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公開番号2023073597
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-26
出願番号2021186147
出願日2021-11-16
発明の名称細胞培養方法及び細胞培養装置
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C12M 1/00 20060101AFI20230519BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】消泡剤を用いなくても培養液の発泡を抑制でき、酸素等のガスの供給、溶存二酸化炭素の除去といった培養状態を良好に維持する技術として有用な細胞培養方法及び細胞培養装置を提供することを目的とする。
【解決手段】培養液Aが封入される培養容器10と、培養容器10内に培養液Aに浸漬された状態で配置されるガス分離膜エレメント20と、撹拌手段30と、を備えた細胞培養装置1を用いて、培養液Aを撹拌し、ガス分離膜エレメント20が有する複数の中空糸膜21の外側に培養液Aを潅流させながら細胞を培養し、ガス分離膜エレメント20を用いて、(i)ガス流出入口23aから真空引きし、複数の中空糸膜21を介して培養液A中の溶存二酸化炭素を分離除去すること、及び、(ii)ガス流出入口23aから通気し、複数の中空糸膜21を介して培養液Aにガスを供給することの両方を行う。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数の中空糸膜と、それら複数の中空糸膜の少なくとも一端が挿入されて固定されるハウジングとを備え、かつ前記ハウジングにガス流出入口が形成されている少なくとも1つのガス分離膜エレメントを、培養容器内に封入された培養液に浸漬した状態で、
前記培養液を撹拌し、前記複数の中空糸膜の外側に前記培養液を潅流させながら細胞を培養し、
前記ガス分離膜エレメントを用いて、(i)前記ガス流出入口から真空引きし、前記複数の中空糸膜を介して前記培養液中の溶存二酸化炭素を分離除去すること、及び、(ii)前記ガス流出入口から通気し、前記複数の中空糸膜を介して前記培養液にガスを供給すること、の両方を行う、細胞培養方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記ガス分離膜エレメントの前記ガス流出入口が、前記培養容器に設けられた1つの接続口を介して前記培養容器の外部と通じている、請求項1に記載の細胞培養方法。
【請求項3】
任意の1つ以上の前記ガス分離膜エレメントにおいて、前記(i)の溶存二酸化炭素の分離除去と前記(ii)のガス供給を切り替えて行う、請求項1又は2に記載の細胞培養方法。
【請求項4】
前記ガス流出入口が前記培養容器に設けられた接続口の1つを介して前記培養容器の外部と通じている少なくとも1つの第1ガス分離膜エレメントと、
複数の中空糸膜の両端がそれぞれ挿入されて固定される2つハウジングを備え、かつそれぞれの前記ハウジングにガス流出入口が形成されており、それら2つの前記ガス流出入口が前記培養容器に設けられた2つの接続口のそれぞれを介して前記培養容器の外部と通じている少なくとも1つの第2ガス分離膜エレメントと、を用い、
前記第1ガス分離膜エレメントにより前記(i)の溶存二酸化炭素の分離除去を行い、前記第2ガス分離膜エレメントにより前記(ii)のガス供給を行う、請求項1に記載の細胞培養方法。
【請求項5】
前記中空糸膜が、ガス透過性を有する均質層と、前記均質層を支持する多孔質支持層とを備える複合中空糸膜である、請求項1~4のいずれか一項に記載の細胞培養方法。
【請求項6】
前記均質層が、窒素に対する酸素のフラックス比が2以上であること、及び、酸素に対する二酸化炭素のフラックス比が2以上であること、の少なくとも一方を満たす、請求項5に記載の細胞培養方法。
【請求項7】
培養液が封入される培養容器と、前記培養容器内に培養液に浸漬された状態で配置される少なくとも1つのガス分離膜エレメントと、撹拌手段と、を備えた細胞培養装置であって、
前記ガス分離膜エレメントは、複数の中空糸膜と、それら複数の中空糸膜の少なくとも一端が挿入されて固定されるハウジングと、を備え、かつ前記ハウジングにガス流出入口が形成されており、
前記撹拌手段は、前記複数の中空糸膜の外側に前記培養液が潅流するように前記培養液を撹拌する手段であり、
前記ガス流出入口が前記培養容器外の真空ポンプ及びガス供給装置の少なくとも一方と接続された状態で、前記ガス分離膜エレメントにより、(i)前記ガス流出入口から真空引きし、前記複数の中空糸膜を介して前記培養液中の溶存二酸化炭素を分離除去すること、及び、(ii)前記ガス流出入口から通気し、前記複数の中空糸膜を介して前記培養液にガスを供給すること、の両方を行う、細胞培養装置。
【請求項8】
前記ガス分離膜エレメントの前記ガス流出入口が、前記培養容器に設けられた1つの接続口を介して前記培養容器の外部と通じている、請求項7に記載の細胞培養装置。
【請求項9】
任意の1つ以上の前記ガス分離膜エレメントが真空ポンプ及びガス供給装置の両方に接続され、前記(i)の溶存二酸化炭素の分離除去と前記(ii)のガス供給とを切り替えられるようになっている、請求項7又は8に記載の細胞培養装置。
【請求項10】
前記ガス流出入口が前記培養容器に設けられた接続口の1つを介して前記培養容器の外部と通じている、前記(i)の溶存二酸化炭素の分離除去を行う少なくとも1つの第1ガス分離膜エレメントと、
複数の中空糸膜の両端がそれぞれ挿入されて固定される2つハウジングを備え、かつそれぞれの前記ハウジングにガス流出入口が形成されており、それら2つの前記ガス流出入口が前記培養容器に設けられた2つの接続口のそれぞれを介して前記培養容器の外部と通じている、前記(ii)のガス供給を行う少なくとも1つの第2ガス分離膜エレメントと、備えている、請求項7に記載の細胞培養装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養方法及び細胞培養装置に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
抗体製造等のバイオ医薬品、昨今開発の進んでいる代替肉製造の中で動物細胞を使用する培養肉の製造初期工程では大量の細胞が培養される。細胞の培養においては、培養期間を通して継続的に酸素を供給し、また培養時に蓄積する二酸化炭素を除去する必要がある。特許文献1には、培養中に、スパージャーを使用して空気を気泡として送り込むことによって酸素を供給すること、及び、二酸化炭素透過膜を備えたガス交換手段を用い、二酸化炭素透過膜内にスイープガスを通気することによって培養液中の溶存二酸化炭素を除去することが開示されている。
【0003】
しかし、培養液に気泡を送り込む方法は酸素供給効率が悪く、気泡が細胞にダメージを与えるおそれがあるうえ、培養液が発泡する問題がある。
特許文献2には、培養中に中空糸膜を用いて培養液に酸素を供給する細胞培養方法が開示されている。また、特許文献3には、培養液に消泡剤を添加して発泡を抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2014-18174号公報
特開平3-164169号公報
国際公開第2018/25686号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2の細胞培養方法では、培養時に蓄積する二酸化炭素を除去することは考慮されていない。また、培養液から消泡剤を除去することは困難なため、特許文献3のように培養液に消泡剤を添加すると、最終製品に消泡剤が残存する問題がある。
【0006】
本発明は、消泡剤を用いなくても培養液の発泡を抑制しつつ、酸素等のガスの供給、溶存二酸化炭素の除去といった培養状態を良好に維持する技術として有用な細胞培養方法及び細胞培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]複数の中空糸膜と、それら複数の中空糸膜の少なくとも一端が挿入されて固定されるハウジングとを備え、かつ前記ハウジングにガス流出入口が形成されている少なくとも1つのガス分離膜エレメントを、培養容器内に封入された培養液に浸漬した状態で、
前記培養液を撹拌し、前記複数の中空糸膜の外側に前記培養液を潅流させながら細胞を培養し、
前記ガス分離膜エレメントを用いて、(i)前記ガス流出入口から真空引きし、前記複数の中空糸膜を介して前記培養液中の溶存二酸化炭素を分離除去すること、及び、(ii)前記ガス流出入口から通気し、前記複数の中空糸膜を介して前記培養液にガスを供給すること、の両方を行う、細胞培養方法。
[2]前記ガス分離膜エレメントの前記ガス流出入口が、前記培養容器に設けられた1つの接続口を介して前記培養容器の外部と通じている、[1]に記載の細胞培養方法。
[3]任意の1つ以上の前記ガス分離膜エレメントにおいて、前記(i)の溶存二酸化炭素の分離除去と前記(ii)のガス供給を切り替えて行う、[1]又は[2]に記載の細胞培養方法。
[4]前記ガス流出入口が前記培養容器に設けられた接続口の1つを介して前記培養容器の外部と通じている少なくとも1つの第1ガス分離膜エレメントと、
複数の中空糸膜の両端がそれぞれ挿入されて固定される2つハウジングを備え、かつそれぞれの前記ハウジングにガス流出入口が形成されており、それら2つの前記ガス流出入口が前記培養容器に設けられた2つの接続口のそれぞれを介して前記培養容器の外部と通じている少なくとも1つの第2ガス分離膜エレメントと、を用い、
前記第1ガス分離膜エレメントにより前記(i)の溶存二酸化炭素の分離除去を行い、前記第2ガス分離膜エレメントにより前記(ii)のガス供給を行う、[1]に記載の細胞培養方法。
[5]前記中空糸膜が、ガス透過性を有する均質層と、前記均質層を支持する多孔質支持層とを備える複合中空糸膜である、[1]~[4]のいずれかに記載の細胞培養方法。
[6]前記均質層が、窒素に対する酸素のフラックス比が2以上であること、及び、酸素に対する二酸化炭素のフラックス比が2以上であること、の少なくとも一方を満たす、[5]に記載の細胞培養方法。
[7]培養液が封入される培養容器と、前記培養容器内に培養液に浸漬された状態で配置される少なくとも1つのガス分離膜エレメントと、撹拌手段と、を備えた細胞培養装置であって、
前記ガス分離膜エレメントは、複数の中空糸膜と、それら複数の中空糸膜の少なくとも一端が挿入されて固定されるハウジングと、を備え、かつ前記ハウジングにガス流出入口が形成されており、
前記撹拌手段は、前記複数の中空糸膜の外側に前記培養液が潅流するように前記培養液を撹拌する手段であり、
前記ガス流出入口が前記培養容器外の真空ポンプ及びガス供給装置の少なくとも一方と接続された状態で、前記ガス分離膜エレメントにより、(i)前記ガス流出入口から真空引きし、前記複数の中空糸膜を介して前記培養液中の溶存二酸化炭素を分離除去すること、及び、(ii)前記ガス流出入口から通気し、前記複数の中空糸膜を介して前記培養液にガスを供給すること、の両方を行う、細胞培養装置。
[8]前記ガス分離膜エレメントの前記ガス流出入口が、前記培養容器に設けられた1つの接続口を介して前記培養容器の外部と通じている、[7]に記載の細胞培養装置。
[9]任意の1つ以上の前記ガス分離膜エレメントが真空ポンプ及びガス供給装置の両方に接続され、前記(i)の溶存二酸化炭素の分離除去と前記(ii)のガス供給とを切り替えられるようになっている、[7]又は[8]に記載の細胞培養装置。
[10]前記ガス流出入口が前記培養容器に設けられた接続口の1つを介して前記培養容器の外部と通じている、前記(i)の溶存二酸化炭素の分離除去を行う少なくとも1つの第1ガス分離膜エレメントと、
複数の中空糸膜の両端がそれぞれ挿入されて固定される2つハウジングを備え、かつそれぞれの前記ハウジングにガス流出入口が形成されており、それら2つの前記ガス流出入口が前記培養容器に設けられた2つの接続口のそれぞれを介して前記培養容器の外部と通じている、前記(ii)のガス供給を行う少なくとも1つの第2ガス分離膜エレメントと、備えている、[7]に記載の細胞培養装置。
[11]前記中空糸膜が、ガス透過性を有する均質層と、前記均質層を支持する多孔質支持層とを備える複合中空糸膜である、[7]~[10]のいずれかに記載の細胞培養装置。
[12]前記均質層が、窒素に対する酸素のフラックス比が2.0以上であること、及び、酸素に対する二酸化炭素のフラックス比が2.0以上であること、の少なくとも一方を満たす、[11]に記載の細胞培養装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消泡剤を用いなくても培養液の発泡を抑制しつつ、酸素等のガスの供給、溶存二酸化炭素の除去といった培養状態を良好に維持する技術として有用な細胞培養方法及び細胞培養装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施形態の一例の細胞培養装置を示した模式図である。
実施形態の他の例の細胞培養装置を示した模式図である。
実施形態の他の例の細胞培養装置を示した模式図である。
実施形態の他の例の細胞培養装置を示した模式図である。
実施形態の他の例の細胞培養装置を示した模式図である。
実施形態の他の例の細胞培養装置を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の細胞培養方法及び細胞培養装置について、一例を示し、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(【0011】以降は省略されています)

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