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公開番号2023075825
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-31
出願番号2021188973
出願日2021-11-19
発明の名称改質粉体の製造方法
出願人AGC株式会社
代理人個人,個人
主分類C08J 3/02 20060101AFI20230524BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】分散安定性、均一性及び取扱い性に優れる、熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの改質粉体の製造方法、並びに、かかる改質粉体と液状分散媒とを含む、分散安定性、均一性及び取扱い性に優れた液状組成物の製造方法の提供。
【解決手段】平均粒子径が20μm以下の熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子からなる粉体を、自転作用及び公転作用を備えた撹拌装置にて撹拌処理して改質粉体を得る、改質粉体の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
平均粒子径が20μm以下の熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子からなる粉体を、自転作用及び公転作用を備えた撹拌装置にて撹拌処理して改質粉体を得る、改質粉体の製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの溶融温度が200℃以上320℃以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含む、酸素含有極性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記撹拌装置が、以下の1)から6)のいずれかの撹拌装置である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
1)自転及び公転による撹拌機構を備えた撹拌槽を備えた撹拌装置
2)下方にいくにつれて狭まる円錐形槽と、該円錐形槽内で自転及び公転する螺旋翼とを備える撹拌装置
3)複数の撹拌翼が遊星運動を行う撹拌装置
4)撹拌槽における槽底の中心を垂直に貫く駆動軸を持った撹拌羽を有している流動型撹拌装置
5)円錐状の内周壁面を持ち、槽底の中心を垂直に貫く駆動軸を持った撹拌羽を有している撹拌装置
6)中心軸線を回転軸として回転可能な円筒容器を有し、前記円筒容器の内部に内壁に沿って螺進する複数本のリボンスクリュー状の外羽根と、この外羽根の内側に配設されかつ外羽根とは逆方向に螺進する複数本のリボンスクリュー状の内羽根を設けた円筒型撹拌装置
【請求項5】
前記撹拌処理が、自転及び公転による撹拌機構を備えた撹拌槽を備えた撹拌装置、又は撹拌槽における槽底の中心を垂直に貫く駆動軸を持った撹拌羽を有している流動型撹拌装置で行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記撹拌処理を、自転及び公転による撹拌機構を備えた撹拌槽内で、公転速度が自転速度の1倍超である条件で行う、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記自転及び公転による撹拌機構を備えた撹拌槽における自転速度若しくは公転速度の周速度、又は前記流動型撹拌装置における撹拌の周速度が、1m/s以上100m/s以下である、請求項5又は6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記撹拌処理を、前記粉体の充填量を前記撹拌装置の容量の50体積%以下で行う、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記粉体が、重合媒体中でのラジカル重合により得られた熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの造粒物を粉砕して形成された粉体である、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記粉体の比表面積が8m

/g以下であり、前記改質粉体の比表面積が前記粉体の90%以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーの改質粉体の製造方法、かかる改質粉体を含む液状組成物の製造方法、及びかかる改質粉体に関する。
続きを表示(約 5,000 文字)【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のテトラフルオロエチレン系ポリマーは、電気特性、撥水撥油性、耐薬品性、耐熱性等の物性に優れており、プリント基板等の種々の産業用途に利用されている。例えばテトラフルオロエチレン系ポリマーの粉末は直接成形して成形品に加工される他、他の樹脂ワニスへ添加されて用いられる。特許文献1には、かかる粉末として、特定のテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子からなる粉末が提案されている。
また、液状分散媒中にテトラフルオロエチレン系ポリマーの粉末を粒子状に分散させた分散液は、前記物性を基材表面に付与するコーティング剤として用いられ、低誘電率、低誘電正接等の電気特性に優れた成形物を形成できるため、高周波帯域の周波数に対応するプリント基板の誘電体層を形成する材料として注目されている。特許文献2には、比表面積を15m

/g以下かつ平均粒子径を1μm以下とした、ポリテトラフルオロエチレンの粒子の分散液が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2016-017801号
特開2017-088861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テトラフルオロエチレン系ポリマーは、他の成分と相互作用しにくく、液中における分散安定性が概して低い。特許文献2には、平均粒子径が1μmを超えると、分散液の分散安定性が低下すると記載され、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の分散液の分散安定性は、ポリマー種や粒子形状の影響を受けやすいという課題を、本発明者らは知見している。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定粒子径の熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子からなる粉体を、かかる粉体に特定の作用を与える条件で処理すると、分散安定性、均一性及び取扱い性に優れる改質粉体が得られることを知見した。また、かかる改質粉体から得られる液状組成物は、低誘電正接及び低線膨張性等に優れた緻密な成形物の形成に適することも知見した。
本発明の目的は、分散安定性、均一性及び取扱い性に優れる、熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの改質粉体の製造方法、並びに、かかる改質粉体と液状分散媒とを含む、分散安定性、均一性及び取扱い性に優れた液状組成物の製造方法の提供である。また、本発明の目的は、好適には上記した本発明の製造方法で得られる熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの改質粉体である、特定性状の粉体の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の態様を有する。
<1> 平均粒子径が20μm以下の熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子からなる粉体を、自転作用及び公転作用を備えた撹拌装置にて撹拌処理して改質粉体を得る、改質粉体の製造方法。
<2> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの溶融温度が200℃以上320℃以下である、<1>の製造方法。
<3> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含む、酸素含有極性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、<1>又は<2>の製造方法。
<4> 前記撹拌装置が、以下の1)から6)のいずれかの撹拌装置である、<1>~<3>のいずれかの製造方法。
1)自転及び公転による撹拌機構を備えた撹拌槽を備えた撹拌装置
2)下方にいくにつれて狭まる円錐形槽と、該円錐形槽内で自転及び公転する螺旋翼とを備える撹拌装置
3)複数の撹拌翼が遊星運動を行う撹拌装置
4)撹拌槽における槽底の中心を垂直に貫く駆動軸を持った撹拌羽を有している流動型撹拌装置
5)円錐状の内周壁面を持ち、槽底の中心を垂直に貫く駆動軸を持った撹拌羽を有している撹拌装置
6)中心軸線を回転軸として回転可能な円筒容器を有し、前記円筒容器の内部に内壁に沿って螺進する複数本のリボンスクリユー状の外羽根と、この外羽根の内側に配設されかつ外羽根とは逆方向に螺進する複数本のリボンスクリュー状の内羽根を設けた円筒型撹拌装置
<5> 前記撹拌処理が、自転及び公転による撹拌機構を備えた撹拌槽を備えた撹拌装置、又は撹拌槽における槽底の中心を垂直に貫く駆動軸を持った撹拌羽を有している流動型撹拌装置で行われる、<1>~<4>のいずれかの製造方法。
<6> 前記撹拌処理を、自転及び公転による撹拌機構を備えた撹拌槽内で、公転速度が自転速度の1倍超である条件で行う、<5>の製造方法。
<7> 前記自転及び公転による撹拌機構を備えた撹拌槽における自転速度若しくは公転速度の周速度、又は前記流動型撹拌装置における撹拌の周速度が、1m/s以上100m/s以下である、<5>又は<6>の製造方法。
<8> 前記撹拌処理を、前記粉体の充填量を前記撹拌装置の容量の50体積%以下で行う、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
<9> 前記粉体が、重合媒体中でのラジカル重合により得られた熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの造粒物を粉砕して形成された粉体である、<1>~<8>のいずれかの製造方法。
<10> 前記粉体の比表面積が8m

/g以下であり、前記改質粉体の比表面積が前記粉体の90%以下である、<1>~<9>のいずれかの製造方法。
<11> 前記粉体のタップ密度が0.3g/ml以上であり、前記改質粉体のタップ密度が前記粉体の1.2倍以上である、<1>~<10>のいずれかの製造方法。
<12> 前記粉体の平均粒子径に対する、前記改質粉体の平均粒子径の比が0.95以上である、<1>~<11>のいずれかの製造方法。
<13> 平均粒子径が20μm以下の熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子からなる粉体を自転作用及び公転作用を備えた撹拌装置内にて撹拌処理して改質粉体を得、該改質粉体と液状分散媒を混合して液状組成物を得る、液状組成物の製造方法。
<14> 平均粒子径が20μm以下、比表面積が8m

/g以下である熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子からなる、タップ密度が0.3g/ml以上である粉体。
<15> <1>~<12>のいずれかの方法で得られる改質粉体である、<14>の粉体。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、分散安定性、均一性及び取扱い性に優れる、熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの改質粉体の製造方法、並びに、かかる改質粉体と液状分散媒とを含む、分散安定性、均一性及び取扱い性に優れた液状組成物の製造方法が提供される。かかる液状組成物は、電気特性等の物性に優れ、例えば、プリント基板の構成材料として有用である。
また、本発明によれば、好適には上記した本発明の製造方法で得られる熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの改質粉体である、特定性状の粉体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の用語は、以下の意味を有する。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、対象物(粒子)の体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、対象物の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
対象物のD50は、対象物を水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「熱溶融性樹脂」とは、荷重49Nの条件下、樹脂の溶融温度よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が1g/10分以上、1000g/10分以下、となる温度が存在する溶融流動性の樹脂を意味する。
「非熱溶融性樹脂」とは、荷重49Nの条件下、溶融流れ速度が1g/10分以上、1000g/10分以下、となる温度が存在しない、非溶融流動性の樹脂を意味する。
「ポリマーの溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ポリマーのガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、特記しない限り、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で測定される液状組成物の粘度である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、回転数が30rpmの条件で測定される液状組成物の粘度η

を回転数が60rpmの条件で測定される粘度η

で除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
【0008】
本発明の製造方法(以下、「本法」とも記す。)は、平均粒子径が20μm以下の熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)の粒子(以下、「F粒子」とも記す。)からなる粉体(以下、「原粉体」とも記す。)を、自転作用及び公転作用を備えた撹拌装置にて撹拌処理して改質粉体(以下、「本改質粉体」とも記す。)を得る方法である。
本改質粉体は分散性、均一性及び取扱い性に優れ、また、本改質粉体からは分散安定性に優れる液状組成物が得られる。その理由は必ずしも明確ではないが、例えば以下の様に推定している。
【0009】
Fポリマーは、その低い表面エネルギーにより液中分散性が低い。Fポリマーからなる粉末を液中分散させ、Fポリマーの粒子が分散した液状組成物を調製する際に、その分散性を向上させるために強い剪断力をかけると、Fポリマーがフィブリル化等して変性し、複雑な二次粒子を形成して凝集しやすくなる。
本法では、自転作用及び公転作用を備えた撹拌装置にてF粒子からなる粉体(原粉体)自体を撹拌処理する手段、換言すれば、原粉体を乾式状態で撹拌処理する手段を採る。本法で得られる粉体(本改質粉体)は、原粉体の平均粒子径を保ちつつ、原粉体と比較して比表面積が低下しタップ密度が向上している。これは、本法における撹拌処理が、自転作用及び公転作用による適度な応力でF粒子同士の均等な衝突を促して進行するためと推測される。その結果、原粉体のさらなる粉砕や異形化を抑制しつつ、その形状が均質化した、分散安定性、均一性及び取扱い性に優れる本改質粉体が得られたと考えられる。また、電気特性等に優れた成形物を形成できる液状組成物が、本改質粉体から得られたと考えられる。
【0010】
本発明におけるFポリマーは、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)に基づく単位(以下、「TFE単位」とも記す。)を含む熱溶融性のポリマーである。
Fポリマーの溶融温度は、200℃以上が好ましく、240℃以上がより好ましく、260℃以上がさらに好ましい。Fポリマーの溶融温度は、325℃以下が好ましく、320℃以下がより好ましい。Fポリマーの溶融温度は、200℃以上320℃以下が特に好ましい。この場合、撹拌処理において生じる熱による、本改質粉体の異形化が一層抑制されやすい。
(【0011】以降は省略されています)

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