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公開番号2021182832
公報種別公開特許公報(A)
公開日20211125
出願番号2020087839
出願日20200520
発明の名称回転機駆動制御装置
出願人三菱電機株式会社
代理人特許業務法人ぱるも特許事務所
主分類H02P 27/08 20060101AFI20211029BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】回転機と回転機駆動制御装置の破損を防止しながら両者の損失を低減する。
【解決手段】電圧指令、誘起電圧、モータ電流を入力として、搬送波キャリアを生成する搬送波キャリア生成部と、直流電圧、前記電圧指令、前記搬送波キャリアを入力として、前記搬送波キャリアに対して電圧指令が大きい場合は、直流電圧を出力し、前記搬送波キャリアに対して電圧指令が小さい場合は、ゼロ電圧を出力するパルス幅変調電圧生成部と、を備え、前記搬送波キャリア生成部は、キャリア周期の下限値に一致するように前記搬送波キャリアのキャリア周期を決定し、前記キャリア周期の下限値は、モータ電流の最大値と抵抗成分の電流と電流変化率とから算出されていることを特徴とする回転機駆動制御装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電圧指令、誘起電圧、モータ電流を入力として、搬送波キャリアを生成する搬送波キャリア生成部と、
直流電圧、前記電圧指令、前記搬送波キャリアを入力として、前記搬送波キャリアに対して電圧指令が大きい場合は、直流電圧を出力し、前記搬送波キャリアに対して電圧指令が小さい場合は、ゼロ電圧を出力するパルス幅変調電圧生成部と、を備え、
前記搬送波キャリア生成部は、キャリア周期の下限値に一致するように前記搬送波キャリアのキャリア周期を決定し、
前記キャリア周期の下限値は、モータ電流の最大値と抵抗成分の電流と電流変化率とから算出されていることを特徴とする回転機駆動制御装置。
続きを表示(約 2,700 文字)【請求項2】
前記電圧指令は、前記パルス幅変調電圧生成部と前記搬送波キャリア生成部に、電圧の次元を有する電圧指令値として外部から入力されることを特徴とする請求項1に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項3】
前記電圧指令は、前記パルス幅変調電圧生成部と前記搬送波キャリア生成部に、電圧利用率として外部から入力され、
前記搬送波キャリア生成部は、この入力された電気利用率から電圧指令値を算出することを特徴とする請求項1に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項4】
前記電圧指令は、前記パルス幅変調電圧生成部と前記搬送波キャリア生成部に、デューティとして外部から入力され、
前記搬送波キャリア生成部は、この入力されたデューティから電圧指令値を算出することを特徴とする請求項1に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項5】
前記搬送波キャリア生成部は、電流変化率を、電圧指令値、誘起電圧、モータ電流、インダクタンス値、巻線抵抗値から算出することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項6】
前記搬送波キャリア生成部は、誘起電圧を、誘起電圧係数に回転速度を積算して求めることを特徴とする請求項5に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項7】
前記搬送波キャリア生成部は、算出した電流変化率と閾値とを比較し、
算出した電流変化率が閾値よりも小さいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも増加し、
算出した電流変化率が閾値よりも大きいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも低減することを特徴とする請求項5に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項8】
前記搬送波キャリア生成部は、電流変化率とキャリア周期との関係を表したマップを有しており、
算出した電流変化率とこのマップをもとにして、次回のキャリア周期を算出することを特徴とする請求項5に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項9】
前記搬送波キャリア生成部は、算出した電流変化率と現時点のキャリア周期からインダクタンス成分の電流を求め、
この求めたインダクタンス成分の電流が閾値よりも小さいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも増加し、
この求めたインダクタンス成分の電流が閾値よりも大きいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも低減することを特徴とする請求項5に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項10】
前記搬送波キャリア生成部は、インダクタンス成分の電流を検出すると現時点でのキャリア周期で除算して電流変化率を求め、
この求めた電流変化率が閾値よりも小さいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも増加し、
この求めた電流変化率が閾値よりも大きいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも低減することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項11】
前記搬送波キャリア生成部は、電圧指令値と電流変化率との関係を表したマップを有しており、電圧指令値を取得すると、このマップから電流変化率を算出し、
この算出した電流変化率が閾値よりも小さいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも増加し、
この算出した電流変化率が閾値よりも大きいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも低減することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項12】
前記搬送波キャリア生成部は、モータ電流の最大値と電流変化率との関係を表したマップを有しており、モータ電流の最大値を取得すると、このマップから電流変化率を算出し、
この算出した電流変化率が閾値よりも小さいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも増加し、
この算出した電流変化率が閾値よりも大きいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも低減することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項13】
前記搬送波キャリア生成部は、抵抗成分の電流とキャリア周期との関係を表したマップを有しており、
モータ電流の平均値を取得すると抵抗成分の電流を取得し、
この取得した抵抗成分の電流とマップから次回のキャリア周期を算出することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項14】
前記搬送波キャリア生成部は、抵抗成分の電流とキャリア周期との関係を表したマップを有しており、
電圧指令値を取得すると抵抗成分の電流を取得し、
この取得した抵抗成分の電流とマップから次回のキャリア周期を算出することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項15】
前記搬送波キャリア生成部は、d軸電流とq軸電流の位相と電流制約との関係を表したマップを有しており、
d軸電流とq軸電流の位相を算出すると、この算出したd軸電流とq軸電流の位相とマップから電流制約を算出し、
この算出した電流制約が閾値よりも小さいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも増加し、
この算出した電流制約が閾値よりも大きいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも低減することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の回転機駆動制御装置。
【請求項16】
前記搬送波キャリア生成部は、モータ電流とインダクタンス値をdq軸座標変換して、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスを算出し、
この算出したd軸インダクタンスとq軸インダクタンスから電流変化率を算出し、
この算出した電流変化率が閾値よりも小さいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも増加し、
この算出した電流変化率が閾値よりも大きいと判定すれば、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期よりも低減することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の回転機駆動制御装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願は、回転機駆動制御装置に関するものである。
続きを表示(約 9,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、回転機駆動制御装置として、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)を適用したインバータが広く用いられている。インバータは、スイッチング素子を適切に制御することにより、直流電力を交流電力に変換する装置である。このインバータでは、回転機に流れる電流を制御する電流制御手法として、パルス幅変調制御を採用することが多い。パルス幅変調制御は、変調波である三角波キャリア信号と、被変調波である電圧指令の大小関係により、スイッチング素子の制御信号を生成する手法である。本願は、回転機駆動制御装置のパルス幅変調制御における、キャリア周期の算出方法に関する。
【0003】
キャリア周期(三角波キャリア信号の周期)は、設定上の自由度が高い。変調波であるキャリア周期を低減するとスイッチング損失が低減するため、回転機駆動制御装置の高効率化が可能である。一方、キャリア周期が低いほどスイッチングに起因するピーク電流が増加するため、回転機に流れる電流の最大値が増加する。回転機に流れる電流の最大値の増加は、コイルで発生する損失の増加、永久磁石同期機における磁石の不可逆減磁など、回転機の破損につながる。
【0004】
回転機駆動制御装置における上記のような課題を回避する方法として、特許文献1に開示されているモータ制御装置が知られている。この特許文献1に記載のモータ制御装置は、電流の歪み率が最小となるよう、1電気角周期中のパルス数を選択するものである。特許文献1の手法では、電流の歪み率(高調波の割合)を低減することで高調波による回転機の損失は低減できるが、モータ電流の大きさに起因する損失低減には、必ずしもつながらない。また、モータ電流の最大値を閾値以下に抑制できないため、磁石の不可逆減磁などの回転機の破損を防止することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第5845115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、上記のような、回転機駆動制御装置における課題を解決するためになされたものである。すなわち、回転機に流すモータ電流を発生する回転機駆動制御装置において、回転機に流れるモータ電流の最大値を所定値以下になるように抑制することによって、モータ電流の大きさに起因する損失を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に関わる回転機駆動制御装置は、
電圧指令、誘起電圧、モータ電流を入力として、搬送波キャリアを生成する搬送波キャリア生成部と、
直流電圧と前記電圧指令と前記搬送波キャリアを入力として、前記搬送波キャリアに対して電圧指令が大きい場合は、直流電圧を出力し、前記搬送波キャリアに対して電圧指令が小さい場合は、ゼロ電圧を出力するパルス幅変調電圧生成部と、を備え、
前記搬送波キャリア生成部は、キャリア周期の下限値に一致するように前記搬送波キャリアのキャリア周期を決定し、
前記キャリア周期の下限値は、モータ電流の最大値と抵抗成分の電流と電流変化率とから算出されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本願に関わる回転機駆動制御装置は、以上のように構成されており、回転機に流れるモータ電流の最大値を所定値以下になるように抑制することができるため、モータ電流の大きさに起因する損失を低減可能であるという従来にない効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本願の実施の形態1における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態におけるパルス幅変調電圧とモータ電流の関係を示している図である。
本願の実施の形態1におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態2における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態2におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態3における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態3におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態4における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態4において、電流変化率とキャリア周期との関係を表しているマップを示す図である。
本願の実施の形態4におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態5における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態5におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態6における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態6におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態7における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態7において、電圧指令値と電流変化率との関係を表しているマップを示す図である。
本願の実施の形態7におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態8における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態8において、モータ電流の最大値と電流変化率との関係を表しているマップを示す図である。
本願の実施の形態8におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態9における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態9において、抵抗成分の電流とキャリア周期との関係を表しているマップを示す図である。
本願の実施の形態9におけるキャリア周期を求めるための手順を示すための第1のフローチャート図である。
本願の実施の形態9におけるキャリア周期を求めるための手順を示すための第2のフローチャート図である。
本願の実施の形態10における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態10において、d軸電流とq軸電流の位相の定義を表している図である。
本願の実施の形態10において、d軸電流とq軸電流の位相と電流制約との関係を表しているマップを示す図である。
本願の実施の形態10におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態11における回転機駆動制御装置の構成を示すブロック構成図である。
本願の実施の形態11において、d軸電流とd軸インダクタンスとの関係を表しているマップを示す図である。
本願の実施の形態11において、q軸電流とq軸インダクタンスとの関係を表しているマップを示す図である。
本願の実施の形態11におけるキャリア周期を求めるための手順を示すフローチャート図である。
本願の実施の形態に関わる回転機駆動制御装置の内部構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の実施の形態に関わる回転機駆動制御装置について、図を参照しながら以下に説明する。なお、各図において、同一または同様の構成部分については同じ符号を付しており、対応する各構成部のサイズと縮尺はそれぞれ独立している。例えば、構成の一部を変更した断面図の間で、変更されていない同一構成部分を図示する際に、同一構成部分のサイズと縮尺が異なっている場合もある。また、回転機駆動制御装置は、実際にはさらに複数の部材を備えているが、説明を簡単にするため、説明に必要な部分のみを記載し、他の部分については省略している。
【0011】
実施の形態1.
まず、本願の実施の形態1に関わる回転機駆動制御装置1の構成について、図を参照しながら説明する。図1は、制御対象である回転機4を含めた回転機駆動制御装置1の構成図である。本実施の形態に関わる回転機駆動制御装置1は、パルス幅変調電圧生成部2、および搬送波キャリア生成部3とによって構成されている。搬送波キャリア生成部3は、搬送波キャリアを生成して、パルス幅変調電圧生成部2に出力する。パルス幅変調電圧生成部2は、直流電圧、電圧指令、搬送波キャリアに基づき、回転機4に印加するパルス幅変調電圧(PWM電圧)を生成する。
【0012】
以下、順次、回転機駆動制御装置1の各部の構成、機能および動作について説明する。まず、パルス幅変調電圧生成部2の説明から行う。パルス幅変調電圧生成部2では、外部から入力される電圧指令[Vu、Vv、Vw]に基づいて、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)により、直流電圧(V)をパルス幅変調電圧(PWM電圧)に変換する。なお、電圧指令[Vu、Vv、Vw]は、電圧の次元を有する値(電圧指令値)、又は、無次元の値(例えば、デューティ、電圧利用率)が、外部から入力される。パルス幅変調は、電圧指令値(Vu、Vv、Vw)と搬送波キャリアを比較し、搬送波キャリアに対して電圧指令が大きい場合は直流電圧(V)に等しいパルス幅変調電圧を出力し、搬送波キャリアに対して電圧指令が小さい場合は零ボルト(ゼロ電圧)に等しいパルス幅変調電圧を出力するものである。
【0013】
次に、搬送波キャリア生成部3の役割について説明を行う。搬送波キャリア生成部3は、電圧指令値(Vu、Vv、Vw)、誘起電圧(Eu、Ev、Ew)、モータ電流(Iu、Iv、Iw)、から、キャリア周期(Pc)を決定し、生成した搬送波キャリアをパルス幅変調電圧生成部2に送信する。パルス幅変調により、平均的な電圧が電圧指令と一致するようパルス幅変調電圧が生成される。キャリア周期(Pc)は、搬送波キャリア生成部3にて、以下で説明するキャリア周期算出で決定される。
【0014】
図2に、回転機4にパルス幅変調電圧を印加した場合に、回転機に流れる電流(モータ電流)の波形を示す。回転機4にパルス幅変調電圧を印加した場合、回転機4には、電圧に対して線形となる抵抗成分の電流(IR)と、電圧に対して非線形となるインダクタンス成分の電流(IL)が合成された電流(モータ電流)が流れる。したがって、パルス幅変調におけるモータ電流(I)の最大値(Imax)は、式(1)に示す関係となる。また、回転機4に流れるインダクタンス成分の電流(IL)は、モータ電流の電流変化率(dI/dt)と搬送波キャリアのキャリア周期(Pc)を使って、式(2)となる。
Imax=IR+IL (1)
IL=(dI/dt)×Pc (2)
【0015】
式(1)と式(2)より、電流変化率(dI/dt)が一定の場合、回転機4に流れる最大電流は、キャリア周期に比例して増大することがわかる。回転機4に流すことができる最大電流の大きさには、回転機4の固定子巻線の焼損と磁石の不可逆減磁を防止する観点から、制約が存在する。回転機4に流れる最大電流を抑制するためには、キャリア周期を低減することが有効である。一方、キャリア周期の低減によりパルス幅変調電圧の出力が切り替わる周期も低減することになる。パルス幅変調電圧生成部2では、パルス幅変調電圧の出力が切り替わる度に、損失が発生するため、キャリア周期の低減は、回転機駆動制御装置1の効率低下につながる。
【0016】
したがって、搬送波キャリア生成部3では、回転機4の電流制約を満たし、かつ、パルス幅変調電圧生成部2で発生する損失を最小化できるようにキャリア周期を選定する。なお、電気自動車およびハイブリッド車に適用される回転機は、他の産業用機器と異なり、エンジンに隣接して配置されることが多い。エンジンで発生する熱は、回転機のコイルと磁石を高温状態にする。このような高温条件下では、回転機に給電するモータ電流の最大値を低減し、モータ電流の大きさに起因する損失による発熱を抑制することが望まれる。
【0017】
また、電気自動車およびハイブリッド車は、回転機が低回転で動作する頻度が高い。このような動作条件においては、全損失に対してモータ電流の大きさに起因する損失が占める割合が大きい。したがって、モータ電流の最大値を抑制し、モータ電流の大きさに起因する損失を低減することは、回転機の冷却装置の小型化と軽量化につながるため、電気自動車とハイブリッド車において特に有効である。
【0018】
次に、搬送波キャリアのキャリア周期(Pc)の選定および算出について説明する。式(1)と式(2)において、モータ電流の最大値(Imax)を回転機4の電流制約(Icon)とした場合、回転機4の電流制約を満たすキャリア周期の下限値は、式(3a)または式(3b)で計算される。ここで、電圧に対して線形となる抵抗成分の電流(IR)は、回転機4に流れるモータ電流の平均値としてもよいし、電圧指令値を回転機4の巻線抵抗値(R)で除算した値としてもよい。
キャリア周期の下限値=(Icon−IR)/(dI/dt) (3a)
キャリア周期の下限値=(Imax−IR)/(dI/dt) (3b)
【0019】
また、搬送波キャリアのキャリア周期(Pc)を選定するには、電流変化率(dI/dt)もしくは抵抗成分の電流(IR)に対して、回転機4の電流制約(Icon)を満たすキャリア周期をあらかじめマップとして保持しておく方法も有効である。この方法によれば、電流変化率もしくは抵抗成分の電流に対するキャリア周期を、予め作成したマップから算出する。搬送波キャリア生成部3では、以上の方法で算出したキャリア周期を、搬送波キャリアにおけるキャリア周期の下限値として設定する。
【0020】
次に、電流変化率(dI/dt)の算出方法について説明する。回転機4の巻線抵抗値(Ru、Rv、Rw)、微分演算子(p)、相互インダクタンス(MuvとMvwとMwu)を使って、式(4a)から式(4c)に回転機4の電圧方程式を示す。
Vu=(Ru+pLu)×Iu+pMuv×Iv+pMwu×Iw+Eu (4a)
Vv=(Rv+pLv)×Iv+pMvw×Iw+pMuv×Iu+Ev (4b)
Vw=(Rw+pLw)×Iw+pMwu×Iu+pMvw×Iv+Ew (4c)
【0021】
ここで、U相電圧指令値(Vu)、V相電圧指令値(Vv)、W相電圧指令値(Vw)は、電圧の次元を有しており、それぞれ、U相の電圧指令[Vu]、V相の電圧指令[Vv]、W相の電圧指令[Vw]に対応している。U相誘起電圧(Eu)、V相誘起電圧(Ev)、W相誘起電圧(Ew)は、回転機の端子電圧(PWM電圧生成部2と回転機4を接続するラインの電圧)を表している。U相モータ電流(Iu)、V相モータ電流(Iv)、W相モータ電流(Iw)は、それぞれ、U相のPWM電流、V相のPWM電流、W相のPWM電流を表している。なお、PWM電流は、PWM電圧生成部2と回転機4を接続するラインに流れる電流を表している。U相インダクタンス値、V相インダクタンス値、W相インダクタンス値を、それぞれ、Lu、Lv、Lwとする。
【0022】
簡単化のため、相互インダクタンス(MuvとMvwとMwu)を無視できるものと仮定すると、式(4a)から式(4c)は、式(5a)から式(5c)に、それぞれ、変形できる。ここでは、U相、V相、W相の電流変化率(dI/dt)を、それぞれ、dIu/dt、dIv/dt、dIw/dtと表している。なお、回転機4に給電する電流と回転機4に流れた電流は同じ値になる。なお、以下では、dIu/dt、dIv/dt、dIw/dtを、総称的に、電流変化率(dI/dt)と表すことがある。
dIu/dt =(Vu−Eu)/Lu− Ru/Lu×Iu (5a)
dIv/dt =(Vv−Ev)/Lv− Rv/Lv×Iv (5b)
dIw/dt =(Vw−Ew)/Lw− Rw/Lw×Iw (5c)
【0023】
式(5a)より、U相電流変化率(dIu/dt)は、U相電圧指令値(Vu)、U相誘起電圧(Eu)、U相モータ電流(Iu)、U相インダクタンス値(Lu)、回転機4のU相巻線抵抗値(Ru)から算出できることがわかる。また、式(5b)より、V相電流変化率(dIv/dt)は、V相電圧指令値(Vv)、V相誘起電圧(Ev)、V相モータ電流(Iv)、V相インダクタンス値(Lv)、回転機4のV相巻線抵抗値(Rv)から算出できることがわかる。また、式(5c)より、W相電流変化率(dIw/dt)は、W相電圧指令値(Vw)、W相誘起電圧(Ew)、W相モータ電流(Iw)、W相インダクタンス値(Lw)、回転機4のW相巻線抵抗値(Rw)から算出できることがわかる。
【0024】
本実施の形態に関わる回転機駆動制御装置では、搬送波キャリア生成部3は、式(5a)から式(5c)に基づいて電流変化率を算出してから、キャリア周期の下限値を決定する。搬送波キャリア生成部3がキャリア周期を決定するフローを図3に従って説明する。以下では、式(5a)から式(5c)を、総称的に、式(5)と表すことがある。ステップST100においてキャリア周期の算出フローが開始すると、搬送波キャリア生成部3は式(5)に基づいて電流変化率を算出する(ステップST101)。
【0025】
式(5)では、U相電流変化率(dIu/dt)、V相電流変化率(dIv/dt)、W相電流変化率(dIw/dt)を、電圧指令値(Vu、Vv、Vw)、誘起電圧(Eu、Ev、Ew)、モータ電流(Iu、Iv、Iw)、インダクタンス値(Lu、Lv、Lw)、回転機4の巻線抵抗値(Ru、Rv、Rw)から算出する。ステップST102では、電流変化率(dI/dt)を判定パラメータに設定し、ステップST103では、この判定パラメータが閾値以下かどうかを判定する。
【0026】
搬送波キャリア生成部3は、判定パラメータが閾値以下であると判断すればステップST104に進み、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期に対して、例えば一単位増加させる。搬送波キャリア生成部3は、判定パラメータが閾値よりも大きいと判断すればステップST105に進み、次回のキャリア周期を現時点のキャリア周期に対して、例えば一単位低減させる。ステップST104またはステップST105が終了すれば、今回のキャリア周期の算出は終了する(ステップST106)。
【0027】
次に、電流変化率の閾値の設定方法について説明する。電流変化率の閾値はモータ電流の最大値(Imax)が回転機の電流制約(Icon)以下となるように決定する。モータ電流の最大値を回転機4の電流制約以下とするためには、インダクタンス成分の電流(IL)と抵抗成分の電流(IR)を使った式(6a)を満足させる必要がある。ここで、抵抗成分の電流(IR)は、回転機4に流れるモータ電流の平均値としてもよいし、電圧指令値を回転機4の巻線抵抗値(R)で除算した値としてもよい。式(6a)を変形すると、式(6b)になる。
Icon≦IR+IL (6a)
Icon−IR≦IL (6b)
【0028】
ここで、IL(インダクタンス成分の電流)は、電流変化率(dI/dt)とキャリア周期(Pc)の積から求められるので、最大電流が回転機の電流制約以下となるための回転機の電流制約(Icon)は式(7)で示される。この式から電流変化率の閾値(判定パラメータの閾値)を式(8)とする。以上のように、電流変化率の閾値を判定パラメータの閾値に設定することにより、モータ電流の最大値(Imax)が回転機の電流制約以下となるようキャリア周期を決定することが可能になる。
(Icon−IR)/現時点のキャリア周期≦dI/dt (7)
(Icon−IR)/現時点のキャリア周期=電流変化率の閾値 (8)
【0029】
同期パルス幅変調を前提とし、電流歪み率を低減できるパルス数に切り替える手法を採用する場合、パルス数の切替が制御に影響しないよう複雑な切替処理が必要である。一方で、本願による回転機駆動制御装置は、上記実施の形態で説明したようにピーク電流を低減するように搬送波キャリアのキャリア周期を可変化するものである。搬送波キャリアのキャリア周期は回転機の駆動状態によらず変更できるため、特別な切替処理は必要としない。また、パルス幅変調のベースとなる搬送波キャリアのキャリア周期を変更するため、同期パルス幅変調、非同期パルス幅変調のどちらにも適用できるという特徴がある。なお、誘起電圧は、誘起電圧係数に回転速度を積算して求めることができる。
【0030】
したがって、本願に関わる回転機駆動制御装置は、
電圧指令、誘起電圧、モータ電流を入力として、搬送波キャリアを生成する搬送波キャリア生成部と、
直流電圧、前記電圧指令、前記搬送波キャリアを入力として、前記搬送波キャリアに対して電圧指令が大きい場合は、直流電圧を出力し、前記搬送波キャリアに対して電圧指令が小さい場合は、ゼロ電圧を出力するパルス幅変調電圧生成部と、を備え、
前記搬送波キャリア生成部は、キャリア周期の下限値に一致するように前記搬送波キャリアのキャリア周期を決定し、
前記キャリア周期の下限値は、モータ電流の最大値と抵抗成分の電流と電流変化率とから算出されていることを特徴とするものである。
(【0031】以降は省略されています)

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