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公開番号2023118773
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-08-25
出願番号2023101425,2019147323
出願日2023-06-21,2018-11-07
発明の名称スルホン化微細セルロース繊維の製造方法およびスルホン化パルプ繊維の製造方法
出願人丸住製紙株式会社,国立大学法人愛媛大学
代理人弁理士法人レクシード・テック
主分類D21H 11/20 20060101AFI20230818BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】取り扱い性に優れたスルホン化パルプ繊維の製造方法および透明性に優れたスルホン化微細セルロース繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】パルプからセルロースの水酸基の一部がスルホン化したパルプ繊維を製造する方法であって、パルプを化学的に処理する化学処理工程を含んでおり、化学処理工程が、パルプを構成するパルプ繊維に対してスルホ基を有するスルホン化剤と尿素または/およびその誘導体を接触させる接触工程と、接触工程後のパルプ繊維を構成するセルロースの水酸基の一部にスルホ基を導入する反応工程と、を含み、接触工程と前記反応工程との間に、接触工程後のパルプを乾燥する乾燥工程を含んでいる。このため、取り扱い性に優れたスルホン化パルプ繊維を製造することができる。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
パルプからセルロースの水酸基の一部がスルホン化したパルプ繊維を製造する方法であって、
前記パルプを化学的に処理する化学処理工程を含んでおり、
該化学処理工程が、
前記パルプを構成するパルプ繊維に対してスルホ基を有するスルホン化剤と尿素または/およびその誘導体を接触させる接触工程と、
該接触工程後のパルプ繊維を構成するセルロースの水酸基の一部にスルホ基を導入する反応工程と、を含み、
前記接触工程と前記反応工程との間に、前記接触工程後のパルプを乾燥する乾燥工程を含んでいる
ことを特徴とするスルホン化パルプ繊維の製造方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
パルプからセルロースの水酸基の一部がスルホン化したパルプ繊維を製造する方法であって、
前記パルプを化学的に処理する化学処理工程を含んでおり、
該化学処理工程が、
前記パルプを構成するパルプ繊維に対してスルホ基を有するスルホン化剤と尿素または/およびその誘導体を接触させる接触工程と、
該接触工程後のパルプ繊維を構成するセルロースの水酸基の一部にスルホ基を導入する反応工程と、を含み
前記接触工程と前記反応工程との間に、前記接触工程後のパルプを脱水する脱水工程を含んでいる
ことを特徴とするスルホン化パルプ繊維の製造方法。
【請求項3】
前記脱水工程の後に、前記脱水処理した後のパルプを乾燥する乾燥工程を含む
ことを特徴とする請求項2記載のスルホン化パルプ繊維の製造方法。
【請求項4】
前記接触工程が、
前記パルプを構成するパルプ繊維を、前記スルホン化剤と前記尿素または/およびその誘導体を混合した反応液に接触させる工程であり、
該反応液は、
前記スルホン化剤と前記尿素または/およびその誘導体を、濃度(g/L)比において、4:1~1:2.5となるように含有する
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のスルホン化パルプ繊維の製造方法。
【請求項5】
前記反応工程は、
加熱して反応を進行させる工程であり、
温度が100℃~180℃、加熱する時間が1分以上となるように調整する
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のスルホン化パルプ繊維の製造方法。
【請求項6】
前記反応工程後に、前記反応工程後のパルプを洗浄する洗浄工程を含む
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のスルホン化パルプ繊維の製造方法。
【請求項7】
前記化学処理工程において、
前記反応工程後のパルプ繊維は、平均繊維長が、前記接触工程に供給するパルプ繊維に対して50%以上となるように調製する
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のスルホン化パルプ繊維の製造方法。
【請求項8】
前記スルホン化剤が、スルファミン酸である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のスルホン化パルプ繊維の製造方法。
【請求項9】
パルプからセルロースの水酸基の一部がスルホン化した微細セルロース繊維を製造する方法であって、
前記パルプを化学的に処理する化学処理工程と、該化学処理工程後のパルプを微細化する微細化処理工程と、を順に行う方法であり、
前記化学処理工程後のパルプが請求項1~8のいずれかに記載の製造方法で製造されたスルホン化パルプ繊維を含んでいる
ことを特徴とするスルホン化微細セルロース繊維の製造方法。
【請求項10】
前記微細化処理工程において、
前記スルホン化パルプ繊維は、保水度が150%以上のものである
ことを特徴とする請求項9記載のスルホン化微細セルロース繊維の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホン化微細セルロース繊維の製造方法およびスルホン化パルプ繊維の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
セルロースナノファイバー(CNF)とは、植物起因のセルロースをナノ化処理(機械的解繊やTEMPO触媒酸化など)した、繊維幅が数~数十nm、繊維長が数百nmの微小繊維である。CNFが軽量、高弾性、高強度、低線熱膨張性を有していることから、CNFを含有する複合材料の利用が、工業分野のみならず食品分野や医療分野など様々な分野で期待されている。
【0003】
CNFを機械的に解繊処理する場合、セルロース繊維間が水素結合で強固に結合しているため、CNFを得るまでに大きなエネルギーが必要であった。また、得られたCNFは、繊維長等にばらつきが生じるといった問題があった。
【0004】
そこで、機械的な解繊処理工程を行う前に、予めパルプを構成するセルロース繊維をある程度ほぐした状態にする化学処理工程を行う製法が開発されている(特許文献1~4)。この製法を使用すれば、パルプを直接機械処理する製法と比べて少ないエネルギーでCNFを得ることができる。しかも、得られたCNFのサイズのばらつきを抑制できるという利点が得られる。
【0005】
例えば、特許文献1~3には、パルプを硫酸や過硫酸、塩素系酸化剤などの強酸を用いて化学処理した後、得られたパルプスラリーを解繊機等に供給してCNFを得るという製法が開示されている。
しかしながら、特許文献1~3のような製法では、化学処理工程において硫酸や過硫酸等を用いるので、取り扱い性の煩雑さに加え、反応後の排水処理の問題や、設備の配管等が腐食するなどの問題が発生している。また、塩素系酸化剤を使用する場合には、反応時に発生する塩素による環境への影響が懸念されている。
【0006】
一方、特許文献4には、パルプをリン酸塩と尿素を用いて化学処理した後、得られたパルプスラリーを解繊機等に供給してCNFを得るという製法が開示されている。かかる製法を使用すれば、化学処理工程において硫酸などの強酸を使用する場合に発生する問題を解消することができる。しかも、得られたCNFの表面の水酸基の一部にリン酸エステルを導入できるので、水溶媒中での分散性を向上させることができる旨が記載されている。
また、特許文献4には、固形分濃度0.2質量%に調製することにより透明性の高い(ヘイズ値が5~15%)CNFを製造することができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2017-43677号公報
特開2017-8472号公報
特開2017-25240号公報
特開2017-25468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、特許文献1~4には、解繊前のパルプ繊維の保水度を調整する技術はもちろん、調整した保水度に基づくパルプ繊維の取り扱いに関する記載もない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、取り扱い性に優れたスルホン化パルプ繊維の製造方法および透明性に優れたスルホン化微細セルロース繊維の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(スルホン化パルプ繊維の製造方法)
第1発明のスルホン化パルプ繊維の製造方法は、パルプからセルロースの水酸基の一部がスルホン化したパルプ繊維を製造する方法であって、前記パルプを化学的に処理する化学処理工程を含んでおり、該化学処理工程が、前記パルプを構成するパルプ繊維に対してスルホ基を有するスルホン化剤と尿素または/およびその誘導体を接触させる接触工程と、該接触工程後のパルプ繊維を構成するセルロースの水酸基の一部にスルホ基を導入する反応工程と、を含み、前記接触工程と前記反応工程との間に、前記接触工程後のパルプを乾燥する乾燥工程を含んでいることを特徴とする。
第2発明のスルホン化パルプ繊維の製造方法は、パルプからセルロースの水酸基の一部がスルホン化したパルプ繊維を製造する方法であって、前記パルプを化学的に処理する化学処理工程を含んでおり、該化学処理工程が、前記パルプを構成するパルプ繊維に対してスルホ基を有するスルホン化剤と尿素または/およびその誘導体を接触させる接触工程と、該接触工程後のパルプ繊維を構成するセルロースの水酸基の一部にスルホ基を導入する反応工程と、を含み前記接触工程と前記反応工程との間に、前記接触工程後のパルプを脱水する脱水工程を含んでいることを特徴とする。
第3発明のスルホン化パルプ繊維の製造方法は、第2発明において、前記脱水工程の後に、前記脱水処理した後のパルプを乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする。
第4発明のスルホン化パルプ繊維の製造方法は、第1発明、第2発明または第3発明のいずれかにおいて、前記接触工程が、前記パルプを構成するパルプ繊維を、前記スルホン化剤と前記尿素または/およびその誘導体を混合した反応液に接触させる工程であり、該反応液は、前記スルホン化剤と前記尿素または/およびその誘導体を、濃度(g/L)比において、4:1~1:2.5となるように含有することを特徴とする。
第5発明のスルホン化パルプ繊維の製造方法は、第1発明、第2発明、第3発明または第4発明のいずれかにおいて、前記反応工程は、加熱して反応を進行させる工程であり、温度が100℃~180℃、加熱する時間が1分以上となるように調整することを特徴とする。
第6発明のスルホン化パルプ繊維の製造方法は、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明または第5発明のいずれかにおいて、前記反応工程後に、前記反応工程後のパルプを洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする。
第7発明のスルホン化パルプ繊維の製造方法は、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明、第5発明または第6発明のいずれかにおいて、前記化学処理工程において、前記反応工程後のパルプ繊維は、平均繊維長が、前記接触工程に供給するパルプ繊維に対して50%以上となるように調製することを特徴とする
第8発明のスルホン化パルプ繊維の製造方法は、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明、第5発明、第6発明または第7発明のいずれかにおいて、前記スルホン化剤が、スルファミン酸であることを特徴とする。
(スルホン化微細セルロース繊維の製造方法)
第9発明のスルホン化微細セルロース繊維の製造方法は、パルプからセルロースの水酸基の一部がスルホン化した微細セルロース繊維を製造する方法であって、前記パルプを化学的に処理する化学処理工程と、該化学処理工程後のパルプを微細化する微細化処理工程と、を順に行う方法であり、前記化学処理工程後のパルプが第1発明~第8発明のいずれかに記載の製造方法で製造されたスルホン化パルプ繊維を含んでいることを特徴とする。
第10発明のスルホン化微細セルロース繊維の製造方法は、第9発明において、前記微細化処理工程において、前記スルホン化パルプ繊維は、保水度が150%以上のものであることを特徴とする。
第11発明のスルホン化微細セルロース繊維の製造方法は、第9発明または第10発明において、前記微細化処理において、前記スルホン化パルプ繊維を含んだパルプを水溶性溶媒に固形分濃度が0.1質量%~20質量%となるように分散させた状態で微細化することを特徴とする。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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