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公開番号2023060782
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-04-28
出願番号2021170578
出願日2021-10-18
発明の名称画像箔転写シート、画像箔転写シートの製造方法、画像箔の転写方法
出願人株式会社アイエヌジー
代理人個人
主分類B44C 1/17 20060101AFI20230421BHJP(装飾技術)
要約【課題】
箔シートと非接触型印刷機を用いて、複雑な図形や小さな文字など、プリンターで印刷可能な所望の画像の形状の画像箔を対象物に転写可能な画像箔転写シートをより簡易な構成で実現するとともに、従来技術よりもさらに簡略化した工程での製造方法と、該画像転写シートを用いた画像箔の転写方法を提供する。
【解決手段】
セパレーターの片面に剥離可能な第1の糊層を設けた糊付き離型シートの前記第1の糊層の全面に箔層が積層され、前記箔層の表面の一部にはクリアインクにより任意の形状の画像を印刷してなるクリア層を有し、前記クリア層とクリア層のない部分の箔層の全面に第2の糊層、アプリケーションシートを順に積層して成る画像箔転写シートであって、前記第1の糊層は前記箔層に対して易接着性を有し、前記第2の糊層は前記箔層に対しては易接着性を有するとともに前記クリア層に対しては離型性を有することを特徴とする、画像箔転写シート。
【選択図】 図1


特許請求の範囲【請求項1】
セパレーターの上面に剥離可能な第1の糊層を設けた糊付き離型シートの前記第1の糊層の上面に箔層を有し、前記箔層の上面にクリアインクにより任意の形状の画像を印刷してなるクリア層を有し、前記クリア層を含む前記箔層の上面には下面に第2の糊層を有するアプリケーションシートを設けて成る画像箔転写シートであって、前記第1の糊層は前記箔層に対して易接着性を有し、前記第2の糊層は前記箔層に対しては易接着性を有するとともに前記クリア層に対しては離型性を有することを特徴とする、画像箔転写シート。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
前記クリア層と前記箔層との間の全部又は一部に有色インクからなるカラー層を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の画像箔転写シート。
【請求項3】
前記セパレーターの上面には微細な凸部を一面に設けてなり、前記第1の糊層の下面には前記凸部に対応した微細な凹部が一面に形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像箔転写シート。
【請求項4】
少なくとも、(1)セパレーターの上面に剥離可能な第1の糊層を設けた糊付き離型シートの前記第1の糊層の上面に箔を貼り付けて箔層を設ける箔貼付工程と、(2)前記箔層の上面に任意の形状の画像をクリアインクにより印刷してクリア層を設けるクリア印刷工程と、(3)前記クリア層を含む前記箔層の上面に、下面に第2の糊層を有するアプリケーションシートの該第2の糊層側を貼り付けるシート化工程とから成り、前記第1の糊層は前記箔層に対して易接着性を有し、前記アプリケーションシートの第2の糊層は前記箔層に対しては易接着性を有するとともに前記クリア層に対しては離型性を有することを特徴とする、画像箔転写シートの製造方法。
【請求項5】
前記箔貼付工程の後、前記クリア印刷工程の前に、前記クリア層による画像を設ける範囲内の箔層の全部又は一部に有色インクで任意の形状を印刷するカラー印刷工程を設けたことを特徴とする、請求項4に記載の画像箔転写シートの製造方法。
【請求項6】
前記セパレーターの上面には微細な凸部を一面に設けてなり、前記第1の糊層の下面には前記凸部に対応した微細な凹部が一面に形成されていることを特徴とする、請求項4または請求項5のいずれかに記載の画像箔転写シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像箔転写シートから前記セパレーターを剥離し、前記第1の糊層の露出した下面を転写対象物に圧着した上で前記アプリケーションシートを剥離除去することで、前記クリア層とその直下の少なくとも箔層とから成る画像のみを転写対象物に転写することを特徴とする、画像箔の転写方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、転写対象物の表面に任意の画像の形状の金属箔を転写するための画像箔転写シートと、該画像箔転写シートの製造方法、該画像箔転写シートを用いた転写対象物への画像箔の転写方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
画像を転写対象物に転写する転写印刷としては、水転写、熱転写、昇華転写、乾式転写等の技術が知られている。中でも、基材シート上に仮着した画像層の裏面に接着剤を塗布した上で、押圧によって画像層を転写対象物の表面に移行させて接着する乾式転写は、転写時に画像に縁が残らないため、転写対象物に直接印刷したように見え、カッティングプロッター等による後処理も不要といった特徴を有する。
【0003】
本願発明者は、かかる乾式転写技術の簡便化に取り組み、非特許文献1に記載の製品「スマートペーパー(商品名)」を開発して製造販売してきた。これは、表面に離型可能処理を施したPET(ポリエチレンテレフタラート)製の基材シートであり、その表面にレーザープリンター等のトナー印刷によって鏡像の画像を印刷して画像層を形成し、該画像層上にアクリル系の糊を塗布して乾燥させた後、基材シートを転写対象物に密着させて押圧を加え、基材シートを剥離すると画像層のみが正像にて転写対象物に接着され転写が完了するものである。該スマートペーパーは、工程が極めて簡易であるだけでなく、溶剤等を使用しないため環境負荷の問題も生じない。また、転写に際して水を使用せず熱も加えないため、金属、ガラス、合成樹脂はもとより紙、木、皮革、繊維(布)、陶器まで適用可能な転写対象物の素材が幅広い。さらに、画像層を柔軟な基材シート上に仮着させた上で転写するため、直接プリンターを通せない立体物や曲面にも転写可能であるなど、乾式転写のコスト低減、適用範囲の拡大、作業の簡易化・効率化の効果を奏するものである。
「スマートペーパー」の説明(出願人ウェブサイトのページ)URL:https://ing-global.net/smartpaper/
【0004】
また、本願発明者は、特許文献1に示す如く、スマートペーパーをさらに発展させ、上層の転写フィルムと下層の糊層との間に画像層を設け、該転写フィルムを、画像層に対しては離型性を有するとともに糊層に対しては易接着性を有するものとしたことを特徴とする画像転写シートを開発、すでに特許権(特許第6260878号)を取得し、製造販売している。該画像転写シートは、スマートペーパーのように、転写対象物に糊を塗布して糊層を形成したり、転写後に画像からはみ出した糊を除去したりする必要がないため、転写作業のコストや作業負担を低減でき、仕上りも均質化できるという有利な効果を奏する。また、該画像転写シートはUV印刷に対応可能であり、画像転写シートを製造する際に、糊付き離型シートの糊層の上面に任意の画像を正像で、かつ、インクを印刷機の仕様上可能な範囲で所望の厚みで積層して画像層を形成できる。転写対象物に直接印刷したかのような仕上がりが得られ、特にUV印刷の特徴を活かして、パッケージ印刷等に好適な立体感の高い印刷が可能となった。そして、画像転写シートは、印刷機で直接印刷しにくい大きさや形状の平面や立体物に画像転写が可能であるから、印刷機の高度な設定や専用治具も不要となった。そのため、少量多品種製品やそのパッケージへの印刷、量産品のオリジナル化・カスタマイズ化、製品開発段階での試作品・サンプル品等への印刷等の大幅なコスト低減が可能となった。
特開2017-209931号公報
【0005】
一方、転写画像に高級感を付与したり、より多彩な表現を実現するために、金箔や銀箔などの金属箔を所望の画像として転写対象物に転写することへの要望が以前から存在したが、上述の先行技術では困難であった。一般的な内装用・装飾用の金属箔は、プラスティックフィルム等の基材の表面に金属を蒸着し、裏面に粘着剤層(一般的にはホットメルト接着剤)を設けた「箔シート」と呼ばれるものが普及している。これらは、カッティングシートのように必要な形状にカットして対象物に直接貼り付けて加熱することで基材ごと金属箔を転写対象物に接着するものであるが、複雑な図形や小さな文字をカットすることは難しく、手間も掛かる。また、基材ごと対象物に貼り付けるため、特に繊細な図形などの場合には、基材の厚みが仕上りの品質を低下させるという問題もあった。
【0006】
他の箔押しの手段としては、受治具に固定した対象物に箔を載せて、その上から金属板の表面に画像を凸版として設けてなる版板を加熱して押し付けることで、凸版部分の箔を対象物の表面に融着させるホットスタンプと呼ばれる技術も知られている。しかし、版板の製作にコストがかかるため、対象物が少量の場合や多数の画像を箔押し加工する場合には、経済性に問題があった。また、対象物に応じた治具を用意しなければならず、対象物の形状によってはホットスタンプが適用しにくい場合もあった。もちろん、対象物が熱に弱い樹脂製である場合には、そもそも適用できなかった。
【0007】
ここで、プリンターによって対象物にインクで印刷するように金属箔で所望の形状の画像層を形成し、画像転写シートを用いて対象物に転写することができれば転写画像の質感の向上や表現力の向上に極めて有効である。その点、スマートペーパー等の先行技術に係る画像転写シートは糊層に直接画像を印刷してシールのように対象物に貼り付け、画像のみを転写することができる。しかし、表面全体に糊層を設けているため、箔シートを貼り付けると全面が画像転写シートに接着されてしまい、所望の画像部分だけを転写することはできないという問題があった。
【0008】
そこで、本願発明者は、特許文献2に示す如く、インクジェットプリンターで印刷した上層の第一のクリア層と下層の第二のクリア層との間に金属箔を挟んでなる画像層を、転写対象物に糊層によって接着する方法で転写する技術を開発し、すでに特許権(特許第6353616号)を取得し、製造販売している。本発明によれば、箔シートはあらかじめ2つのクリア層に挟まれた画像部分のみが抜き出された状態で糊層上に残されて転写され、不要な箔はあらかじめ除去されるので、前記の問題は解決する。これにより、印刷データどおりの所望の画像を金属箔として物品の表面に容易かつ自在に転写可能となるため、従来は製版の費用や多大な手間・時間を要していた「箔押し」や「箔付け」を極めて低コストかつ効率的に実現できる。特に、少量多品種製品やそのパッケージへの転写、量産品のオリジナル化・カスタマイズ化、製品開発段階での試作品・サンプル品等への「箔押し」や「箔付け」への利用可能性が大きく、また、建築の内装や装飾にも利用可能となっている。
特開2018―011356号公報
【0009】
しかし、この発明に係る画像箔転写シートは、対象物への画像箔の転写自体は極めて簡便であるものの、その製造には多段に渡る複雑な工程が必要であった。具体的には、(1)離型シートの表面にクリアインク又はプライマーで所望の画像を正像印刷して第二のクリア層を形成する第一印刷工程、(2)箔シートの箔面側を離型シートの表面に圧着後、箔シートを剥離して第二のクリア層にのみ箔を転写する箔転写工程、(3)転写された箔の表面にクリアインク又はプライマーで第一のクリア層を印刷して画像層を形成する第二印刷工程、(4)アプリケーションシートを離型シートの表面に圧着してアプリケーションシートに画像層を転写後、離型シートを剥離除去する画像転写工程、(5)片面に糊層を剥離可能に設けたセパレーターの糊層側にアプリケーションシートの画像層を有する面を貼り付けることで画像箔転写シートを得るセパレーター貼付工程、といった5段階の行程が必要であり、製造工程の簡略化による製造のさらなる効率化・コストダウンが求められていた。
【0010】
なお、同様に基材を用いずに画像箔のみを転写対象物に転写する先行技術としては、特許文献3に係る「金属箔の転写方法」や特許文献4に係るラテックスインク、これを用いた箔画像形成方法、積層体、壁紙」が知られている。しかし、特許文献3に係る発明は、基体上の金属箔の表面にホットメルト接着層が形成された積層体のホットメルト接着層の表面に硬化型インクを印刷してマスク画像を形成して転写材とし、該転写材のホットメルト接着層を転写対象物に重ねて熱プレスした上で基体を引き離すことでマスク画像の鏡像で金属箔を転写するものである。この発明では転写時に必ず熱プレスを要するため、熱による転写対象物の変性のおそれがあるだけでなく、熱プレスを与えにくい立体物や凹凸面への適用は困難である。また、特許文献4に係る発明は、基材上にラテックスインクでパターン状に形成された接着層に転写箔を加熱圧着し、前記接着層上に箔転写層を形成して箔画像を形成するものである。この発明では画像箔を形成する際に加熱を要するため、箔の種類によっては箔自体が変性するおそれがあるだけでなく、ラテックスインクで画像を接着層として形成することは、インクによる画像の印刷に比べてどうしても精度が劣らざるを得ず、壁紙のパターン形成には適用できても高精細な画像の形成には不向きである。また、ラテックスインクの調製やノズル詰まりの防止等の難易度も高く、コスト高とならざるを得ない。
特開2012-210715号公報
特許第6424894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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