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公開番号2023079202
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-07
出願番号2022187617
出願日2022-11-24
発明の名称ポリイミド系樹脂前駆体
出願人住友化学株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C08G 73/10 20060101AFI20230531BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】熱イミド化温度が低温であっても、Dfが低く、屈曲耐性に優れたポリイミド系フィルムを形成し得るポリイミド系樹脂前駆体を提供する。
【解決手段】テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)とジアミン由来の構成単位(B)とを含むポリイミド系樹脂前駆体であって、前記構成単位(A)は、エステル結合含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)及びビフェニル骨格含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)を含み、前記構成単位(A)は式(X):(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)以外のテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A3)の含有量)/(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)の総量)<0.67 (X)の関係を満たし、前記構成単位(B)は、ビフェニル骨格含有ジアミン由来の構成単位(B1)を含み、前記構成単位(B1)の含有量は前記構成単位(B)の総量に対して30モル%を超え、前記ポリイミド系樹脂前駆体のポリスチレン換算の重量平均分子量は100,000より大きい、ポリイミド系樹脂前駆体。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)とジアミン由来の構成単位(B)とを含むポリイミド系樹脂前駆体であって、
前記構成単位(A)は、エステル結合含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)及びビフェニル骨格含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)を含み、
前記構成単位(A)は式(X):
(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)以外のテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A3)の含有量)/(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)の総量)<0.67 (X)
の関係を満たし、
前記構成単位(B)は、ビフェニル骨格含有ジアミン由来の構成単位(B1)を含み、前記構成単位(B1)の含有量は前記構成単位(B)の総量に対して30モル%を超え、
前記ポリイミド系樹脂前駆体のポリスチレン換算の重量平均分子量は100,000より大きい、ポリイミド系樹脂前駆体。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記構成単位(A1)は、式(a1):
TIFF
2023079202000023.tif
30
100
[式(a1)中、Zは2価の有機基を表し、

a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
sは互いに独立に、0~3の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(a1)である、請求項1に記載のポリイミド系樹脂前駆体。
【請求項3】
前記構成単位(A2)は、式(a2):
TIFF
2023079202000024.tif
37
67
[式(a2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
tは、互いに独立に、0~3の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(a2)である、請求項1又は2に記載のポリイミド系樹脂前駆体。
【請求項4】
前記構成単位(B1)は、式(b1):
TIFF
2023079202000025.tif
19
77
[式(b1)中、R
b1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
pは0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(b1)である、請求項1~3のいずれかに記載のポリイミド系樹脂前駆体。
【請求項5】
前記構成単位(B)は、式(b2):
TIFF
2023079202000026.tif
30
71
[式(b2)中、R
b2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
Wは、互いに独立に、-O-、-CH

-、-CH

-CH

-、-CH(CH

)-、-C(CH



-、-C(CF



-、-COO-、-OOC-、-SO

-、-S-、-CO-又は-N(R

)-を表し、R

は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、
mは1~4の整数であり、
qは互いに独立に、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(b2)をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載のポリイミド系樹脂前駆体。
【請求項6】
前記構成単位(b2)中、mが3であり、Wが互いに独立に、-O-又は-C(CH



-である、請求項5に記載のポリイミド系樹脂前駆体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のポリイミド系樹脂前駆体から得られるポリイミド系樹脂。
【請求項8】
ガラス転移温度は200~290℃である、請求項7に記載のポリイミド系樹脂。
【請求項9】
280℃における貯蔵弾性率は3×10

Pa未満である、請求項7又は8に記載のポリイミド系樹脂。
【請求項10】
請求項7~9のいずれかに記載のポリイミド系樹脂を含むポリイミド系フィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
高周波帯域用のプリント回路基板やアンテナ基板に対応可能な基板材料などに利用できるポリイミド系樹脂前駆体に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント回路基板(以下、FPCと記載することがある)は、薄く軽量で可撓性を有するため、立体的、高密度な実装が可能であり、携帯電話、ハードディスク等の多くの電子機器に使用され、その小型化、軽量化に寄与している。従来、FPCには、耐熱性、機械的物性や電気絶縁性に優れるポリイミド樹脂が広く用いられている。
近年、5Gと称される第5世代移動通信システムが本格的に普及しつつある。従来用いられてきたポリイミド材料では、5Gの通信に用いられる高周波信号を伝送する際に、伝送損失が大きく、電気信号のロスや信号の遅延時間が長くなる等の不都合が生じる。そのため、伝送損失の低減を目的として、誘電正接(以下、Dfと記載することがある)及び比誘電率(以下、Dkと記載することがある)の低いポリイミドフィルムが検討されている。
また、FPCは電子機器の可動部分の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつあり、フォールダブルデバイスが上市されるなど、より高い屈曲耐性を有するFPCの要求が高まっている。したがって、Df及びDkが低いことに加え、屈曲耐性に優れたポリイミドフィルムが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エステル含有テトラカルボン酸無水物とビフェニルテトラカルボン酸無水物を含むテトラカルボン酸無水物成分とp-フェニレンジアミンを75モル%以上含有するジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド樹脂前駆体、及び前記ポリイミド樹脂前駆体を硬化させて得られるポリイミド樹脂が開示されている。特許文献2には、非熱可塑性ポリイミドを含む非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミドを含む熱可塑性ポリイミド層とを有し、前記非熱可塑性ポリイミドが3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導されるテトラカルボン酸残基(TAHQ残基)の少なくとも1種等を含むテトラカルボン酸残基、及び特定のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を含むポリイミドフィルムが開示されている。また、特許文献3には、芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを縮合重合させたポリイミド前駆体樹脂を含有する組成物であって、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物及び上記ジアミンのうちの少なくとも一方が、ビフェニル骨格を有し、上記ビフェニル骨格を有するものの含有量が、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物と上記ジアミンとの合計量に対して40モル%以上であり、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物が、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を上記合計量に対して5モル%以上含むポリイミド前駆体樹脂組成物及び当該組成物から得られるポリイミド樹脂膜が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-150544号公報
国際公開第2018/061727号
特開2014-208793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
FPCに用いられる銅張積層板(以下、CCLと記載することがある)等の金属張積層板として、単層または複数層のポリイミド系樹脂の片面または両面に銅箔層等の金属箔を有する積層体が広く用いられている。ポリイミドフィルムを有するCCL等の金属張積層板は、銅箔等の金属箔にポリイミド系樹脂前駆体溶液をキャスト製膜し、ポリイミド系樹脂前駆体の塗膜を熱イミド化することにより製造されることがあり、前記熱イミド化は、通常、例えば360℃程度の高温で加熱することにより行われる。
高周波電流の伝送においては、表皮効果と呼ばれる、電流が導体の表面近傍に密集して流れる現象が顕著となる。そのため、CCL等の金属張積層板を高周波回路に使用する場合には、銅箔等の金属箔表面の荒れや酸化が伝送損失の低下を引き起こしやすい。例えば、銅箔は、350℃以上の高温で加熱すると、銅箔表面の荒れ、結晶粒径増大、酸化等が生じ、界面が荒れやすい傾向がある。さらに、銅箔表面の結晶粒径が増大すると銅箔の屈曲耐性が低下し、CCLの屈曲耐性が低下する傾向にある。
したがって、熱イミド化の工程で、ポリイミド系樹脂とともに銅箔等の金属箔が高温に曝されることは、伝送損失の低下及び屈曲耐性の低下の原因となりうる。
【0006】
本発明者らの検討によれば、従来のポリイミド樹脂は、熱イミド化を350℃未満の低温で実施した場合には、得られるポリイミドフィルムのDf及びDkを十分に低減できないことがあった。これらのポリイミド樹脂やポリイミドフィルムのDf及びDkを十分に低減するために、熱イミド化を350℃以上の高温で行ってCCL等の金属張積層板を作製すると、上述のように、銅箔等の金属箔表面の荒れ等が生じるため、金属箔表面の荒れや酸化の抑制と、ポリイミド層のDfの低減とを両立し、高周波回路に使用した場合に伝送損失の低いCCL等の金属張積層板を形成することは困難である。さらに、従来のポリイミドフィルムには、屈曲耐性が十分でないことがある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、熱イミド化温度が低温であっても、Dfが低く、屈曲耐性に優れたポリイミド系フィルムを形成し得るポリイミド系樹脂前駆体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
【0009】
〔1〕 テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)とジアミン由来の構成単位(B)とを含むポリイミド系樹脂前駆体であって、
前記構成単位(A)は、エステル結合含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)及びビフェニル骨格含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)を含み、
前記構成単位(A)は式(X):
(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)以外のテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A3)の含有量)/(前記構成単位(A1)及び前記構成単位(A2)の総量)<0.67 (X)
の関係を満たし、
前記構成単位(B)は、ビフェニル骨格含有ジアミン由来の構成単位(B1)を含み、前記構成単位(B1)の含有量は前記構成単位(B)の総量に対して30モル%を超え、
前記ポリイミド系樹脂前駆体のポリスチレン換算の重量平均分子量は100,000より大きい、ポリイミド系樹脂前駆体。
〔2〕 前記構成単位(A1)は、式(a1):
TIFF
2023079202000001.tif
30
100
[式(a1)中、Zは2価の有機基を表し、

a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
sは互いに独立に、0~3の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(a1)である、〔1〕に記載のポリイミド系樹脂前駆体。
〔3〕 前記構成単位(A2)は、式(a2):
TIFF
2023079202000002.tif
35
64
[式(a2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
tは、互いに独立に、0~3の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(a2)である、〔1〕又は〔2〕に記載のポリイミド系樹脂前駆体。
〔4〕 前記構成単位(B1)は、式(b1):
TIFF
2023079202000003.tif
19
79
[式(b1)中、R
b1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
pは0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(b1)である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のポリイミド系樹脂前駆体。
〔5〕 前記構成単位(B)は、式(b2):
TIFF
2023079202000004.tif
30
71
[式(b2)中、R
b2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
Wは、互いに独立に、-O-、-CH

-、-CH

-CH

-、-CH(CH

)-、-C(CH



-、-C(CF



-、-COO-、-OOC-、-SO

-、-S-、-CO-又は-N(R

)-を表し、R

は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、
mは1~4の整数であり、
qは互いに独立に、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(b2)をさらに含む、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のポリイミド系樹脂前駆体。
〔6〕 前記構成単位(b2)中、mが3であり、Wが互いに独立に、-O-又は-C(CH



-である、〔5〕に記載のポリイミド系樹脂前駆体。
〔7〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のポリイミド系樹脂前駆体から得られるポリイミド系樹脂。
〔8〕 ガラス転移温度は200~290℃である、〔7〕に記載のポリイミド系樹脂。
〔9〕 280℃における貯蔵弾性率は3×10

Pa未満である、〔7〕又は〔8〕に記載のポリイミド系樹脂。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱イミド化温度が低温であっても、Dfが低く、屈曲耐性に優れたポリイミド系フィルムを形成し得るポリイミド樹脂前駆体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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