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公開番号2023071073
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-22
出願番号2021183664
出願日2021-11-10
発明の名称鋳型DNAの製造方法
出願人国立大学法人広島大学
代理人個人,個人
主分類C12Q 1/6806 20180101AFI20230515BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】sgRNAを試験管内転写で得るための鋳型DNAを多量、安価、簡便、且つ迅速に調製できるようにする。
【解決手段】鋳型DNAの製造方法は、カセット2本鎖DNAを準備する工程aと、標的配列含有オリゴヌクレオチドを調製する工程bと、それらをDNA結合酵素により連結し、標的配列含有環状体ヌクレオチドを得る工程cと、該ヌクレオチドを鋳型として鎖置換型DNAポリメラーゼにより増幅し、サポート配列と、RNAポリメラーゼのプロモーター配列と、標的配列と、sgRNAスキャフォールド配列とからなる反復配列を有する同一配列コンカテマーとなる標的配列含有2本鎖DNAを得る工程dと、該2本鎖DNAを同一配列同士の間で切断し、サポート配列とRNAポリメラーゼのプロモーター配列と標的配列とsgRNAスキャフォールド配列とからなる配列を有する鋳型DNAを得る工程eとを備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
sgRNAを試験管内転写で得るための鋳型DNAをセルフリークローニングシステムにより製造する方法であって、
(a)sgRNAスキャフォールド配列と、サポート配列と、RNAポリメラーゼのプロモーター配列とを含む断片からなり、両端に突出配列を有し且つ該断片の少なくとも一方の鎖の5’末端にリン酸基を含むカセット2本鎖DNAを準備する工程と、
(b)前記カセット2本鎖DNAの前記突出配列に対して相補的な配列を有するカセット2本鎖DNA結合配列と、所望のsgRNAの標的配列とを有し、5’末端がリン酸化された標的配列含有オリゴヌクレオチドを調製する工程と、
(c)前記カセット2本鎖DNAと前記標的配列含有オリゴヌクレオチドをDNA結合酵素により連結し、標的配列含有環状体ヌクレオチドを得る工程と、
(d)前記標的配列含有環状体ヌクレオチドを鋳型として鎖置換型DNAポリメラーゼにより増幅し、前記サポート配列と、前記RNAポリメラーゼのプロモーター配列と、前記標的配列と、前記sgRNAスキャフォールド配列とからなる反復配列を有する同一配列コンカテマーとなる標的配列含有2本鎖DNAを得る工程と、
(e)工程dで得られた前記標的配列含有2本鎖DNAを前記同一配列同士の間で切断し、サポート配列とRNAポリメラーゼのプロモーター配列と標的配列とsgRNAスキャフォールド配列とからなる配列を有する前記鋳型DNAを得る工程とを備える、鋳型DNAの製造方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
工程aにおける前記カセット2本鎖DNAは、それぞれの鎖の5’末端に前記突出配列を有し、
工程bにおける前記標的配列含有オリゴヌクレオチドは標的配列含有2本鎖オリゴヌクレオチドであり、前記標的配列含有2本鎖オリゴヌクレオチドは、前記カセット2本鎖DNAのリン酸化されている鎖と結合する前記オリゴヌクレオチド鎖の5’末端のみがリン酸化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程aにおける前記カセット2本鎖DNAは、前記断片の一方の鎖の両端に前記突出配列を有し、
工程bにおける前記標的配列含有オリゴヌクレオチドは、前記標的配列の両端にそれぞれ前記カセット2本鎖DNAにおける前記突出配列の一方に相補的な第1カセット2本鎖DNA結合配列と、他方に相補的な第2カセット2本鎖DNA結合配列を含む1本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記sgRNAスキャフォールド配列は、末端に制限酵素DraIサイト又は制限酵素BtgZIサイト、及びPAM配列を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記鎖置換型DNAポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性を有する鎖置換型DNAポリメラーゼである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程dにおける前記標的配列含有2本鎖DNAは、前記カセット2本鎖DNAの、前記RNAポリメラーゼのプロモーター配列及び前記sgRNAスキャフォールド配列の末端にそれぞれ結合する2種類以上のプライマーを用いるローリングサークル型増幅により得る、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プライマーが、前記鎖置換型DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性に耐性を有するプライマーである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程eにおける前記標的配列含有2本鎖DNAの切断は、前記制限酵素DraIサイト又は前記制限酵素BtgZIサイトに対応する制限酵素又はCRISPR/Casシステムによる切断である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
工程aにおける前記カセット2本鎖DNAは、
(a1)サポート配列とベース配列とを含むベース配列含有2本鎖DNAを準備する工程であって、前記ベース配列は、前記sgRNAスキャフォールド配列と、前記RNAポリメラーゼのプロモーター配列と、前記sgRNAスキャフォールド配列と前記RNAポリメラーゼのプロモーター配列との間に配置され且つ両端に制限酵素サイトを有する可変領域の配列とからなる、工程と、
(a2)前記可変領域の前記制限酵素サイトを制限酵素により切断して前記カセット2本鎖DNAを得る工程と、を含む方法により調製する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程a1における前記ベース配列含有2本鎖DNAは、前記サポート配列と前記ベース配列とを有するベース配列含有環状体ヌクレオチドを鋳型とする、前記サポート配列及び前記ベース配列の少なくとも一方に結合する2種類以上のプライマーを用いるローリングサークル型増幅により調製する、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型DNAの製造方法に関し、特にsgRNAを試験管内転写で得るための鋳型DNAの製造方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
CRISPR/Cas9システムは、様々な生物種の遺伝子操作を可能にし、基礎研究のみならず、医学を含む応用研究にも影響を与えている。特に近年では、ゲノム編集のみならず、例えばSARS-CoV-2(COVID-19)の検出等の応用利用も行われている。
【0003】
CRISPR/Cas9システムを利用するためには、crRNA(Synthetic CRISPR RNA)とtracrRNA(Trans-activating crRNA)が1つになったsgRNA(single-guide RNA)を使用する必要がある。このsgRNAをRNAポリメラーゼを使用して試験管内転写で作製する場合、対象配列毎に鋳型DNAを調製する必要がある。
【0004】
現在この鋳型DNAの調製方法としては、プラスミドベクターへのクローニング又はPCR法で調製する方法が知られている。
【0005】
非特許文献1には、プラスミドベクターへのクローニングによる、gRNA(guide RNA)を得るための鋳型DNAの調製方法が開示されている。非特許文献1の調製方法では、初めに標的配列に対する2つのDNAオリゴヌクレオチドを化学合成しておき、これらをアニーリングして2本鎖DNAオリゴヌクレオチドを作製する。その後、該2本鎖DNAオリゴヌクレオチドをベクターにライゲーションし、続いて形質転換及びダイレクトシークエンスによるポジティブクローンの選択を行うことで鋳型DNAを調製することができる。
【0006】
非特許文献2には、PCR法によるsgRNA用鋳型DNAの調製方法が開示されている。非特許文献2の調製方法では、標的配列を含むDNA、crRNA/tracrRNA配列及びcrRNA/tracrRNA配列の一部の3種類のオリゴDNAを化学合成しておき、これらのオリゴDNAをPCRにより伸長させることで鋳型DNAを調製することができる。
【0007】
また、Integrated DNA Technologies株式会社のgBlocks(登録商標)人工遺伝子合成受託サービス等を利用して鋳型DNAを合成してもらうことも行われている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
「ゲノム編集|2020」、フナコシ株式会社出版、フナコシニュース2020年5月15日号(No.703)、p.1-40(p.16の右カラム)
「ガイドRNA合成キット CUGA(登録商標)7 gRNA Synthesis Kit 別冊「参考資料」」、株式会社ニッポンジーン出版、製品マニュアル、改訂版R302、p.1-11(p.3、4)
塚本智史著「クローニング不要!gBlocks(登録商標)-based CRISPR/Cas9によるノックアウトマウスの作製」、株式会社医学生物学研究所出版、IDTテクニカルレポート、vol.1、p.1-6(p.3の図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、非特許文献1に記載されているプラスミドベクターへのクローニングによる鋳型DNAの調製方法では、形質転換及びダイレクトシークエンスによるポジティブクローンの選択に時間を要するため、鋳型DNAを調製するまでに数日程度の時間を要する。また、細胞を扱う必要があるため、gRNA製造のハイスループット化に適していない。
【0010】
また、非特許文献2に記載されているPCR法による鋳型DNAの調製では、T7プロモーター配列と、標的配列と、crRNA/tracrRNA配列の一部とを有する上記標的配列を含むDNAを化学合成する必要があるため、鋳型DNAを調製するまでに数日程度の時間が必要とされている。また、PCR法による鋳型DNAの調製方法では、合成した鋳型DNAの塩基配列の正確性に欠けることがあるため、この鋳型DNAから作製するsgRNAが所望の機能を果たさないこともあり得る。
(【0011】以降は省略されています)

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