TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2023076054
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-06-01
出願番号2021189217
出願日2021-11-22
発明の名称がん患者の緩和ケア病棟入院の要否を予測するためのキット、デバイス及び方法
出願人東レ株式会社,国立研究開発法人国立がん研究センター
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12Q 1/6813 20180101AFI20230525BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用キット、デバイス及び予測方法を提供する。
【解決手段】被験体の検体中のmiRNA又はその相補鎖と特異的に結合可能な核酸を含む、がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用キット及びデバイス、並びに、該miRNAをin vitroで測定することを含むがん患者における緩和ケア病棟入院の要否を予測する方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(i)がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用マーカーであるmiR-3663-3pのポリヌクレオチド若しくは当該ポリヌクレオチドの相補鎖と、特異的に結合可能な核酸、及び
(ii)がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用マーカーであるmiR-642b-3pのポリヌクレオチド若しくは当該ポリヌクレオチドの相補鎖と、特異的に結合可能な核酸
を含む、がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用キット。
続きを表示(約 4,000 文字)【請求項2】
前記(i)の核酸が、下記の(a)~(e)に示すポリヌクレオチド:
(a)配列番号1で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(b)配列番号1で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(c)配列番号1で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(d)配列番号1で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、及び
(e)前記(a)~(d)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
からなる群から選択されるポリヌクレオチドであり、
前記(ii)の核酸が、下記の(f)~(j)に示すポリヌクレオチド:
(f)配列番号2で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(g)配列番号2で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(h)配列番号2で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(i)配列番号2で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、及び
(j)前記(f)~(i)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
からなる群から選択されるポリヌクレオチドである、
請求項1に記載のキット。
【請求項3】
(iii)がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用マーカーである、miR-7107-5p、miR-4732-5p、miR-6768-5p、miR-4758-5p、miR-3648、miR-4433b-3p、miR-486-5p、miR-6721-5p、miR-7846-3p、miR-1225-3p、miR-296-5p、miR-3679-5p、miR-4497、miR-4707-3p、miR-4707-5p、miR-4725-3p、miR-4745-5p、miR-6781-5p、miR-6821-5p、miR-6836-3p、miR-8063、及びmiR-8071からなる群から選択される少なくとも1つのポリヌクレオチド又は当該ポリヌクレオチドの相補鎖と、特異的に結合可能な核酸をさらに含む、請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
前記(iii)の核酸が、下記の(k)~(o)に示すポリヌクレオチド:
(k)配列番号3~24のいずれかで表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(l)配列番号3~24のいずれかで表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(m)配列番号3~24のいずれかで表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(n)配列番号3~24のいずれかで表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、及び
(o)前記(k)~(n)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
からなる群から選択されるポリヌクレオチドである、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
(i)がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用マーカーであるmiR-3663-3pのポリヌクレオチド若しくは当該ポリヌクレオチドの相補鎖と、特異的に結合可能な核酸、及び
(ii)がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用マーカーであるmiR-642b-3pのポリヌクレオチド若しくは当該ポリヌクレオチドの相補鎖と、特異的に結合可能な核酸
を含む、がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用デバイス。
【請求項6】
前記(i)の核酸が、下記の(a)~(e)に示すポリヌクレオチド:
(a)配列番号1で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(b)配列番号1で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(c)配列番号1で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(d)配列番号1で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、及び
(e)前記(a)~(d)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
からなる群から選択されるポリヌクレオチドであり、
前記(ii)の核酸が、下記の(f)~(j)に示すポリヌクレオチド:
(f)配列番号2で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(g)配列番号2で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(h)配列番号2で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(i)配列番号2で表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、及び
(j)前記(f)~(i)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
からなる群から選択されるポリヌクレオチドである、
請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
(iii)がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用マーカーである、miR-7107-5p、miR-4732-5p、miR-6768-5p、miR-4758-5p、miR-3648、miR-4433b-3p、miR-486-5p、miR-6721-5p、miR-7846-3p、miR-1225-3p、miR-296-5p、miR-3679-5p、miR-4497、miR-4707-3p、miR-4707-5p、miR-4725-3p、miR-4745-5p、miR-6781-5p、miR-6821-5p、miR-6836-3p、miR-8063、及びmiR-8071からなる群から選択される少なくとも1つのポリヌクレオチド又は当該ポリヌクレオチドの相補鎖と、特異的に結合可能な核酸をさらに含む、請求項5又は6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記(iii)の核酸が、下記の(k)~(o)に示すポリヌクレオチド:
(k)配列番号3~24のいずれかで表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(l)配列番号3~24のいずれかで表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(m)配列番号3~24のいずれかで表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、
(n)配列番号3~24のいずれかで表される塩基配列若しくは当該塩基配列においてuがtである塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、及び
(o)前記(k)~(n)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
からなる群から選択されるポリヌクレオチドである、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスが、ハイブリダイゼーション技術による測定のためのデバイスである、請求項5~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ハイブリダイゼーション技術が、核酸アレイ技術である、請求項9に記載のデバイス。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、がん患者である被験体において緩和ケア病棟入院の要否を予測するために使用される、特定のmiRNA又はその相補鎖と特異的に結合可能な核酸を含む緩和ケア病棟入院の要否予測用キット又はデバイス、及び当該miRNAの発現量を測定することを含む緩和ケア病棟入院の要否予測方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
がんに対する治療法として、緩和療法を目的とする専門の病棟である緩和ケア病棟へ入院し、集中的な治療を行うことがある。緩和ケア病棟へ入院するのは主に、がんの合併症の1つであるがん悪液質が不応性の状態にまで進行し、外来や通常の病棟での治療が困難となったがん患者である。がん悪液質は、がんの合併症の1つであり、特に進行した膵臓がんなどの消化器がんや肺がんで高頻度に発症する。その主な症状は、体重減少、骨格筋量減少、食欲不振などを含み、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下をもたらし、予後不良の原因となる。がん悪液質は「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に陥る、骨格筋量の持続的な減少を特徴とする多因子性の症候群」と定義される。がん悪液質は進行がん患者の約80%に認められ、がん悪液質が進行すると、抗がん剤治療を行うことができない状態になる、ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)が示す指標である行動可能性(PS:パフォーマンスステータス)が3以上になる、予測される生存期間が3か月未満になる、などの不応性の状態になる。
【0003】
しかし、緩和ケア病棟に患者が入院しても病態制御は患者にとって負担が大きく、医療経済にも大きな負荷をもたらす。従って、早い時期からがん患者の状況を把握し、栄養療法、運動療法、心理社会的介入を含む集学的な介入を行うことで、悪液質の進行を止めるか、又は遅らせ、緩和ケア病棟への入院を遅らせるか、又は回避することができ、患者のQOLの大幅な向上をもたらすことができると考えられる。
【0004】
がん悪液質の原因の1つは全身性の炎症であり、がん細胞が産生する炎症性サイトカインによって、筋タンパク質の分解及び合成抑制、脂肪分解、並びに代謝異常が発生するとともに、レプチン様作用を介して食欲抑制が起きることが知られている。がん悪液質に対する薬剤としては、コルチコステロイドやNSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)、プロゲステロン製剤に加えて、グレリン様作用薬であるアナモレリンが知られている。アナモレリンは2021年1月に日本で製造販売承認を受けており、今後の早期治療での有効性が期待される。
【0005】
がん悪液質の進展を早期に予測することで将来の緩和療法の要否を予測すること、不応性の悪液質への進行を止めるための早期治療を行うことは重要であり、最近では上述のようにその治療手段も増えてきている。
【0006】
従来、緩和ケア病棟入院の要否を判断するためにあたって、患者ががん悪液質状態にあるかどうかは、患者の体重減少率によって診断されており、また、がん悪液質状態のマーカーとしては血中のアルブミン、CRP、LDH、ヘモグロビンの濃度や、患者のPSなどが利用されてきた(非特許文献1)。
【0007】
しかしながら、特定の患者の将来のがん悪液質が進展し、将来緩和ケア病棟への入院が必要となるかを予測することは従来困難であった。血液中のアミノ酸や代謝物の濃度によって、膵臓がん患者のがん悪液質の1か月後の進行状態を評価する方法(特許文献1)や膵臓がん患者の骨格筋の1か月後の状態を評価する方法(特許文献2)が提案されているが、将来の重症化を押しとどめるためのがん患者に対する早期の介入時期の判断は依然として難しい状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2019-15546号公報
特開2019-15547号公報
【非特許文献】
【0009】
Fabbro ED, et al.,[online],2017年,“Cancer cachexia: mechanisms and progress in treatment”, chapter IV, Quality of life in Oncology, Elsevier, <URL:https://qualityoflife-ebooks.elsevierresource.com/cancer-cachexia-mechanisms-and-progress-treatment/chapter-iv-cancer-cachexia-assessment>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、がん患者において緩和ケア病棟入院の要否を予測可能なマーカー、がん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測用キット又はデバイス、及びがん患者における緩和ケア病棟入院の要否予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許