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公開番号2023058035
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-04-24
出願番号2022164016
出願日2022-10-12
発明の名称熱成形容器及びその製造方法
出願人株式会社クラレ
代理人個人
主分類C08L 29/04 20060101AFI20230417BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含み、溶融成形の際のネックイン及びダイビルドアップが抑制された樹脂組成物を用いて形成された層を有し、ガスバリア性の均一性が高く且つ外観が良好な熱成形容器等の提供。
【解決手段】樹脂組成物からなる層(α)を有し、上記樹脂組成物が、EVOH(A)及びクロトンアルデヒド(B1)を含み、2,4-ヘキサジエナール(B2)及び2,4,6-オクタトリエナール(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含む、熱成形容器。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
樹脂組成物からなる層(α)を有し、
上記樹脂組成物が、エチレン単位含有量が20モル%以上60モル%以下であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)及びクロトンアルデヒド(B1)を含み、2,4-ヘキサジエナール(B2)及び2,4,6-オクタトリエナール(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含み、
上記樹脂組成物が、下記式(1)及び(2)を満たす、熱成形容器。
2.0≦b

/(b

+b

)<150.0 ・・・(1)


+2b

≦0.65 ・・・(2)
上記式(1)及び(2)中、b

は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対するクロトンアルデヒド(B1)の含有量(ppm)であり、b

は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対する2,4-ヘキサジエナール(B2)の含有量(ppm)であり、b

は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対する2,4,6-オクタトリエナール(B3)の含有量(ppm)である。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
上記樹脂組成物において、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対するクロトンアルデヒド(B1)、2,4-ヘキサジエナール(B2)及び2,4,6-オクタトリエナール(B3)の含有量の合計(b

+b

+b

)が0.01ppm以上7.0ppm以下である、請求項1に記載の熱成形容器。
【請求項3】
上記樹脂組成物において、クロトンアルデヒド(B1)の含有量b

が0.01ppm以上4.0ppm以下である、請求項1又は2に記載の熱成形容器。
【請求項4】
上記樹脂組成物において、2,4-ヘキサジエナール(B2)の含有量b

が0.005ppm以上0.65ppm以下である、請求項1又は2に記載の熱成形容器。
【請求項5】
上記樹脂組成物において、2,4,6-オクタトリエナール(B3)の含有量b

が0.325ppm以下である、請求項1又は2に記載の熱成形容器。
【請求項6】
上記樹脂組成物が共役ポリエン化合物(C)をさらに含み、上記樹脂組成物において、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対する共役ポリエン化合物(C)の含有量cが1ppm以上300ppm未満である、請求項1又は2に記載の熱成形容器。
【請求項7】
共役ポリエン化合物(C)がソルビン酸である、請求項6に記載の熱成形容器。
【請求項8】
エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)が、エチレン-ビニルアルコール共重合体(Aa)及びエチレンビニルアルコール共重合体(Ab)を含み、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(Aa)とエチレンビニルアルコール共重合体(Ab)との融点差(Aa-Ab)が8℃以上であり、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(Aa)とエチレン-ビニルアルコール共重合体(Ab)との質量比(Aa/Ab)が60/40以上95/5以下である、請求項1又は2に記載の熱成形容器。
【請求項9】
エチレン-ビニルアルコール共重合体(Aa)のエチレン単位含有量が20モル%以上50モル%以下であり、エチレン-ビニルアルコール共重合体(Ab)のエチレン単位含有量が30モル%以上60モル%以下であり、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(Ab)とエチレンビニルアルコール共重合体(Aa)とのエチレン単位含有量の差(Ab-Aa)が4.5モル%以上である、請求項8に記載の熱成形容器。
【請求項10】
層(α)の内面側及び外面側にそれぞれ積層され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm


1/2
以下である熱可塑性樹脂を主成分とする層(β)、及び
層(α)と層(β)との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする層(γ)
をさらに有する、請求項1又は2に記載の熱成形容器。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱成形容器及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
エチレン-ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」と略記する場合がある。)は酸素等のガス遮断性、耐油性、非帯電性、機械強度、溶融成形性等に優れた高分子材料である。このため、EVOH樹脂組成物は容器、シート、フィルム、熱成形容器等の成形材料として広く用いられる。容器等の成形には、一般に溶融成形が多く用いられる。特に、熱成形容器においては、EVOHを含む層と、耐湿性、耐衝撃性等に優れる他の熱可塑性樹脂の層等とからなる多層構造が広く採用されている。溶融成形に供される樹脂組成物には、長時間の溶融成形を行ってもフィッシュアイ、ストリーク等の欠陥が発生しないといった、ロングラン性に優れる性能が必要とされる。
【0003】
熱成形容器の製造においては、一般に溶融成形が行われる。しかし、EVOHは分子内に比較的活性な水酸基を有するため、溶融成形の際、酸素がほとんどない状態の押出成形機内部でも、高温溶融状態で酸化・架橋反応が進行し、熱劣化物が生じる場合がある。特に、長期連続運転を行うと上記熱劣化物が成形機内部に堆積し、フィッシュアイの原因となるゲル・ブツを発生させるため、EVOH樹脂組成物はロングラン性が不十分となる場合がある。また、このブツ等は成形品の外観を損ねるだけでなく性能劣化をも引き起こすため、これらの発生を抑制することが必要とされる。
【0004】
これに対し、特許文献1には、EVOH及び0.01~100ppmの不飽和アルデヒドを含む樹脂組成物が、フィッシュアイ、ゲル、ストリーク等の欠陥の発生を抑制し、かつ、ロングラン性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2013/146961号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のEVOH樹脂組成物を用いた場合、Tダイによるフィルム成形において、ダイの有効幅より押出されたフィルムの幅の方が小さくなるネックインが問題となる場合があることが分かった。そして、このようなネックインが生じやすいEVOH樹脂組成物は、形成される層の幅方向の厚み等にムラが生じ易いためか、このEVOH樹脂組成物を用いて得られた多層フィルム等を熱成形した場合、得られる熱成形容器のガスバリア性が部分毎に不均一になる傾向にあることも分かった。本発明者らが鋭意検討した結果、驚くべきことに、特定の複数種類の不飽和アルデヒドを特定の比率で含むEVOH樹脂組成物が、かかるネックインを抑制できることを見出した。しかしながら、ネックイン抑制を試み複数種類の不飽和アルデヒドの含有量を調整した際に、上記複数種類の不飽和アルデヒドの比率によっては、溶融樹脂組成物の吐出口(ダイリップ)の外面にダイビルドアップ(目ヤニ:ダイリップ外面の堆積物を意味する)が付着しやすくなるという問題が新たに生じることが分かった。そして、このようなダイビルドアップが生じやすいEVOH樹脂組成物を用いて得られた多層フィルム等を熱成形した場合、得られる熱成形容器にダイビルドアップの原因となる滞留物を起因とするスジ状のムラ等が生じ易くなり、ガスバリア性及び外観が低下する傾向にあることが分かった。
【0007】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、EVOHを含み、溶融成形の際のネックイン及びダイビルドアップが抑制された樹脂組成物を用いて形成された層を有し、ガスバリア性の均一性が高く且つ外観が良好な熱成形容器、及びこのような熱成形容器の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、
[1]樹脂組成物からなる層(α)を有し、上記樹脂組成物が、エチレン単位含有量が20モル%以上60モル%以下であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)(以下「EVOH(A)」と略記する場合がある)及びクロトンアルデヒド(B1)を含み、2,4-ヘキサジエナール(B2)及び2,4,6-オクタトリエナール(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含み、上記樹脂組成物が、下記式(1)及び(2)を満たす、熱成形容器;
2.0≦b

/(b

+b

)<150.0 ・・・(1)


+2b

≦0.65 ・・・(2)
上記式(1)及び(2)中、b

は、EVOH(A)に対するクロトンアルデヒド(B1)の含有量(ppm)であり、b

は、EVOH(A)に対する2,4-ヘキサジエナール(B2)の含有量(ppm)であり、b

は、EVOH(A)に対する2,4,6-オクタトリエナール(B3)の含有量(ppm)である。
[2]上記樹脂組成物において、EVOH(A)に対するクロトンアルデヒド(B1)、2,4-ヘキサジエナール(B2)及び2,4,6-オクタトリエナール(B3)の含有量の合計(b

+b

+b

)が0.01ppm以上7.0ppm以下である、[1]の熱成形容器;
[3]上記樹脂組成物において、クロトンアルデヒド(B1)の含有量b

が0.01ppm以上4.0ppm以下である、[1]又は[2]の熱成形容器;
[4]2,4-ヘキサジエナール(B2)の含有量b

が0.005ppm以上0.65ppm以下である、[1]~[3]のいずれかの熱成形容器;
[5]上記樹脂組成物において、2,4,6-オクタトリエナール(B3)の含有量b

が0.325ppm以下である、[1]~[4]のいずれかの熱成形容器;
[6]上記樹脂組成物が共役ポリエン化合物(C)をさらに含み、上記樹脂組成物において、EVOH(A)に対する共役ポリエン化合物(C)の含有量cが1ppm以上300ppm未満である、[1]~[5]のいずれかの熱成形容器;
[7]共役ポリエン化合物(C)がソルビン酸である、[6]の熱成形容器;
[8]EVOH(A)が、EVOH(Aa)及びEVOH(Ab)を含み、EVOH(Aa)とEVOH(Ab)との融点差(Aa-Ab)が8℃以上であり、EVOH(Aa)とEVOH(Ab)との質量比(Aa/Ab)が60/40以上95/5以下である、[1]~[7]のいずれかの熱成形容器;
[9]EVOH(Aa)のエチレン単位含有量が20モル%以上50モル%以下であり、EVOH(Ab)のエチレン単位含有量が30モル%以上60モル%以下であり、EVOH(Ab)とEVOH(Aa)とのエチレン単位含有量の差(Ab-Aa)が4.5モル%以上である、[8]の熱成形容器;
[10]層(α)の内面側及び外面側にそれぞれ積層され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm


1/2
以下である熱可塑性樹脂を主成分とする層(β)、及び層(α)と層(β)との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする層(γ)をさらに有する、[1]~[9]のいずれかの熱成形容器;
[11]カップ状容器である、[1]~[10]のいずれかの熱成形容器;
[12]トレイ状容器である、[1]~[10]のいずれかの熱成形容器;
[13]樹脂組成物からなる層(α)を有する構造体を形成する工程と、上記構造体を熱成形する工程とを備え、上記樹脂組成物が、エチレン単位含有量が20モル%以上60モル%以下であるEVOH(A)及びクロトンアルデヒド(B1)を含み、2,4-ヘキサジエナール(B2)及び2,4,6-オクタトリエナール(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含み、上記樹脂組成物が、下記式(1’)及び(2’)を満たす、熱成形容器の製造方法;
2.0≦b

/(b

+b

)<150.0 ・・・(1’)


+2b

≦0.65 ・・・(2’)
上記式(1’)及び(2’)中、b

は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対するクロトンアルデヒド(B1)の含有量(ppm)であり、b

は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対する2,4-ヘキサジエナール(B2)の含有量(ppm)であり、b

は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対する2,4,6-オクタトリエナール(B3)の含有量(ppm)である。
を提供することで達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、EVOHを含み、溶融成形の際のネックイン及びダイビルドアップが抑制された樹脂組成物を用いて形成された層を有し、ガスバリア性の均一性が高く且つ外観が良好な熱成形容器、及びこのような熱成形容器の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の熱成形容器の一実施形態であるカップ状容器を示す模式的斜視図である。
図1のカップ状容器の断面図である。
図1のカップ状容器の要部を示す模式的断面図である。
図1のカップ状容器の製造方法を説明するための模式図である。
図1のカップ状容器の製造方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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