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公開番号2023056072
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-04-19
出願番号2021165162
出願日2021-10-07
発明の名称液状油性物質の吸着基材
出願人日澱化學株式会社
代理人
主分類C08B 30/06 20060101AFI20230412BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】吸油性能および吸油保持能に優れた液状油性物質の吸着基材を提供する。
【解決手段】澱粉誘導体加水分解物の乾燥物からなることを特徴とする液状油性物質の吸着基材。前記澱粉誘導体加水分解物がヒドロキシプロピル化澱粉加水分解物およびアセチル化澱粉加水分解物より選ばれる1以上の澱粉誘導体加水分解物であることが好ましい。また、前記吸着基材のDEは5.3~17.0であることが好ましく、前記吸着基材のDEと前記吸着基材:未加工馬鈴薯澱粉=30:70の混合物から調製した皮膜の最大点強度応力Sの積が30以上であることが好ましい。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
澱粉誘導体加水分解物の乾燥物からなることを特徴とする液状油性物質の吸着基材。
続きを表示(約 380 文字)【請求項2】
前記澱粉誘導体加水分解物がヒドロキシプロピル化澱粉加水分解物およびアセチル化澱粉加水分解物より選ばれる1以上の澱粉誘導体加水分解物である請求項1に記載の液状油性物質の吸着基材。
【請求項3】
前記吸着基材のDEが5.3~17.0である請求項1または2に記載の液状油性物質の吸着基材。
【請求項4】
前記吸着基材のDEと前記吸着基材:未加工馬鈴薯澱粉=30:70の混合物から調製した皮膜の最大点強度応力Sの積が30以上(DE×S≧30)である請求項1~3に記載の液状油性物質の吸着基材。
【請求項5】
ヒドロキシプロピル化澱粉加水分解物およびアセチル化澱粉加水分解物より選ばれる1以上の澱粉誘導体加水分解物の水溶液を乾燥することを特徴とする請求項1~4に記載の液状油性物質の吸着基材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は液状油性物質の吸着基材に関するものであり、油脂類や有機溶剤等の液状油性物質を吸着し、食品、化粧品、医薬、農薬、その他の分野において利用することができる。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、澱粉加水分解物の水溶液をドラムドライヤーで乾燥して得られる粉末が、液状油性物質の粉末化用基材として利用されている(特許文献1)。また、澱粉分解物と海藻抽出物、植物性種子粘質物、植物性果実粘質物、植物性樹脂用粘質物、微生物産生粘質物、水溶性もしくは水分散性蛋白質、セルロース誘導体および水溶性合成高分子からなる群から選ばれる1種または2種以上の高分子物質の水分散液のドラムドライヤー乾燥液粉末(特許文献2)や澱粉分解物と酸処理澱粉および/または酸化澱粉の水分散液のドラムドライヤー乾燥粉末(特許文献3)を液状油性物質の粉末化用基材として用いることも開示されている。さらに、ドラムドライヤー乾燥粉末の液状油性物質の保持能力を増加させることにより、滲み出しが抑制されるという報告もある(特許文献4)。また、アルケニルコハク酸エステル化デキストリンの水溶液のドラムドライヤー乾燥粉末を用いることで粉末化用基材の流動性および吸油性能が改善されるという報告もある(特許文献5)が、性能をさらに高めて欲しいという要望は多い。すなわち、従来から利用されている澱粉加水分解物の水溶液のドラムドライヤー乾燥粉末では液状油性物質の吸着基材として性能が不十分であり、さらに高性能な液状油性物質の吸着基材が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特公昭60-12399号公報
特公昭61-52740号公報
特公平3-57085号公報
特開2018-141068号公報
特開平5-301906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
澱粉分解物を主原料とした液状油性物質の吸着基材は、加工が容易であり、油性物質吸着後に廃棄しても環境への負荷が低く、その応用範囲も広いことから、注目されてきた。澱粉分解物の水溶液を乾燥して得られた乾燥物は、多孔質または中空状の構造を有しており、その孔中あるいは粒間の空隙に油を吸着、保持することが特徴である(以降、この性能を吸油性能および吸油保持能という)。しかし、澱粉分解物の水溶液を乾燥して得られた乾燥物は物理的な衝撃に対して壊れやすく、油性物質を吸着させる工程において徐々に多孔質または中空状の構造が壊れることで、本来持っている吸油性能や吸油保持能を十分に発揮できないという課題があった。
【0005】
したがって、本発明の課題は、従来から液状油性物質の吸着基材として利用されている、澱粉加水分解物の水溶液のドラムドライヤー乾燥粉末よりも、吸油性能および吸油保持能に優れた液状油性物質の吸着基材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、澱粉誘導体加水分解物の水溶液を乾燥することにより、従来の澱粉加水分解物の水溶液を乾燥して得られた乾燥物よりも、その強度が向上し多孔質または中空状の構造が壊れ難くなり、従来品よりも吸油性能および吸油保持能に優れ、かつ、油粘度の高い液状油性物質の吸着基材が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明の構成は以下の通りである。
(1)澱粉誘導体加水分解物の乾燥物からなることを特徴とする液状油性物質の吸着基材。
(2)前記澱粉誘導体加水分解物はヒドロキシプロピル化澱粉加水分解物およびアセチル化澱粉加水分解物より選ばれる1以上の澱粉誘導体加水分解物である(1)に記載の液状油性物質の吸着基材。
(3)前記吸着基材のDEが5.3~17.0である(1)または(2)に記載の液状油性物質の吸着基材。
(4)前記吸着基材のDEと前記吸着基材:未加工馬鈴薯澱粉=30:70の混合物から調製した皮膜の最大点強度応力Sの積が30以上(DE×S≧30)である(1)~(3)に記載の液状油性物質の吸着基材。
(5)ヒドロキシプロピル化澱粉加水分解物およびアセチル化澱粉加水分解物より選ばれる1以上の澱粉誘導体加水分解物の水溶液を乾燥することを特徴とする(1)~(4)に記載の液状油性物質の吸着基材の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来から液状油性物質の吸着基材として利用されている澱粉加水分解物の水溶液のドラムドライヤー乾燥粉末よりも、吸油性能および吸油保持能に優れた液状油性物質の吸着基材を提供することができる。さらに、本発明の液状油性物質の吸着基材を用いることで、高い油増粘効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかる実施例について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に限定されるものではなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
【0010】
本発明における澱粉誘導体加水分解物の原料澱粉の例としては、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、ワキシータピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、エンドウ澱粉、緑豆澱粉、サゴ澱粉、クズ澱粉などが挙げられる。なお、これらの原料澱粉を澱粉の構造や性質を変化させない程度に殺菌・漂白処理したものも原料澱粉として用いることができる。殺菌方法の例として、マイクロ波処理、エチレンガス処理、ガンマ線処理、加熱処理、次亜塩素酸塩処理、酸処理等が挙げられる。殺菌方法、漂白方法ともに例示した処理に限らず、澱粉の構造や性質を変化させない範囲でいずれの処理も採用できる。
(【0011】以降は省略されています)

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