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公開番号2023068351
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-17
出願番号2021179373
出願日2021-11-02
発明の名称検体中の核酸を回収する方法
出願人愛知県
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類C12N 15/10 20060101AFI20230510BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】環境水や土壌中に含まれるDNAを簡易な装置でろ過分離および抽出する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】水に懸濁したガラス繊維に検体中の核酸を吸着させる工程、及び核酸が吸着したガラス繊維を、微細な編み目構造を有するシートでろ過分離することにより回収する工程を含む、検体中の核酸を回収する方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
水に懸濁したガラス繊維に検体中の核酸を吸着させる工程、及び核酸が吸着したガラス繊維を、微細な編み目構造を有するシートでろ過分離することにより回収する工程を含む、検体中の核酸を回収する方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
核酸が吸着したガラス繊維を、微細な編み目構造を有するシートでろ過分離することにより回収する工程を、
(a)液体を流入するための開口部および液体を排出するための開口部を有する袋、及び
(b)前記の液体を排出するための開口部に設置された、2つの円筒管に挟まれた微細な編み目構造を有するシート、
を有するサンプリングバッグを使用して実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数個のサンプリングバッグを並列させて、複数個の検体を同時にろ過する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
液体を排出するための開口部に吸引ポンプを連結させすることによって、ろ過時間を短縮させる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
核酸が吸着したガラス繊維を、微細な編み目構造を有するシートでろ過分離することにより回収する工程を、
液体を流入するための開口部および液体を排出するための開口部を有する吸引カップと、前記の液体を排出するための開口部から排出される液体を受けるための容器とを含み、前記吸引カップと前記容器との間に、微細な編み目構造を有するシートが設置されているDNAろ過器具を使用して実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数個のDNAろ過器具を並列させて、複数個の検体を同時にろ過する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
液体を排出するための開口部に吸引ポンプを連結させすることによって、ろ過時間を短縮させる、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
微細な編み目構造を有するシートの目開きが、0.18mm~0.28mmである、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
核酸を吸着させるためのガラス繊維が、ジルコニアビーズとともに振動数25Hzで5秒から15秒粉砕したものである、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
核酸を吸着させるためのガラス繊維の繊維長の分布が、繊維長50μm以下が10~65%、繊維長51μm以上300μm以下が30~60%、繊維長301μm以上が5~40%である、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、環境水や土壌中に含まれるDNAを簡易な装置でろ過分離および抽出する技術に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
環境DNAを環境水からろ過、分離、抽出する方法は、一般社団法人環境DNA学会発行の環境DNA調査・実験マニュアル(非特許文献1)に詳細が記載されている。非特許文献1のマニュアルでは、環境水1Lから環境DNAをろ過、分離する方法として、カートリッジ式のフィルターを用いる方法と、ガラス繊維ろ紙を用いる方法の2種類が定義されている。いずれの方法もリアルタイムPCR法または次世代シーケンサーによる分析を前提としており、DNeasy Blood and Tissue Kit(Qiagen)によりDNAを抽出する。
【0003】
上記した環境DNAのろ過、分離法は、DNAやRNAなどの核酸が、カオトロピックの塩の存在下でガラス、シリカゲル、石英ウール、シリカ、ガラス膜又はポリマーなどに吸着する原理を利用したものであり、この原理は一般的に広く知られている。この原理を利用したDNAを抽出する方法としては、ガラス繊維またはガラス粉末を組み込んだカートリッジ式のフィルターによってDNAを精製する方法(例えば、特許第3045922号公報)、電気泳動後のアガロースゲルからガラス粉末にDNAを吸着させて回収する方法(例えば、特開昭59-227744号公報)、ガラス粉末に生体試料のDNAを吸着させて遠心分離により回収する方法(特開平03-007582号公報)などが報告されている。また、DNAをシリカ粒子等の懸濁液に吸着させ、メンブレンフィルター上で回収する方法(特許第2680462号公報及び特開平10-155481号公報)も報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第3045922号公報
特開昭59-227744号公報
特開平03-007582号公報
特許第2680462号公報
特開平10-155481号公報
【非特許文献】
【0005】
一般社団法人環境DNA学会(2020)環境DNA調査・実験マニュアル ver.2.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1~5に記載されているカオトロピック物質にDNAを吸着させて回収する方法は、微量または少量のDNA溶液を対象としていることから、有機物を含む浮遊物に汚染された清浄ではない水を1L程度ろ過する必要がある一般的な環境DNA分析には適用できない。
【0007】
環境水を対象とする「環境DNA調査・実験マニュアル」(非特許文献1)に記載の方法においても、1Lを目詰まりさせることなくろ過することはしばしば困難である。同時に、これら従来の方法はいずれも施設の整った実験室で実施する必要があり、広範囲の環境DNA調査の物理的な妨げとなっていた。そこで、環境水を実験施設に持ち帰ることなく、採水現場で多量の環境DNAのろ過分離を可能とする技術の開発が求められていた。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものである。即ち、本発明は、簡易な装置で環境DNAをろ過分離および抽出する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水に懸濁したガラス繊維に検体中の核酸を吸着させ、それらのガラス繊維を微細な編み目構造を有するシートで回収することにより、簡易に検体中の核酸をろ過及び分離できることを見出した。本発明によれば、以下の発明が提供される。
【0010】
<1> 水に懸濁したガラス繊維に検体中の核酸を吸着させる工程、及び核酸が吸着したガラス繊維を、微細な編み目構造を有するシートでろ過分離することにより回収する工程を含む、検体中の核酸を回収する方法。
<2> 核酸が吸着したガラス繊維を、微細な編み目構造を有するシートでろ過分離することにより回収する工程を、
(a)液体を流入するための開口部および液体を排出するための開口部を有する袋、及び
(b)前記の液体を排出するための開口部に設置された、2つの円筒管に挟まれた微細な編み目構造を有するシート、
を有するサンプリングバッグを使用して実施する、<1>に記載の方法。
<3> 複数個のサンプリングバッグを並列させて、複数個の検体を同時にろ過する、<2>に記載の方法。
<4> 液体を排出するための開口部に吸引ポンプを連結させすることによって、ろ過時間を短縮させる、<2>又は<3>に記載の方法。
<5> 核酸が吸着したガラス繊維を、微細な編み目構造を有するシートでろ過分離することにより回収する工程を、
液体を流入するための開口部および液体を排出するための開口部を有する吸引カップと、前記の液体を排出するための開口部から排出される液体を受けるための容器とを含み、前記吸引カップと前記容器との間に、微細な編み目構造を有するシートが設置されているDNAろ過器具を使用して実施する、<1>に記載の方法。
<6> 複数個のDNAろ過器具を並列させて、複数個の検体を同時にろ過する、<5>に記載の方法。
<7> 液体を排出するための開口部に吸引ポンプを連結させすることによって、ろ過時間を短縮させる、<5>又は<6>に記載の方法。
<8> 微細な編み目構造を有するシートの目開きが、0.18mm~0.28mmである、<1>から<7>の何れか一に記載の方法。
<9> 核酸を吸着させるためのガラス繊維が、ジルコニアビーズとともに振動数25Hzで5秒から15秒粉砕したものである、<1>から<8>の何れか一に記載の方法。
<10> 核酸を吸着させるためのガラス繊維の繊維長の分布が、繊維長50μm以下が10~65%、繊維長51μm以上300μm以下が30~60%、繊維長301μm以上が5~40%である、<1>から<9>の何れか一に記載の方法。
<11> <1>から<10>の何れか一に記載の方法により検体中の核酸を回収する工程、及び
回収した核酸を用いて、LAMP法によりDNAの増幅を行う工程、
を含む、環境DNAの検出方法。
<12> (a)液体を流入するための開口部および液体を排出するための開口部を有する袋、及び
(b)前記の液体を排出するための開口部に設置された、2つの円筒管に挟まれた微細な編み目構造を有するシート、
を有するサンプリングバッグ。
<13> 液体を流入するための開口部および液体を排出するための開口部を有する吸引カップと、前記の液体を排出するための開口部から排出される液体を受けるための容器とを含み、前記吸引カップと前記容器との間に、微細な編み目構造を有するシートが設置されているDNAろ過器具。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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