TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2023078789
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-07
出願番号2021192064
出願日2021-11-26
発明の名称光学デバイス及び可変光学装置
出願人日本放送協会
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類G02B 26/06 20060101AFI20230531BHJP(光学)
要約【課題】配置距離に制約が少なく、高い自由度で光学特性を可変な光学素子、及び、可変光学デバイスを提供する。
【解決手段】光学デバイス1は、第1光学素子10と、第1光学素子から距離zを離して第1光学素子と光学素子中心を合わせて並行に配置する第2光学素子20と、を備える光学デバイスであって、第1光学素子及び第2光学素子は、予め設定された複素振幅分布で複素振幅変調させた変調領域を互いに対向する位置に備え、第1光学素子又は第2光学素子の一方の光学素子中心を回転軸中心として、第1光学素子及び第2光学素子の相対的な角度を変化させることで、、回転対称性を有する光波の位相の光学特性を動的に変化させる構成を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第1光学素子と、前記第1光学素子から距離zを離して前記第1光学素子と光学素子中心を合わせて並行に配置する第2光学素子と、を備える光学デバイスであって、
前記第1光学素子及び前記第2光学素子は、予め設定された複素振幅分布で複素振幅変調させた変調領域を互いに対向する位置に備え、
前記第1光学素子は、振幅分布が第2光学素子の変調領域と同じ形状で、半径方向に変化する位相分布と円周方向に変化する位相分布を足し合わせた位相分布が生成できるように、前記第1光学素子の変調領域の複素振幅分布に対して、回折積分の計算を適用し、前記距離zに対して-zの距離を逆伝搬する演算を適用することにより得られる複素振幅分布を、前記第1光学素子の変調領域に付与する構成を有し、
前記第1光学素子又は前記第2光学素子の一方の光学素子中心を回転軸中心として、前記第1光学素子及び前記第2光学素子の相対的な角度を変化させる光学デバイス。
続きを表示(約 2,200 文字)【請求項2】
前記第1光学素子の複素振幅分布の複素振幅値は、入射光の波長をλとしたときに、下記の式(1)を用いると共に、前記第2光学素子の複素振幅分布の複素振幅値は、下記の式(2)を用い、
TIFF
2023078789000010.tif
13
168
TIFF
2023078789000011.tif
12
168
前記式(1)及び前記式(2)により設定し、
前記式(1)及び式(2)中において、
前記(x,y)、(u,v)は、それぞれ、空間座標とそれに対応した空間周波数座標であり、
前記式(1)中(r、θ)は、空間座標の座標形式であり、
前記FT[…]は、フーリエ変換演算子であり、
FT
-1
[…]は、逆フーリエ変換演算子であり、
前記A

(x,y)、A

(x,y)は、それぞれ、光の透過領域を決定する開口関数であり、
前記α(r)は、半径方向に応じて変化する位相であり、
前記β(θ)は、円周方向に応じて変化する位相である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記式(1)の代わりに、下記の式(3)を用いて、さらに、前記式(2)の代わりに、下記の式(4)を用い、
TIFF
2023078789000012.tif
14
169
TIFF
2023078789000013.tif
12
169
前記式(3)及び前記式(4)により前記第1光学素子及び前記第2光学素子の複素振幅分布のそれぞれの複素振幅値を設定し、
前記rounud[…]は、小数点以下の値を四捨五入して整数とする関数である請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記(1)式の代わりに、下記の(5)式を用い、さらに、前記(2)式の代わりに、下記の(6)式を用い、
TIFF
2023078789000014.tif
14
169
TIFF
2023078789000015.tif
13
169
前記第1光学素子及び前記第2光学素子の複素振幅分布のそれぞれの複素振幅値を設定する請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記第1光学素子及び前記第2光学素子の領域をU1(x、y)及びU2(x、y)の複素振幅値を下記の式に基づき、
TIFF
2023078789000016.tif
13
169
TIFF
2023078789000017.tif
12
169
2種類の位相値φ

、φ

で構成される2×2のサブ変調領域として符号化し、
2×2のサブ変調領域のうち、一方の斜めに対向する領域を、生成したい位相値と、生成したい振幅値の逆余弦関数の値との和とし、他方の斜めに対向する領域を、生成したい位相値と、生成したい振幅値の逆余弦関数の値との差とすることで、生成したい複素振幅値を設定し、前記式中において、angle[…]は、複素振幅値の偏角を取り出す演算である請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記第1光学素子又は前記第2光学素子は、その一方が、前記複素振幅変調における振幅変調について、振幅分布に対して変調領域の周囲から中心に向かって透過率を連絡的に変化させるアポタイゼーションの振幅分布とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記変調領域の1つの複素振幅値を少なくとも2×2のサブ変調領域として符号化し、2×2のサブ変調領域のうち、一方の斜めに対向する領域を、生成したい位相値と、生成したい振幅値の逆余弦関数の値との和とし、他方の斜めに対向する領域を、生成したい位相値と、生成したい振幅値の逆余弦関数の値との差とすることで、生成したい複素振幅値を設定する請求項6に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記第1光学素子及び前記第2光学素子は、感光材料に、前記複素振幅分布の光波と参照光との干渉縞を記録するホログラフィック光学素子である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記第1光学素子及び前記第2光学素子は、波長よりも微細な突起構造のメタ原子により生じる共振、あるいは導波路効果により前記複素振幅分布の変調を行うメタサーフェスである請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記メタ原子が、入射偏光の依存性を有する場合、あるいは、出射偏光に不要な偏光成分が含まれている場合に、前記第1光学素子の前方あるいは前記第2光学素子の後方に偏光子あるいは波長板又は偏光素子及び波長板を配置する請求項9に記載の光学デバイス。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子、特に、計算機合成ホログラム、メタサーフェス、レンズ、可変焦点レンズ、アキシコンレンズ、ヘリカル位相板、位相シフト素子等の光学デバイス、及び、光学デバイスを用いて構成される可変光学装置に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
レンズは、カメラ、顕微鏡、望遠鏡、計測装置、プロジェクター、レーザー加工装置をはじめ、あらゆる光学機器に搭載され、光を制御するために必要不可欠な光学素子の一つである。通常、レンズは硝材や高分子材料で作製され、その光学特性、すなわち焦点距離は固定の値である。しかしながら、このレンズの焦点距離を可変することができれば、上述の光学素子あるいは光学デバイスで多様に機能を拡張できるため、焦点距離を任意に変えることができる可変焦点レンズの実現が求められている。
レンズ以外にも、アキシコン位相を光波に付与するアキシコンレンズ、ヘリカル位相を光波に付与するヘリカル位相板をはじめとする特殊なビーム形状を生成できる光学素子は、顕微鏡や光通信、レーザー加工の分野で応用価値が高まっており、それぞれの光学特性を可変にすることが求められている。
また、干渉計測、ディジタルホログラフィ、インコヒーレントディジタルホログラフィの分野では、位相情報の正確な計測のために、光波の位相分布を一様に変化させる位相シフト素子が必要であり、逐次、任意の位相を光波に付与できる可変の光学デバイスが要求される。
【0003】
上述するレンズ、アキシコンレンズ、ヘリカル位相板、あるいは位相シフト素子の光学特性を可変にできる光学デバイスとして、液晶デバイスが挙げられる。例えば、環状の多重の電極で液晶分子に適切に電圧を印加することで、液晶の可変焦点レンズを実現できる(特許文献1参照)。同様の発想に基づき、電極パターンと印加電圧の適切な設計で、光学特性が可変のアキシコンレンズ、ヘリカル位相板、あるいは位相シフト素子を実現できる。しかし、液晶素子の場合、通常、複屈折を有する楕円の棒状の液晶分子の傾きの違いによって生じる位相を光波に付与しており、液晶分子の長軸方向と、入射偏光は常に合致している必要がある。
【0004】
これに対して、従来、屈折率が等方的でその大きさが1より大きい材料で作製された2枚の回折光学素子を1対の光学デバイスとして用い、これら2枚の回折光学素子の相対的な角度変化により、光学特性を変更するモアレレンズが提案されている(特許文献2、非特許文献1)。この従来の技術では、回折光学素子を構成する材料が複屈折の性質を有していないため、原理上、入射光の偏光状態に制限がない。また、光学特性を変更するために、2枚の回折光学素子の内、少なくとも一方を回転させるだけでよく、ズームレンズ系と比較すると光学系の構成が小型・簡易である。さらに、ズームレンズ系のように、焦点距離が変化しても主平面が変化することがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第5328315号公報
特許第5622571号公報
【非特許文献】
【0006】
S. Bernet, W. Harm, and M. Ritsch-Marte, “Demonstration of focus-tunable diffractive Moire-lenses,” Optics Express Vol. 21, No. 6 6955-6966 (2013).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術の原理では、2枚の回折光学素子の配置距離が0、あるいは10μm以下で十分に近接していることが求められる。そのため、仮に、配置距離が大きくなると、2枚目の回折光学素子を出射した直後の光波の波面の乱れが大きくなり、所望の光学特性が得られなくなる。また、2枚の回折光学素子を接触させて配置してしまうと互いに干渉し、一方の素子を回転する際に破損する可能性があるため、実用上接触して2枚の回折光学素子を配置することは極めて困難である。また、2枚の素子を近接させた状態で回転機構を導入することは、機構設計の自由度が制限され、加工・製作が困難になる。また、この従来の技術では、2枚の回折光学素子で変調する光の物理量が位相に限定されており、光学デバイスとして発現できる機能が制限されている。
本発明は、前記した状況に鑑みて創案されたものであり、配置距離に制約が少なく、高い自由度で光学特性を可変な光学素子、及び、可変光学デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る光学デバイスは、第1光学素子と、前記第1光学素子から距離zを離して前記第1光学素子と光学素子中心を合わせて並行に配置する第2光学素子と、を備える光学デバイスであって、前記第1光学素子及び前記第2光学素子は、予め設定された複素振幅分布で複素振幅変調させた変調領域を互いに対向する位置に備え、前記第1光学素子は、振幅分布が第2光学素子の変調領域と同じ形状で、半径方向に変化する位相分布と円周方向に変化する位相分布を足し合わせた位相分布が生成できるように、前記第1光学素子の変調領域の複素振幅分布に対して、回折積分の計算を適用し、前記距離zに対して-zの距離を逆伝搬する演算を適用することにより得られる複素振幅分布を、前記第1光学素子の変調領域に付与する構成を有し、前記第1光学素子又は前記第2光学素子の一方の光学素子中心を回転軸中心として、前記第1光学素子及び前記第2光学素子の相対的な角度を変化させる構成を備えている。
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る可変光学装置は、前記した光学デバイスを用いる可変光学装置であって、前記第1光学素子及び前記第2光学素子のそれぞれを支持する枠体と、前記枠体の少なくとも一方に当接して配置される回転駆動機構とを備え、前記枠体に当接する前記回転駆動機構の伝達駆動を介して、前記第1光学素子及び前記第2光学素子の光学素子中心を回転軸中心として、前記第1光学素子及び前記第2光学素子の少なくとも一方の相対体的な角度を変化させる構成を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る光学デバイス及び可変光学装置によれば、2枚の光学素子間の配置距離に制約がなく、高い自由度で光学特性を可変な光学デバイスを設計・作製できる。さらに、2枚の光学素子間の距離が大きくなっても、回転対称性を有する光波であるレンズ位相、アキシコン位相、ヘリカル位相、一様位相、あるいはこれらを足し合わせた位相を高精度に生成できる。つまり、本発明に係る光学デバイス及び可変光学装置では、入射光の振幅・位相を、固定の単一の値ではなく、ある範囲の値の中で変化量を任意に変化させるように光学特性を動的に変化させることができる。また、本発明では光波の複素振幅分布を変調していることから、追加で光学部品を導入することや、特殊なコーティングのプロセスに頼ることなく、アポダイゼーションの機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

日本放送協会
ルータ
3か月前
日本放送協会
撮像素子
4か月前
日本放送協会
撮像装置
3か月前
日本放送協会
撮像装置
2か月前
日本放送協会
受信装置
5か月前
日本放送協会
撮像装置
8か月前
日本放送協会
透光性基板
7か月前
日本放送協会
衛星中継器
13か月前
日本放送協会
視聴予測装置
2か月前
日本放送協会
無線通信装置
13か月前
日本放送協会
全天周カメラ
6か月前
日本放送協会
衛星追尾装置
2か月前
日本放送協会
信号測定装置
7か月前
日本放送協会
バックプレーン
2か月前
日本放送協会
周波数変換装置
11か月前
日本放送協会
積層型撮像素子
5か月前
日本放送協会
磁性細線メモリ
4か月前
日本放送協会
符号化撮像装置
2か月前
日本放送協会
放送受信システム
10か月前
日本放送協会
磁気光学デバイス
11か月前
日本放送協会
機械学習システム
2か月前
日本放送協会
撮像素子の製造方法
4か月前
日本放送協会
三次元撮像システム
1か月前
日本放送協会
データ管理システム
13日前
日本放送協会
三次元映像表示装置
7か月前
日本放送協会
3次元映像表示装置
1日前
日本放送協会
ホログラム撮像装置
12か月前
日本放送協会
装着型映像表示装置
12か月前
日本放送協会
光バイパススイッチ
4か月前
日本放送協会
送信装置及び受信装置
3か月前
日本放送協会
受信装置及び受信方法
8か月前
日本放送協会
送信装置及び受信装置
13か月前
日本放送協会
送信装置及び受信装置
3か月前
日本放送協会
送信装置及び受信装置
1か月前
日本放送協会
撮像素子及び撮像装置
3か月前
日本放送協会
送信装置及び受信装置
2か月前
続きを見る