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公開番号2023078776
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-07
出願番号2021192048
出願日2021-11-26
発明の名称徐放性フェロモン製剤
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類A01N 25/34 20060101AFI20230531BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】設置が容易で安定的に設置場所に保持される徐放性フェロモン製剤の提供。
【解決手段】各末端2が封止された少なくとも1本のフェロモン物質3を含む高分子製細管又は高分子製細棒から構成される徐放性フェロモン製剤10であって、
(a)前記高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて交差させることにより、正面視において2つ以上の閉じた空間7、71と開口部6を形成し、側面視において交差していない徐放性フェロモン製剤10であって、
(b)前記弧状に曲げて交差させた曲率半径Rが4~15mmであり、
(c)前記弧状に曲げて形成された弧の頂点8から、前記頂点に最も近い交差点5までの直線距離Dが10~50mmであり、
(d)正面視において、前記弧に最も近い交差点5を開いた場合における離間距離Gを20mmにした場合の反発力が1.0N以上である
徐放性フェロモン製剤10。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
各末端が封止された少なくとも1本のフェロモン物質を含む高分子製細管又は高分子製細棒から構成される徐放性フェロモン製剤であって、
(a)前記高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて交差させることにより、正面視において2つ以上の閉じた空間と開口部を形成し、
側面視において交差していない徐放性フェロモン製剤であって、
(b)前記弧状に曲げて交差させた曲率半径が4~15mmであり、
(c)前記弧状に曲げて形成された弧の頂点から、前記頂点に最も近い交差点までの直線距離が10~50mmであり、
(d)正面視において、前記弧に最も近い交差点を開いた場合における離間距離を20mmにした場合の反発力が1.0N以上である
徐放性フェロモン製剤。
続きを表示(約 230 文字)【請求項2】
前記弧状に曲げて形成された弧の両終端部における接線の交差角が20~120度である請求項1に記載の徐放性フェロモン製剤。
【請求項3】
前記高分子製細管及び高分子製細棒が、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート又はこれらの共重合体もしくはブレンドポリマーからなる請求項1又は2に記載の徐放性フェロモン製剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、徐放性フェロモン製剤に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
害虫の防除方法の一つとして、害虫の性フェロモン物質を放散させて害虫の交尾行動を阻害することにより、次世代の害虫密度を抑制する交信攪乱方法が実用化されている。交信攪乱による防除では、害虫の性フェロモン物質をこれらの性フェロモン物質が効果を発揮すべき所定の場所に、長期間安定的に設置され、前記性フェロモン物質を極めて徐々に継続的に放散させる徐放性フェロモン製剤の提供が実用上重要な技術的課題となっている。
上記課題のもとに開発されたものとして、高分子製の細管内に性フェロモン物質を充填しその両末端を封印した管状の徐放性フェロモン製剤が提案されている。管状の徐放性フェロモン製剤は長期にわたり安定的に性フェロモンを放散することが示されているが、長期間安定的に設置した場所に保持する方法に課題があった。
この課題を解決する方法として例えば、高分子材料製の細管とこの細管の軸方向に金属線を接合(添設)してなる内部に性フェロモン物質を収納した徐放性フェロモン製剤(特許文献1)や、高分子材料製の細管2本を接合し環状とすることによって、金属線の添設が無くても果樹、樹木等に懸吊できるタイプの徐放性フェロモン製剤(特許文献2)、高分子材料製の細管2本を撚り合わせ両末端を接合し、高分子製細管の復元、反発力を利用してさらに把持強度を向上させた徐放性フェロモン製剤(特許文献3)、高分子細管を屈曲、旋回させて輪を形成した形状の徐放性フェロモン製剤(特許文献4)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開昭57-156403号公報
特開平11-225646号公報
特開2013-188159号公報
実開昭62-122801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の徐放性フェロモン製剤は、金属線が添設された構造のものであるため、金属線の賦形性によって設置が可能で安定的に保持される。しかしながら、金属線の使用による製造コスト及び性フェロモン物質の充填コストが高くなること、金属線を捻って固定するために設置にやや時間がかかること、使用後に設置した場所から取り外すのが面倒なこと、果樹、樹木等の剪定作業を行うと金属線が剪定時に剪定用の刃物を損傷する等の欠点があった。
また、特許文献2及び特許文献3の徐放性フェロモン製剤は、金属線が果樹園等に残る問題点は解決されるものの、設置においては、環状の輪に果樹や樹木の枝を通す必要があり、両手を使っての作業もしくは専用の治具等を使っての作業が要求されるため、設置の手間を減らすには至っていない。
さらに、特許文献4の徐放性フェロモン製剤は、細管の交差点は融着若しくは接着又は接触若しくは細管径の3倍以内の隙間を設けるとされているが、融着又は接着の場合は形成される輪を果樹や樹木の枝に通す必要があるため、設置場所が限定される。また、接触又は僅かの隙間を持って形成される場合は、この隙間を通して果樹・樹木の枝に懸吊できるものの、自然における風や農薬散布機械等における風圧等によって落下してしまう問題点があった。
上記事情より、長期間にわたる性フェロモンの放出制御に適し、かつ設置が容易で安定的に設置場所に保持される製造コストの掛からない徐放性フェロモン製剤の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、高分子製細管又は高分子製細棒を所定の形に成形することにより、設置が容易で安定的に設置場所に保持される徐放性フェロモン製剤を得ることができることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明の一つの態様によれば、
各末端が封止された少なくとも1本のフェロモン物質を含む高分子製細管又は高分子製細棒から構成される徐放性フェロモン製剤であって、
(a)前記高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて交差させることにより、正面視において2つ以上の閉じた空間と開口部を形成し、
側面視において交差していない徐放性フェロモン製剤であって、
(b)前記弧状に曲げて交差させた曲率半径が4~15mmであり、
(c)前記弧状に曲げて形成された弧の頂点から、前記頂点に最も近い交差点までの直線距離が10~50mmであり、
(d)正面視において、前記弧に最も近い交差点を開いた場合における離間距離を20mmにした場合の反発力が1.0N以上である
徐放性フェロモン製剤が提供される。
また、本発明のその他の態様によれば、前記弧状に曲げて形成された弧の両終端部における接線の交差角が20~120度である上記徐放性フェロモン製剤が提供される。
また、本発明のその他の態様によれば、前記高分子製細管及び高分子製細棒が、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート又はこれらの共重合体もしくはブレンドポリマーからなる上記徐放性フェロモン製剤が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば放出制御能力は維持しつつも、容易に果樹・樹木等への設置が可能であって、自然界で起こる強風や農薬散布機等の風圧、振動等によっても落下せずに安定的に設置場所に保持され、信頼できる徐放性が長期間にわたり得られる徐放性フェロモン製剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1Aは1本の細管からなる本発明の実施例を示す正面部分断面図であり、図1Bはその部分拡大図である。
図1の製剤を木の枝に設置する際の設置方法を示す斜視図である。
図3Aは両封止末端から該末端にもっとも近い交差点までの細管を曲回加工した1本の細管からなる本発明の実施例を示す正面部分断面図であり、図3Bはその部分拡大図である。
図4AはRピン形状の実施例を示す正面図である。図4Bは六角形型の実施例を示す正面図である。図4Cは星型の実施例を示す正面図である。図4Dは交差点数を4点とした場合の実施例を示す正面図である。
本発明の実施例の詳細を示す正面図であり、図5Aは曲率半径、図5Bは弧の角度、図5Cは弧の頂点から交差点までの直線距離を示す。
反発力測定方法を示す斜視図であり、図6Aは準備状態、図6Bは外力を付加した状態を示す。
反発力と落下率の関係を示す図面である。
図8Aは2本並列細管、図8Bは3本並列細管、図8Cは3本組細管、図8Dは細棒併設細管、図8Eは細棒併設2本細管、図8Fは撚線状2本細管を示す斜視図である。
異なる断面を有する細棒を示す実施例であり、図9Aは円柱形細棒、図9Bは星型細棒、図9Cは半管状細棒を示す斜視図である。
異なる断面を有する細管を示す実施例であり、図10A、Bは楕円細管、図10C、Dは方形細管を示す斜視図である。
図11Aは曲回加工用治具を示す概略図であり、図11Bは加工工程を示す概略図である。
実施例1で使用した曲回加工用治具を示す外観図である。
実施例1で得られた徐放性フェロモン製剤を示す外観図である。
高分子製細管の押し出し成型状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、本発明の特徴である徐放性フェロモン製剤の形状について説明する。
【0009】
徐放性フェロモン製剤は、少なくとも1本のフェロモン物質を含む高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて交差させることにより、図1に示されるように、正面視において2つ以上の閉じた空間(図1における閉じた空間7及び71)と開口部6を形成したものである。
閉じた空間の形状は、後述にて説明する曲率半径、直線距離及び反発力を満たしていれば限定されず、例えば、図1に示される交差点5で閉じた空間7が円形状であり、交差点5と交差点51で閉じた空間71が楕円形状のもの、図4Aに示される交差点5で閉じた空間7が楕円形状であり、交差点5と交差点51で閉じた空間71が半円形状のもの、図4Bに示される交差点5で閉じた空間7が六角形状であり、交差点5と交差点51の間で閉じた空間71が半円形状のもの、図4Cに示される交差点5で閉じた空間7が星形状であり、交差点5と交差点51の間で閉じた空間71が半円形状のもの等が挙げられる。
また、閉じた空間の数は2つを超えてもよく、例えば、図4Dに示される交差点5で閉じた空間7が円形状であり、交差点5と交差点51で閉じた空間71が楕円形状であり、さらに交差点52と交差点53を設け2つの楕円形状の閉じた空間72及び73が追加された形状等も挙げられる。ただし、図4Dの形状の場合、交差点53を有さず交差点52で終了してしまうと、両封止末端2の間の開口部6を枝等に押し込む際に細管が重なって枝等が入り込むことが不可となる。そのため、このように交差点を増やしての落下防止を考える際は、交差点の数は必ず偶数となることが重要である。
開口部6は、図1に示されるように、交差点51から両方の封止末端2の間の細管又は細棒部分の加工を行わない形状でもよいが、図3に示されるように交差点51と両方の封止末端2との間でさらに半円が形成されるように曲げ加工がされた形状とすると、両封止末端2の間の開口部6を枝に押し当てる際に細管又は細棒部分が横に逃げることが少なり、取り付け性をより向上できる。
【0010】
前記徐放性フェロモン製剤は、側面視において、交差していない徐放性フェロモン製剤である。当該徐放性フェロモン製剤は、図2に示されるように、開口部6に枝9等を押し当てることによって閉じた空間71を通過して閉じた空間7の部分で枝等に懸吊される。枝につるされた徐放性フェロモン製剤は交差点5及び交差点51の間で形成する閉じた空間71により、落下が防止される。
高分子製細管又は高分子製細棒同士は側面視において接触していても良く、又は落下に影響がない程度に側面視において僅かに隙間が空いていても良い。交差点5及び交差点51は交差、融着又は接着させてしまうと、設置及び回収の作業性に劣る。当該徐放性フェロモン製剤は、側面視において交差をさせないことにより、例えば片手での設置及び回収を容易にすることができ、作業効率の向上に寄与する。
(【0011】以降は省略されています)

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