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公開番号2023078758
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-07
出願番号2021192026
出願日2021-11-26
発明の名称高圧電源装置
出願人株式会社島津製作所
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類H02M 1/08 20060101AFI20230531BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】出力電圧に重畳するノイズを低減する。
【解決手段】本発明に係る高圧電源装置の一態様は、直流高電圧を出力する電圧発生部と、導通時に電圧発生部による出力電圧を電圧出力端に出力する、半導体スイッチング素子を用いたスイッチ部と、スイッチ部における半導体スイッチング素子の制御端子を駆動する駆動部と、駆動部を通してスイッチ部の導通・非導通を制御する制御部と、を備え、駆動部は、一次巻線(502a)と二次巻線(502b)とを有し、一次巻線と二次巻線との間の該一次巻線の単位ターン数当たりの浮遊容量の、該一次巻線の延伸方向の分布が、該一次巻線の中点に対して対称である高周波トランス(502)と、高周波トランスの二次巻線に励起される交流電流を整流する整流部(505)と、高周波トランスの一次巻線を差動で励振する平衡出力型の高周波励振部(501)と、を含む。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
直流高電圧を出力する電圧発生部と、
導通時に前記電圧発生部による出力電圧を電圧出力端に出力する、半導体スイッチング素子を用いたスイッチ部と、
前記スイッチ部における半導体スイッチング素子の制御端子を駆動する駆動部と、
前記駆動部を通して前記スイッチ部の導通・非導通を制御する制御部と、
を備え、前記駆動部は、
一次巻線と二次巻線とを有し、該一次巻線と該二次巻線との間の該一次巻線の単位ターン数当たりの浮遊容量の、該一次巻線の延伸方向の分布が、該一次巻線の中点に対して対称である高周波トランスと、
前記高周波トランスの二次巻線に励起される交流電流を整流する整流部と、
前記高周波トランスの一次巻線を差動で励振する平衡出力型の高周波励振部と、
を含む、高圧電源装置。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
前記電圧発生部として、正極性の直流高電圧を出力する第1電圧発生部と、負極性の直流高電圧を出力する第2電圧発生部と、を含み、
前記スイッチ部として、導通時に前記第1電圧発生部の出力電圧を電圧出力端に出力する第1スイッチ部と、導通時に前記第2電圧発生部の出力電圧を前記電圧出力端に出力する第2スイッチ部と、を含む、請求項1に記載の高圧電源装置。
【請求項3】
前記スイッチ部は、複数の半導体スイッチング素子を直列に接続したものであり、前記駆動部は、該複数の半導体スイッチング素子の制御端子をそれぞれ駆動する回路を含む、請求項1又は2に記載の高圧電源装置。
【請求項4】
前記高周波トランスは、トロイダル形状であるコアと、該コアの中央の開口を貫通する一次巻線と、該コアに巻回された二次巻線と、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の高圧電源装置。
【請求項5】
前記高周波トランスは、トロイダル形状であるコアと、該コアの中央の開口を貫通する一次巻線と、該コアに巻回された二次巻線と、を含み、
前記複数の半導体スイッチング素子を駆動する前記駆動部に含まれる、該複数の半導体スイッチング素子にそれぞれ対応する複数の高周波トランスの一次巻線は直列に接続され、該直列に接続された一次巻線が、前記高周波励振部により差動で励振される、請求項3に記載の高圧電源装置。
【請求項6】
前記高周波トランスの一次巻線と二次巻線との間は、該一次巻線の絶縁被覆により電気的な絶縁性が確保されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の高圧電源装置。
【請求項7】
前記半導体スイッチング素子はMOSFET又はIGBTである、請求項1~6のいずれか1項に記載の高圧電源装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は高圧電源装置に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
質量分析装置では、試料中の各種化合物をイオン化し、生成されたイオンを質量電荷比(m/z)に応じて分離して検出し、その検出信号に基いて化合物を同定したり該化合物を定量したりする。化合物には正イオン化され易いものと負イオン化され易いものとがある。そのため、ガスクロマトグラフ質量分析装置や液体クロマトグラフ質量分析装置は一般に、正イオン測定モードと負イオン測定モードとを交互に切り換えながら繰り返し測定する機能を備えている。
【0003】
正イオン測定モードと負イオン測定モードとでは、質量分析装置のイオン源、質量分離器、イオン検出器などの各構成要素に印加する電圧の極性を切り替える必要がある。正負のイオン測定モードを高速に切り替えるには、各印加電圧の極性の切替えを高速に行う必要があり、出力電圧の極性の切替えが高速に行える高圧電源装置が使用されている。
【0004】
こうした高圧電源装置の一つとして特許文献1に記載の装置が知られている。この高圧電源装置は、正極性の直流高電圧+HVを発生する正電圧発生部と、負極性の直流高電圧-HVを発生する負電圧発生部と、正電圧発生部及び負電圧発生部のそれぞれの出力端に電圧が出力されるときに、該電圧により逆方向バイアス状態となるように接続された放電用ダイオードと、導通時に正電圧発生部の出力端と当該装置の電圧出力端である切替電圧出力端とを接続する正極側高電圧スイッチと、導通時に負電圧発生部の出力端と上記切替電圧出力端とを接続する負極側高電圧スイッチと、該切替電圧出力端に接続される負荷の電位を安定化するために負荷に並列に接続される出力コンデンサと、を備える。
【0005】
負荷に正極性の高電圧を出力する際には、正極側高電圧スイッチをオン、負極側高電圧スイッチをオフし、正電圧発生部を動作状態、負電圧発生部を停止状態とする。一方、負荷に負極性の高電圧を出力する際には、正極側高電圧スイッチをオフ、負極側高電圧スイッチをオンし、正電圧発生部を停止状態、負電圧発生部を動作状態とする。いずれの場合にも、正電圧発生部又は負電圧発生部から負荷に供給される電力によって、出力コンデンサ等は充電される。出力電圧の極性を切り替える際には一時的に、両電圧発生部を停止状態とする一方、両高電圧スイッチを共にオンする。これによって、出力コンデンサや各電圧発生部に含まれる整流用コンデンサ等に蓄積されていた電荷は、一方の放電用ダイオードを通して放出される。
【0006】
上記高圧電源装置では、高電圧スイッチとして直流駆動可能であるメカニカルリレーを用いるのが回路的には簡単である。しかしながら、メカニカルリレーは、機械的な接点の摩耗などによる不良などが生じ易く、長期間に亘って高い信頼性を確保するのが難しい。また、オン・オフの切替速度に制約があり、電圧の極性切替えの高速化に対応しにくい。さらにまた、チャタリング・バウンスを考慮した回路設計が必要になる。これに対し、高電圧スイッチとしてパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子を使用することで、上記問題の多くを解決することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第6516062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体スイッチング素子を使用する場合、該素子をオン・オフ駆動するゲート駆動回路が必要である。高圧電源装置では、扱う電圧が数百V程度以上である高電圧回路と、扱う電圧が数V程度である制御用の低電圧回路とが混在する。そのため、低電圧回路の保護等を目的として、絶縁方式のゲート駆動回路が採用されることがよくある。そうした回路の一つとして、トランスと、該トランスの一次巻線を高周波信号により励振する励振回路と、該トランスの二次巻線に励起される交流電流を整流する整流回路と、を含むゲート駆動回路が知られている。このゲート駆動回路では、励振回路からトランスの一次巻線に高周波信号による電流が供給されると、該トランスの二次巻線に交流電流が励起される。その交流電流を整流回路で整流した直流電流が半導体スイッチング素子のゲート-ソース間に接続されたコンデンサ(及びゲートの寄生容量等)を充電し、そのコンデンサの充電電圧が半導体スイッチング素子のゲート閾値電圧を越えると該半導体スイッチング素子はターンオンする。
【0009】
上述したようなゲート駆動回路を使用した場合、励振回路で生成される高周波信号に由来する高周波ノイズが高圧電源装置の出力電圧に重畳する場合がある。例えば、飛行時間型質量分析装置におけるイオン射出部やフライトチューブなどに印加される高電圧にこうしたノイズが重畳されると、質量分解能や質量精度などの性能が低下するおそれがある。出力電圧に現れる高周波ノイズを軽減する一つの方法は、出力電圧を安定化するための出力コンデンサの静電容量を増加させることである。しかしながら、出力コンデンサの静電容量を増やすと、出力電圧の極性を反転させる際に出力コンデンサを充放電する電荷量が増大し、例えば極性反転時間の増加をもたらすおそれがある。
【0010】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、出力電圧の切替えやオン・オフ動作に半導体スイッチング素子を用いた高圧電源装置において、該半導体スイッチング素子のゲート駆動回路に由来して出力電圧に重畳されるノイズを低減することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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