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公開番号2021142887
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210924
出願番号2020043003
出願日20200312
発明の名称制御装置
出願人株式会社アイシン
代理人特許業務法人R&C
主分類B60W 20/10 20160101AFI20210827BHJP(車両一般)
要約【課題】第1車輪及び第2車輪の総駆動力の急激な低下を伴わないような第1変速機及び第2変速機のダウンシフト動作を行いやすい技術を実現する。
【解決手段】制御装置は、第1車輪及び第2車輪に前進加速方向のトルクが伝達されている状態で、第1変速機TM1の変速比を第1変速比から変更する第1ダウンシフトの動作制御と、第2変速機TM2の変速比を変更する第2ダウンシフトの動作制御とを実行する場合に、変速調整制御を実行する。変速調整制御は、第1ダウンシフトの動作開始後の、第1変速機TM1の入力回転速度N1が第1変速比に応じた回転速度N1bよりも高い状態で、内燃機関EGにトルクを出力させつつ第1回転電機MG1に発電させる回生制御を実行し、回生制御の実行中に、第2ダウンシフトの動作を進行させるための第2変速機TM2の入力回転速度N2の上昇を行う制御である。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
内燃機関及び第1回転電機と第1車輪とを結ぶ第1動力伝達経路に、変速比を変更可能な第1変速機を備え、第2回転電機と第2車輪とを結び且つ前記第1動力伝達経路とは分離した第2動力伝達経路に、変速比を変更可能な第2変速機を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置であって、
前記第1車輪及び前記第2車輪に前進加速方向のトルクが伝達されている状態で、前記第1変速機の変速比を第1変速比から前記第1変速比より大きい第2変速比に変更する第1ダウンシフトの動作制御と、前記第2変速機の変速比を第3変速比から前記第3変速比より大きい第4変速比に変更する第2ダウンシフトの動作制御とを実行する場合に、変速調整制御を実行し、
前記変速調整制御は、前記第1ダウンシフトの動作開始後の、前記第1変速機の入力回転速度が前記第1変速比に応じた回転速度よりも高い状態で、前記内燃機関にトルクを出力させつつ前記第1回転電機に発電させる回生制御を実行し、前記回生制御の実行中に、前記第2ダウンシフトの動作を進行させるための前記第2変速機の入力回転速度の上昇を行う制御である、制御装置。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
前記第1回転電機及び前記第2回転電機は、蓄電装置に電気的に接続され、
前記第2変速機の入力回転速度を、規定時間で、前記第3変速比に応じた変速前回転速度から前記第4変速比に応じた変速後回転速度まで上昇させるために必要となる必要電力を、前記蓄電装置から前記第2回転電機に供給することができないことを条件に、前記変速調整制御を実行する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2車輪に前記第2回転電機の側から伝達することが要求されるトルクに応じた前記第2回転電機のトルクに、前記第2変速機の入力回転速度を前記規定時間で前記変速前回転速度から前記変速後回転速度まで上昇させるためのイナーシャトルクを加算したトルクを、基準トルクとして、
前記基準トルクと前記変速後回転速度との積が、前記蓄電装置の前記第2回転電機への出力制限値を超える場合に、前記必要電力を前記蓄電装置から前記第2回転電機に供給することができないと判定する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記変速調整制御では、前記第1変速機の入力回転速度が前記第2変速比に応じた回転速度まで上昇した後に、前記回生制御を開始し、前記回生制御の開始に合わせて、前記第2変速機の入力回転速度の前記第3変速比に応じた回転速度からの上昇を開始させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記変速調整制御では、前記回生制御の実行中に、前記第2変速機の入力回転速度を前記第3変速比に応じた回転速度から前記第4変速比に応じた回転速度まで上昇させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関及び第1回転電機と第1車輪とを結ぶ動力伝達経路に変速比を変更可能な第1変速機を備え、第2回転電機と第2車輪とを結ぶ動力伝達経路に変速比を変更可能な第2変速機を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に関する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
第1駆動力源と第1車輪とを結ぶ動力伝達経路に変速比を変更可能な第1変速機を備え、第2駆動力源と第2車輪とを結ぶ動力伝達経路に変速比を変更可能な第2変速機を備えた車両用駆動装置の一例が、特開2011−51460号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1の車両用駆動装置は、前輪(111,113)を第1車輪とし、後輪(121,123)を第2車輪とする車両用駆動装置であり、第1駆動力源としてのエンジン(101)と、第1変速機としてのトランスミッション(103)と、第2駆動力源としてのモータ/ジェネレータ(5)と、第2変速機としてのプラネタリーギヤ機構(7)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2011−51460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、変速機のダウンシフト動作時には、一般に、変速機の入力回転速度を上昇させる期間において、変速機の入力回転速度を変化させるためのイナーシャトルクの分、変速機の側から車輪に伝達されるトルクが低下して、車輪の駆動力が低下する。車輪の駆動力の急激な低下は、駆動力抜けを運転者に感じさせるため、特にダウンシフト動作がオンダウンシフト動作(車輪に前進加速方向のトルクが伝達されている状態でのダウンシフト動作)である場合には、車輪の駆動力の急激な低下を伴わないようにダウンシフト動作を行えることが望ましい。上記のように第1変速機及び第2変速機を備えた車両用駆動装置においては、第1車輪及び第2車輪の総駆動力の急激な低下を伴わないようにダウンシフト動作を行えることが望ましいが、特許文献1にはこの点についての記載はない。
【0005】
そこで、第1車輪及び第2車輪の総駆動力の急激な低下を伴わないような第1変速機及び第2変速機のダウンシフト動作を行いやすい技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、内燃機関及び第1回転電機と第1車輪とを結ぶ第1動力伝達経路に、変速比を変更可能な第1変速機を備え、第2回転電機と第2車輪とを結び且つ前記第1動力伝達経路とは分離した第2動力伝達経路に、変速比を変更可能な第2変速機を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置であって、前記第1車輪及び前記第2車輪に前進加速方向のトルクが伝達されている状態で、前記第1変速機の変速比を第1変速比から前記第1変速比より大きい第2変速比に変更する第1ダウンシフトの動作制御と、前記第2変速機の変速比を第3変速比から前記第3変速比より大きい第4変速比に変更する第2ダウンシフトの動作制御とを実行する場合に、変速調整制御を実行し、前記変速調整制御は、前記第1ダウンシフトの動作開始後の、前記第1変速機の入力回転速度が前記第1変速比に応じた回転速度よりも高い状態で、前記内燃機関にトルクを出力させつつ前記第1回転電機に発電させる回生制御を実行し、前記回生制御の実行中に、前記第2ダウンシフトの動作を進行させるための前記第2変速機の入力回転速度の上昇を行う制御である。
【0007】
本構成によれば、第1車輪及び第2車輪に前進加速方向のトルクが伝達されている状態で、第1ダウンシフトの動作制御と第2ダウンシフトの動作制御とを実行する場合に、第1変速機の入力回転速度が第1変速比に応じた回転速度から回生制御が実行される回転速度まで上昇する期間(以下、「第1期間」という)において、第2ダウンシフトの動作を進行させるための第2変速機の入力回転速度の上昇が行われないようにすることができる。すなわち、第1期間では、第1車輪の駆動力がイナーシャトルクに起因して低下し得るが、本構成によれば、第2車輪の駆動力の低下を伴い得る第2変速機の入力回転速度の上昇が、第1期間において行われないようにすることができる。これにより、第1期間において第2ダウンシフトの動作を進行させるための第2変速機の入力回転速度の上昇が行われる場合に比べて、第1車輪及び第2車輪の総駆動力が第1期間において急激に低下しないようにすることが容易となっている。
【0008】
更に、本構成では、第2ダウンシフトの動作を進行させるための第2変速機の入力回転速度の上昇が、回生制御の実行中に行われる。第2ダウンシフトの動作を進行させるための第2変速機の入力回転速度の上昇が行われる期間(以下、「第2期間」という)での、イナーシャトルクに起因する第2車輪の駆動力の低下は、第2回転電機の出力トルクを増大させることで抑制できるが、蓄電装置の出力制限を超えるために第2回転電機の出力トルクを増大させることができない場合がある。しかし、本構成によれば、回生制御により発電された電力を用いて、蓄電装置の出力制限を超える電力を第2回転電機に供給して、第2回転電機の出力トルクを増大させることが可能となる。そのため、第2ダウンシフトの動作を進行させるための第2変速機の入力回転速度の上昇が、回生制御の実行中に行われない場合に比べて、第2期間における第2車輪の駆動力を大きく確保しやすくなっている。
【0009】
なお、回生制御の実行中は、第1回転電機が負トルク(回生トルク)を出力することに応じて第1車輪の駆動力が低下するが、回生制御は、第1変速機の入力回転速度が第1変速比に応じた回転速度よりも高い状態で実行される。第1変速機の入力回転速度が高い分、第1回転電機が出力する負トルクの絶対値を小さく抑えることができる。そのため、回生制御を実行することによる第1車輪の駆動力の低下量を、第2回転電機の出力トルクを増大させることによる第2車輪の駆動力の増大量よりも小さくすることが容易となっており、第2期間においても、第1車輪及び第2車輪の総駆動力が急激に低下しないようにすることが容易となっている。
【0010】
以上のように、本構成では、第1車輪及び第2車輪の総駆動力の急激な低下を伴わないような第1変速機及び第2変速機のダウンシフト動作を行いやすくなっている。なお、本構成によれば、第1車輪及び第2車輪に前進加速方向のトルクが伝達されている状態で、第1変速機の第1ダウンシフトの動作制御と第2変速機の第2ダウンシフトの動作制御とを実行する場合に、比較的早期の段階で、第1変速機の入力回転速度を第1変速比に応じた回転速度から上昇させ、これに応じて内燃機関の回転速度も上昇させることができる。よって、比較的早期の段階で内燃機関の駆動音を変動させることができ、運転者に良好な運転フィーリングを与えることも可能となっている。
【0011】
制御装置の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
実施形態に係る車両の模式図
実施形態に係る車両用駆動装置の一部の模式図
実施形態に係る車両用駆動装置の別の一部の模式図
制御装置において実行される制御フローの一例を示すフローチャート
変速調整制御の処理手順の一例を示すフローチャート
比較例に係る制御挙動の一例を示すタイムチャート
変速調整制御を実行する場合の制御挙動の一例を示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
制御装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。また、本明細書では、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力(トルクと同義)を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材(例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等)が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等)が含まれていてもよい。
【0014】
制御装置30は、車両用駆動装置90を制御対象とする制御装置である。図1〜図3に示すように、制御装置30による制御対象の車両用駆動装置90は、第1駆動力源1と第1車輪W1とを結ぶ第1動力伝達経路T1に、変速比を変更可能な第1変速機TM1を備え、第2駆動力源2と第2車輪W2とを結び且つ第1動力伝達経路T1とは分離した第2動力伝達経路T2に、変速比を変更可能な第2変速機TM2を備えている。すなわち、車両用駆動装置90は、第1車輪W1を駆動する第1駆動ユニット91と、第2車輪W2を駆動する第2駆動ユニット92と、を備えている。第2車輪W2は、第1車輪W1とは独立に回転可能な車輪である。ここでは、第1車輪W1及び第2車輪W2の一方が、車両用駆動装置90が搭載される車両100の前輪とされ、第1車輪W1及び第2車輪W2の他方が、車両100の後輪とされる。本実施形態では、第1車輪W1は、車両100の前輪であり、第2車輪W2は、車両100の後輪である。
【0015】
本明細書では、数を明記している場合や単数と複数を区別している場合を除き、「車輪」は単数及び複数のいずれをも含む概念として用いている。図1〜図3に示すように、本実施形態では、第1車輪W1は、一対の第1車輪W1(ここでは、左右一対の前輪)であり、第2車輪W2は、一対の第2車輪W2(ここでは、左右一対の後輪)である。すなわち、本実施形態では、車両用駆動装置90は、左右一対の前輪及び左右一対の後輪を駆動する4輪駆動方式の駆動装置である。
【0016】
図1及び図2に示すように、第1駆動ユニット91は、第1駆動力源1と、第1駆動力源1と第1車輪W1との間で駆動力を伝達する第1伝達装置11と、を備えている。第1伝達装置11は、第1変速機TM1を備えている。本実施形態では、第1動力伝達経路T1は、第1駆動力源1と一対の第1車輪W1とを結ぶ動力伝達経路であり、第1伝達装置11は、第1駆動力源1と一対の第1車輪W1との間で駆動力を伝達する。そのため、図2に示すように、第1伝達装置11は、第1変速機TM1と一対の第1車輪W1との間の動力伝達経路に、第1変速機TM1の側(言い換えれば、第1駆動力源1の側)から伝達される回転を一対の第1車輪W1に分配する第1出力用差動歯車装置71を備えている。第1出力用差動歯車装置71は、第1差動入力ギヤ71Aを備えており、第1変速機TM1の側から第1差動入力ギヤ71Aに入力される回転を一対の第1車輪W1に分配する。第1出力用差動歯車装置71は、例えば、傘歯車式又は遊星歯車式の差動歯車機構とされる。図2に示す例では、第1伝達装置11は、第1変速機TM1と第1出力用差動歯車装置71との間の動力伝達経路に、カウンタギヤ機構70を備えている。
【0017】
図1及び図3に示すように、第2駆動ユニット92は、第2駆動力源2と、第2駆動力源2と第2車輪W2との間で駆動力を伝達する第2伝達装置12と、を備えている。第2伝達装置12は、第2変速機TM2を備えている。本実施形態では、第2動力伝達経路T2は、第2駆動力源2と一対の第2車輪W2とを結ぶ動力伝達経路であり、第2伝達装置12は、第2駆動力源2と一対の第2車輪W2との間で駆動力を伝達する。そのため、図3に示すように、第2伝達装置12は、第2変速機TM2と一対の第2車輪W2との間の動力伝達経路に、第2変速機TM2の側(言い換えれば、第2駆動力源2の側)から伝達される回転を一対の第2車輪W2に分配する第2出力用差動歯車装置72を備えている。第2出力用差動歯車装置72は、第2差動入力ギヤ72Aを備えており、第2変速機TM2の側から第2差動入力ギヤ72Aに入力される回転を一対の第2車輪W2に分配する。第2出力用差動歯車装置72は、例えば、傘歯車式又は遊星歯車式の差動歯車機構とされる。
【0018】
第1駆動力源1及び第2駆動力源2のそれぞれは、駆動力を出力する装置を1つ以上含む。駆動力を出力する装置は、例えば、回転電機や内燃機関とされる。ここで、内燃機関は、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。図2及び図3に示すように、第1駆動力源1は、内燃機関EG及び第1回転電機MG1を含み、第2駆動力源2は、第2回転電機MG2を含んでいる。すなわち、第1動力伝達経路T1は、内燃機関EG及び第1回転電機MG1と第1車輪W1とを結ぶ動力伝達経路であり、第2動力伝達経路T2は、第2回転電機MG2と第2車輪W2とを結ぶ動力伝達経路である。第2回転電機MG2は、第1回転電機MG1とは独立に回転可能な回転電機である。第1駆動ユニット91は、内燃機関EG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方の出力トルクを第1車輪W1に伝達させ、第2駆動ユニット92は、第2回転電機MG2の出力トルクを第2車輪W2に伝達させる。本明細書では、第1回転電機MG1の出力トルクや第2回転電機MG2の出力トルク等のトルクの正負について、車両100を前進させる方向のトルクを正トルクとし、正トルクとは反対方向のトルクを負トルクとする。また、本明細書では、トルクの大きさを、絶対値ではなく符号(正負)を考慮した大きさとする。よって、回転電機が出力可能な最小トルクは、絶対値が最大となる負トルクであり、回転電機が出力可能な最大トルクは、絶対値が最大となる正トルクである。
【0019】
第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置3(図1参照)と電気的に接続されており、蓄電装置3から電力の供給を受けて力行し、或いは、内燃機関EGの出力トルクや車両100の慣性力により発電した電力を蓄電装置3に供給して蓄電させる。第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、共通の蓄電装置3に電気的に接続されている。そして、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の一方が発電した電力によって他方を力行させることが可能となっている。例えば、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2として、3相交流(多相交流の一例)で駆動される交流回転電機を用いることができる。
【0020】
図2に示すように、第1変速機TM1は、第1変速入力部材81Aの回転を変速して第1変速出力部材81Bに伝達する。第1変速入力部材81Aは、第1駆動力源1の側から第1変速機TM1に回転を入力するための部材であり、第1変速出力部材81Bは、第1車輪W1の側に第1変速機TM1から回転を出力するための部材である。図2に示す例では、第1変速入力部材81Aは軸部材とされ、第1変速出力部材81Bは歯車部材とされている。第1変速機TM1は、第1変速機TM1の変速比(具体的には、第1変速出力部材81Bの回転速度に対する第1変速入力部材81Aの回転速度の比)を変更可能に構成されている。
【0021】
図2に示す例では、第1回転電機MG1は、第1変速入力部材81Aと一体的に回転するように連結され、内燃機関EGは、クラッチK0を介して第1変速入力部材81Aに連結されている。クラッチK0は、内燃機関EGと第1変速入力部材81Aとを選択的に連結する(すなわち、連結又は連結解除する)。クラッチK0は、内燃機関EGを第1車輪W1から切り離す機能を有する。このような構成に代えて、例えば、クラッチK0が設けられない構成、第1回転電機MG1がクラッチを介して第1変速入力部材81Aに連結される構成、第1駆動力源1と第1変速機TM1との間の動力伝達経路に流体伝動装置(例えば、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ)が設けられる構成、或いは、これらを組み合わせた構成とすることもできる。また、図2に示す例では、第1変速出力部材81Bは、カウンタギヤ機構70を介して第1差動入力ギヤ71Aに連結されている。このような構成に代えて、例えば、カウンタギヤ機構70が設けられず、第1変速出力部材81Bが第1差動入力ギヤ71Aに噛み合う構成とすることもできる。
【0022】
図3に示すように、第2変速機TM2は、第2変速入力部材82Aの回転を変速して第2変速出力部材82Bに伝達する。第2変速入力部材82Aは、第2駆動力源2の側から第2変速機TM2に回転を入力するための部材であり、第2変速出力部材82Bは、第2車輪W2の側に第2変速機TM2から回転を出力するための部材である。図2に示す例では、第2変速入力部材82Aは軸部材とされ、第2変速出力部材82Bは歯車部材とされている。第2変速機TM2は、第2変速機TM2の変速比(具体的には、第2変速出力部材82Bの回転速度に対する第2変速入力部材82Aの回転速度の比)を変更可能に構成されている。
【0023】
図3に示す例では、第2回転電機MG2は、第2変速入力部材82Aと一体的に回転するように連結されている。このような構成に代えて、例えば、第2回転電機MG2がクラッチを介して第2変速入力部材82Aに連結される構成、第2駆動力源2と第2変速機TM2との間の動力伝達経路に流体伝動装置が設けられる構成、或いは、これらを組み合わせた構成とすることもできる。また、図3に示す例では、第2変速出力部材82Bは、第2差動入力ギヤ72Aに噛み合っている。このような構成に代えて、例えば、第2変速出力部材82Bがカウンタギヤ機構を介して第2差動入力ギヤ72Aに連結される構成とすることもできる。
【0024】
第1変速機TM1及び第2変速機TM2として、変速比の異なる複数の変速段を切替可能な有段の自動変速機と、変速比を無段階に変更可能な無段の自動変速機とのいずれを用いてもよい。有段の自動変速機として、遊星歯車式の自動変速機、DCT(Dual Clutch Transmission)、AMT(Automated Manual Transmission)を例示することができる。また、無段の自動変速機として、ベルト式のCVT(Continuously Variable Transmission)を例示することができる。図2に示す例では、第1変速機TM1及び第2変速機TM2の双方が、遊星歯車式の自動変速機とされている。
【0025】
図2に示す例では、第1変速機TM1は、変速比の異なる8つの前進用変速段と、1つの後進用変速段とを形成可能に構成されている。ここで、8つの前進用変速段を、変速比の大きい側から順に(すなわち、低速段側から順に)、第1段、第2段、第3段、第4段、第5段、第6段、第7段、及び第8段とする。第1変速機TM1は、複数の第1係合装置21を備えており、第1係合装置21のそれぞれの係合の状態に応じて、複数の変速段の中のいずれかの変速段が形成される。
【0026】
図2に示す例では、第1変速機TM1は、第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2の2つの遊星歯車機構を備えている。ここでは、第1遊星歯車機構PG1はダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、第2遊星歯車機構PG2はラビニヨ型の遊星歯車機構である。第1変速機TM1が備える複数の第1係合装置21には、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及びワンウェイクラッチF1が含まれている。クラッチ(C1〜C4)は、第1変速機TM1を構成する2つの回転要素を選択的に連結し、ブレーキ(B1,B2)は、第1変速機TM1を構成する回転要素を非回転部材(例えば、第1変速機TM1のケース)に選択的に固定する。また、ワンウェイクラッチF1は、第1変速機TM1を構成する回転要素の回転方向を一方向に規制する。第1係合装置21は、摩擦係合装置及び噛み合い式係合装置のいずれであってもよいが、例えば、全ての第1係合装置21(但し、ワンウェイクラッチF1は除く)を摩擦係合装置とすることができる。なお、ワンウェイクラッチF1は設けられていなくてもよい。
【0027】
図2に示す例では、第1クラッチC1とワンウェイクラッチF1(又は第2ブレーキB2)とが係合すると共にそれ以外の第1係合装置21が解放した状態で、第1段が形成される。また、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合すると共にそれ以外の第1係合装置21が解放した状態で、第2段が形成される。また、第1クラッチC1と第3クラッチC3とが係合すると共にそれ以外の第1係合装置21が解放した状態で、第3段が形成される。また、第1クラッチC1と第4クラッチC4とが係合すると共にそれ以外の第1係合装置21が解放した状態で、第4段が形成される。また、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合すると共にそれ以外の第1係合装置21が解放した状態で、第5段が形成される。また、第2クラッチC2と第3クラッチC3とが係合すると共にそれ以外の第1係合装置21が解放した状態で、第6段が形成される。また、第2クラッチC2と第4クラッチC4とが係合すると共にそれ以外の第1係合装置21が解放した状態で、第7段が形成される。また、第2クラッチC2と第1ブレーキB1とが係合すると共にそれ以外の第1係合装置21が解放した状態で、第8段が形成される。また、第3クラッチC3と第2ブレーキB2とが係合すると共にそれ以外の第1係合装置21が解放した状態で、後進用変速段が形成される。
【0028】
図3に示す例では、第2変速機TM2は、変速比の異なる2つの変速段を形成可能に構成されている。ここで、2つの変速段を、変速比の大きい側から順に、低速段及び高速段とする。第2変速機TM2は、複数の第2係合装置22を備えており、第2係合装置22のそれぞれの係合の状態に応じて、2つの変速段の中のいずれかの変速段が形成される。
【0029】
図3に示す例では、第2変速機TM2は、第3遊星歯車機構PG3を備えている。ここでは、第3遊星歯車機構PG3はシングルピニオン型の遊星歯車機構である。第2変速機TM2が備える複数の第2係合装置22には、第5クラッチC5及び第3ブレーキB3が含まれている。第5クラッチC5は、第2変速機TM2を構成する2つの回転要素を選択的に連結し、第3ブレーキB3は、第2変速機TM2を構成する回転要素を非回転部材(例えば、第2変速機TM2のケース)に選択的に固定する。図3に示す例では、第3ブレーキB3が係合すると共に第5クラッチC5が解放した状態で低速段が形成され、第5クラッチC5が係合すると共に第3ブレーキB3が解放した状態で高速段が形成される。第2係合装置22は、摩擦係合装置及び噛み合い式係合装置のいずれであってもよいが、例えば、全ての第2係合装置22を摩擦係合装置とすることができる。
【0030】
このように、本実施形態では、第1変速機TM1及び第2変速機TM2の双方が、変速比の異なる複数の変速段を切替可能な有段の自動変速機とされている。すなわち、第1変速機TM1及び第2変速機TM2のそれぞれは、変速比の異なる複数の変速段を形成可能に構成されている。そして、本実施形態では、第1変速機TM1が形成可能な変速段の段数が、第2変速機TM2が形成可能な変速段の段数よりも多くなっている。図2及び図3に示す例では、第1変速機TM1が形成可能な変速段の段数が「8」であり、第2変速機TM2が形成可能な変速段の段数である「2」よりも多くなっている。
(【0031】以降は省略されています)

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