TOP特許意匠商標
特許ウォッチ DM通知 Twitter
公開番号2022140180
公報種別公開特許公報(A)
公開日2022-09-26
出願番号2021074455
出願日2021-03-10
発明の名称正極及び蓄電池
出願人個人
代理人
主分類H01M 4/36 20060101AFI20220915BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】携帯電話用蓄電池として普及しているリチウムイオン蓄電池は、電気自動車用蓄電池としてはエネルギー密度が不足し自家用自動車が要求する一充電走行距離を満たすことが出来ず、高エネルギー密度化特に正極活物質の高エネルギー密度化が要求されている。正極活物質の高エネルギー密度化のために、現行リチウムイオン蓄電池の正極活物質と同等の酸化還元電位を有し、数倍の蓄電容量を有する正極活物質を提供することが課題である。
【解決手段】現行技術で衆知の電荷担体イオンが挿入・脱離することで酸化還元電位を有する化合物内に空隙を設け、その空隙内に電荷担体イオンを吸蔵・蓄電することにより、高容量と高電圧の両条件を満たす高エネルギー密度正極活物質を提供する課題を解決できる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電荷担体イオンの挿入及び脱離により酸化還元する化合物に囲まれ、その電荷担体イオンが挿入及び脱離することが出来る空隙を有する正極活物質からなることを特徴とする蓄電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の正極活物質に関する。また、その正極活物質により構成された蓄電池に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
1991年にソニー株式会社が製品化したリチウムイオン蓄電池は高いエネルギー密度を有するために、ノートパソコン、携帯電話などで広く使われ、最近では電気自動車用電池として脚光を浴びている。しかし、ガソリン自動車はガソリンタンク満タンで1000km以上走行することが出来るが、現在市販されている電気自動車の日産自動車製リーフの1充電走行距離はカタログ値400kmで、自家用車として購入するには走行距離が不足している。従って、1充電で1000km走行できる、つまり2倍以上のエネルギー密度を有する革新電池の開発が望まれている。
【0003】
リチウムイオンが充放電に伴い挿入・脱離する層状金属酸化物が、リチウムイオン蓄電池の正極活物質として使われているが、最近の研究で、結晶を構成する金属イオンの酸化還元量を大幅に上回る容量が得られた実験結果が発表された。この大幅に得られた容量は正極過剰容量と呼ばれ、現行のコバルト・ニッケル・マンガン3元系層状金属酸化物160mAh/gの2倍以上を目標に多くの研究がされている。過剰容量の原因は結晶を構成する酸素原子が通常のマイナス2価から過酸化状態のマイナス1価になっているためと考えられている。しかし、過酸化状態の酸素は結合力が弱く結晶から抜け出し、構造が破壊され蓄電池として十分な充放電サイクルをできない。また、過剰に結晶取り込まれたリチウムイオンの結晶中の占有位置も明確には出来ていない。
【0004】
両極に挿入型のカーボンを用いるデュアルカーボン電池で、多孔体構造である正負極活物質の細孔を模式図として筒状に描くと図2のようになる。両極の表面は電解液との反応で形成されたSEI(固体電解質界面)または、リチウムイオンのような電荷担体イオンは通過させるが、エチレンカーボネートのような溶媒を通過させない「篩膜」に覆われており、細孔内は溶媒がない状態である。充電により負極活物質に電子が注入され、正極活物質には電子欠損が注入され、その電荷と電気的中性が保たれるように負極活物質細孔には正イオンが、正極活物質細孔には負イオンが貯蔵・蓄電される。反応式は次式になる。
正極反応 :C+(X

溶媒) ⇔CX

+(溶媒)+(電子欠損)

負極反応 :C+(L


溶媒) ⇔CL


+(溶媒)+e

全電池反応:2C+(X

溶媒)+(L


溶媒)⇔CX

+CL


+2(溶媒)
充電後には電解液中に正負イオンはほとんどなくなり、電解液中に存在する正負イオンの量で、電池の充放電量が制限される。電解液中に存在する正負イオンは電解質塩を溶媒に溶解することで得られるので、固体活物質中に正イオンを貯蔵・蓄電する現行のリチウムイオン電池を上回ることは出来ないことは明らかである。
【0005】
リチウム金属を負極とし現行負極のグラファイトを正極として放電出来ることは、カーボン極のSEI形成処理などのためにリチウムイオンを予め挿入する「プレドープ」と呼ばれる手法として周知かつ実用化されている。この反応は可逆性があり、負極ではリチウム金属析出反応、正極ではリチウムイオン挿入・脱離反応が起きる。反応式は次式になる。
正極反応 :nC+{L


(溶媒)}+e

⇔ LiC

+(溶媒)
負極反応 :L

(metal)+(溶媒) ⇔ {L


(溶媒)}+e

全電池反応:L

(metal)+nC ⇔ LiC

プレドープしたカーボンを正負両極として電池を構成すると、高い電位のカーボン極が正極となり、低い電位のカーボン極が負極となる。図3はその反応機構を模式図で示した。反応式は次式になる。
正極反応 :mC+{L


(溶媒)}+e

⇔ L



+(溶媒)
負極反応 :2L



+(溶媒)+(m-2n)C
⇔ L



+{L


(溶媒)}+e

全電池反応:L



+(m―n)C ⇔ L



(n<m)
先行技術文献の特許文献1および特許文献2を参考に、リチウムイオンは通過できるが溶媒および負イオンは通過できない篩膜を用いれば、負極はカーボン数n=2つまりLiC

まで挿入・蓄電することが出来、正極はリチウムイオンが挿入されていない状態まで充電することが出来、その中間まで放電することが出来る。現行グラファイトの理論容量は372mAhで、非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3によれば、篩膜を用いることで、ソフトカーボン・ハードカーボンのような多孔体構造カーボンでは、重量当たり容量はグラファイトの約3倍、1000mAhとなり、体積当り容量は約2倍、700mAhとなり、目標とする現行の2倍の高容量正極を実現できる。しかしながら、両極が同じ脱挿入反応のために、正負極の電位差つまり蓄電池電圧は、現行リチウムイオン蓄電池の半分程度しかなく、エネルギー密度向上にはならない。
【0006】
図4は非特許文献4を参照に作図した。充電時には、リチウムイオンが正極コバルト酸リチウムから固体電解質LATSPO内を負極集電体Ptに向かって移動し、Ptから700nm程度でリチウムイオンが非常に多い分布領域、その手前2μm程度にリチウムイオンが少し存在する分布領域が出来る。図では不連続に描かれているが、連続的に濃度が変化し、濃度勾配は指数関数のようになる。高濃度に分布された700nmの領域のリチウムイオンが充放電に伴い増減することから、「その場形成負極」と名付けられた。
【0007】
充放電はリチウム金属の析出電位ではなく、リチウムイオンが固体電解質に挿入脱離しているので、非特許文献1及び2の計算化学で実証された「片持ち論」に基づくリチウムイオンの貯蔵・蓄電である。図5の左図は、初充電時のリチウムイオン挿入で結晶に歪が生じ、固体電解質内に形成されたナノサイズの空隙・隙間・割れ目がある状態図である。発表者の説明では、充放電後の透過型顕微鏡による観察で空隙の存在は認められるが、その空隙にリチウムイオンが存在することは、計測分解能が不足し測定不能であるとのことであった。その空隙に挿入・脱離することでリチウムイオンの充放電が起きている。非特許文献1、2及び3に記載された計算化学で実証された「片持ち論」は、カーボンナノチューブに限らず、電子電導性を有する物質に形成されたあらゆる形状の空隙に定性的には成立する。図5の右図は空隙を拡大した図で、空隙の壁に沿ってリチウムイオンが一定の間隔に並んでいる。空隙の中央に挟まれてではなく、また複数個が集まってクラスターになることもない。初充電時のリチウムイオンの挿入で結晶に歪が生じ空隙が形成され、さらには結晶歪により、電子電導性も出現する。非特許文献1及び2におけるカーボンナノチューブが、「空隙」と電子電導を発現した固体電解質に置き換わっている。反応式は次式のようになる。充放電も同じ反応式になる。
負極充電(形成)反応:Li

+<空隙>+e

⇔ <空隙・Li

・e


正極負極はどちらの電位が高いかで決められることで、可逆反応であれば、相手次第では正極にも負極にもなる。「その場負極」も相手極が金属リチウムであれば、「その場正極」になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第5062989号公報
【0009】
特許第5134254号公報
【非特許文献】
【0010】
第50回電池討論会講演要旨集 講演番号3A21 佐野茂、楠美智子、立花明知
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
亜鉛金属電池
9日前
個人
塩化亜鉛電池
9日前
株式会社NSC
スイッチ装置
1日前
株式会社東光高岳
開閉器
15日前
日星電気株式会社
多芯ケーブル
15日前
ショット日本株式会社
保護素子
1日前
株式会社GSユアサ
蓄電装置
17日前
株式会社GSユアサ
蓄電装置
16日前
三菱電機株式会社
回路遮断器
15日前
株式会社FLOSFIA
電子部品装置
16日前
株式会社クオルテック
キャパシタ電池
16日前
株式会社村田製作所
コイル部品
22日前
住友電装株式会社
端子台
17日前
株式会社ダイヘン
変圧器
2日前
日新イオン機器株式会社
ウエハ搬送装置
17日前
三菱電機株式会社
電力用開閉装置
9日前
住友電装株式会社
コネクタ
18日前
竹内工業株式会社
ノイズ吸収装置
17日前
日新イオン機器株式会社
ウエハ支持装置
16日前
澁谷工業株式会社
ボンディング装置
2日前
三菱電機株式会社
半導体装置
18日前
AGC株式会社
アンテナ装置
17日前
日本航空電子工業株式会社
電子機器
16日前
株式会社ダイヘン
ボビン治具
18日前
株式会社ファンタジスタ
カバー部材
4日前
トヨタ自動車株式会社
電池システム
1日前
株式会社半導体エネルギー研究所
正極活物質
9日前
TDK株式会社
バラントランス
16日前
株式会社ディスコ
ウェーハの加工方法
2日前
矢崎総業株式会社
コネクタ
16日前
日本圧着端子製造株式会社
中継コネクタ
22日前
住友電装株式会社
導電性接続部材
17日前
中外炉工業株式会社
基板保持装置
15日前
日本特殊陶業株式会社
半導体パッケージ
17日前
日新イオン機器株式会社
イオンビーム照射装置
9日前
株式会社ダイフク
収容棚
17日前
続きを見る