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公開番号2023078787
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-07
出願番号2021192062
出願日2021-11-26
発明の名称簡便なコンピテントセル製造方法及び形質転換細胞製造方法
出願人学校法人立教学院
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12N 1/00 20060101AFI20230531BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】従来技術と同等の実用に耐える形質転換効率を有しつつ簡便に製造することができる単細胞微生物のコンピテントセルの製造方法を提供する。また、コンピテントセルの製造と形質転換をワンチューブで行うことができる形質転換単細胞微生物の製造方法を提供する。
【解決手段】基礎培地、ポリエチレングリコール、及び二価陽イオンを含む培養培地、並びにそれを用いた単細胞微生物のコンピテントセルの製造方法、及び形質転換単細胞微生物の製造方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
基礎培地、ポリエチレングリコール、及び二価陽イオンを含む、単細胞微生物のコンピテントセルを製造するための培養培地。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
単細胞微生物が大腸菌である、請求項1に記載の培養培地。
【請求項3】
二価陽イオンが、MgSO

に由来するもの又はMgSO

及びCaCl

に由来するものである、請求項1又は請求項2に記載の培養培地。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の培養培地を含む、単細胞微生物の形質転換用キット。
【請求項5】
(1)基礎培地、ポリエチレングリコール、及び二価陽イオンを含む培養培地中で単細胞微生物を培養して培養物を調製する工程;及び
(2)前記培養物に含まれる単細胞微生物をコンピテントセルとして得る工程
を含む、単細胞微生物のコンピテントセルの製造方法。
【請求項6】
遠心分離工程を含まない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
単細胞微生物が大腸菌である、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
二価陽イオンがMgSO

に由来するもの又はMgSO

及びCaCl

に由来するものである、請求項5~請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
培養が25℃~37℃で12~24時間行われる、請求項5~請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
培養が37℃で1~3時間行われる、請求項5~請求項8のいずれか一項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピテントセルの簡便な製造方法及び形質転換細胞の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、単細胞微生物のコンピテントセルの簡便な製造方法及び形質転換単細胞微生物の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
ある生物の遺伝子を他の生物の細胞に導入する遺伝子組換え技術の発展は、細胞生物学の大きな進歩をもたらしてきた。中でもプラスミドのようなベクターを用いて、目的遺伝子を大腸菌のような細菌細胞に導入する形質転換方法は、1970年代に発見されて以降、DNAクローニングや、遺伝子またはタンパク質の発現解析等の用途で幅広く用いられている。
【0003】
細胞は細胞膜に守られているため、通常は細胞外の分子、特に高分子を簡単に細胞内に導入することはできない。細胞膜を通過してベクターのような外来DNAを細菌細胞内に導入するためには、何らかの方法で細胞膜の透過性を高めたコンピテントセルを製造する必要がある。
【0004】
Cohenらは1972年、対数増殖期の大腸菌を回収してカルシウムイオン処理し、短時間熱処理することで、プラスミドDNAによる形質転換が可能となることを見出した(非特許文献1)。Hanahanは1983年、カルシウムイオンに加えて他の二価陽イオンやDMSO等を含むバッファーと、あらかじめ通常培地で対数増殖期まで増殖させた大腸菌とを用いたコンピテントセルの製造方法を発表した(非特許文献2)。Chungらは1989年、ポリエチレングリコール(PEG)、マグネシウムイオン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を含むバッファーと、あらかじめ通常培地で対数増殖期まで増殖させた大腸菌を用いたコンピテントセルの製造方法を発表した(非特許文献3)。
【0005】
また、Dowerらは1988年、あらかじめ通常培地で対数増殖期まで増殖させた大腸菌を回収し、低イオン強度の溶液で繰り返し洗浄した後、10%グリセロールに懸濁した菌体に高電圧をかけることで、プラスミドDNAを導入するエレクトロポレーション法を発表した(非特許文献4)。
【0006】
エレクトロポレーションを用いない形質転換を行った場合、非特許文献1~3の方法で製造したコンピテントセルの形質転換効率を比較解析した検証結果では、非特許文献1の方法で製造したコンピテントセルの形質転換効率は、10
5
-10
7
CFU/μg DNA、非特許文献2の方法で製造したコンピテントセルの形質転換効率は、10
4
-10
8
CFU/μg DNA、非特許文献3の方法で製造したコンピテントセルの形質転換効率は、1×10
3
-10
5
CFU/μg DNAであったことが示されている(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Cohen et al., PNAS, 69(8), 2110-2114, 1972
Hanahan, J. Mol. Biol., 166(4), 557-580, 1983
Chung et al., PNAS, 86(7), 2172-2175, 1989
Dower et al., Nucl. Acid. Res., 16(13), 1988
Chan et al. Biosci Rep, 33(6), e00086, 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のコンピテントセルの製造方法及びコンピテントセルを用いた形質転換方法は、対数増殖期まで増殖させた菌体を得るためにあらかじめ大腸菌を一晩培養して培養液を準備し、遠心分離によって分離した菌体をコンピテントセル製造のためのバッファーで処理し、さらに遠心分離によって分離した菌体を保存用又は形質転換用バッファーに移す等の工程を必要とするため、培養や頻回な遠心分離及び菌体洗浄のための手間と時間が必要だった。また、このような従来の方法は、1種類または少ない種類の菌株のコンピテントセルを大量に製造することには使用できるが、多数の菌株のコンピテントセルを少量ずつ製造するためには、多大な手間と時間がかかってしまうという問題点もあった。
【0009】
本発明は、従来技術と同等の実用に耐える形質転換効率を有しつつ簡便に製造することができる単細胞微生物のコンピテントセルの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、コンピテントセルの製造と形質転換をワンチューブで行うことができる形質転換単細胞微生物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、大腸菌の基礎培地にポリエチレングリコール及び二価陽イオンを加えて調製した培養培地中で大腸菌の増殖が可能であることを見出し、さらに、増殖させた大腸菌に直接プラスミドDNAを添加することでプラスミドDNAの導入が可能であり、従来技術と同等の10
5
CFU/μg DNA以上の形質転換効率を安定的に達成できるコンピテントセルを製造できることを見出して、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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