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公開番号2023069600
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-18
出願番号2021181596
出願日2021-11-08
発明の名称粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08G 75/025 20160101AFI20230511BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】溶融時の流動特性に優れる低分子量の粒状ポリアリーレンスルフィドの製造において、収率よく粒状ポリアリーレンスルフィドを製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
少なくともスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物、および有機極性溶媒を含む混合物を加熱して粒状ポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、以下の工程1~3を含む粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
工程1:混合物に重合助剤が特定量の存在下で混合物を加熱し、ジハロゲン化芳香族化合物の転化率を90%以上とする工程。
工程2:工程1に次いで、反応系内の水分量および重合助剤量を特定の範囲に調整し、混合物の温度をT0とする工程。
工程3:工程2に次いで、混合物の温度T0から冷却速度を段階的に変化させ冷却する工程。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
少なくともスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物、および有機極性溶媒を含む混合物を加熱して粒状ポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、以下の工程1~3を含む粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
工程1:混合物に重合助剤がイオウ1モル当たり0モル以上0.12モル未満の存在下で、混合物を210℃以上290℃以下で加熱し、ジハロゲン化芳香族化合物の転化率を90%以上とする工程。
工程2:工程1に次いで、反応系内の水分量をイオウ1モル当たり1.1モル以上4.0モル以下、かつ重合助剤量をイオウ1モル当たり0.12モル以上0.60モル以下に調整し、混合物の温度をT0(240℃≦T0≦250℃)とする工程。
工程3:工程2に次いで、混合物の温度をT0からT1(200℃≦T1≦235℃)まで冷却速度S1(0.2℃/分≦S1≦0.8℃/分)で冷却し、T1まで冷却後に、冷却速度S2(0.8℃/分<S2≦5℃/分)に変えてさらに冷却する工程。
続きを表示(約 460 文字)【請求項2】
粒状ポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量Mwが5,000以上60,000以下である請求項1に記載の粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【請求項3】
粒状ポリアリーレンスルフィドの平均粒子径が400μm以上1,500μm以下である請求項1または請求項2に記載の粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【請求項4】
重合助剤として、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩、アルカリ金属ハライド、アルカリ土類金属ハライド、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、アルカリ金属硫酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる少なくとも1種の重合助剤を用いる請求項1から請求項3のいずれかに記載の粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【請求項5】
混合物中のジハロゲン化芳香族化合物量が、スルフィド化剤のイオウ1モル当たり1.01モル以上2.00モル以下である請求項1から請求項4のいずれかに記載の粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融時の流動特性に優れる低分子量の粒状ポリアリーレンスルフィドの製造において、収率よく粒状ポリアリーレンスルフィドを製造する方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンスルフィドに代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、ポリアリーレンスルフィドをPASと略する場合もある)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質ならびに機械的性質の優れたエンジニアリングプラスチックであり、繊維、フィルム、射出成品および押出成形品に幅広く利用されている。また、近年、PAS製品の設計において薄肉化、軽量化が求められる機会が増えたことから、溶融時の流動特性に優れるPASが求められる機会が増えている。
【0003】
粒状PASを収率よく得る製造方法としては、例えば、硫黄源1モル当たり等モル未満のアルカリ金属水酸化物の存在下でジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させた後、硫黄源1モル当たり等モル以上のアルカリ金属水酸化物の存在下で重合反応を継続した後、カルボン酸塩等の少なくとも1種の助剤の存在下で重合反応を継続して、反応生成混合物を得る後段重合工程を行い、後段重合工程後に反応生成混合物を冷却する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、副生成物の生成を抑制しつつ、移送・洗浄時においても微細化や破砕が生じにくい硬いPAS粒子を形成でき、粒状PASの製品収率を向上させることができる。
【0004】
また、短時間で効率よく高分子量の粒状PASを製造する方法として、重合助剤をスルフィド化剤のイオウ成分1モル当たり0.1モル以上0.25モル未満用い、重合工程を温度で3段階に分け、それぞれの好ましい時間を規定することでPASの製造時間を短縮する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法によれば、重合時間の適正化によって効率よく粒状PASが得られるだけでなく、実質的にモノマー消費反応が終了した状態でイオウ成分1モル当たり2.0モル以上5.5モル未満の水が存在するように水を添加することで、PAS粒子の平均重量を増大させて収率よく粒状PASを得ることが可能である。
【0005】
また、溶融時の流動特性に優れる低分子量の粒状ポリアリーレンスルフィドの製造において、収率よく粒状ポリアリーレンスルフィドを製造する方法として、反応系内の水分量を、イオウ1モル当たり3.3モル以上6.0モル以下となるように調整し、温度、圧力、冷却速度を特定の値とする方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法によれば、重合反応の終了後に系内の水分量を適切な量とすることで相分離をより促進させ、200℃≦T1≦235℃の温度まで徐冷を継続して粒子を十分に成長させることで、溶融時の流動特性に優れる低分子量の粒状PASの製造において、収率よく粒状PASを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第6751580号(特許請求の範囲)
特開2018-083910号公報(特許請求の範囲)
特開2020-070445号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では、系内を相分離させた状態で冷却を行うことで平均粒子径の増大と粒子強度の向上を達成しているが、分子量の小さいPASでは効果が小さくなる傾向があり、その改善が求められていた。また特許文献1の方法では、アルカリ金属水酸化物の使用量の制御も必要であるため、より簡便な方法で平均粒子径の増大と粒子強度の向上を達成する方法が求められていた。
【0008】
また、特許文献2の方法では、実質的にモノマー消費反応が終了した状態でイオウ成分1モル当たり2.0モル以上5.5モル未満の水が存在するように水を添加することで、PAS粒子の平均重量を増大させて収率よく粒状PASを得ているが、徐冷を行う必要がある温度範囲であり、言い換えると、徐冷にかかる所要時間が長いため効率が悪く、その改善が求められていた。また、低分子量のPASで効果が得られるかどうかについては特に言及されていなかった。
【0009】
また、特許文献3の方法では、粒状PASの平均粒子径を増大させるだけでなく、製品収率の向上を達成しているが、反応系内の水分量が多く、混合物の温度と圧力バランスの制御も必要であるため、より簡便な方法で製品収率を向上させる方法が求められていた。
【0010】
そこで本発明は、かかる従来技術の課題を改良し、溶融時の流動特性に優れる低分子量の粒状PASの製造において、収率よく粒状PASを製造することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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