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公開番号2023067348
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-16
出願番号2021178490
出願日2021-11-01
発明の名称吸着材料、及び吸着カラム
出願人東レ株式会社
代理人
主分類A61M 1/36 20060101AFI20230509BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】本発明は、免疫抑制性白血球を選択的に吸着できる吸着材料を提供する。
【解決手段】ポリアミン及び脂肪族アミンからなる群より選択される1種以上の窒素含有化合物が結合した水不溶性担体を含み、前記水不溶性担体の形状が繊維又は粒子であり、前記繊維又は前記粒子の長径が15μm以上50μm以下であり、前記水不溶性担体を生理食塩水(以下、充填液、という)に浸して蒸気滅菌をした時に、蒸気滅菌後の充填液中の溶出物の量が60μg/g以下である、細胞の吸着材料。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ポリアミン及び脂肪族アミンからなる群より選択される1種以上の窒素含有化合物が結合した水不溶性担体を含み、
前記水不溶性担体の形状が繊維又は粒子であり、
前記繊維又は前記粒子の長径が15μm以上50μm以下であり、
前記水不溶性担体を生理食塩水(以下、充填液、という)に浸して蒸気滅菌をした時に、蒸気滅菌後の充填液中の溶出物の量が60μg/g以下である、細胞の吸着材料。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記水不溶性担体の表面の算術平均粗さが0.01μm以上3.0μm以下である、請求項1に記載の吸着材料。
【請求項3】
前記窒素含有化合物が、以下の式(3)で表されるポリアミンである、請求項1~2のいずれかに記載の吸着材料。




N-X-NR



・・・式(3)
[式(3)中、Xは、2~20個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は、3~20個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基において1~5個の炭素原子を窒素原子で置き換えたヘテロ原子含有炭素鎖であり、該窒素原子に結合する水素原子は、アミノ基を有していてもよいアルキル基で置換されていてもよい。R

~R

は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。]
【請求項4】
前記窒素含有化合物は、リンカーを介して前記水不溶性担体に結合している、請求項1~3のいずれかに記載の吸着材料。
【請求項5】
前記細胞が免疫細胞である、請求項1~4のいずれかに記載の吸着材料。
【請求項6】
前記免疫細胞がLAP陽性免疫細胞である、請求項5に記載の吸着材料。
【請求項7】
前記LAP陽性免疫細胞は、LAP陽性T細胞又はLAP陽性血小板である、請求項6に記載の吸着材料。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の吸着材料を内蔵した吸着カラム。
【請求項9】
血液浄化療法に用いるための、請求項8に記載の吸着カラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、LAP陽性免疫細胞などの細胞の吸着材料及び吸着カラムに関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
がんは、免疫と密接に関係していることが明らかとなってきており、近年、多くの進行がんで免疫抑制性の血液成分が上昇していることが報告されてきている。その血液成分の一つが白血球であり、リンパ球、顆粒球、単球に分類される。それぞれの白血球は、さらに細分化され、例えば、リンパ球は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞等に分類される。
【0003】
がん細胞は、Transforming growth factor-β(TGF-β)に代表される免疫抑制物質を産生することで、免疫抑制性のT細胞を誘導し、免疫機構から逃避する機構を備えていることが知られている。TGF-βは、分子量7.5万のLatency Associated Peptide(LAP)と非共有結合で会合した、生理活性のない潜在型LAP-TGF-β複合体として産生される。タンパク分解酵素や細胞接着分子によりLAPが切断されると、TGF-βは各種細胞上のTGF-β受容体に結合できるようになり、生理機能を発揮する。
【0004】
潜在型LAP-TGF-β複合体は、がん細胞だけでなく、一部の免疫細胞の細胞膜にも結合していることが知られている。このLAP-TGF-β複合体が結合している免疫細胞はLAP陽性免疫細胞と呼ばれ、がん細胞の免疫機構からの逃避の一因にもなっている。特に、LAP陽性免疫細胞の内、LAP陽性T細胞は、がん細胞に対するTGF-βの提供源として着目されており、これを除去するための吸着材の開発が進められてきた。
【0005】
一方、血小板もTGF-βの提供源の一つであることが知られている。そのため、免疫抑制物質TGF-βの提供源であるLAP陽性T細胞及びLAP陽性血小板を合わせたLAP陽性免疫細胞を同時に除去することができれば、がんの治療効果がより高まることが予想される。
【0006】
がんを治療する方法として、免疫チェックポイント抗体等、がん細胞から発せられる免疫抑制シグナルの伝達を阻害する薬剤が開発されているが、薬剤の副作用により、自己免疫疾患に罹患する例も認められている。
【0007】
また、副作用を低減しつつ免疫機能を向上させるために、患者自身の白血球でがん細胞を排除する細胞療法も行われている。代表的な方法として、体外でがん抗原を取り込ませた患者の樹状細胞を患者に戻すことで、がん特異的キラーT細胞を誘導して治療する樹状細胞輸注療法がある。しかしながら、現状では、この治療法は治療効果が不十分であるとされている。その理由の一つとして、免疫抑制系の亢進が推測されている。
【0008】
一方で、TGF-βの提供源であるLAP陽性免疫細胞を除去することができれば、がん細胞に対する免疫応答が維持され、がん細胞の死滅やがんの進展抑制が可能になると期待される。
【0009】
特許文献1は、白血球を除去する材料として、不織布の繊維径や嵩密度等に特徴を有するフィルターを開示しており、具体的には、繊維の直径が3μm未満で、嵩密度が0.15g/cm

を超え0.50g/cm

以下の不織布からなる白血球除去フィルターを開示している。
【0010】
特許文献2は、繊維径や表面積等に特徴を有する吸着材料を開示しており、具体的には、繊維径が0.5~10μmの繊維を含み、かつ表面積が0.5m

以上10m

未満である吸着体を充填してなる細胞吸着カラムであって、吸着体充填容積が100ml以下であることを特徴とする細胞吸着カラムを開示している。
(【0011】以降は省略されています)

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