TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2023078952
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-07
出願番号2021192295
出願日2021-11-26
発明の名称軸ばね用保護カバー及び鉄道車両用軸ばね
出願人住友理工株式会社
代理人個人,個人
主分類F16F 1/41 20060101AFI20230531BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】鉄道車両用軸ばねをコンパクトに覆うことができ、風圧による変形や破損、脱落等も生じにくくなる軸ばね用保護カバーを提供する。
【解決手段】鉄道車両用軸ばね20に装着され、当該装着状態で弾性部23の下側外面を覆う保護カバー1は、弾性を有する薄膜材料で一体筒状に形成されると共に、軸方向に伸縮可能な蛇腹部4を含み、装着状態で、内筒21にはゴム層27Aを介して間接的に当接し、外筒22には直接当接し、弾性部23には、内筒21及び外筒22との当接位置と径方向に離れた位置で直接当接している。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
上下方向に延びる芯材と、前記芯材と同軸で配置される外筒と、弾性体と金具とを径方向へ交互に積層して形成され、前記芯材と前記外筒との間に接着される環状の弾性部と、を含んでなる鉄道車両用軸ばねに装着され、当該装着状態で前記弾性部の下側外面を覆う軸ばね用保護カバーであって、
弾性を有する薄膜材料で一体筒状に形成されると共に、軸方向に伸縮可能な蛇腹部を含み、
前記装着状態で、前記芯材には直接又は前記弾性体を介して間接的に当接し、前記外筒には直接当接し、前記弾性部には、前記芯材及び前記外筒との当接位置と径方向に離れた位置で直接当接することを特徴とする軸ばね用保護カバー。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
前記蛇腹部は、径方向に、前記弾性部の外周面に当接して前記蛇腹部を弾性支持する支持部と、前記支持部に支持されて前記弾性部の外周面に近接する可動部とを交互に有していることを特徴とする請求項1に記載の軸ばね用保護カバー。
【請求項3】
前記支持部は、円筒状で、前記弾性部における前記金具の端部の位置に当接していることを特徴とする請求項2に記載の軸ばね用保護カバー。
【請求項4】
前記弾性部の下面には、径方向に凹凸形状が形成されて、各前記可動部の一部は、前記凹凸形状のうちの複数の凸部同士を繋いで規定される所定の外形領域の内側に位置していることを特徴とする請求項2又は3に記載の軸ばね用保護カバー。
【請求項5】
前記弾性部には、前記外形領域よりも内側に凹む凹部が形成されており、前記可動部の前記一部は、前記凹部内に入り込んでいることを特徴とする請求項4に記載の軸ばね用保護カバー。
【請求項6】
前記装着状態で、軸方向の両端の一端側は、前記芯材の外周面に直接又は前記弾性体を介して間接的に当接し、前記両端の他端側は、前記外筒の外周面に直接当接していることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の軸ばね用保護カバー。
【請求項7】
前記芯材への当接部分には、端部から軸方向にスリットが形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の軸ばね用保護カバー。
【請求項8】
芯材と、前記芯材と同軸で配置される外筒と、弾性体と金具とを径方向へ交互に積層して形成され、前記芯材と前記外筒との間に接着される環状の弾性部と、を含んでなる鉄道車両用軸ばねであって、
請求項1乃至7の何れかに記載の軸ばね用保護カバーが装着されて、前記弾性部の下側外面が前記軸ばね用保護カバーに覆われていることを特徴とする鉄道車両用軸ばね。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄道車両用軸ばねを保護するために用いられる軸ばね用保護カバーと、当該軸ばね用保護カバーを設けた鉄道車両用軸ばねとに関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
鉄道車両の台車において、車軸を支持する軸箱に設けたアームと、車両を支持する台車フレームとの間には、鉄道車両用軸ばねが設置されている。鉄道車両用軸ばねは、アーム側に設けた芯材と、台車フレーム側に設けた外筒との間に、複数の弾性層と複数の金具とを径方向へ交互に積層してなる環状の弾性部を介在させて、全体を円錐状に形成したものとなっている。
このような鉄道車両用軸ばねには、外筒の下方に露出する弾性部の防火、防風、防雪、防水、防塵等を目的として、軸ばね用保護カバーが装着されている。この軸ばね用保護カバーとして、例えば特許文献1には、可撓性材料で形成され、上側が大径となり、下側が小径となる段付き筒状の保護カバーが開示されている。この保護カバーは、上端開口が外輪(外筒)の外周に、下端開口が軸(芯材)の外周にそれぞれ締付バンド等を用いて固定される。また、他の例として、鉄道車両用軸ばねへの後付けを容易とするために、筒状の一部を軸方向に分断したC字形状の保護カバーや、半円弧状に分割した2つのカバー部を互いに連結してなる保護カバーも開示されている。
一方、特許文献2にも、上下開口を備えた円筒状に形成され、上側を大径、下側を小径とした漏斗状(段付き筒状)の防火カバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007-278398号公報
特開2016-173130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2のような段付き筒状の保護カバーは、弾性部と干渉しないように大径となる上側の内部空間を大きく形成しているため、鉄道車両用軸ばねに対してサイズが大きくなる。よって、走行時の風圧で変形しやすくなり、鉄道車両用軸ばねとの結合部分が外れたり、変形時の屈曲が一箇所に集中して破損等が生じたりするおそれがあった。これは、特許文献1に開示されるC字形状や分割構造の保護カバーにおいても同様で、特にこのタイプでは、走行時の風圧で継ぎ目部分に応力が集中すると鉄道車両用軸ばねから外れるおそれが大きくなっていた。
【0005】
そこで、本開示は、鉄道車両用軸ばねをコンパクトに覆うことができ、風圧による変形や破損、脱落等も生じにくくなる軸ばね用保護カバー及び鉄道車両用軸ばねを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の第1の構成は、上下方向に延びる芯材と、前記芯材と同軸で配置される外筒と、弾性体と金具とを径方向へ交互に積層して形成され、前記芯材と前記外筒との間に接着される環状の弾性部と、を含んでなる鉄道車両用軸ばねに装着され、当該装着状態で前記弾性部の下側外面を覆う軸ばね用保護カバーであって、
弾性を有する薄膜材料で一体筒状に形成されると共に、軸方向に伸縮可能な蛇腹部を含み、
前記装着状態で、前記芯材には直接又は前記弾性体を介して間接的に当接し、前記外筒には直接当接し、前記弾性部には、前記芯材及び前記外筒との当接位置と径方向に離れた位置で直接当接することを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、前記蛇腹部は、径方向に、前記弾性部の外周面に当接して前記蛇腹部を弾性支持する支持部と、前記支持部に支持されて前記弾性部の外周面に近接する可動部とを交互に有していることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、前記支持部は、円筒状で、前記弾性部における前記金具の端部の位置に当接していることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、前記弾性部の下面には、径方向に凹凸形状が形成されて、各前記可動部の一部は、前記凹凸形状のうちの複数の凸部同士を繋いで規定される所定の外形領域の内側に位置していることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、前記弾性部には、前記外形領域よりも内側に凹む凹部が形成されており、前記可動部の前記一部は、前記凹部内に入り込んでいることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、前記装着状態で、軸方向の両端の一端側は、前記芯材の外周面に直接又は前記弾性体を介して間接的に当接し、前記両端の他端側は、前記外筒の外周面に直接当接していることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、前記芯材への当接部分には、端部から軸方向にスリットが形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第2の構成は、芯材と、前記芯材と同軸で配置される外筒と、弾性体と金具とを径方向へ交互に積層して形成され、前記芯材と前記外筒との間に接着される環状の弾性部と、を含んでなる鉄道車両用軸ばねであって、
第1の構成の何れかに記載の軸ばね用保護カバーが装着されて、前記弾性部の下側外面が前記軸ばね用保護カバーに覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、軸ばね用保護カバーを鉄道車両用軸ばねの形状に沿って密着した状態で装着でき、省スペースとなる。よって、走行時の空気抵抗が小さくなる。特に、軸ばね用保護カバーは、一体筒状に形成されて継ぎ目等を有しないため、風圧にも強くなる。従って、鉄道車両用軸ばねをコンパクトに覆うことができ、風圧による変形や破損、脱落等が生じにくくなる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、蛇腹部は、径方向に、蛇腹部を弾性支持する支持部と弾性部の外周面に近接する可動部とを交互に有しているので、芯材及び外筒との当接位置の部位で軸ばね用保護カバーを鉄道車両用軸ばねへ弾性的に固定でき、支持点が多くなって安定した装着が可能となる。また、弾性部に沿った形状が好適に維持されるため、風圧に強くなってばたつきにくくなる上、弾性部の変形にも追従しやすくなる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、支持部は円筒状で、弾性部における金具の端部の位置に当接しているので、鉄道車両用軸ばねが軸方向に変形しても、可動部の変形を許容しつつ、支持部は位置ずれすることなく当接状態を維持できる。このため脱落のおそれが一層低くなる。また、蛇腹部の屈曲が複数の可動部に分散されるため、軸ばね用保護カバーが破損しにくくなって耐久性も向上する。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、弾性部の下面には、径方向に凹凸形状が形成されて、各可動部の一部は、凹凸形状のうちの複数の凸部同士を繋いで規定される所定の外形領域の内側に位置しているので、より弾性部に沿った形状となり、風圧に強くなる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、弾性部には、外形領域よりも内側に凹む凹部が形成されており、可動部の一部は、凹部内に入り込んでいるので、可動部の長さを径方向に確保しにくい場所でも凹部内でたるませることで可撓性を確保できる。また、凹部内に入り込むことで風圧による破損がより生じにくくなる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、装着状態で、軸方向の両端の一端側は、芯材の外周面に直接又は間接的に当接し、両端の他端側は、外筒の外周面に直接当接しているので、軸ばね用保護カバーの内外を隔離でき、弾性部を気密状態で保護可能となる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、芯材への当接部分には、端部から軸方向にスリットが形成されているので、芯材にフランジ部等の凸形状があっても、軸ばね用保護カバーを鉄道車両用軸ばねへ装着する際に支障なく下方から被せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
軸ばね用保護カバーを装着した鉄道車両用軸ばねの正面図である。
鉄道車両用軸ばねの中央縦断面図である。
軸ばね用保護カバーの下方からの斜視図である。
軸ばね用保護カバーの正面図である。
軸ばね用保護カバーの中央縦断面図である。
図2における弾性部の下側部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、軸ばね用保護カバー(以下「保護カバー」という。)1を装着した鉄道車両用軸ばね(以下「軸ばね」という。)20の正面図、図2は、軸ばね20の中央縦断面図である。保護カバー1は、本開示の第1の構成の軸ばね用保護カバーの一例であり、軸ばね20は、本開示の第2の構成の鉄道車両用軸ばねの一例である。
まず、軸ばね20は、内筒21と、外筒22と、弾性部23とを有している。内筒21は、軸ばね20の中心に位置して上下方向に延びる。内筒21の外面において、上下方向の中間部よりやや下側には、フランジ部24が形成されている。フランジ部24の上側は、上方へ向かうに従って小径となる内テーパ部25となっている。
外筒22は、内筒21よりも大径で、内筒21と同軸で配置されている。外筒22は、上端から下方へ向かうに従って大径となる外テーパ部26を備えている。外筒22は、内筒21よりも上方に配置されて、外テーパ部26の下部を径方向視で内筒21の内テーパ部25の上部とオーバーラップさせている。
【0010】
弾性部23は、内筒21と外筒22との間で環状に形成されている。弾性部23は、中心側から、3つの筒状のゴム層27A,27B,27Cと、2つの筒状の中間金具28A,28Bとを同軸で交互に積層した状態で加硫接着してなる。ゴム層27A~27C及び中間金具28A,28Bは、弾性部23の中心側へ向かうに従って徐々に下方へずれるように積層されて、弾性部23の全体は円錐状となっている。最内のゴム層27Aが内筒21の内テーパ部25の外周面に加硫接着され、最外のゴム層27Cが外筒22の外テーパ部26の内周面に加硫接着されている。
ゴム層27A~27Cは、中間金具28A,28Bの上下の端面もそれぞれ覆って径方向で互いに繋がっている。ゴム層27A~27Cの各上端面は、下方へリング状に凹む上側凹部29となっている。ゴム層27A~27Cの各下端面は、上方へリング状に凹む下側凹部30となっている。よって、弾性部23の下面は、径方向に下側凹部30を挟んで、ゴム層27A、中間金具28Aの下端を覆うゴム層27A,27Bの接続部分、中間金具28Bの下端を覆うゴム層27B,27Cの接続部分、ゴム層27Cが、それぞれ下方へ突出するリング状の凸部31となる凹凸形状となっている。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許