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公開番号2023114481
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-08-18
出願番号2022016786
出願日2022-02-06
発明の名称聴診システム
出願人個人
代理人個人
主分類A61B 7/04 20060101AFI20230810BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】患者の体内器官が発する器官音を平面ディスプレイのような表示器において表示することが可能な聴診システムにおいて、表示器による表示の中で患者の器官音の特徴が際立つように表示することを可能にする。
【解決手段】聴診器で集音された体内器官から発する器官音のデータは、複数の周波数区域ΔF1~ΔF4毎の区域データに区分けされる。表示器においては、周波数軸(f)に沿って区分けされた周波数区域ΔF1~ΔF4のうち一部又は複数の指定周波数区域が指定され、器官音の音強度の強さが音強度軸(i)に沿う方向の波高さとして表示される。表示器には、区域データに基づいて、器官音が時間軸(t)に沿う時間経過に伴って変化する波形として擬似的に三次元表示される。表示器には、周波数の区分けに基づいて器官の正常でない成分が検出されて表示され、器官についての診断が容易になる。
【選択図】図3


特許請求の範囲【請求項1】
人体の体内器官から発する器官音を集音する聴診器、
前記聴診器に接続可能であり、前記聴診器から入力される前記器官音について時間の経過に伴って変化する音強度を含む器官音データを生成する本体装置、及び
前記本体装置に接続されており、前記本体装置が生成した前記器官音データに基づいて、前記器官音の時間変化を表示する表示器
を備えており、
前記本体装置は、前記器官音データを複数の周波数区域毎の区域データに区分けし、前記表示器には、前記複数の周波数区域を表示させるとともに、前記周波数区域のうち指定された一つ又は複数の指定周波数区域に応じて、当該指定周波数区域に対応した前記区域データに基づく前記音強度の時間経過を表示させること
から成る聴診システム。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記表示器での前記指定周波数区域に応じた前記音強度の表示は、当該音強度の高さ方向に増幅表示可能であること
からなる請求項1に記載の聴診システム。
【請求項3】
前記本体装置には前記音強度に基づく音声を出力可能なスピーカが接続されており、前記スピーカから出力される前記指定周波数区域に応じた前記音強度の音声出力は、増幅出力可能であること
からなる請求項1又は2に記載の聴診システム。
【請求項4】
前記周波数区域は、隣り合う前記周波数区域の間で前記周波数の重複及び空白が生じることなく前記周波数の軸に沿って連続して並ぶ態様が維持されつつ、前記指定周波数区域が変更可能であること
から成る請求項1~3のいずれか一項に記載の聴診システム。
【請求項5】
前記器官音データは、二つ以上の異なる聴診日時において聴診された前記器官音についてのデータであり、前記表示器においては、前記各聴診日時における前記器官音データに基づく前記指定周波数区域における前記音強度の前記時間経過が、表示色又は表示線種を変えて並べて表示されること
から成る請求項1~4のいずれか一項に記載の聴診システム。
【請求項6】
前記器官音は心音であり、前記指定周波数区域は、前記心音のI音とII音がそれぞれ生じると推測される周波数区域、若しくは前記I音後で且つ前記II音前、又は前記II音後にそれぞれ異常音が生じると推測される周波数区域であること
から成る請求項1~5のいずれか一項に記載の聴診システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、人体の心臓、肺又は消化器官等の体内器官から発生する器官音を聴診器で集音し、集音された器官音から変換された電気的な音信号データに基づいて器官音の時間変化を表示する聴診システムに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、患者の呼吸器・循環器・消化器等の各体内器官の疾患を診断するために聴診器が広く用いられている。医師が聴診器を用いた場合には、通常、その医師のみが患者の各器官から発生する器官音を当該聴診器で集音して聴き、その器官音の特徴に基づいて患者の体内器官の病状等を診断している。しかしながら、当該医師の周囲に他の医師や看護師等の医療従事者がいたとしても、聴診器を装着していない者は患者が発する器官音を聴くことができない。周囲の医療従事者は、実際に器官音を聴いている医師との間で患者の体内器官についての情報を共有することができないので、必ずしも患者への的確な対応を協調して取ることができないおそれがある。また、患者本人も自己の器官音を聴くことができないので、患者の医師等の診断に対する納得度や信頼度に影響が出ることも有り得る。
【0003】
そこで、人体から発生される呼吸音、心音、消化器音等の可聴音をリアルタイムで三次元表示することで、視認性、操作性を高くしたビジュアル聴診器、その画像表示方法及びその画像表示プログラムが提案されている(特許文献1、2)。
【0004】
特許文献1には、呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換する集音器と、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換するA/D変換手段と、周波数成分、時間及び音強度を基に表示呼吸音データを三次元表示する表示手段を備え、少なくとも一フレーム時間長の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することを特徴とする呼吸音監視モニタ装置、呼吸音可視化方法及び呼吸音可視化プログラムが開示されている。
呼吸音データを音強度(波高値)軸、時間軸および周波数軸の3軸で、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に、表示手段の画面上に三次元的に可視化することが可能となり、患者の呼吸の様子がリアルタイムで且つ三次元表示として動的に表示・確認される。この結果、多くの医師や看護師が、同時にかつリアルタイムで患者の呼吸状態を、呼吸音を聴き取るのと同様な感覚で目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能となる。
【0005】
特許文献1では、低レベル伸張回路で、伸張レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で伸張レベル以上に伸張し、小さな大きさの呼吸音を目視しやすい大きさに強調して表示でき、呼吸音の全体像を適格に把握することを行っている。また、可聴周波数帯域全域を幾つかの周波数帯域に分割しており、分割する周波数幅は低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅であり、それぞれに区画された周波数帯域に相異なる重み付け値が設定される。この周波数帯域の分割の周波数幅は、人間の聴感特性(低周波数の音では周波数の違いを聞き分けやすく、高周波数の音では周波数の違いを聞き分けにくい)に合致したもので、高音に比べ低音を細密に表示する。実時間で呼吸音を三次元表示するのみではなく、記憶装置に呼吸音データを保存しておき、記憶されたものも事後的に表示しても良いとされ、また、マイクは無線手段や、LAN等の電気通信回線を用いてネットワークを介して接続してもよい、としている。
【0006】
特許文献2は、特許文献1に開示された可聴音の監視モニタ装置の視認性、操作性及び監視対象の範囲の改善を図ろうとする技術が提案されている文献であり、例えば、開示されているビジュアル聴診器によれば、呼吸音および心音を含む人体から発生する可聴音がデジタルデータに変換された可聴音デジタルデータを入力し、複数の周波数毎の振幅データに変換する周波数変換手段と、複数の周波数毎の振幅データに変換された可聴音デジタルデータを、振幅、周波数および時間に基づいて三次元画像として実時間で表示させるための画像処理を行う三次元画像処理手段と、周波数変換手段および前記三次元画像処理手段に対する各種パラメータを設定するパラメータ設定手段と、前記三次元画像処理手段によって画像処理される三次元画像を予め定めた手順に従って自動的に変更する表示自動変更手段とを備えている。
【0007】
ところで、患者の心音等の体内器官が発する器官音は元来、個人差のある音であるが、上記した従来技術では器官音を三次元表示するにしても、その患者個人が示すかもしれない器官音の特徴までを考慮して対処し表示しようとするものではない。即ち、患者の器官音を三次元表示しても、そこの潜む可能性のある患者個人の特徴を的確に表示することができるようになっていなければ、患者にとって相応しい診断やそれに基づく治療方針が得づらくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2004-033254号公報
特許第3625294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、患者の体内器官が発する器官音を平面ディスプレイのような表示器に表示することが可能な聴診システムにおいて、その表示の中で器官音の患者個人によって異なり得る特徴を的確に表示することを可能にする点で解決すべき課題がある。
【0010】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、患者の心音等の体内器官が発する器官音を平面ディスプレイのような表示器に表示をするときに、患者個人によって異なり得る特徴を的確に表示可能とすることで、医療従事者が当該特徴を当該患者に相応しい診断や治療方針に役立つ情報として利用することができる聴診システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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