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公開番号2023069772
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-18
出願番号2021181889
出願日2021-11-08
発明の名称圧粉磁心
出願人NTN株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類H01F 1/24 20060101AFI20230511BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】高透磁率、低鉄損、高体積抵抗率となる圧粉磁心を提供する。
【解決手段】軟磁性粒子と、軟磁性粒子の表面に形成された絶縁層とを有する圧粉磁心である。軟磁性粒子が、FeとFeより酸化しやすい元素を含み、体積基準で測定した場合の50%粒子径(D50)が10~40μmであり、10%粒子径(D10)と(D50)の比D10/D50が0.3~0.7であり、90%粒子径(D90)とD50の比D90/D50が1.5~2.5であり、密度を5.8 g/cm3以上とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
軟磁性粒子と、軟磁性粒子の表面に形成された絶縁層とを有する圧粉磁心において、
前記軟磁性粒子が、FeとFeより酸化しやすい元素を含み、体積基準で測定した場合の50%粒子径(D
50
)が10~40μmであり、10%粒子径(D
10
)と(D
50
)の比D
10
/D
50
が0.3~0.7であり、90%粒子径(D
90
)とD
50
の比D
90
/D
50
が1.5~2.5であり、
密度が5.8 g/cm
3
以上であることを特徴とする圧粉磁心。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
前記Feより酸化しやすい元素が、Siまたは、Siと元素M(M=Cr、Zn、Mn、Ti、Al のいずれか)であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
【請求項3】
前記Feより酸化しやすい元素の軟磁性粒子に占める割合が3.0mass%~7.0mass%であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧粉磁心。
【請求項4】
前記絶縁層は、Paulingの電気陰性度の差が1.7以下である元素からなる化合物を主成分とする材料であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧粉磁心。
【請求項5】
前記絶縁層は、シリカを主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の圧粉磁心。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、圧粉磁心に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
圧粉磁心は、軟磁性粉の表面を絶縁被膜で被覆し、絶縁被膜付きの軟磁性粉を圧縮成形することで製造される。圧粉磁心の用途として、DC-DCコンバータ、インバータ、スイッチング電源等に使用される変成器、さらにはノイズカット用チョークコイルなどが代表例として挙げられる。
【0003】
変成器のうち、特に電源回路の基板に実装されるインダクタ(チップインダクタ)は、数100kHz~数MHzの高周波域で使用される場合が多い。そのため、その圧粉磁心にも高周波域での使用に対応した材料組成が必要とされる。高周波になるほど圧粉磁心に吸収され、熱になる損失(鉄損)が大きくなる。この損失の大部分は渦電流損失に起因するため、渦電流損失を如何に低減するかが圧粉磁心の材料や組成を検討する上で重要な課題となる。この他、チップインダクタ用圧粉磁心には、高い体積抵抗率と高透磁率が求められる。また、耐電圧の要求水準も高まっている。
【0004】
渦電流損失を抑制するためには、圧粉磁心を構成する軟磁性粉を適切に選定する必要がある。非特許文献1に記載されているように、渦電流損失は軟磁性粉の粒子径の2乗に比例し、体積抵抗率に反比例することが知られている。したがって、渦電流損失を抑制するには、粒径が小さく、体積抵抗率の高い軟磁性粉を選定することが好適である。なお、体積抵抗率が高い軟磁性粉とは、合金成分が多く含まれる軟磁性粉と同義である。
【0005】
一方、合金成分が多く、粒径の小さい軟磁性粉を利用して圧粉磁心を作製すると、もう一つの重要指標である、透磁率が低下するという問題がある。使用条件にもよるが、電源系チップインダクタ用の軟磁性粉は、合金成分は多くても10mass%以下、平均粒径は小さくても10μm以上とするのが一般的である。圧粉磁心の透磁率を高くするという意図から、アモルファスやナノ結晶といった高透磁率材を適用する場合もある。
【0006】
ところで、特許文献1、2のように、軟磁性粉からなる圧粉磁心を酸化雰囲気で磁気焼鈍して、軟磁性粉周囲に絶縁被膜を形成し、周波数特性を向上させる方法が知られている。この場合、軟磁性粉の組成はFeとFeよりも酸化しやすい元素を含むことが必須であり、特にFeSiCr、FeAlCrが一般的に使用される。また、特許文献3のように、FeNi軟磁性粉を熱処理することで、結晶粒界に高抵抗層を設ける方法も知られている。これにより、特許文献1、2と同様に均質な絶縁被膜が得られ、鉄損や体積抵抗率に優れた圧粉磁心が得られる。
【0007】
粒度分布を限定することにより、高周波対応を図る場合もある。例えば、特許文献4に示すように、D
50
(累積粒度分布の累積50%の粒径)が5μm以下で、D
10
(累積粒度分布の累積10%の粒径)に対するD
90
(累積粒度分布の累積90%粒径)の比D
90
/D
10
が19以下となるように、軟磁性粉の粒度分布を限定している。これと軟磁性粉の硬度範囲を組み合わせることにより、高周波域で良好な磁気特性が得られる。さらには、特許文献5や特許文献6のように、軟磁性粉の累積粒度分布を調整することで、充填率と磁気特性のバランスに優れた圧粉磁心が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
武本・斉藤:電気製鋼, 第81巻, 2号 (2010) pp117-122.
特許第4866971号公報
特許第5626672号公報
特許第6855936号公報
特開2021-68749号公報
特開2021-48176号公報
特開2016-139748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2のように、軟磁性粉からなる圧粉磁心を酸化雰囲気で磁気焼鈍する場合、安定した特性(周波数特性、体積抵抗率)を得るためには、Si, Al, Crといった合金成分の量を多くする必要がある。合金成分が多くなるほど軟磁性粉が硬くなることから、圧縮性が低下する。圧縮性の低下は重要特性の一つである比透磁率の低下を引き起こす。また、圧粉磁心の表面から侵入する酸素が、合金成分と反応することで絶縁被膜を形成するが、高密度な圧粉磁心ほど内部まで酸素が拡散しにくくなるため、10 mm以上のように比較的厚みのある圧粉磁心の製造は困難となる。
【0010】
特許文献3のように、FeNi軟磁性粉を熱処理することで結晶粒界に高抵抗層を設ける方法は、Niの含有量を高くしなければならないため、特許文献1、2と同様に、圧縮性の低下による比透磁率の低下という問題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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