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公開番号2021158873
公報種別公開特許公報(A)
公開日20211007
出願番号2020059414
出願日20200330
発明の名称回転電機
出願人株式会社アイシン
代理人特許業務法人R&C
主分類H02K 3/28 20060101AFI20210910BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】セグメントコンダクタを用いた分数スロット構成の回転電機を重巻構成で実現すると共に騒音及び振動を低減する。
【解決手段】セグメントコンダクタからなる重巻構成の分数スロット構成の回転電機であって、スロットの深さ方向Yの位置が同じステータ3の周方向Xを1つの層とし、深さ方向Yに隣接する2層において電流方向が同じである1つの相のコイルのコイルサイド11aが占める周方向Xで隣接するスロットの帯域を基本相帯5としたとき、基本相帯5を夫々毎極ごとに配置しロータ2の回転方向X1で位相が異なる基本相帯群51がスロットの底部から開口まで複数並列しており、夫々の基本相帯群51は、底部の基本相帯群51に対して、回転方向X1に沿う所定の向きに所定スロット数のn倍(nは、ゼロ及び自然数)ずらして構成されており、nが奇数の場合、2層からなる相帯群配置は深さ方向Yで反転させている。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
セグメントコンダクタからなる重巻構成のコイルを収容した複数のスロットを有するステータと、当該ステータと対向し複数の磁極を有するロータとを備え、前記ステータのスロット数を相数及び前記ロータの磁極数で除算した毎極毎相スロット数が、既約分数表示で分母が2の分数スロット構成の回転電機であって、
前記スロットの深さ方向の位置が同じ前記ステータの周方向を1つの層とし、前記深さ方向に隣接する2層において電流方向が同じである1つの相の前記コイルのコイルサイドが占める前記周方向で隣接する前記スロットの帯域を基本相帯としたとき、
前記基本相帯を夫々毎極ごとに配置し前記ロータの回転方向で位相が異なる基本相帯群が前記スロットの底部から開口まで複数並列しており、
夫々の前記基本相帯群は、前記底部の前記基本相帯群に対して、前記回転方向に沿う所定の向きに所定スロット数のn倍(nは、ゼロ及び自然数)ずらして構成されており、nが奇数の場合、2層からなる相帯群配置は前記深さ方向で反転させている回転電機。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
夫々の前記基本相帯群は、前記底部から前記開口までの前記深さ方向において、前記nが昇順又は降順となるように並列配置されている請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記所定スロット数は、前記毎極毎相スロット数を前記相数で乗算した毎極スロット数に対する直近の整数である請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記毎極毎相スロット数の既約帯分数表示をa+b/c(aはゼロ又は正の整数、bおよびcは正の整数でb<c)としたとき、
a周回分の前記コイルは、前記ロータの前記磁極数と同数の極コイルが前記ステータの全周に隣接して配置された状態で、前記周方向に隣接する前記極コイルが順に電気的に接続された隣極コイル群で構成されており、
(a+1)周目の前記コイルは、前記全周を前記磁極数/c等分した範囲に、b個の前記極コイルと(c−b)個の前記極コイルに相当するブランクからなる極コイル欠落部とが順に隣接し前記周方向で直近の前記極コイルが電気的に接続された連極コイルが配置されており、前記周方向に隣接する前記磁極数/c個の前記連極コイルを隔極で電気的に接続して周回する隔極コイル群で構成されている請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
2周目以降の前記隣極コイル群又は前記隔極コイル群は、前周目の前記隣極コイル群に対して、周回方向と反対方向に1スロットピッチずれている請求項4に記載の回転電機。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントコンダクタからなるコイルを収容した複数のスロットを有するステータと、ステータと対向し複数の磁極を有するロータとを備えた回転電機に関する。
続きを表示(約 6,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来、セグメントコンダクタからなる重巻構成のコイルを備え、ステータのスロット数を相数及びロータの磁極数で除算した毎極毎相スロット数が自然数である整数スロット構成の回転電機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の回転電機は、スロットの開口部側から底部側に向かって1層目〜4層目のコイルサイドを有しており、1層目に毎極毎相スロット数+n個(nは1以上の整数)及び2層目に毎極毎相スロット数−n個の同相コイルを配置したスロット導体小群と、3〜4層目に当該スロット導体小群をステータの周方向にずらした他のスロット導体小群とを備えている。この構成により、高トルク化かつ低トルクリップル化を図ることができると記載されている。
【0004】
また、セグメントコンダクタからなるコイルを備え、毎極毎相スロット数が既約分数表示で分母が2以上の分数スロット構成の回転電機が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の技術は、セグメントコンダクタを波巻構成にすることにより、1個のスロット内に異相のセグメント導体が混在する分数スロット構成の回転電機を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017−28847号公報
特開2008−172926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
分数スロット構成の回転電機は、整数スロット構成の回転電機に比べて良好なトルクリップル特性を少ないスロット数で実現できるため、有用である。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、整数スロット構成の回転電機であり、分数スロット構成の回転電機に適用できない。また、特許文献2に記載の技術は、分数スロット構成の回転電機であるが、短節ピッチと長節ピッチの繰り返しである波巻構成を採用しており、周方向Xに隣接する一対の磁極は互いに吸引力分布が異なり、騒音及び振動の要因となる。しかも、特許文献2に記載の技術は波巻構成を前提としており、重巻構成で実現できない。
【0007】
そこで、セグメントコンダクタを用いた分数スロット構成の回転電機を重巻構成で実現すると共に騒音及び振動を低減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回転電機の特徴構成は、セグメントコンダクタからなる重巻構成のコイルを収容した複数のスロットを有するステータと、当該ステータと対向し複数の磁極を有するロータとを備え、前記ステータのスロット数を相数及び前記ロータの磁極数で除算した毎極毎相スロット数が、既約分数表示で分母が2の分数スロット構成の回転電機であって、
前記スロットの深さ方向の位置が同じ前記ステータの周方向を1つの層とし、前記深さ方向に隣接する2層において電流方向が同じである1つの相の前記コイルのコイルサイドが占める前記周方向で隣接する前記スロットの帯域を基本相帯としたとき、前記基本相帯を夫々毎極ごとに配置し前記ロータの回転方向で位相が異なる基本相帯群が前記スロットの底部から開口まで複数並列しており、夫々の前記基本相帯群は、前記底部の前記基本相帯群に対して、前記回転方向に沿う所定の向きに所定スロット数のn倍(nは、ゼロ及び自然数)ずらして構成されており、nが奇数の場合、2層からなる相帯群配置は前記深さ方向で反転させている点にある。
【0009】
本構成により、セグメントコンダクタを用いた分数スロット構成の回転電機を重巻構成で実現することができる。また、本構成によれば、ロータの磁極の毎極において吸引力分布が、1層目及び2層目のみで構成される基本型の回転電機に比べて均等となるため、騒音及び振動を低減することができる。
【0010】
他の特徴構成は、夫々の前記基本相帯群は、前記底部から前記開口までの前記深さ方向において、前記nが昇順又は降順となるように並列配置されている点にある。
【0011】
本構成によれば、ロータの磁極の毎極において吸引力分布が、1層目及び2層目のみで構成される基本型の回転電機に比べてより均等となるため、騒音及び振動を低減することができる。
【0012】
他の特徴構成は、前記所定スロット数は、前記毎極毎相スロット数を前記相数で乗算した毎極スロット数に対する直近の整数である点にある。
【0013】
本構成のように所定スロット数を規定すれば、コイルピッチが短節ピッチであっても長節ピッチであっても、セグメントコンダクタを用いた分数スロット構成の回転電機を重巻構成で実現すると共に騒音及び振動を低減することができる。
【0014】
他の特徴構成は、前記毎極毎相スロット数の既約帯分数表示をa+b/c(aはゼロ又は正の整数、bおよびcは正の整数でb<c)としたとき、a周回分の前記コイルは、前記ロータの前記磁極数と同数の極コイルが前記ステータの全周に隣接して配置された状態で、前記周方向に隣接する前記極コイルが順に電気的に接続された隣極コイル群で構成されており、(a+1)周目の前記コイルは、前記全周を前記磁極数/c等分した範囲に、b個の前記極コイルと(c−b)個の前記極コイルに相当するブランクからなる極コイル欠落部とが順に隣接し前記周方向で直近の前記極コイルが電気的に接続された連極コイルが配置されており、前記周方向に隣接する前記磁極数/c個の前記連極コイルを隔極で電気的に接続して周回する隔極コイル群で構成されている点にある。
【0015】
本構成により、セグメントコンダクタを用いた分数スロット構成の回転電機を重巻構成で実現することができる。
【0016】
他の特徴構成は、2周目以降の前記隣極コイル群又は前記隔極コイル群は、前周目の前記隣極コイル群に対して、周回方向と反対方向に1スロットピッチずれている点にある。
【0017】
本構成により、コイルエンドが均等に配置され、コンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
回転電機の一部拡大断面図である。
8極36スロットの基本相帯群の相配置を示す模式図である。
本実施形態に係る8極36スロットの相配置を示す模式図である。
8極36スロットのU相における相配置及び巻線構成を示す本実施形態に係る実施例である。
8極36スロットのU相における相配置及び巻線構成を示す比較例である。
8極36スロットのU相における相配置及び巻線構成(短節ピッチ)を示す本実施形態に係る実施例である。
8極36スロットのU相における相配置及び巻線構成(短節ピッチ)を示す本実施形態に係る他の実施例である。
8極36スロットのU相における相配置及び巻線構成(長節ピッチ)を示す本実施形態に係る実施例である。
8極36スロットのU相における相配置及び巻線構成(長節ピッチ)を示す本実施形態に係る他の実施例である。
8極60スロットの基本相帯群の相配置を示す模式図である。
8極60スロットのU相における相配置及び巻線構成(短節ピッチ)を示す本実施形態に係る実施例である。
8極60スロットのU相における相配置及び巻線構成(短節ピッチ)を示す本実施形態に係る他の実施例である。
8極60スロットのU相における相配置及び巻線構成(長節ピッチ)を示す本実施形態に係る実施例である。
8極60スロットのU相における相配置及び巻線構成(長節ピッチ)を示す本実施形態に係る他の実施例である。
Nspp=3.5となる回転電機の相配置及び巻線構成を示す模式図である。
Nspp=4.5となる回転電機の相配置及び巻線構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る回転電機の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、回転電機の一例として、三相交流同期電動機(以下、モータMと称する。)として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0020】
[基本構成]
図1に示すように、モータMは、セグメントコンダクタ(以下、「巻線」と称する。)で構成されたコイルのコイルサイド11aを収容する複数のスロット32を有するステータ3と、ステータ3と対向し複数の永久磁石22(磁極の一例)を有するロータ2とを備えている。以下の説明において、ロータ2の回転方向又は逆回転方向を周方向X、ロータ2の半径方向を径方向Y、ロータ2の回転軸芯と平行な方向を軸方向Z(直交方向)と称する。また、周方向Xのうち、ロータ2が回転する方向を回転方向X1及びその逆方向を逆回転方向X2、径方向Yのうち、ステータ3からロータ2に向かう方向(スロット32の開口側に向かう方向)を径内方向Y1と称し、ロータ2からステータ3に向かう方向を径外方向Y2(スロット32の底部側に向かう方向)と称する。
【0021】
ステータ3は、筒状のステータコア31を有しており、ステータコア31は複数の磁性鋼板を積層して形成されている。ステータコア31は、径外方向Y2側で環状に形成されたヨーク部31aと、ヨーク部31aから径内方向Y1に突出する複数のティース部31bと、複数のティース部31bの突出端において周方向Xに沿って配置されるフランジ部31cとで構成されている。隣接するティース部31bの間には、コイルのコイルサイド11aを収容するスロット32が形成されており、複数のスロット32が、複数のティース部31bと同じ数だけ設けられている。
【0022】
ロータ2は、複数の磁性鋼板を積層して形成される筒状のロータコア21と、ロータコア21に埋設された複数の永久磁石22とを有している。このロータコア21は不図示の軸部材に支持されており、ロータ2がステータ3に対して回転方向X1及び逆回転方向X2に相対回転可能に構成されている。永久磁石22は、希土類系磁石等で構成されており、N極とS極とが周方向Xに沿って交互に配置されている。なお、複数の永久磁石22の外周面をロータコア21から露出させても良い。
【0023】
本実施形態のモータMは、ステータ3のスロット32の数を相数(本実施形態では3相)及びロータ2の磁極数で除算した値(以下、毎極毎相スロット数又はNsppとも称する。)は1/2よりも大きく、毎極毎相スロット数を既約分数で表示したとき、分母が2以上の分数スロットで構成されている。以下、毎極毎相スロット数を既約帯分数表示する場合は、a+b/c(aは整数部分、b/cは既約分数部でb<c、ここでaはゼロ又は正の整数、bおよびcは正の整数)と表現する。例えば、8極36スロットのモータMでは、毎極毎相スロット数が3/2(a=1,b=1,c=2)となる。
【0024】
複数のスロット32に巻回される巻線は、例えば銅線を絶縁層で被覆したセグメントコンダクタで構成されている。この巻線は、断面矩形状の角線、断面円形状の丸線や断面多角形状の種々の導線が用いられる。本実施形態におけるスロット32に対する巻線の巻回方式は、重巻で構成されている。
【0025】
図1に示すように、各相(U相,V相,W相)のコイルの夫々は、スロット32内に径方向Yに沿ってコイルのコイルサイド11aを複数積層させている。分数スロットの場合、コイルサイド11aを径方向Yに2個積層させた2層のコイルサイド11aで構成される2層ユニット(後述する基本相帯5)を複数組有している(例えば図2の1層〜2層を径方向Yに繰り返した4組)。そして、3相のコイルがY結線で電気的に接続されている。なお、3相のコイルをΔ結線で電気的に接続しても良く、特に限定されない。なお、同一の番号が付されている「層」は、スロット32深さ方向(径方向Y)が同じ位置で、ロータ2の回転方向X1で連なっている。
【0026】
分数スロットにおける重巻の場合、コイルピッチは、ステータ3のスロット32の数をロータ2の磁極数で除算した毎極スロット数に対する直近の整数が好適である。このコイルピッチは、例えば8極36スロット(毎極スロット数が4.5)のモータMの場合、短節ピッチとなる4スロット(短節巻)か長節ピッチとなる5スロット(長節巻)となる。
【0027】
図2は、8極36スロットのモータMにおいて、複数のスロット32に巻回される巻線のコイルサイド11aの相配置と、一対のロータ2の磁極(N極,S極)との間の磁極対向状態の基本型を示している。なお、同図は、図1を便宜的に直線状に表示したもの(内径側を便宜的に拡張)であり、ヨーク部31a,ティース部31b及び巻線は図示が省略されており、図面上段に記載した続き番号は、各スロット32のスロット番号を示している。U相のコイルとV相のコイルとW相のコイルとは、夫々がこの順番で回転方向X1に電気角にして120°位相がずれている。以下、各相(U相,V相,W相)は位相のずれを除いて同一の相配置であるので、U相のコイルを代表として説明する。図面上において、「U」の表記と下線が付された「U」の表記とは電流方向が互いに逆方向であることを示しており、同一表記であれば電流方向が同じコイルサイド11aであることを示している。また、径方向Yにおいて最も径外方向Y2にあるコイルサイド11aから径内方向Y1のコイルサイド11aに向かうに連れて順番に1層目,2層目・・・と表現する。
【0028】
ロータ2の磁極の毎極で同相且つ電流方向が同じである1又は隣接する複数のスロット32に収容され、径方向Yに隣接する2層で構成されるコイルサイド11aの集合を基本相帯5と定義する。換言すると、基本相帯5は、スロット32の深さ方向(径方向Y)の位置が同じステータ3の周方向Xを1つの層とし、深さ方向(径方向Y)に隣接する2層において電流方向が同じである1つの相のコイルのコイルサイド11aが占める周方向Xで隣接するスロット32の帯域のことであり、コイルで相の巻数の1ターンをなすコイルサイド11aが収容される。ここで、「毎極で同相且つ電流方向が同じである1又は隣接する複数のスロット32に収容されたコイルサイド11aの集合」とは、1個のスロット32又は周方向Xに連続して隣接する複数(8極36スロットのモータMの場合2個)のスロット32に収容されている同相且つ電流方向が同じコイルサイド11aの集合と同義である。
【0029】
8極36スロット(Nspp=3/2、a=1,b=1,c=2)の分数スロット構成において、基本相帯5は、複数の磁極(8極36スロットの場合は8極)のうちの隣接する一対の磁極(2極)に夫々対向する第一極基本相帯5Aと第二極基本相帯5Bとで構成されている。これら第一極基本相帯5Aと第二極基本相帯5Bとは、夫々相配置が異なっており、分布が均等でない基本相帯5となっている。
【0030】
図2に示す1層目〜2層目のみから成る基本型のモータMの場合、2番スロット〜3番スロットに配置される基本相帯5の複数(3個)のコイルサイド11aは、2番スロットに1個、3番スロットに2個となり、基本相帯5の複数のコイルサイド11aの中心位置C11は、スロット番号を用いて便宜的に表現する(すなはち、スロット番号1の周方向中心を基準位置とし、スロットピッチを1としてコイルサイド中心位置を数値表示する)(以下同様)と下記式(1)に示すように8/3となる。
式(1)C11=(2×1+3×2)/(1+2)=8/3
(【0031】以降は省略されています)

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