TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2023079203
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-07
出願番号2022187618
出願日2022-11-24
発明の名称ポリイミド系フィルム
出願人住友化学株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C08J 5/18 20060101AFI20230531BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】銅箔表面の荒れを抑制して高周波帯域での伝送損失の低いCCL等の金属張積層板を形成し得る、Dfの低いポリイミド系フィルムを提供する。
【解決手段】テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)とジアミン由来の構成単位(B)とを含有するポリイミド系樹脂を含み、該ポリイミド系樹脂は、280℃における貯蔵弾性率が3×108Pa未満、かつ、ガラス転移温度が200~290℃である、ポリイミド系フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)とジアミン由来の構成単位(B)とを含有するポリイミド系樹脂を含み、該ポリイミド系樹脂は、280℃における貯蔵弾性率が3×10

Pa未満、かつ、ガラス転移温度が200~290℃である、ポリイミド系フィルム。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記構成単位(A)は、エステル結合含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)を含む、請求項1に記載のポリイミド系フィルム。
【請求項3】
前記構成単位(A)は、ビフェニル骨格含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)をさらに含む、請求項2に記載のポリイミド系フィルム。
【請求項4】
前記構成単位(A)は、式(X):
(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)以外のテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A3)の含有量)/(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)の総量)<1.1 (X)
の関係を満たす、請求項3に記載のポリイミド系フィルム。
【請求項5】
前記構成単位(A1)は、式(a1):
TIFF
2023079203000023.tif
30
99
[式(a1)中、Zは2価の有機基を表し、

a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
sは互いに独立に、0~3の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(a1)である、請求項2~4のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
【請求項6】
前記構成単位(A2)は、式(a2):
TIFF
2023079203000024.tif
36
66
[式(a2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
tは、互いに独立に、0~3の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(a2)である、請求項3~5のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
【請求項7】
前記構成単位(B)は、ビフェニル骨格含有ジアミン由来の構成単位(B1)を含む、請求項1~6のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
【請求項8】
前記構成単位(B1)は、式(b1):
TIFF
2023079203000025.tif
20
83
[式(b1)中、R
b1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
pは0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(b1)である、請求項7に記載のポリイミド系フィルム。
【請求項9】
前記構成単位(B1)の含有量は、構成単位(B)の総量に対して30モル%を超える、請求項7又は8に記載のポリイミド系フィルム。
【請求項10】
前記構成単位(B)は、式(b2):
TIFF
2023079203000026.tif
30
74
[式(b2)中、R
b2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
Wは、互いに独立に、-O-、-CH

-、-CH

-CH

-、-CH(CH

)-、-C(CH



-、-C(CF



-、-COO-、-OOC-、-SO

-、-S-、-CO-又は-N(R

)-を表し、R

は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、
mは1~4の整数を表し、
qは互いに独立に、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(b2)を含む、請求項1~9のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
高周波帯域用のプリント回路基板やアンテナ基板に対応可能な基板材料などに利用できるポリイミド系フィルムに関する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント回路基板(以下、FPCと記載することがある)は、薄く軽量で可撓性を有するため、立体的、高密度な実装が可能であり、携帯電話、ハードディスク等の多くの電子機器に使用され、その小型化、軽量化に寄与している。従来、FPCには、耐熱性、機械的物性、電気絶縁性に優れるポリイミド樹脂が広く用いられている。
近年、5Gと称される第5世代移動通信システムが本格的に普及しつつある。従来用いられてきたポリイミド材料では、5Gの通信に用いられる高周波信号を伝送する際に、伝送損失が大きく、電気信号のロスや信号の遅延時間が長くなる等の不都合が生じる。そのため、伝送損失の低減を目的として、誘電正接(以下、Dfと記載することがある)及び比誘電率(以下、Dkと記載することがある)の低いポリイミドフィルムが検討されている。
例えば、特許文献1には、エステル含有テトラカルボン酸無水物とビフェニルテトラカルボン酸無水物を含むテトラカルボン酸無水物成分とp-フェニレンジアミンを75モル%以上含有するジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド樹脂前駆体、及び前記ポリイミド樹脂前駆体を硬化させて得られるポリイミド樹脂が開示されている。また、特許文献2には、非熱可塑性ポリイミドを含む非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミドを含む熱可塑性ポリイミド層とを有し、前記非熱可塑性ポリイミドが3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導されるテトラカルボン酸残基(TAHQ残基)の少なくとも1種等を含むテトラカルボン酸残基、及び特定のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を含むポリイミドフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018-150544号公報
国際公開第2018/061727号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FPCに用いられる金属張積層板に関し、銅張積層板(以下、CCLと記載することがある)として、単層または複数層のポリイミド系樹脂の片面または両面に銅箔層を有する積層体が広く用いられている。CCLは、銅箔にポリイミド系樹脂前駆体溶液をキャスト製膜し、ポリイミド系樹脂前駆体の塗膜を熱イミド化することにより製造されることがあり、前記熱イミド化は、通常、例えば360℃程度の高温で加熱することにより行われる。
高周波電流の伝送においては、表皮効果と呼ばれる、電流が導体の表面近傍に密集して流れる現象が顕著となる。そのため、CCL等の金属張積層板を高周波回路に使用する場合には、金属箔表面の荒れや酸化が伝送損失の低下を引き起こしやすい。例えば、銅箔は、350℃以上の高温で加熱すると、銅箔表面の荒れ、結晶粒径増大、酸化等が生じ、界面が荒れやすい傾向がある。したがって、熱イミド化の工程で、ポリイミド系樹脂とともに銅箔等の金属箔が高温に曝されることは、伝送損失低下の原因となりうる。
しかし、従来のポリイミド樹脂やポリイミドフィルムの製造において熱イミド化を350℃未満の低温で実施した場合には、Df及びDkを十分に低減できないことがある。ポリイミド樹脂やポリイミドフィルムのDf及びDkを十分に低減するために、熱イミド化を350℃以上の高温で行ってCCLを作製すると、上述のように、銅箔表面の荒れ等が生じるため、銅箔表面の荒れや酸化の抑制と、ポリイミド層のDfの低減とを両立し、高周波回路に使用した場合に伝送損失の低いCCLを形成することは困難である。
【0005】
したがって、本発明の目的は、銅箔等の金属箔表面の荒れを抑制して高周波帯域での伝送損失の低いCCL等の金属張積層板を形成し得る、Dfの低いポリイミド系フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
【0007】
〔1〕 テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)とジアミン由来の構成単位(B)とを含有するポリイミド系樹脂を含み、該ポリイミド系樹脂は、280℃における貯蔵弾性率が3×10

Pa未満、かつ、ガラス転移温度が200~290℃である、ポリイミド系フィルム。
〔2〕 前記構成単位(A)は、エステル結合含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)を含む、〔1〕に記載のポリイミド系フィルム。
〔3〕 前記構成単位(A)は、ビフェニル骨格含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)をさらに含む、〔2〕に記載のポリイミド系フィルム。
〔4〕 前記構成単位(A)は、式(X):
(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)以外のテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A3)の含有量)/(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)の総量)<1.1 (X)
の関係を満たす、〔3〕に記載のポリイミド系フィルム。
〔5〕 前記構成単位(A1)は、式(a1):
TIFF
2023079203000001.tif
27
92
[式(a1)中、Zは2価の有機基を表し、

a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
sは、互いに独立に、0~3の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(a1)である、〔2〕~〔4〕のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
〔6〕 前記構成単位(A2)は、式(a2):
TIFF
2023079203000002.tif
32
60
[式(a2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
tは、互いに独立に、0~3の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(a2)である、〔3〕~〔5〕のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
〔7〕 前記構成単位(B)は、ビフェニル骨格含有ジアミン由来の構成単位(B1)を含む、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
〔8〕 前記構成単位(B1)は、式(b1):
TIFF
2023079203000003.tif
16
66
[式(b1)中、R
b1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
pは、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(b1)である、〔7〕に記載のポリイミド系フィルム。
〔9〕 前記構成単位(B1)の含有量は、構成単位(B)の総量に対して30モル%を超える、〔7〕又は〔8〕に記載のポリイミド系フィルム。
〔10〕 前記構成単位(B)は、式(b2):
TIFF
2023079203000004.tif
25
63
[式(b2)中、R
b2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
Wは、互いに独立に、-O-、-CH

-、-CH

-CH

-、-CH(CH

)-、-C(CH



-、-C(CF



-、-COO-、-OOC-、-SO

-、-S-、-CO-又は-N(R

)-を表し、R

は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、
mは、1~4の整数を表し、
qは、互いに独立に、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(b2)を含む、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
〔11〕 前記構成単位(b2)中、mが3であり、Wが互いに独立に、-O-又は-C(CH



-を表す、〔10〕に記載のポリイミド系フィルム。
〔12〕 〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のポリイミド系フィルムの片面又は両面に金属箔層を含む積層フィルム。
〔13〕 〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のポリイミド系フィルムを含むフレキシブルプリント回路基板。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、銅箔等の金属箔表面の荒れを抑制して高周波帯域での伝送損失の低いCCL等の金属張積層板を形成し得る、Dfの低いポリイミド系フィルムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
【0010】
〔ポリイミド系フィルム〕
本発明のポリイミド系フィルムは、テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)とジアミン由来の構成単位(B)とを含有するポリイミド系樹脂を含む。本明細書中、ポリイミドをPIと記載することがある。本発明において「由来の構成単位」とは、「由来する構成単位」を意味し、例えば「テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)」は「テトラカルボン酸無水物に由来する構成単位(A)」を意味する。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

株式会社日本触媒
組成物
1か月前
三菱ケミカル株式会社
積層体
28日前
東レ株式会社
多孔質フィルム
1か月前
株式会社ナリス化粧品
構造体
1日前
株式会社きもと
障子用フィルム
2か月前
株式会社コバヤシ
成形体
2か月前
三菱ケミカル株式会社
樹脂組成物
1か月前
東レ株式会社
ポリアミド樹脂組成物
24日前
株式会社松風
光硬化性組成物
1か月前
株式会社日本触媒
無機粒子含有分散体
1か月前
アイカ工業株式会社
ホットメルト組成物
15日前
AGC株式会社
水性分散液
1か月前
テクノUMG株式会社
物品
1か月前
ユニチカ株式会社
多孔質ポリアミドイミド
1か月前
株式会社カネカ
樹脂組成物およびフィルム
1か月前
株式会社カネカ
硬化性組成物
2か月前
株式会社カネカ
硬化性組成物
2か月前
東レ株式会社
ポリエステル組成物の製造方法
16日前
松本油脂製薬株式会社
樹脂粒子及びその用途
15日前
松本油脂製薬株式会社
樹脂粒子及びその用途
9日前
日本ユピカ株式会社
成形材
18日前
東レ株式会社
重合装置および重合体の製造方法
1か月前
東レ株式会社
二軸配向ポリオレフィンフィルム
21日前
株式会社日本製鋼所
プリプレグ製造装置
28日前
東レ株式会社
二軸配向ポリプロピレンフィルム
1か月前
帝人株式会社
樹脂組成物および光学部材
1か月前
三和化工株式会社
発泡体の製造方法
1か月前
東ソー株式会社
廃プラスチックのリサイクル方法
24日前
株式会社コバヤシ
成形体及びその製造方法
1か月前
東ソー株式会社
両親媒性ポリマー溶液の調液方法
8日前
住友電気工業株式会社
成形体
2か月前
松本油脂製薬株式会社
ポリマー粒子及びその用途
15日前
アキレス株式会社
農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
15日前
三菱ケミカル株式会社
フィルム
10日前
株式会社カネカ
樹脂組成物、成形体およびフィルム
28日前
国立大学法人信州大学
不飽和ポリエステルの製造方法
2か月前
続きを見る