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公開番号2023053907
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-04-13
出願番号2022149166
出願日2022-09-20
発明の名称高分子合成方法
出願人個人
代理人個人
主分類C08G 61/12 20060101AFI20230406BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】重合によって得られる重合性高分子の製造方法であり、特には導電性高分子の全く新規の製造方法を提供することを課題とする。
【手段】水系溶媒中で、酸化性気体のファインバブルを、水系溶媒中で重合可能な単量体及び/又は前記単量体のオリゴマーに、接触させることによって重合を生起させることを特徴とする高分子合成方法を手段とする。
【選択図】なし




特許請求の範囲【請求項1】
水系溶媒中で、酸化性気体のファインバブルを、水系溶媒中で重合可能な単量体及び/又は前記単量体のオリゴマーに、接触させることによって重合を生起させることを特徴とする高分子合成方法。
続きを表示(約 960 文字)【請求項2】
酸化性気体がオゾン及び/又は酸素である請求項1に記載の高分子合成方法。
【請求項3】
前記単量体が、水系溶媒中で重合反応により導電性高分子を形成可能な単量体、又は水系溶媒中で重合反応により水溶性高分子を形成可能な単量体である前記請求項1又は2に記載の高分子合成方法。
【請求項4】
前記水系溶媒中で重合反応により導電性高分子を形成可能な単量体が、(1)下記式(1)で示される3,4-ジアルコキシチオフェン及び/若しくはカルボン酸とスルホン酸とのいずれか一方もしくは両方を置換する単量体、又は(2)ピロール及び/若しくはカルボン酸とスルホン酸とのいずれか一方もしくは両方を置換する単量体であり、
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2023053907000003.jpg
22
82
[ただし、式中、R

およびR

は相互に独立して水素またはC
1-4
のアルキル基であるか、あるいは一緒になってC
1-4
のアルキレン基を形成し、該アルキレン基は任意に置換されていても良い。]
重合により前記水溶性高分子を形成可能な単量体が、カルボン酸及び/又はスルホン酸を置換する水溶性酸誘導体を含むものである前記請求項2又は請求項3に記載の高分子合成方法。
【請求項5】
導電性高分子のドーパントとなり得るポリアニオンの存在下に、水系溶媒中で、オゾン及び/又は酸素のファインバブルを、請求項4に記載の3,4-ジアルコキシチオフェンおよびその誘導体あるいはそれらのオリゴマーを重合させる前記請求項1~4のいずれか一項に記載の高分子合成方法。
【請求項6】
水系溶媒中、スチレンスルホン酸塩を用いてオゾン及び又は酸素のファインバブルを用いて酸化重合し、ポリスチレンスルホン酸塩を得る請求項2記載の高分子合成方法。
【請求項7】
水系溶媒中で、酸化性気体のファインバブルを、水系溶媒中で自己ドープ型導電性高分子を合成可能な単量体及び/又は前記単量体のオリゴマーに、接触させることによって酸化重合を生起させることを特徴とする高分子合成方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化性気体のファインバブルを用いて酸化重合可能な単量体を酸化重合して高分子を合成する方法に関する。更に詳しくは導電性高分子又は水溶性高分子を得る新規の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
近年、導電性高分子が実際に多くの用途に使用されてきている。例えば帯電防止膜や光学用途用の導電膜、あるいはキャパシタの電極としての用途も進んでいる。導電性高分子自身もまた多くの展開がなされているが、代表的なものとしてエチレンジオキシエチレンがある。又最近は自己ドープ型の単量体を用いたエチレンジオキシエチレンの誘導体なども開発されている。
一方、これらの重合体の重合方法は 特許文献(1)に記載されているような酸化剤を用いた重合方法が殆どの場合踏襲されている。
一方、酸素ナノバブルによる化合物のアルコール中でのケトンやアルデヒドへの酸化方法が非特許文献1に記載されている。また、特許文献2にはやはり有機溶剤中での上記文献同様の有機化合物のナノバブルによる光酸化反応が報告されている。
しかしこれらはいずれも、有機溶媒中での反応であり、当該特許のように水系ではなく、かつ重合体を形成する方法を提示したものではない。
また、特許文献3には、水系溶媒中で、ポリアニオンの存在下に、重合開始剤により特定の3,4-ジアルコキシチオフェンを重合することにより導電性高分子を含有する被膜を有するフィルムを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平7-90060号
特開2015-168867号
特開2014-40549号
【非特許文献】
【0004】
日本プロセス化学会 2012サマーシンポジウム 講演要旨集,2012年 6月25日,254頁,2P-34
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の導電性高分子製造方法は水溶液中で 酸化剤や、触媒を用いて製造されている。この従来の製造方法には以下の問題点がある。すなわち、この酸化剤の分解残渣や触媒の除去などに多くの費用がかかり、これによって、導電性高分子の製造コストを上昇させているという問題点、重合体に残渣として大量に含まれるスルホン酸や鉄イオンなどの不純物が導電性高分子の経年による劣化を促進しているという問題点である。これらの問題点を解決するために、イオン交換法や限外濾過法によってこれらの不純物を除去することが知られている。しかしながら、このような不純物除去の方法はコストが嵩み、また不純物の全量を除去することができるものではなく、しかもイオン交換剤の排出などの環境に与える負荷も大きい。
また、従来から知られている水溶性高分子を、触媒を用いて製造する場合においても、上記と同様に、得られた水溶性高分子中に触媒残渣等が含まれており、上記と同様の問題点がある。
本発明の課題は、これらの問題点を解決しうる全く新規の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の手段は、
(1) 水系溶媒中で、酸化性気体のファインバブルを、水系溶媒中で重合可能な単量体及び/又は前記単量体のオリゴマーに、接触させることによって重合を生起させることを特徴とする高分子合成方法であり、
(2) 酸化性気体がオゾン及び/又は酸素である前記(1)に記載の高分子合成方法であり、
(3) 前記単量体が、水系溶媒中で重合反応により導電性高分子を形成可能な単量体、又は水系溶媒中で重合反応により水溶性高分子を形成可能な単量体である前記(1)又は(2)に記載の高分子合成方法であり、
(4) 前記水系溶媒中で重合反応により導電性高分子を形成可能な単量体が、(1)下記式(1)で示される3,4-ジアルコキシチオフェン及び/若しくはカルボン酸とスルホン酸とのいずれか一方もしくは両方を置換する単量体、又は(2)ピロール及び/若しくはカルボン酸とスルホン酸とのいずれか一方もしくは両方を置換する単量体であり、
【0007】
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82
【0008】
[ただし、式中、R

およびR

は相互に独立して水素またはC
1-4
のアルキル基であるか、あるいは一緒になってC
1-4
のアルキレン基を形成し、該アルキレン基は任意に置換されていても良い。]
重合により前記水溶性高分子を形成可能な単量体が、カルボン酸及び/又はスルホン酸を置換する水溶性酸誘導体を含むものである前記(2)又は(3)に記載の高分子合成方法であり、
(5) 導電性高分子のドーパントとなり得るポリアニオンの存在下に、水系溶媒中で、オゾン及び/又は酸素のファインバブルを、前記(4)に記載の3,4-ジアルコキシチオフェンおよびその誘導体あるいはそれらのオリゴマーを重合させる前記(1)~(4)のいずれか一項に記載の高分子合成方法であり、
(6) 水系溶媒中、スチレンスルホン酸塩を用いてオゾン及び又は酸素のファインバブルを用いて酸化重合し、ポリスチレンスルホン酸塩を得る前記(2)に記載の高分子合成方法であり、
(7) 水系溶媒中で、酸化性気体のファインバブルを、水系溶媒中で自己ドープ型導電性高分子を合成可能な単量体及び/又は前記単量体のオリゴマーに、接触させることによって酸化重合を生起させることを特徴とする高分子合成方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水系溶媒中で酸化重合を行って製造している高分子の製造において酸化剤や触媒を用いる代わりに酸化性の気体をファインバブルにし、このファインバブルを重合性単量体と接触させることにより、容易に酸化重合を起こして高分子を得ることができる。
さらに言うと、本発明によると、常温で液体又は固体の酸化剤を使用することなく、ファインバブルとなっている酸化性の気体と、導電性高分子又は水溶性高分子の原料となる単量体及び/又は前記単量体のオリゴマーとを水系溶媒中で接触させることにより、導電性高分子又は水溶性高分子を製造することができる。本発明によると、製造された導電性高分子又は水溶性高分子には常温で液体又は固体であった酸化剤の残渣や酸化剤の分解物が含まれていない。したがって、本発明は、前記酸化剤の残渣やその分解物を除去することを目的とする洗浄操作又は洗浄工程を不要とする、コストの低減した新規な製造方法を提供することができる。
本願発明の導電性高分子合成方法においては、酸化性の気体のファインバブルを水系溶媒中で単量体に接触させる際に選択されるその単量体によって、自己ドープ型導電性高分子を製造することができる。この自己ドープ型導電性高分子を製造する際には、ドーパントになる水溶性高分子例えばポリスチレンスルホン酸を不要にするので、自己ドープ型導電性高分子の製造方法はドーパント不要となり、効率の良い製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための好適な形態は、水系溶媒中で、導電性高分子の原料となる単量体及び/又は前記単量体のオリゴマーを酸化重合させることによる導電性高分子の製造方法であって、
前記酸化重合を、酸化性気体のファインバブルを前記水系溶媒に導入することにより、行うことを要旨とする導電性高分子の製造方法である。
本発明を実施するための好適な他の形態は、水系溶媒中で、水溶性高分子の原料となる単量体及び/又は前記単量体のオリゴマーを酸化重合させることによる水溶性高分子の製造方法であって、前記酸化重合を酸化性気体のファインバブルを前記水系溶媒に導入することにより、行うことを要旨とする水溶性高分子の製造方法である。
(【0011】以降は省略されています)

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