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公開番号2023078536
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-07
出願番号2021191697
出願日2021-11-26
発明の名称飲料水の水質検査器材
出願人株式会社日研生物
代理人個人
主分類C12M 1/26 20060101AFI20230531BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】特定酵素基質培地法による大腸菌および大腸菌群の検査を行う場合において、保管性や運搬性・携行性が良好で、検査使用後の廃棄物処理も比較的簡単であり、検査に要する手間や時間も少なくて済む水質検査器材を提供する。
【解決手段】柔軟性を有する透明の樹脂フィルム材12、14、16により密閉袋形態に形成され、上端部付近の開封切裂き予定線30より袋中央側でその近傍にかつ開封切裂き予定線と平行にチャックテープ32が取着され、収容部38の内部に100mlの検水を注入できるようにした検査袋10から構成され、検査袋の収容部の内部に、チオ硫酸ナトリウム剤44と、内部に100mlの検水の検査に必要な量の発色酵素基質培地成分が少量の水と共に収容されて密封され外面に加えられる押圧力により破袋して内部の発色酵素基質培地成分を含む液が流出するようにした包装小袋46とを封入した。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
飲料水中に大腸菌および大腸菌群が存在するか否かを検査するために使用される飲料水の水質検査器材において、
柔軟性を有する透明の樹脂フィルム材により、上端部、底部および両側端部が閉塞された矩形状の袋形態に形成され、上端部付近の開封切裂き予定線より袋中央側であってその近傍にかつ開封切裂き予定線と平行にチャックテープが取着され、チャックテープと底部と両側端部とで囲まれた収容部が、その内部に100mlの検水を注入することができる内容積となるように形成された検査袋からなり、
この検査袋の収容部の内部に、0.02g~0.05gのチオ硫酸ナトリウム剤を封入するとともに、柔軟性を有する樹脂フィルム材により小袋状に形成され、内部に100mlの検水の検査に必要な量の発色酵素基質培地成分が少量の水と共に収容されて密封され、外面に加えられる押圧力により破袋して内部の発色酵素基質培地成分を含む液が流出するようにした包装小袋を封入したことを特徴とする飲料水の水質検査器材。
続きを表示(約 290 文字)【請求項2】
前記検査袋は、
2枚の胴部樹脂フィルム材を重ね合わせ、それら2枚の胴部樹脂フィルム材の下部に、底部樹脂フィルム材を二つ折りにして折込み部が内方側となるように介挿し、2枚の胴部樹脂フィルム材の上端縁部同士および両側端縁部同士、ならびに、各胴部樹脂フィルム材の下端縁部と二つ折りの底部樹脂フィルム材の各下端縁部同士をそれぞれ熱接着させて形成されたスタンディングパウチ形態であり、
この検査袋を開封し胴部を膨らませ自立させた状態にして収容部に100mlの検水を注入したときに検水の液面となる位置に標線を付した請求項1に記載の飲料水の水質検査器材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、水道水等の飲料水の水質を検査するための用具、特に飲料水中に大腸菌(E.coli)および大腸菌群が存在するか否かを検査するための飲料水の水質検査器材に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
水道水、水源の水、井戸水等の飲用に供される水(飲料水)の水質検査は、「厚生労働省告示第261号 水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」に準拠して行われ、大腸菌を対象とする検査は、その別表第2に定める特定酵素基質培地法により行われる。この方法は、検水をピルビン酸添加XGal-MUG培地、MMO-MUG培地等の培地に加えて培養し、大腸菌および大腸菌群が特異的に保有・産生する酵素によりXGal、MUG等の発色酵素基質を分解して生成される物質による培地の着色や蛍光色の有無を目視し、検水中の大腸菌および大腸菌群の存否を判定する、といったものである。また、ピルビン酸添加XGal-MUG培地やMMO-MUG培地を使用した検査方法における問題点に鑑み、特定の培地成分、特定の着色性基質や蛍光性基質および特定のグッド緩衝剤を組み合わせて用いることにより、短時間の簡便な操作で高感度に大腸菌および大腸菌群を検出する方法が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、また、特定酵素基質培地法における各工程を自動化し、被検体中の大腸菌群の存否を自動的に判定する大腸菌群判定装置の開発も行われている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
特定酵素基質培地法による大腸菌および大腸菌群の検査を手作業により行う場合には、以下のようにする。
予め塩素除去処理用のチオ硫酸ナトリウムを検水100mlにつき0.02g~0.05gの割合で採水瓶に入れ、その採水瓶に100mlの検水を採取する。100mlの検水の検査に必要な量の培地、例えばピルビン酸添加XGal-MUG培地を試験容器に入れ、その培地に検水100mlを加え、直ちに試験容器に蓋をして容器を密封し、試験容器を振って培地を溶解・混合させた後、試験容器を恒温器内に静置して24時間培養する。培養後、培地を目視で観察し、培地が青緑~青色に呈色していると、大腸菌群陽性(大腸菌群が存在する)と判定する。また、紫外線ランプを用いて波長366nmの紫外線を培地に照射し、蛍光の有無を確認し、培地に対応する比色液より蛍光が強い場合は大腸菌陽性(大腸菌が存在する)と判定し、比色液より蛍光が弱い場合は大腸菌陰性(大腸菌が存在しない)と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第4331582号公報
特開2004-229655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特定酵素基質培地法による大腸菌および大腸菌群の検査を手作業により行う場合には、密閉可能な蓋付きの試験容器を用意する必要があるが、その保管や運搬時等に嵩張るため、保管に場所をとり、また、持ち運びに不便であり、運搬の作業効率が悪くコスト高となる。また、検査に使用した試験容器および蓋を廃棄する必要があり、その廃棄の際にも嵩張るため、廃棄物の処分が厄介である。さらに、残留塩素を含む検水の検査を行う場合には、検水中の残留塩素を除去する処理が必須となり、必要量のチオ硫酸ナトリウムを秤取して採水瓶に入れ、その採水瓶に検水を採取し、また、必要量の培地を秤取して試験容器に入れ、塩素除去処理した検水を試験容器内の培地に加える、といった操作を行うことになる。この一連の操作に手間と時間がかかる、といった問題点がある。
【0006】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、特定酵素基質培地法による大腸菌および大腸菌群の検査を行う場合において、保管性や運搬性・携行性が良好で、検査使用後の廃棄物処理も比較的簡単であり、検査に要する手間や時間も少なくて済む飲料水の水質検査器材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明では、容器に代えて袋を使用し、培養前の全ての処理を袋内で完結させることができるようにした。
すなわち、請求項1に係る発明は、飲料水中に大腸菌および大腸菌群が存在するか否かを検査するために使用される飲料水の水質検査器材において、柔軟性を有する透明の樹脂フィルム材により、上端部、底部および両側端部が閉塞された矩形状の袋形態に形成され、上端部付近の開封切裂き予定線より袋中央側であってその近傍にかつ開封切裂き予定線と平行にチャックテープが取着され、チャックテープと底部と両側端部とで囲まれた収容部が、その内部に100mlの検水を注入することができる内容積となるように形成された検査袋からなり、この検査袋の収容部の内部に、0.02g~0.05gのチオ硫酸ナトリウム剤を封入するとともに、柔軟性を有する樹脂フィルム材により小袋状に形成され、内部に100mlの検水の検査に必要な量の発色酵素基質培地成分が少量の水と共に収容されて密封され、外面に加えられる押圧力により破袋して内部の発色酵素基質培地成分を含む液が流出するようにした包装小袋を封入したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の検査器材において、2枚の胴部樹脂フィルム材を重ね合わせ、それら2枚の胴部樹脂フィルム材の下部に、底部樹脂フィルム材を二つ折りにして折込み部が内方側となるように介挿し、2枚の胴部樹脂フィルム材の上端縁部同士および両側端縁部同士、ならびに、各胴部樹脂フィルム材の下端縁部と二つ折りの底部樹脂フィルム材の各下端縁部同士をそれぞれ熱接着させて、スタンディングパウチ形態の検査袋を形成し、この検査袋を開封し胴部を膨らませ自立させた状態にして収容部に100mlの検水を注入したときに検水の液面となる位置に標線を付したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明の検査器材を使用して飲料水の水質検査を行うときは、検査袋の上端部付近の開封切裂き予定線に沿って検査袋を切り裂いた後、チャックテープの雄型線条部材と雌型線条部材とを離脱させて検査袋の上端部を開口させ、上端開口から検水100mlを検査袋内に注入する。そして、チャックテープの雄型線条部材と雌型線条部材とを係合させて検査袋の上端部を閉塞した後、検査袋を振ってチオ硫酸ナトリウム剤を溶解させる。この操作により、検水中の残量塩素が除去される。次に、検査袋の表・裏両面から内部の包装小袋を摘むようにして包装小袋の外面に力を加えることにより、包装小袋を破裂させて内部の発色酵素基質培地成分を含む液を流出させた後、検査袋を振って、培地成分を含む液と検水とを十分に混合させる。その後は、通常の検査の手順に従い、検査袋を恒温器内に静置して24時間培養し、培養後に大腸菌および大腸菌群の陽性・陰性を判定する。
したがって、この検査基材を使用すると、水質検査における培養前の操作の省力化と迅速化が図られる。また、検査が終了すると、検査袋を滅菌した後に廃棄するだけでよく、従来に比べて廃棄物が減容化されて廃棄物処理も比較的簡単になる。さらに、この検査器材は、軽量で嵩張ることなく、保管性や運搬性・携行性にも優れている。
【0010】
請求項2に係る発明の検査器材では、開封された状態の検査袋を、その胴部を膨らませて自立させた状態にし、収容部内に標線の位置まで検水を注入することにより、100mlの検水を採取することができるので、検水を秤量するための手間が省かれる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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