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公開番号2023072630
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-24
出願番号2022033660
出願日2022-03-04
発明の名称培養器具及び培養器具の製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C12M 3/00 20060101AFI20230517BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】抗生物質を使用することなく、優れた抗菌効果を発揮し、細胞毒性が低い培養器具及び培養器具の製造方法の提供。
【解決手段】細胞を培養する培養器具10であって、非金属基板と金属酸化物層122とを有する積層体を備え、前記金属酸化物層122がアニオンを含み、前記金属酸化物層122において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以上であり、前記金属酸化物層122が細胞の培養時に培地と接触する、培養器具10。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
細胞を培養する培養器具であって、
非金属基板と金属酸化物層とを有する積層体を備え、
前記金属酸化物層がアニオンを含み、
前記金属酸化物層において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以上であり、
前記金属酸化物層が細胞の培養時に培地と接触する、培養器具。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記アニオンが、SO

2-
、PO

3-
、C



2-
、C





2-
、C





2-
及びC





3-
からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の培養器具。
【請求項3】
前記金属酸化物層において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計が3.0atm%以上である、請求項1又は2に記載の培養器具。
【請求項4】
前記金属酸化物層に含まれる金属がバルブ金属である、請求項1~3のいずれか一項に記載の培養器具。
【請求項5】
前記バルブ金属がアルミニウムである、請求項4に記載の培養器具。
【請求項6】
前記金属酸化物層において、前記バルブ金属の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに10atm%以上であり、
前記金属酸化物層において、前記バルブ金属以外の金属及びハロゲン原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以下である、請求項4又は5に記載の培養器具。
【請求項7】
前記バルブ金属以外の金属が、銀、銅、チタン及びゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記ハロゲン原子がヨウ素原子である、請求項6に記載の培養器具。
【請求項8】
前記アニオンに由来する原子がイオウ原子を含み、
前記金属酸化物層において、酸素原子の存在比率がX線光電子分光で分析したときに45atm%以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の培養器具。
【請求項9】
前記金属酸化物層の厚みが50nm~10μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の培養器具。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の培養器具の製造方法であって、
95質量%以上のバルブ金属を含む金属層の表面を、濃度0.04M以上の多塩基酸を用いて陽極酸化し、前記金属酸化物層を生成する工程を含む、培養器具の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、培養器具及び培養器具の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、医薬品の生産や、遺伝子治療、再生医療、免疫療法等の分野において、細胞や組織等を効率良く大量に培養することが求められているが、細胞や組織を培養時に意図しない菌が混入・増殖(コンタミネーション)し、目的とする細胞の増殖が抑制されることが大きな問題となっている。このような意図しない菌の混入・増殖を防止する目的で培地に抗生物質を添加することが行われている。
しかしながら、抗生物質を繰り返し利用すると、抗菌性物質に対して抵抗性を有する菌が出現し、意図しない菌の混入・増殖を抑制することが難しくなる。そのため、抗生物質の利用は最小限に留める傾向にある。
【0003】
抗生物質を用いない抗菌性材料としては、例えば非金属基板と金属酸化物層とを有する積層体であって、前記金属酸化物層が最表面に存在し、かつ、前記金属酸化物層がアニオンを含み、前記アニオンに由来するイオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以上である抗菌性積層体が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、抗生物質を利用する以外にコンタミネーションを抑制する技術としては、培養器の内槽に抗菌剤を担持させた炭酸ガス培養器、培養器の内槽に紫外線ランプを設置した炭酸ガス培養器、又は紫外線ランプを設置した炭酸ガス培養器内で使用するための遮光性培養容器と、それらを用いた細胞の培養方法が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2020/067500号
特開平11-290059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の抗菌性材料は非常に強い抗菌性を発現するが、特許文献1にはこの抗菌性材料が培養細胞に与える影響について開示がなく、細胞の培養器具に利用可能かは不明である。
特許文献2に記載の培養器は、遮光性培養容器を配置する室内に抗菌剤が担持されており、装置室内での菌の増殖は抑制できる。そのため、培養中に培養器内に付着した菌が混入することは抑制できるものの、培地の調整中に混入した菌の増殖を抑制することは困難である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、抗生物質を使用することなく、優れた抗菌効果を発揮し、細胞毒性が低い培養器具及び培養器具の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討した結果、陽極酸化アルミニウム等の金属酸化物は非常に強い抗菌性を発現するにも関わらず、従来の有機系合成抗菌性材料や無機系抗菌性材料と異なり細胞の増殖を阻害しにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は下記の態様を有する。
[1] 細胞を培養する培養器具であって、
非金属基板と金属酸化物層とを有する積層体を備え、
前記金属酸化物層がアニオンを含み、
前記金属酸化物層において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以上であり、
前記金属酸化物層が細胞の培養時に培地と接触する、培養器具。
[2] 前記アニオンが、SO

2-
、PO

3-
、C



2-
、C





2-
、C





2-
及びC





3-
からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記[1]の培養器具。
[3] 前記金属酸化物層において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計が3.0atm%以上である、前記[1]又は[2]の培養器具。
[4] 前記金属酸化物層に含まれる金属がバルブ金属である、前記[1]~[3]のいずれかの培養器具。
[5] 前記バルブ金属がアルミニウムである、前記[4]の培養器具。
[6] 前記金属酸化物層において、前記バルブ金属の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに10atm%以上であり、
前記金属酸化物層において、前記バルブ金属以外の金属及びハロゲン原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以下である、前記[4]又は[5]の培養器具。
[7] 前記バルブ金属以外の金属が、銀、銅、チタン及びゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記ハロゲン原子がヨウ素原子である、前記[6]の培養器具。
[8] 前記アニオンに由来する原子がイオウ原子を含み、
前記金属酸化物層において、酸素原子の存在比率がX線光電子分光で分析したときに45atm%以上である、前記[1]~[7]のいずれかの培養器具。
[9] 前記金属酸化物層の厚みが50nm~10μmである、前記[1]~[8]のいずれかの培養器具。
[10] 前記[1]~[9]のいずれかの培養器具の製造方法であって、
95質量%以上のバルブ金属を含む金属層の表面を、濃度0.04M以上の多塩基酸を用いて陽極酸化し、前記金属酸化物層を生成する工程を含む、培養器具の製造方法。
[11] 前記多塩基酸の濃度が0.3M以上である、前記[10]の培養器具の製造方法。
[12] 前記バルブ金属がアルミニウムであり、前記多塩基酸が濃度3M以上の硫酸である、前記[10]又は[11]の培養器具の製造方法。
[13] 前記硫酸の濃度が6M以上である、前記[12]の培養器具の製造方法。
[14] 前記積層体を前記培地と接触する部位に貼着させる、前記[10]~[13]のいずれかの培養器具の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、抗生物質を使用することなく、優れた抗菌効果を発揮し、細胞毒性が低い培養器具及び培養器具の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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