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公開番号2023038930
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-03-17
出願番号2022141056
出願日2022-09-05
発明の名称眼表面薬物滞留化剤およびこれを含む点眼剤、並びに、これらの剤を用いた眼表面薬物滞留方法および眼科疾患治療方法
出願人学校法人近畿大学,日油株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類A61K 31/785 20060101AFI20230310BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】眼表面への薬剤の優れた滞留性向上を可能とする眼表面薬物滞留化剤および該剤を含有する点眼剤を提供すること。
【解決手段】3種の異なる構成単位を特定割合で有する共重合体を含む眼表面薬物滞留化剤であれば、眼表面(特に、角膜表面)に対して優れた薬剤滞留化効果を発現し、その薬物の効果や作用を長時間にわたり持続させることが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【選択図】なし

特許請求の範囲【請求項1】
下記一般式(1a)~(1c)で表される構成単位を含み、重量平均分子量5,000~2,000,000であり、各構成単位の比率[(1a)/(1b)/(1c)]が100/10~400/2~50である共重合体(P)を0.001~1.0 w/v%を含む眼表面薬物滞留化剤。
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73
(一般式(1a)中、R

は水素原子又はメチル基を表す。)
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48
(一般式(1b)中、R

は水素原子又はメチル基を表す。R

およびR

はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、又は互いに結合したモルホリノ基を表す。)
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37
44
(一般式(1c)中、R

は水素原子又はメチル基を表し、R

は炭素数12~24の炭化水素基を表す。)
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
請求項1に記載の眼表面薬物滞留化剤を含有する点眼剤。
【請求項3】
眼科疾患治療用点眼剤と併用投与すること特徴とする請求項1に記載の眼表面薬物滞留化剤。
【請求項4】
眼科疾患治療用点眼剤投与後に投与すること特徴とする請求項1に記載の眼表面薬物滞留化剤。
【請求項5】
前記(1b)で表される構成単位がN,N-ジメチルアクリルアミドであり、かつ前記(1c)で表される構成単位がステアリルメタクリレートである、請求項1、3又は4に記載の眼表面薬物滞留化剤。
【請求項6】
請求項5に記載の眼表面薬物滞留化剤並びにレバミピド、ジクアホソルナトリウム若しくはヒアルロン酸ナトリウムを含有するドライアイ治療剤。
【請求項7】
前記ドライアイが涙液層破壊時間短縮型ドライアイである、請求項6に記載のドライアイ治療剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有する共重合体を含む眼表面薬物滞留化剤および該剤を含有する点眼剤、並びに、これらの剤を用いた眼表面薬物滞留方法および眼科疾患治療方法に関する。
続きを表示(約 5,800 文字)【背景技術】
【0002】
点眼剤は、簡便に使用することができながら、効果の高い治療法である事が知られている。このため、ドライアイや緑内障等の様々な眼科疾患に対して、各種点眼剤が開発され、治療に活用されている。
例えば、ドライアイ治療薬としては、ムコスタ点眼液(ドライアイ治療薬物:レバミピド)が用いられ、また、緑内障治療薬としては、チモプトール点眼液(緑内障治療薬物:チモロールマレイン酸塩)が用いられることもある。これら点眼液を治療に用いる際、通常、1日2~4回程度の点眼が必要とされ、治療期間については、数週間から数年間等と長期間にわたる場合もある。
患者の負担を抑えることを目的として、薬物の効果を持続させることで点眼回数を減らすことのできる点眼剤について開発がなされている。
薬物の効果を持続させるための技術として、点眼剤に増粘剤を配合して高粘度点眼剤とすることで薬物を眼表面へと滞留させる技術(特許文献1)や、点眼剤自体には低粘度でありながら、点眼後に点眼剤が眼表面に存在するイオン濃度/pHを感知して高粘度となり薬物を眼表面へと滞留させる技術(特許文献2)等が開発されている。また、薬理活性成分を複数種配合し、その有効性をより高めることで薬理効果を持続させる技術(特許文献3)等も開発なされている。
【0003】
しかし、眼科疾患に有効となる薬剤を、眼表面や角膜表面に滞留させ、本来発現すべき効果を長時間にわたって持続させる技術については、いまだ、満足のいく技術は開発できていないのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2006-89460号公報
特表2014-525891号公報
特開2021-046394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
眼科疾患では、有効成分を眼表面や角膜表面に滞留させ、その効果や作用を長時間にわたり持続させることが可能な点眼剤が求められているのが現状である。
本発明は、眼表面への薬剤の優れた滞留性向上を可能とする眼表面薬物滞留化剤および該剤を含有する点眼剤並びに、これらの剤を用いた眼表面薬物滞留方法および眼科疾患治療方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、3種の異なる構成単位を特定割合で有する共重合体を含む眼表面薬物滞留化剤であれば、眼表面(特に、角膜表面)に対して優れた薬剤滞留化効果を発現し、その薬物の効果や作用を長時間にわたり持続させることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.下記一般式(1a)~(1c)で表される構成単位を含み、重量平均分子量5,000~2,000,000であり、各構成単位の比率[(1a)/(1b)/(1c)]が100/10~400/2~50である共重合体(P)を0.001~1.0 w/v%を含む眼表面薬物滞留化剤。
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(一般式(1a)中、R

は水素原子又はメチル基を表す。)
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48
(一般式(1b)中、R

は水素原子又はメチル基を表す。R

およびR

はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、又は互いに結合したモルホリノ基を表す。)
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(一般式(1c)中、R

は水素原子又はメチル基を表し、R

は炭素数12~24の炭化水素基を表す。)
2.前項1に記載の眼表面薬物滞留化剤を含有する点眼剤。
3.眼科疾患治療用点眼剤と併用投与すること特徴とする前項1に記載の眼表面薬物滞留化剤。
4.眼科疾患治療用点眼剤投与後に投与すること特徴とする前項1に記載の眼表面薬物滞留化剤。
5.前記(1b)で表される構成単位がN,N-ジメチルアクリルアミドであり、かつ前記(1c)で表される構成単位がステアリルメタクリレートである、前項1又は3に記載の眼表面薬物滞留化剤。
6.前項5に記載の眼表面薬物滞留化剤並びにレバミピド、ジクアホソルナトリウム若しくはヒアルロン酸ナトリウムを含有するドライアイ治療剤。
7.以下の工程を含む、眼表面薬物滞留方法;
眼科疾患治療用点眼剤、並びに、下記一般式(1a)~(1c)で表される構成単位を含み、重量平均分子量5,000~2,000,000であり、各構成単位の比率[(1a)/(1b)/(1c)]が100/10~400/2~50である共重合体(P)を0.001~1.0 w/v%を含む組成物を、ヒトを含む哺乳類に投与する工程。
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(一般式(1a)中、R

は水素原子又はメチル基を表す。)
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2023038930000005.jpg
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48
(一般式(1b)中、R

は水素原子又はメチル基を表す。R

およびR

はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、又は互いに結合したモルホリノ基を表す。)
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2023038930000006.jpg
37
44
(一般式(1c)中、R

は水素原子又はメチル基を表し、R

は炭素数12~24の炭化水素基を表す。)
7.前記組成物は、前記眼科疾患治療用点眼剤投与後に投与する、前項6に記載の眼表面薬物滞留方法。
8.前記眼科疾患治療用点眼剤がレバミピドである、前項6に記載の眼表面薬物滞留方法。
9.前記眼科疾患治療用点眼剤がジクアホソルナトリウムである、前項6に記載の眼表面薬物滞留方法。
10.前記眼科疾患治療用点眼剤がヒアルロン酸ナトリウムである、前項6に記載の眼表面薬物滞留方法。
11.以下の工程を含む、眼科疾患治療方法;
眼科疾患治療用点眼剤、並びに、下記一般式(1a)~(1c)で表される構成単位を含み、重量平均分子量5,000~2,000,000であり、各構成単位の比率[(1a)/(1b)/(1c)]が100/10~400/2~50である共重合体(P)を0.001~1.0 w/v%を含む組成物を、ヒトを含む哺乳類に投与する工程。
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73
(一般式(1a)中、R

は水素原子又はメチル基を表す。)
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48
(一般式(1b)中、R

は水素原子又はメチル基を表す。R

およびR

はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、又は互いに結合したモルホリノ基を表す。)
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(一般式(1c)中、R

は水素原子又はメチル基を表し、R

は炭素数12~24の炭化水素基を表す。)
12.前記組成物は、前記眼科疾患治療用点眼剤投与後に投与する、前項11に記載の眼科疾患治療方法。
13.前記眼科疾患治療用点眼剤はレバミピドであり、かつ前記眼科疾患はドライアイである、前項11の治療方法。
14.前記眼科疾患治療用点眼剤はジクアホソルナトリウムであり、かつ前記眼科疾患はドライアイである、前項11の治療方法。
15.前記眼科疾患治療用点眼剤はヒアルロン酸ナトリウムであり、かつ前記眼科疾患はドライアイである、前項11の治療方法。
16.前記ドライアイが涙液層破壊時間短縮型ドライアイである、前項6に記載のドライアイ治療剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明の眼表面薬物滞留化剤及び眼表面薬物滞留方法は、有効成分(眼科用薬剤)を眼表面へ滞留させることができることを確認した。さらに、本発明の眼表面薬物滞留化剤は、眼科疾患治療用点眼剤の有効成分の効果や作用を長時間にわたって持続させる効果を有することを確認した。
加えて、本発明の眼科疾患治療方法は、ドライアイを治療できることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0009】
薬物眼表面滞留性試験結果。点眼後10分後および30分後における、眼表面のレバミピド(REB)濃度を測定した。「REB(左側)」は、眼科用薬剤を含む点眼剤(レバミピド点眼液)にて処理した。「MPCP+REB(中央)」は、本実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)、レバミピド点眼液の順で点眼処理した。「REB+MPCP(右側)」は、レバミピド点眼液、実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)の順で点眼処理した。
ウサギドライアイモデルに対するドライアイ治療効果(Tear Break-UpAreaの測定)。点眼直後(0日:左側)、2日後(中央)および5日後(右側)におけるTear Break-UpAreaを測定した。「REB」は、眼科用薬剤を含む点眼剤(レバミピド点眼液)にて処理した。「MPCP+REB」は、本実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)、レバミピド点眼液の順で点眼処理した。「REB+MPCP」は、レバミピド点眼液、実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)の順で点眼処理した。「PBS」は、生理食塩液点眼直処理をした。なお、ドライアイモデル0日目の数値を100として、算出している。
ウサギドライアイモデルに対するドライアイ治療効果(ムチン量の測定)。点眼直後(0日:左側)、2日後(中央)および5日後(右側)におけるムチン量を測定した。「REB」は、眼科用薬剤を含む点眼剤(レバミピド点眼液)にて処理した。「MPCP+REB」は、本実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)、レバミピド点眼液の順で点眼処理した。「REB+MPCP」は、レバミピド点眼液、実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)の順で点眼処理した。「PBS」は、生理食塩液点眼直処理をした。なお、正常ウサギ(ドライアイモデルではない)の数値を100として、算出している。
温度に変化に伴う粘性変化試験結果。室温である20℃(A)と体温付近である37℃(B)の2点で、各点眼剤の粘性を測定した。「MPCP」は、本実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)を、「DIQ」は眼科用薬剤を含む点眼剤(ジクアホソルナトリウム点眼液)、「HYA」は眼科用薬剤を含む点眼剤(ヒアルロン酸ナトリウム点眼液)を示す。
ウサギドライアイモデルに対するドライアイ治療効果(Tear Break-Up Areaの測定)。DIQ点眼液またはHYA点眼液とMPCP溶液を併用処理した際の眼表面ムチン被覆傷害モデルに対する影響について確認した。AおよびCは点眼2日後におけるTear Film Break-Up Areaを,BおよびDは点眼5日後におけるTear FilmBreak-Up Areaを示す.「Saline」は、生理食塩液にて点眼処理した。「DIQ」はジクアホソルナトリウムを含む点眼剤(ジクアホソルナトリウム点眼液)、「DIQ+MPCP」は、ジクアホソルナトリウム点眼液、本実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)の順で点眼処理した。「HYA」はヒアルロン酸を含む点眼剤(ヒアレイン点眼液)、「HYA+MPCP」は、ヒアレイン点眼液、本実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)の順で点眼処理した。
ウサギドライアイモデルに対するドライアイ治療効果(ムチン量の測定)。DIQ点眼液またはHYA点眼液とMPCP溶液を併用処理した際の涙液中ムチン量を確認した。AおよびCは点眼2日後における涙液中ムチン量を、BおよびDは点眼5日後における涙液中ムチン量を示す。「Saline」は、生理食塩液にて点眼処理した。「DIQ」はジクアホソルナトリウムを含む点眼剤(ジクアホソルナトリウム点眼液)、「DIQ+MPCP」は、ジクアホソルナトリウム点眼液、本実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)の順で点眼処理した。「HYA」はヒアルロン酸を含む点眼剤(ヒアレイン点眼液)、「HYA+MPCP」は、ヒアレイン点眼液、本実施例の溶液の点眼液(眼表面薬物滞留化剤)の順で点眼処理した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の眼表面薬物滞留化剤は、下記一般式(1a)~(1c)で表される構成単位を含み、重量平均分子量が5,000~2,000,000である共重合体(P)を含む。前記共重合体(P)の眼表面薬物滞留化剤での濃度が0.001~1.0 w/v%である。加えて、前記共重合体(P)における前記各構成単位の比率(モル比率)[(1a)/(1b)/(1c)]は、100/10~400/2~50である。
(【0011】以降は省略されています)

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