-1507, 2011. 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 しかし、非特許文献4および5に示されるように、分離したウイルスが実験的に免疫を脆弱化したマウスに糖尿病を発症させるとの報告は存在するものの、決定的な証拠は乏しいのが実情である。 【0009】 その理由としては、病原体の証明法であるコッホの三原則(1.ある一定の病気には一定の微生物が見出されること、2.その微生物を分離できること、3.分離した微生物を感受性のある動物に感染させて同じ病気を起こせること)を満たすような、ウイルスによる糖尿病誘発性の適切な検定システム(ヒトのウイルス糖尿病発症メカニズムを正確に模倣した動物モデル)が未だ存在していないことが挙げられる。 【0010】 すなわち、コッホの原則では、ある微生物がある疾病の原因であることの証明にヒトの感受性を模倣した動物モデル(例えばマウス)を用いて当該疾病が発症することを根拠とするものの、糖尿病に関しては当該動物モデルが存在しないことからコッホの原則が確認できないという状況である。 (【0011】以降は省略されています)
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