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公開番号2023075605
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-31
出願番号2021188608
出願日2021-11-19
発明の名称バルーンカテーテル及び大動脈弁狭窄症治療装置
出願人国立大学法人神戸大学,東レ株式会社
代理人弁理士法人R&C
主分類A61M 25/10 20130101AFI20230524BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】狭窄部位の開口面積をより一層確保可能なバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】バルーンカテーテル100は、流体が内部に流通可能なシャフト1と、シャフト1に両端が固定され、シャフト1の軸芯Xと交差する方向に拡張可能なバルーン2と、を備え、バルーン2は、流体が内部空間Sに流入することで拡張すると共に流体が内部空間Sから排出されることで収縮する袋体23と、シャフト1の軸芯X方向に沿って延在し、袋体23の拡張時に撓むことにより袋体23に接触して袋体23の拡張を拘束する可撓線材24と、を有しており、バルーン2が拡張したとき、軸芯Xと直交する断面において、袋体23の内部空間Sにある軸芯Xと可撓線材24との離間距離Lは、軸芯Xと袋体23との最大離間距離Dよりも小さく構成されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
流体が内部に流通可能なシャフトと、
前記シャフトに両端が固定され、前記シャフトの軸芯と交差する方向に拡張可能なバルーンと、を備え、
前記バルーンは、前記流体が内部空間に流入することで拡張すると共に前記流体が前記内部空間から排出されることで収縮する袋体と、前記シャフトの軸芯方向に沿って延在し、前記袋体の拡張時に撓むことにより前記袋体に接触して前記袋体の拡張を拘束する可撓線材と、を有しており、
前記バルーンが拡張したとき、前記軸芯と直交する断面において、前記袋体の前記内部空間にある前記軸芯と前記可撓線材との離間距離は、前記軸芯と前記袋体との最大離間距離よりも小さく構成されているバルーンカテーテル。
続きを表示(約 380 文字)【請求項2】
前記可撓線材は、前記袋体の外表面に接触するX線不透過性材料で形成されている請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記可撓線材が複数設けられており、夫々の前記可撓線材は、前記袋体の周方向において互いに交差することなく離間している請求項1又は2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記バルーンが所定位置に配置されたとき、前記バルーンの拡張時において隣り合う前記可撓線材の間にある前記袋体が、3分割された弁体の境界に入り込む請求項3に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記弁体は大動脈弁であり、前記流体は炭酸ガスである請求項4に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のバルーンカテーテルを備えた大動脈弁狭窄症治療装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテル及び大動脈弁狭窄症治療装置に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
大動脈弁狭窄症は、加齢による退行変性で大動脈弁の可動性が低下し大動脈弁口が狭小化することによって全身に血液が送り出されにくくなる疾患である。本疾患は高齢化とともに有病率が上昇し、手術侵襲に対する忍容性が低下するため、全身麻酔を要する処置や開胸による外科的治療が困難な場合が少なくない。このように外科的治療が困難な患者に対する治療法として、(1)TAVI(Transcatheter Aortic Valve Implantation:経カテーテル的大動脈弁留置術)と(2)BAV(Balloon Aortic Valvuloplasty:バルーン大動脈弁形成術)が存在する。
【0003】
(1)TAVIは、開胸を行わず、カテーテルを用いて人工弁を大動脈弁の狭窄部位に留置する根治的な治療法である。この治療は、高齢等の理由で手術をあきらめていた患者に対する新しい治療の選択肢となっている。しかしながら、TAVIは実施施設や実施医師が非常に限定されており、本治療を必要とする全ての患者に提供されている治療法ではない。
【0004】
(2)BAVは(1)TAVIとは違い根治治療ではないため長期治療成績は見込めないが、急性期の心不全回避や血行動態の改善といった急性期効果が認められており、これに加え高い成功率が示されているため、TAVIや外科的治療へのブリッジの目的として施行されている。またBAVはTAVIとは異なり施設基準がなく幅広く施行することができ、且つカテーテル径が細く、全身麻酔等の処置も不要であるため、超高齢であったり並存疾患を多数有したりしている患者の大動脈弁狭窄症症例に対して有用な治療選択肢である。
【0005】
従来、BAVに用いられるバルーンカテーテルとして、流体が内部に流通可能なシャフトと、シャフトに両端が固定され、シャフトの軸芯と交差する方向に拡張可能なバルーンと、を備えたものが知られている(例えば特許文献1~2参照)。
【0006】
特許文献1に記載のバルーンカテーテルは、バルーンを覆う織り合わせ補強層を備えており、高圧に耐え得る形状保持を実現している。特許文献1に記載のような形状保持型バルーンカテーテル等(特許文献2に記載の心拍同期型では無い従来のバルーンカテーテル)は、大動脈弁口におけるバルーン拡張時は心拍の影響によって、バルーンが長軸方向に大きく移動し、それに伴って血管損傷や心穿孔等を引き起こすといった重篤な有害事象が報告されている。そのため、一時的に有効な心拍量を減少させる目的で高頻拍ペーシングが行われている。しかしながら、高頻拍ペーシングは、ページング後、徐脈や血圧の低下が遷延することに伴い、血行動態が破綻する等、ペーシングに耐えられない患者が一定数存在することが確認されている。
【0007】
そこで、特許文献2には、患者の心電図データに基づいて心周期を感知し、バルーンの拡張,収縮を心周期に基づく患者の拍動に同期して行う、心拍同期型バルーンカテーテルが開示されている。これにより、血流を阻害することなく複数回のバルーン拡張が可能となるため、高頻脈ペーシング無しでも、バルーンが移動することなく、収縮,拡張を行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特表2008-534032号公報
特開2019-198417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のバルーンカテーテルでは、高頻拍ペーシングが必要となるため、高頻脈ペーシングに耐えられない患者が存在する。また、従来のBAVでは、バルーンを複数回拡張することがしばしば困難な場合が存在する(頻回の高頻脈ペーシングが必要になる)ため、少ない回数で高い圧をかけて、拡張することにより脳梗塞や血管損傷等の合併症を引き起こす可能性があった。
【0010】
特許文献2に記載の心拍同期型バルーンカテーテルでは、高頻拍ペーシングが不要となり、大動脈弁において石灰化物質が固着した弁体をバルーンで外側に広げて開口面積を確保するために、複数回のバルーン拡張を行うことができる。つまり、この心拍同期型バルーンカテーテルを用いたBAVでは高頻脈ペーシングが不要になるため、上述した合併症を回避して、かつ弁口面積をある程度確保することが可能になる。しかしながら、特許文献2に記載の心拍同期型バルーンカテーテルにおいても、狭窄部位の開口面積を確保する上で更なる改善の余地がある。
(【0011】以降は省略されています)

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