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公開番号2023077836
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-06
出願番号2021191306
出願日2021-11-25
発明の名称放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法
出願人株式会社日立製作所
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類G21G 1/10 20060101AFI20230530BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】放射性核種の製造量の向上や、放射性核種の必要時に対する過不足少ない供給を可能にする放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法を提供する。
【解決手段】放射性核種製造システム1は、粒子線11を生成する粒子線照射装置10と、粒子線11の照射によって放射性核種を生成する複数のターゲット40と、ターゲット40から放射性核種を分離精製する分離精製装置30とを備え、複数のターゲット40は、粒子線11の照射によって放射性核種を生成させる照射処理を受ける照射ターゲット群40aと、ターゲット40から放射性核種を分離精製する分離精製処理を受ける精製ターゲット群40bとに分割され、照射ターゲット群40aと精製ターゲット群40bとが互いに並行的に処理される。放射性核種製造方法は、照射ターゲット群40aと精製ターゲット群40bとを互いに並行的に処理して放射性核種を製造する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
放射性核種を生成して分離精製する放射性核種製造システムであって、
粒子線を生成する粒子線照射装置と、
前記粒子線の照射によって放射性核種を生成する複数のターゲットと、
前記ターゲットから放射性核種を分離精製する分離精製装置と、を備え、
複数の前記ターゲットは、前記粒子線の照射によって放射性核種を生成させる照射処理を受ける照射ターゲット群と、前記ターゲットから放射性核種を分離精製する分離精製処理を受ける精製ターゲット群と、に分割され、
前記照射ターゲット群と前記精製ターゲット群とが互いに並行的に処理される放射性核種製造システム。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
照射処理および分離精製処理におけるターゲット条件または前記粒子線の照射条件を選定する制御装置を備え、
前記ターゲット条件は、前記照射ターゲット群のターゲットの数、前記精製ターゲット群のターゲットの数、前記照射ターゲット群のターゲットの構成、前記精製ターゲット群のターゲットの構成、および、前記照射ターゲット群のターゲットの配置のうちの一以上であり、
前記制御装置は、測定された前記精製ターゲット群のターゲットから分離精製された前記放射性核種の量に基づいて、前記ターゲット条件または前記照射条件を選定する放射性核種製造システム。
【請求項3】
請求項2に記載の放射性核種製造システムであって、
前記制御装置は、
前記ターゲット毎に含まれる原料核種の量、または、前記原料核種の核変換によって生成された放射性核種の量の測定結果を参照し、
測定された前記精製ターゲット群のターゲットから分離精製される放射性核種の量が、予め設定された前記放射性核種の目標製造量となるように、前記ターゲット条件または前記照射条件を選定する放射性核種製造システム。
【請求項4】
請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
照射処理および分離精製処理におけるターゲット条件または前記粒子線の照射条件を選定する制御装置を備え、
前記ターゲット条件は、前記照射ターゲット群のターゲットの数、前記精製ターゲット群のターゲットの数、前記照射ターゲット群のターゲットの構成、前記精製ターゲット群のターゲットの構成、および、前記照射ターゲット群のターゲットの配置のうちの一以上であり、
前記制御装置は、前記ターゲットが受けた前記照射処理および前記分離精製処理の履歴に基づいて、前記ターゲット条件または前記照射条件を選定する放射性核種製造システム。
【請求項5】
請求項4に記載の放射性核種製造システムであって、
前記制御装置は、
前記ターゲットが受けた前記照射処理および前記分離精製処理の履歴に基づいて、前記ターゲット毎に含まれる原料核種の量、または、前記原料核種の核変換によって生成された放射性核種の量を推定し、
推定された前記原料核種の量、または、推定された前記放射性核種の量に基づいて、前記精製ターゲット群のターゲットから分離精製される放射性核種の量を予測し、
予測された前記精製ターゲット群のターゲットから分離精製される放射性核種の量が、予め設定された前記放射性核種の目標製造量となるように、前記ターゲット条件または前記照射条件を選定する放射性核種製造システム。
【請求項6】
請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
前記照射処理または前記分離精製処理の異常を検知する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記ターゲットが受けた前記照射処理および前記分離精製処理の履歴と、測定された前記精製ターゲット群のターゲットから分離精製された放射性核種の量とに基づいて、前記照射処理または前記分離精製処理の異常を検知する放射性核種製造システム。
【請求項7】
請求項6に記載の放射性核種製造システムであって、
前記制御装置は、
前記ターゲットが受けた前記照射処理および前記分離精製処理の履歴に基づいて、前記ターゲット毎に含まれる原料核種の量、または、前記原料核種の核変換によって生成された放射性核種の量を推定し、
推定された前記原料核種の量、または、推定された前記放射性核種の量に基づいて、前記精製ターゲット群のターゲットから分離精製される放射性核種の量を予測し、
予測された前記精製ターゲット群のターゲットから分離精製される放射性核種の量と、測定された前記精製ターゲット群のターゲットから分離精製された放射性核種の量との差分が閾値以上であるとき、前記照射処理または前記分離精製処理に異常があると判定する放射性核種製造システム。
【請求項8】
請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
前記粒子線照射装置が電子線形加速器である放射性核種製造システム。
【請求項9】
請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
アクチニウム225(Ac-225)を製造する放射性核種製造システム。
【請求項10】
請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
前記ターゲットの数が10個以下である放射性核種製造システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のターゲットを照射ターゲット群と精製ターゲット群とに分割して並行的に処理する放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法に関する。
続きを表示(約 1,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、放射線核種は、核医学診断に使用されてきた。放射性核種を標識とした診断方法として、ポジトロン断層撮影法(PET:Positron Emission Tomography)や、単一光子放射断層撮影法(SPECT:Single Photon Emission Computed Tomography)等が行われている。
【0003】
近年では、このような核医学診断に加え、放射線核種を治療に用いるRI内用療法が注目を集めている。RI内用療法とは、がん等の目的の組織に選択的に集積する薬剤に放射線核種を組み込み、その薬剤を体内に投与して、目的の組織に放射線を直接照射して治療を行う方法である。
【0004】
従来のRI内用療法は、β線源を用いたものであり、古くはI-131による甲状腺がん治療が1940年代から実施されている。一方、近年では、飛程が短く線エネルギ付与が高いα線源を用いたRI内用療法が、治療効果の高さから注目されている。
【0005】
RI内用療法に用いられるα線放出核種としては、アクチニウム225(Ac-225)、ラジウム223(Ra-223)、アスタチン211(At-211)等がある。特に、Ac-225は、その娘核種もα線放出核種であり、最大4回の壊変によって高い治療効果を得ることができる。
【0006】
従来、アクチニウム225(Ac-225)は、トリウム229(Th-229)からの崩壊によって生産されている。Th-229は自然界には無く、ウラン233(U-233)からの崩壊によって生成されている。しかし、核物質防護の関係で供給量が不足する懸念があるため、加速器を用いた製造が望まれている。
【0007】
加速器を用いてAc-225を製造する方法には、製造上の課題が存在している。サイクロトロンで加速された陽子のRa-226中の飛程は短いため、ターゲットを厚くしても、Ac-225を大量に製造できないという課題がある。陽子エネルギの殆どをターゲット中で失うが、ターゲットの十分な除熱が難しいため、陽子エネルギを従来よりも高くすることは困難である。
【0008】
特許文献1には、粒子ビームによる熱負荷を冷却するという制限の中で、少ないターゲット材料で効率良く目的の放射性核種を製造するための放射性核種製造装置が記載されている。この装置は、放射性核種を生成するための互いに重ね合わされて配列された複数枚のターゲット材料板を備え、粒子ビームがターゲット材料板に照射されることにより放射性核種を生成させる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2017-156143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、粒子ビームによる熱負荷を冷却するという制限の中で、少ないターゲット材料で効率良く目的の放射性核種を製造するために、複数枚のターゲット材料板の直径または平均厚みを調整している。しかし、特許文献1では、ターゲット材料板から目的の放射性核種を分離精製する処理が考慮されていない。放射性核種の分離精製処理には時間がかかるため、放射性核種の製造量を向上させたり、放射性核種を必要時に過不足少なく供給したりすることが困難な現状がある。
(【0011】以降は省略されています)

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