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公開番号2023067295
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-16
出願番号2021178391
出願日2021-10-30
発明の名称航走体及び航走体の粘性抵抗低減方法
出願人個人
代理人
主分類B63B 1/12 20060101AFI20230509BHJP(船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品)
要約【課題】比較的船速が遅く粘性抵抗の割合が大きい船舶や潜水艦などの航走体において、航走体が移動する際に水に接する船体没水部が水から受ける摩擦抵抗や圧力抵抗などの粘性抵抗を小さくする。
【解決手段】航走体1の船体没水部2の水線面形状、特に船尾側の水線面形状にNACA0020等の対称翼の形状若しくは近似の形状を採用して、航走体1の船尾の水流を整流して渦流の発生を抑制し、これにより、船体没水部2の形状に起因する粘性抵抗を減少する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
航走時に水面下の船体没水部(2)を有する航走体(1)であって、
航走体の前後方向(X)における前記船体没水部(2)の浮心(Pf)よりも後方を船体没水後半部(2b)としたときに、
航走体の上下方向(Z)における前記船体没水部(2)の70%から100%の第1上下範囲(Rz)で、かつ、航走体の前後方向(X)における前記船体没水後半部(2b)の70%から100%の第1前後範囲(Rx1)である範囲の水平断面で、
前記船体没水後半部(2b)の水線面(3(z))の外形線(Ls(z))が、
前記船体没水後半部(2b)の水線面(3(z))の外形線(Ls(z))に内接する対称翼型(20(z))の外形線(L1(z))と、前記船体没水後半部(2b)の水線面(3(z))の外形線(Ls(z))に外接する対称翼型(30(z))の外形線(L2(z))の間に入っているとともに、
前記船体没水後半部(2b)において、前記内接する対称翼型(20(z))の面積(S1(z))が、前記外接する対称翼型(30(z))の面積(S2(z))の80%以上100%以下であるように構成されていることを特徴とする航走体。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
航走体の上下方向(Z)における前記船体没水部(2)の70%から100%の第1上下範囲(Rz)で、かつ、航走体の前後方向(X)における航走体の全長(Lb)の70%から100%の第2前後範囲(Rx2)である範囲の水平断面で、
前記船体没水部(2)の水線面(3(z))の外形線(Ls(z))が、
前記船体没水部(2)の水線面(3(z))の外形線(Ls(z))に内接する対称翼型(20(z))の外形線(L1(z))と、前記船体没水部(2)の水線面(3(z))の外形線(Ls(z))に外接する対称翼型(30(z))の外形線(L2(z))の間に入っているとともに、
前記内接する対称翼型(20(z))の面積(S1(z))が、前記外接する対称翼型(30(z))の面積(S2(z))の80%以上100%以下であるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の航走体。
【請求項3】
前記内接する対称翼型(20(z))の外形線(L1(z))と前記外接する対称翼型(30(z))の外形線(L2(z))が、同一形状又は相似形状であるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の航走体。
【請求項4】
前記内接する対称翼型(20(z))の外形線(L1(z))と前記外接する対称翼型(30(z))の外形線(L2(z))が、航走体の上下方向(Z)における前記第1上下範囲(Rz)で、同一形状又は相似形状であるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の航走体。
【請求項5】
航走時に航走用の推力を発生する推進用機器(7)を前記船体没水部(2)の側部(2e)又は底部(2f)に配置するとともに、前記推進用機器(7)を用いて航走するように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の航走体。
【請求項6】
航走時の推力を発生する推進用機器(7)を単数又は複数用いて回頭をするように構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の航走体。
【請求項7】
航走体の前後方向(X)に関して、前記船体没水部(2)の全長を基準長(Lb)とし、前記船体没水部(2)の前端から前記基準長(Lb)の1/4の距離の位置を基準位置(Ps)とし、前記基準位置(Ps)に対して前記基準長(Lb)の10%の長さの分だけ前方の位置を第1位置(P1)とし、前記基準位置(Ps)に対して前記基準長(Lb)の10%の長さの分だけ後方の位置を第2位置(P2)として、
前記推進用機器(7)の後端の位置を推進器位置(Px)としたときに、前記推進器位置(Px)が前記第1位置(P1)と前記第2位置(P2)との間の第3前後範囲(Rx3)にあるように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の航走体。
【請求項8】
航走体の前後方向(X)に関して、前記船体没水部(2)の全長を基準長(Lb)とし、前記船体没水部(2)の浮心(Pf)の位置を基準位置(Ps)とし、前記基準位置(Ps)に対して前記基準長(Lb)の10%の長さの分だけ前方の位置を第1位置(P1)とし、前記基準位置(Ps)に対して前記基準長(Lb)の10%の長さの分だけ後方の位置を第2位置(P2)として、
前記推進用機器(7)の後端の位置を推進器位置(Px)としたときに、前記推進器位置(Px)が前記第1位置(P1)と前記第2位置(P2)との間の第3前後範囲(Rx3)にあるように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の航走体。
【請求項9】
航走体の前後方向(X)に関して、前記船体没水部(2)の全長を基準長(Lb)とし、前記船体没水部(2)の最大幅の中心(Pb)の位置を基準位置(Ps)とし、前記基準位置(Ps)に対して前記基準長(Lb)の10%の長さの分だけ前方の位置を第1位置(P1)とし、前記基準位置(Ps)に対して前記基準長(Lb)の10%の長さの分だけ後方の位置を第2位置(P2)として、
前記推進用機器(7)の後端の位置を推進器位置(Px)としたときに、前記推進器位置(Px)が前記第1位置(P1)と前記第2位置(P2)との間の第3前後範囲(Rx3)にあるように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の航走体。
【請求項10】
前記推進用機器(7)が電気を駆動源とする電気推進システムを用いているか、あるいは前記推進用機器(7)が流体圧を駆動源とする流体圧システムを用いているかのいずれか一方であるように構成されていることを特徴とする請求項5~9のいずれか1項に記載の航走体。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水に接する面を有する航走体及び航走体の粘性抵抗低減方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
水上を航行する船舶や水中を潜航する潜水船等の航走体においては、航走体が移動する際に水に接する面が水から粘性抵抗を受けるため、これに抗する推進力を発揮する必要がある。
【0003】
一般に、水上を航行する船舶の抵抗を推定する際には、空気抵抗の他では、水による抵抗として、粘性抵抗と剰余抵抗の2つに分けて推定したり、無次元値のフルード数が関係する造波抵抗成分と、無次元値のレイノルズ数が関係する摩擦抵抗成分と、その他(形状抵抗、飛沫抵抗等)の3つに分けたりして推定している。
【0004】
この粘性抵抗の内の摩擦抵抗成分は、大型タンカーなどでは、全抵抗の約8割を占めることもあるので、この摩擦抵抗を減少することは、船舶の推進機関の大きさを著しく低減でき、これにより、運航時の燃料を低減できる可能性を占めているとして、多くの摩擦抵抗低減方法が提案されてきている。
【0005】
しかしながら、この摩擦抵抗の大きさの推定においては、船型模型を用いた水槽試験では、相似側のレイノルズ数(Rn=ρUL/μ=「流体の密度」×「代表速度」×「代表長さ」/「粘性係数」=「代表速度」×「代表長さ」/「動粘性係数」)を合わせるためには、実船のn分の一の寸法の船型模型の速度を、実船の速度のn倍にする必要があり、船型模型の速度が高速になり過ぎて難しいという問題がある。そのため、現状では、以下のような方法で粘性抵抗、特に摩擦抵抗の低減を図っている。
【0006】
この船舶の摩擦抵抗を低減する方法としては、船底や船側に設けた空気吹出し口から空気を吹き出して船体の表面を気泡やマイクロバブルで覆うことで摩擦抵抗を減少する空気吹き出し方法(空気潤滑法、気体潤滑法とも言われる)と、船体表面を摩擦抵抗の小さい形状に変化させる方法と、船体表面の境界層を制御する方法、流体中にポリマーを添加する方法、水性の液体の摩擦抵抗を大きく低減させることのできる摩擦低減剤、摩擦低減剤を含有する塗料、および摩擦低減剤を用いた摩擦低減方法等がある。
【0007】
この空気吹き出し方法では、例えば、船内の圧縮機で空気を圧縮して、500kPa(好ましくは、700kPa~1300kPa)に加圧した圧縮空気を生成する。そして、この圧縮された空気を、船内の気体室から船首側の船側外板と船底に沿って設けられた複数の空気吹き出し口を経由して、その噴出量を均一化しながら船体外部の水中に吹出して、この空気で形成される気泡で船体を覆うことにより、船体の摩擦抵抗の低減を図っている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0008】
また、この空気吹き出し方法においては、気泡を没水面の広い面に広げるために、船底において、船尾側に向けて喫水が深くなる傾斜面を、空気吹出し部より船尾側に設けたり、凹部を空気吹出し部より船尾側に設けたり、空気拡散を抑制するガイド部を、空気吹出し部より船幅方向の外側に設けたりして、船底に供給された気泡の散逸を防止する方法も提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0009】
この空気吹き出し方法の気泡供給に関しては、空気送出手段を用いずに船底部にバブル(気泡)を発生させて摩擦抵抗を低減する方法として、船首部に空気ダクト部と翼部とウォータージェット推進部を設けて、ウォータージェット推進部から翼部に向けて水を噴射することにより翼部の上側の圧力を低下させ、それにより、空気ダクト部から空気を吸引して船底部にバブルを発生させて、ブロワーやコンプレッサ等の空気送出手段を用いずに船底部にバブルを含む二相流を供給することで、摩擦抵抗を低減する船舶が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0010】
また、空気吹き出し方法において、平板翼を備えたマイクロバブル発生貫流ポンプを船首部水面下の船体側面外板部に設置し、並びに、船首部中空立杭の船体底面部にマイクロバブル発生貫流ポンプを設置して、マイクロバブルによる船体の側面と底面の摩擦低減と船首部に発生する造波抵抗の両方の低減を図る船体流体抵抗低減装置も提案されている(例えば、特許文献6参照)。
(【0011】以降は省略されています)

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