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公開番号2023073622
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-26
出願番号2021186187
出願日2021-11-16
発明の名称インク、耐擦性の向上方法、及び印字濃度の向上方法
出願人日本化薬株式会社
代理人
主分類C09D 11/30 20140101AFI20230519BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】インク難吸収性の印刷メディア、特にオフセットコート紙に使用したときに、爪などの擦過痕がついたとしても、塗膜のぎらつきの変化が少なく、かつ、オフセットコート紙上でも普通紙上でも高い印刷濃度が得られるインクジェット印刷用水性インク組成物、耐擦性の向上方法、及び印字濃度の向上方法の提供。
【解決手段】顔料、分散染料、溶剤染料からなる群から選択される水不溶性の着色剤、及び、平均粒子径が150nm未満であって、屈折率が1.40以上1.65未満である架橋有機微粒子を含む、インク組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
顔料、分散染料、溶剤染料からなる群から選択される水不溶性の着色剤、及び、平均粒子径が150nm未満であって、屈折率が1.40以上1.65未満である架橋有機微粒子を含む、インク組成物。
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
上記架橋有機微粒子がポリメタクリル酸メチル系粒子を含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のインク組成物と、他のインク組成物と、を含むインク組成物セット。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のインク組成物、又は、請求項3に記載のインク組成物セット、を用い印刷された、印刷メディア。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のインク組成物、又は、請求項3に記載のインク組成物セットと、印刷メディアと、のインクメディアセット。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のインク組成物、又は、請求項3に記載のインク組成物セット、を使用した、耐擦性の向上方法。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載のインク組成物、又は、請求項3に記載のインク組成物セット、を使用した、印刷濃度の向上方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インク、耐擦性の向上方法、及び印字濃度の向上方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
各種のカラー印刷方法の中で、インクジェットプリンタを用いる印刷方法(インクジェット印刷方法)は、代表的な方法の1つである。この方法は、インクの小滴を発生させ、これを紙等の印刷メディアに付着させ印刷を行う。インクジェット技術の進歩により、銀塩写真やオフセット印刷によって実現されてきた高精細な印刷の分野においても、インクジェット印刷方法が用いられるようになってきた。そのような分野においては、印刷メディアとしてコート紙のような、インク難吸収性の印刷メディアが多用されている。
【0003】
近年では産業用インクジェット印刷の需要が高まり、これまでとは異なる特性が要求されるようになっている。そのような特性の1つとして、印刷メディアに付着したインクの耐擦性の向上が強く要望されている。
例えば、インクジェットプリンタを用いてコート紙に印刷をして、得られた印字物を爪などで線擦過すると、線擦過した箇所のみ、塗膜が押し付けられて表面が平滑になる。結果として、線擦過した箇所のみ光がより強く鏡面反射され、ぎらつきが生じる。線擦過した箇所だけがぎらついてしまうことで、印字物全体の見栄えが悪くなるため、印刷品質が低下してしまう。従って、爪などの擦過痕がついたとしても、塗膜のぎらつきの変化が少ないインクが強く要望されている。
塗膜のぎらつきを抑制する手法としては、印刷前のコート紙に前処理剤を塗布することや、印刷後のコート紙にオーバーコート剤を塗布することが挙げられる。しかし、印刷コスト抑制や印刷スピード向上、工程追加による装置の大型化を考慮すると、前処理剤やオーバーコート剤を利用することなく、先に述べた耐擦性が得られることが望ましい。
また、産業用インクジェットインクに要求される特性として、印刷濃度が高いインクであることが求められている。商用印刷で使用される紙媒体としては、普通紙とコート紙に大別される。普通紙へインクジェット記録をする場合は、絵柄等のデザインよりも文字が使用されることが多いため、記録物に求められる品質の中では、特に発色性(印字濃度)が重視される傾向がある。コート紙は、銀塩写真やオフセット印刷によって実現されてきた高精細な印刷分野で用いられるため、画像の鮮明性や光沢性が求められる。
コート紙に関しては、表面均一性を高めることで光沢性が向上することが知られている。ゆえに高画質化を目指して着色剤の分散性改良や粒径の微小化が行われているが、普通紙などの繊維質が表面に多く露出している紙では、繊維間に微小化された着色剤が埋没してしまい、繊維が浮き上がった状態になり、十分な濃度が得られない。着色剤の粒径をある程度大きくすることで普通紙の印字濃度は向上するが、上記理由からコート紙の光沢性は損なわれてしまう。このように、普通紙とコート紙の発色性についてはそれぞれ分散体に求められる機能が異なるため、これまでの手法では、普通紙用とコート紙用の2種類のインクセットを搭載する。もしくは前処理によって複数のメディア印刷を可能にするなどの対応を行ってきた。しかしながら、これらの手法はインク種の増加によるインク収容スペースの増大、前処理工程の追加による装置の大型化を伴う。よって同一インクで光沢紙の発色性と普通紙の濃度を両立できれば、こうした問題を解決することができる。
普通紙の印刷濃度を向上させる着色剤分散体およびインクジェット記録用インクとしては、例えば特定のカーボンブラックと分散剤の組合せやカーボンブラックに無機微粒子を含有させる方法が提案されている。特許文献1には、特定カーボンブラックとスチレン-アクリル系共重合体と、塩基性物質から構成される水性顔料分散体が開示されている。また、特許文献2には、顔料、平均粒径が110nm~400nmのコライダルシリカと水溶性ポリマーから構成される分散体が開示されている。特許文献3には、顔料、親水性ヒュームドシリカ、及び水性媒体から構成される水性顔料分散体が開示されている。
ただし、特許文献1で規定されるカーボン種では普通紙に対しての適性は確認されるものの、コート紙上の光沢性向上には適性がない。特許文献2、3についても普通紙上の印字濃度は十分では無く、使用する無機微粒子は大粒径かつ粒度分布が広いため、コート紙上の光沢性を損ねると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許5273434号公報
特許4679322号公報
WO2016/035787
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、インク難吸収性の印刷メディア、特にオフセットコート紙に使用したときに、爪などの擦過痕がついたとしても、塗膜のぎらつきの変化が少なく、かつ、オフセットコート紙上でも普通紙上でも高い印刷濃度が得られるインクジェット印刷用水性インク組成物、耐擦性の向上方法、及び印字濃度の向上方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、顔料、分散染料、溶剤染料からなる群から選択される水不溶性の着色剤、及び、平均粒子径が150nm未満であって、屈折率が1.40以上1.65未満である架橋有機微粒子を含む、インク組成物により、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は以下の1)~7)に関する。
1)
顔料、分散染料、溶剤染料からなる群から選択される水不溶性の着色剤、及び、平均粒子径が150nm未満であって、屈折率が1.40以上1.65未満である架橋有機微粒子を含む、インク組成物。
2)
上記架橋有機微粒子がポリメタクリル酸メチル系粒子を含む、1)に記載のインク組成物。
3)
1)または2)に記載のインク組成物と、他のインク組成物と、を含むインク組成物セット。
4)
1)または2)に記載のインク組成物、又は、3)に記載のインク組成物セット、を用い印刷された、印刷メディア。
5)
1)または2)に記載のインク組成物、又は、3)に記載のインク組成物セットと、印刷メディアと、のインクメディアセット。
6)
1)または2)に記載のインク組成物、又は、3)に記載のインク組成物セット、を使用した、耐擦性の向上方法。
7)
1)または2)に記載のインク組成物、又は、3)に記載のインク組成物セット、を使用した、印刷濃度の向上方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、インク難吸収性の印刷メディア、特にオフセットコート紙等のコート紙に前処理剤やオーバーコート剤を塗布することなく、爪などの擦過痕がついたとしても塗膜のぎらつきの変化が少ないインクジェット印刷用水性インク組成物を提供できた。また、オフセットコート紙上でも普通紙上でも高い印刷濃度が得られるインクジェット印刷用水性インク組成物を提供できた。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。また、本明細書においては、実施例等も含めて「%」及び「部」は、特に断りのない限り、いずれも質量基準で記載する。
また、本明細書において「アルキレン」、「プロピレン」、「アルキル」の用語は、特に断りのない限り、直鎖、及び分岐鎖の両方の構造を包含する意味で使用する。また、質量%の値で、小数点を有する値で記載しているものは、小数点以下2桁目までを有効とし、小数点以下2桁目の数値を四捨五入し、小数点以下1桁目までを記載する。
【0010】
上記インク組成物は、顔料、分散染料、溶剤染料からなる群から選択される水不溶性の着色剤、及び、平均粒子径が150nm未満であって、屈折率が1.40以上1.65未満である架橋有機微粒子を含む。なお、本明細書中においてインク組成物をインクと略記することがある。
(【0011】以降は省略されています)

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