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公開番号2023064269
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-11
出願番号2021174443
出願日2021-10-26
発明の名称清酒
出願人宝酒造株式会社
代理人個人,個人
主分類C12G 3/022 20190101AFI20230501BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】今までにない新しい風味を備えた、風味良好な清酒を提供する。
【解決手段】酢酸イソアミル含量がアルコール濃度15v/v%換算で15mg/L以上23mg/L以下であり、カプロン酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で0.5mg/L以上2.2mg/L以下であり、かつ酢酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で75mg/L以上160mg/L以下であることを特徴とする清酒が提供される。本発明の清酒は、みずみずしく、豊かなフレッシュ感のある香気の、風味良好な酒質を有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
酢酸イソアミル含量がアルコール濃度15v/v%換算で15mg/L以上23mg/L以下であり、
カプロン酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で0.5mg/L以上2.2mg/L以下であり、
酢酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で75mg/L以上160mg/L以下であることを特徴とする清酒。
続きを表示(約 490 文字)【請求項2】
前記酢酸イソアミル含量がアルコール濃度15v/v%換算で16mg/L以上22mg/L以下であることを特徴とする請求項1に記載の清酒。
【請求項3】
前記カプロン酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で1.0mg/L以上2.0mg/L以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の清酒。
【請求項4】
前記酢酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で100mg/L以上140mg/L以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の清酒。
【請求項5】
前記酢酸イソアミル含量がアルコール濃度15v/v%換算で16mg/L以上22mg/L以下であり、
前記カプロン酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で1.0mg/L以上2.0mg/L以下であり、
前記酢酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で100mg/L以上140mg/L以下であることを特徴とする請求項1に記載の清酒。
【請求項6】
非発泡性であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の清酒。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は清酒に関する。本発明の清酒は、香味良好な風味を有する高品質のものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、消費者の嗜好の多様化に伴い、清酒において多岐にわたる製品が開発されている。その一例として、吟醸香の高い清酒が挙げられる。清酒における代表的な吟醸香をもたらす成分としては、リンゴ様の香気のカプロン酸エチルや、バナナ様の酢酸イソアミル等といったエステル類が知られている。これら吟醸香を生成させるにあたっては、「吟醸造り」と呼ばれる、高精白(精米歩合60%以下)の原料米を用い、低温での発酵を行う方法が主にとられてきた。しかしこうした方法では、原価が高くなる、発酵期間が長く必要になる等、製造に一定の制約が生ずる上、目的である吟醸香の生成も不安定である欠点があった。そこで、吟醸香を多く生成する酵母を様々な方法で選抜・分離して清酒製造に用いる方法が開発され、今では一般的になっている。
【0003】
酢酸イソアミルを高生成する酵母の取得方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法が知られている。この方法によれば、ロイシンアナログであるトリフルオロロイシンや、ステロイドの一種であるプレグネノロンを含有する培地に生育する酵母を選抜することにより、酢酸イソアミル高生成株が取得できるとされる。また特許文献2には、オーレオバシジン耐性株を選抜することで、酢酸イソアミル高生成株を取得できる旨の記載がある。また、カプロン酸エチルを高生成する酵母の取得方法としては、非特許文献1にも記載された、セルレニン耐性酵母を選抜する方法が広く知られている。
【0004】
一方、酢酸イソアミルやカプロン酸エチルと同じく清酒中に存在するエステル系成分として、酢酸エチルが知られている。非特許文献2によれば、酢酸エチルは、上立香の一成分として官能に寄与しているとされ、清酒中におけるその濃度は、20から60mg/L程度と、決して高い値ではない。また非特許文献3によれば、酒類の官能において「酢酸エチル(臭)」が取りあげられるのは、その濃度が高くなりオフフレーバーとしてみなされた場合であるとされる。
【0005】
酢酸エチルは、特に、仕込がうまくいかなかった場合に多く生じる。例えば、清酒を含む多くの醸造物において、本来意図していた発酵を妨げる、産膜酵母の増殖が問題となることがある。非特許文献4には、このような産膜酵母によって酢酸エチルが多量に生成される旨の記載がある。また非特許文献5には、醪品温が低すぎた場合等、発酵管理が適切でない場合に、酢酸エチルが生成するとの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2002-191355号公報
特開2017-121204号公報
【非特許文献】
【0007】
Eiji ICHIKAWA et al., "Breeding of a Sake Yeast with Improved Ethyl Caproate Productivity", Agricultural and Biological Chemistry, 55(8), 2153-2154, 1991
日本醸造協会編、「醸造物の成分」日本醸造協会、平成11年12月10日、p.28
宇都宮 仁、「フレーバーホイール 専門パネルによる官能特性表現」化学と生物、2012年、第50巻、第12号、p.897-903
小泉武夫、「酵母の生成する香気について(第1報) 各種酵母の生産する香気成分の比較」日本醸造協会誌、1967年、第63巻、第4号、p.446-456
「灘の酒 用語集 酢酸エチル臭・酢エチ臭」灘酒研究会、インターネット<URL: http://www.nada-ken.com/main/jp/index_sa/454.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、酢酸イソアミルやカプロン酸エチルの香気に着目し、これらの成分を多く含んだ清酒を得るための取り組みが数多くなされてきた。一方、同じエステル系成分である酢酸エチルについては、オフフレーバーと認識されているか、上立香の一成分として寄与しているにすぎず、この濃度を積極的に増加させるような試みはなされていない。本発明の目的は、これらのエステル系成分に着目した、今までにない新しい風味を備えた清酒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明者らはエステル系成分に着目し、風味に優れた新しい清酒を開発すべく検討を重ねた。その結果、酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、及び酢酸エチルについて、それぞれの濃度を適切に設定することで、しぼりたて清酒のようなみずみずしさや豊かなフレッシュ感を持った風味良好な清酒を提供できることを見出した。
【0010】
本発明の1つの様相は、酢酸イソアミル含量がアルコール濃度15v/v%換算で15mg/L以上23mg/L以下であり、カプロン酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で0.5mg/L以上2.2mg/L以下であり、かつ酢酸エチル含量がアルコール濃度15v/v%換算で75mg/L以上160mg/L以下であることを特徴とする清酒である。
(【0011】以降は省略されています)

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