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公開番号2023023570
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-02-16
出願番号2021129201
出願日2021-08-05
発明の名称ゴム組成物及び加硫ゴム
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C08L 15/02 20060101AFI20230209BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 優れた耐久性を有するクロロプレンゴム組成物を提供する
【解決手段】 メルカプタン変性クロロプレンゴム100重量部に対し、セルロースナノファイバーを0.01~0.90重量部含むゴム組成物であって、ゴム組成物を加硫した加硫シートの100%引張応力(M100)の上昇幅がセルロースナノファイバーの添加量に対して、0.9MPa/重量部以上であり、且つ、セルロースナノファイバーを添加しないものに比べて2倍以上の耐久性を示す、ゴム組成物を用いる。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
メルカプタン変性クロロプレンゴム100重量部に対し、セルロースナノファイバーを0.01~0.90重量部含むゴム組成物であって、ゴム組成物を加硫した加硫シートの100%引張応力(M100)の上昇幅がセルロースナノファイバーの添加量に対して、0.9MPa/重量部以上であり、且つ、セルロースナノファイバーを添加しないものに比べて2倍以上の耐久性を示す、ゴム組成物。
なお、加硫シートはJIS K6253(2012)に記載の硬さ(Hs)を統一するためにコンパウンドのカーボンブラックの添加量を調節して作成したものを用いた。また、M100の上昇幅は、セルロースナノファイバーを含む加硫シートのM100の値から、セルロースナノファイバーを含まない加硫シートのM100の値を差し引き、含まれるセルロースナノファイバーの量で除することにより算出される。また、耐久性はJIS K6270(2018)に従い、一定振幅の引張疲労を与え、試験片が破断するまでに要した繰り返し回数で評価した。
続きを表示(約 330 文字)【請求項2】
セルロースナノファイバーの平均繊維径が10~300nmで、平均繊維長が0.3~200μmであって、リグニン含有量が20重量%以下で、セルロースのヒドロキシメチル基がカルボン酸又はカルボン酸塩で変性されていない、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
クロロプレンゴムが、カルボン酸又はカルボン酸のアルカリ金属塩を3~7重量%含む、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
セルロースナノファイバーが、未変性であり、且つ、機械的処理のみにより解繊された、請求項1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のゴム組成物の加硫物である加硫ゴム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロプレンゴムを含むゴム組成物に関するものである。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
クロロプレンゴムは、各種合成ゴムの中でも各物性のバランスが良好であるため幅広い用途に使用されており、例えば、ベルト、ホース、ブーツ、エアスプリング、ウェットスーツ、引き布、防振ゴム、接着剤などに使用されている。クロロプレンゴムには、汎用のメルカプタン変性と動特性に優れる硫黄変性クロロプレン、機械的物性に優れるキサントゲン変性があり、各種用途によって使い分けされている。
【0003】
近年、高性能化の要求により、様々な用途で耐久性の向上が求められている。ゴム材料の耐久性には屈曲き裂試験、フレクソメーター試験、引張疲労試験等の評価方法があり、これらは通常、カーボンブラックやシリカなどの補強材や可塑剤の配合量、成形温度や成形方法を調整することで向上させることができるが、目的の成形物の硬さが決まっているためこれらの処方には限界がある。
【0004】
そこで、繊維形状の補強材が提案されており、ナノオーダーのセルロース繊維を配合したタイヤ等が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)しかし、疎水性のゴムに対し、親水性のセルロースは分散性が劣るため補強効果が低く、更に、セルロースの水酸基同士が水素結合によって凝集し耐久性を損なう。その対策として、ナノオーダーのセルロースと、それを分散するための分散剤や固定するためのシランカップリング剤を天然ゴムラテックスに配合したタイヤが提案されている。(例えば、特許文献2、3参照。)しかし、これらの方法では分散剤等のゴムとセルロースを分散するための薬剤が別途必要であり、コストが高くなる。また、機械解繊されたナノオーダーのセルロースの水分散体をセルロースの量がゴム成分100重量部に対して1~25重量部、ポリマーと配合剤と共に直接混練して分散させることで得られたゴム組成物を加硫することで、優れた耐久性や強度、耐摩耗性を有するコンベアベルトが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、コンベアベルトのような使用時の材料の発熱特性が重要となる用途では効果がある一方で、一般的にナノオーダーのセルロースを1~25重量部の量を配合すると耐久性や耐摩耗性は低下する。また、ナノオーダーのセルロースの水分散体を直接混練する方法では、セルロースの水酸基同士が水素結合によって凝集し、優れた耐久性は得られない。そこで、クロロプレンラテックスにナノオーダーのセルロースの水分散体をセルロースの量がゴム成分100重量部に対して1~7重量部混合し、セルロースナノファイバー分散ゴムラテックス混合液を作成し、セルロースナノファイバー分散ゴムラテックス混合液から水を除去することで得られたポリマーを配合剤と共に混練することで得られたゴム組成物を加硫することで、低歪で優れた引っ張り応力を示すクロロプレンゴム組成物が提案されている。(例えば、特許文献5参照。)しかし、一般的に低歪の引っ張り応力が上昇すると耐久性は悪化することが知られており、低歪の引っ張り応力の上昇と耐久性は相反する関係にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2006-206864号公報
特開2009-191197号公報
特開2009-191198号公報
特開2020-7156号公報
特開2019-104896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこの問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は優れた耐久性を有するメルカプタン変性クロロプレンゴム組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、このような背景の下、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、メルカプタン変性クロロプレンゴムとセルロースナノファイバーを含むゴム組成物を加硫成形して得られた加硫物が優れた耐久性を示すことを見出した。即ち、本発明の各態様は、以下に示す[1]~[5]である。
[1] メルカプタン変性クロロプレンゴム100重量部に対し、セルロースナノファイバーを0.01~0.90重量部含むゴム組成物であって、ゴム組成物を加硫した加硫シートの100%引張応力(M100)の上昇幅がセルロースナノファイバーの添加量に対して、0.9MPa/重量部以上であり、且つ、セルロースナノファイバーを添加しないものに比べて2倍以上の耐久性を示す、ゴム組成物。
【0008】
なお、加硫シートはJIS K6253(2012)に記載の硬さ(Hs)を統一するためにコンパウンドのカーボンブラックの添加量を調節して作成したものを用いた。また、M100の上昇幅は、セルロースナノファイバーを含む加硫シートのM100の値から、セルロースナノファイバーを含まない加硫シートのM100の値を差し引き、含まれるセルロースナノファイバーの量で除することにより算出される。また、耐久性はJIS K6270(2018)に従って一定振幅の引張疲労を与え、試験片が破断するまでに要した繰り返し回数で評価した。
[2] セルロースナノファイバーの平均繊維径が10~300nmで、平均繊維長が0.3~200μmであって、リグニン含有量が20重量%以下で、セルロースのヒドロキシメチル基がカルボン酸又はカルボン酸塩で変性されていない、[1]に記載のゴム組成物。
[3] クロロプレンゴムが、カルボン酸又はカルボン酸のアルカリ金属塩を3~7重量%含む、[1]又は[2]に記載のゴム組成物。
[4] セルロースナノファイバーが、未変性であり、且つ、機械的処理のみにより解繊された、[1]~[3]のいずれかに記載のゴム組成物。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載のゴム組成物の加硫物である加硫ゴム。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゴム組成物を用いることで、引張疲労試験によって測定される優れた耐久性を有する加硫ゴムを安価に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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