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公開番号2021136838
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210913
出願番号2020033632
出願日20200228
発明の名称磁性楔、回転電機、および磁性楔の製造方法
出願人日立金属株式会社
代理人
主分類H02K 3/493 20060101AFI20210816BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】回転電機の高効率化と高トルク特性の両立に寄与するとともに、耐熱性、耐久性に優れた磁性楔の提供。
【解決手段】Feより酸化しやすい元素Mを含むFe基軟磁性粉末をプレス成形して作製された成形体と、元素Mを含む低透磁率金属粉末をプレス成形して作製された成形体とを、金型内にセットして再度プレス成形して一体化し、これを熱処理して上記粉末粒子間に元素Mを含む酸化物相を形成して粉末粒子同士を結着して高強度と高電気抵抗を併せ持った磁性楔を作製する。低透磁率部分を磁性楔の幅方向略中央に位置させることにより、回転電機の高効率化と高トルク特性の両立が実現可能となる。さらに、磁性楔は樹脂レスであるため、高温環境下で長時間使用されても強度低下や寸法変化の無い、耐熱性、耐久性に優れた磁性楔とすることができる。
【選択図】図10
特許請求の範囲【請求項1】
回転電機用の磁性楔であって、
異なる透磁率を有する複数の部分からなり、
前記複数の部分のうち、第1の部分は、Feより酸化しやすい元素Mを含有する複数のFe基軟磁性合金粒子が、
前記元素Mを含む酸化物相で結着されていること、
を特徴とする磁性楔。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記複数の部分のうち、第2の部分は、前記Fe基軟磁性合金粒子よりも低い透磁率を有し、
Feよりも酸化しやすい元素Mを含有する複数の低透磁率金属粒子からなり、
前記低透磁率金属粒子が、前記元素Mを含む酸化物相で結着されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性楔。
【請求項3】
前記低透磁率金属粒子が 、前記元素Mを含むFe基合金粒子であって、前記Fe基合金粒子に含まれるFe濃度が前記Fe基軟磁性合金粒子のFe濃度よりも低いことを特徴とする請求項2に記載の磁性楔。
【請求項4】
前記第1の部分と前記第2の部分の境界が、前記元素Mを含む酸化物相で結着されていること、
を特徴とする請求項2または請求項3のいずれか一項に記載の磁性楔。
【請求項5】
前記複数の部分のうち、
前記第1の部分が、磁性楔の幅方向両端側に位置し、
前記第2の部分が、磁性楔の幅方向中央側に位置すること
を特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の磁性楔。
【請求項6】
前記元素Mが、Al、Si、Cr、Zr、Hfの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の磁性楔。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の磁性楔を用いていることを特徴とする回転電機。
【請求項8】
Feよりも酸化しやすい元素Mを含有する複数のFe基軟磁性合金粒子とバインダとを混合物にし、前記混合物を加圧成形して第1の成形体を作製する工程と、
前記Fe基軟磁性合金粒子よりも低い透磁率を有し、前記元素Mを含有する複数の低透磁率金属粒子とバインダとを混合物にして、前記混合物を加圧成形して第2の成形体を作製する工程と、
前記第1の成形体と、前記第2の成形体とを金型内に組み合わせて配置して加圧成形を施し、前記第1の成形体と前記第2の成形体が一体化された成形体を作製する工程と、
前記成形体に熱処理を施し、前記Fe基軟磁性合金粒子の間、前記低透磁率金属粒子の間、および前記Fe基軟磁性合金粒子と前記低透磁率金属粒子の間に、
前記元素Mを含む酸化物相を生成させ、前記酸化物相で各粒子を結着させる工程と、
を有することを特徴とする磁性楔の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は回転電機に用いられる磁性楔、その磁性楔を用いた回転電機、およびその磁性楔の製造方法に関する。
続きを表示(約 5,400 文字)【背景技術】
【0002】
一般的なラジアルギャップ型回転電機では、固定子(以下ステータ)と回転子(以下ロータ)とを同軸にして配し、ロータ周りのステータに、コイルを巻き回した複数のティースを、周方向等間隔に配している。また、ティースのロータ側先端には、隣り合うティースの先端を接続するよう、磁性楔を配することがある。なおこの場合、磁性楔は、コイル部品等とは異なり、磁性楔自体にはコイルを巻き回さずに用いられる。
【0003】
このような磁性楔を配することで、ロータからコイルに到達する磁束を磁気シールドでき、コイルの渦電流損失を抑制することができる。また、磁性楔を配することで、ステータとロータとの間のギャップ内磁束分布(特に周方向の磁束分布)をなだらかにし、ロータの回転を滑らかにするだけでなく、ロータに生じる渦電流損失も低減することができる。このような磁性楔のメリットは、磁性楔の透磁率が高いほど顕著となる。
【0004】
一方で、磁性楔の存在により、ティースからロータへ流れるべき磁束の一部が、磁性楔を経由してティース間で短絡してしまい、ロータへ流れる磁束が減少して回転電機のトルクが低下するという副作用がある。このような副作用も、磁性楔の透磁率が高いほど顕著となる。つまり、磁性楔のメリット(低損失化、即ち高効率化)と副作用(トルク低下)は、透磁率をパラメータとするトレードオフの関係にある。このため、従来の磁性楔では比透磁率を5程度に抑えて過度のトルク低下を回避しつつ、ある程度の効率向上に甘んじている状態であり、その効果は限定的であった。
【0005】
上記のトレードオフ関係を打破するために、磁性楔の一部(特に幅方向中央付近)に磁気抵抗の高い部分(高磁気抵抗部分)を形成する提案がなされている(特許文献1および2)。高磁気抵抗部分は、磁性楔の厚みを部分的に薄くするか、透磁率の低い材料で形成されるので、透磁率が低い部分(低透磁率部分)となる。さらに、この高磁気抵抗部分を挟む形で、透磁率の高い部分(高透磁率部分)が磁性楔の幅方向両端に形成される。このような構成により、磁性楔を経由して短絡する磁束を制限してトルク低下を抑制し、効率向上との両立を図るものである。
【0006】
特許文献1および2に記載の磁性楔においては、電磁鋼板の積層体もしくは強磁性金属粉末の圧粉体で高透磁率部分が形成され、低透磁率部分は樹脂で形成されている。樹脂は非磁性ゆえ低透磁率(比透磁率が1)であるとともに、電気絶縁性であるため渦電流損失の抑制にも寄与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2007−221913号公報
特開2019−97258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、磁性粉を加圧成形して高透磁率部分(特許文献1では「コア部」と呼称)を形成するという言及はあるものの、使用する粉末や作製方法について具体的な記述はない。また、特許文献2においては、電磁鋼板の小片を多数積層して高透磁率部分を形成する必要があるため、加工と積層工程が煩雑で量産性やコストに課題がある。さらに、上記いずれの特許文献においても、低透磁率部分には樹脂が使用されている。このため、高温環境下に長時間晒されていると、樹脂が分解劣化して徐々に不可逆的な寸法減少と強度低下を引き起こす。このため、定期的に回転電機をオーバーホールして磁性楔を取り換える必要があり、保守性や維持費用の点で課題があった。
【0009】
そこで本発明では、磁性楔であって、量産性や耐久性にも優れた磁性楔とその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の磁性楔は、異なる透磁率を有する複数の部分からなり、前記複数の部分のうち、第1の部分は、Feより酸化しやすい元素Mを含有する複数のFe基軟磁性合金粒子が、前記元素Mを含む酸化物相で結着されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の磁性楔においては、前記複数の部分のうち、第2の部分は、前記Fe基軟磁性合金粒子よりも低い透磁率を有し、Feよりも酸化しやすい元素Mを含有する複数の低透磁率金属粒子からなり、前記低透磁率金属粒子が、前記元素Mを含む酸化物相で結着されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の磁性楔においては、前記低透磁率金属粒子が、前記元素Mを含むFe基合金粒子であって、該Fe基合金粒子に含まれるFe濃度が前記Fe基軟磁性合金粒子のFe濃度よりも低いことが好ましい。
【0013】
また、本発明の磁性楔においては、前記第1の部分と前記第2の部分の境界が、前記元素Mを含む酸化物相で結着されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明の磁性楔においては、前記複数の部分のうち、前記第1の部分が、磁性楔の幅方向両端側に位置し、前記第2の部分が、磁性楔の幅方向中央側に位置することが好ましい。
【0015】
また、本発明の磁性楔においては、前記元素Mが、Al、Si、Cr、Zr、Hfの少なくとも一種であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の回転電機は、上記のいずれかの磁性楔を用いている。
【0017】
また、本発明の磁性楔の製造方法は、Feよりも酸化しやすい元素Mを含有する複数のFe基軟磁性粒子とバインダとを混合物にし、前記混合物を加圧成形して第1の成形体を作製する工程と、前記Fe基軟磁性合金粒子よりも低い透磁率を有し、前記元素Mを含有する複数の低透磁率金属粒子とバインダとを混合物にして、前記混合物を加圧成形して第2の成形体を作製する工程と、前記第1の成形体と、前記第2の成形体とを金型内に組み合わせて配置して加圧成形を施し、前記第1の成形体と前記第2の成形体が一体化された成形体を作製する工程と、前記成形体に熱処理を施し、前記Fe基軟磁性合金粒子の間、前記低透磁率金属粒子の間、および前記Fe基軟磁性合金粒子と前記低透磁率金属粒子の間に、前記元素Mを含む酸化物相を生成させ、前記酸化物相で各粒子を結着させる工程と、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、耐熱性、耐久性、量産性に優れた磁性楔を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の第1実施形態である磁性楔の斜視図である。
本発明の第1実施形態である磁性楔の断面の拡大模式図である。
本発明の第2実施形態である磁性楔の斜視図である。
本発明の第3実施形態である磁性楔の斜視図である。
本発明の第4実施形態である磁性楔の斜視図である。
本発明の第5実施形態である磁性楔の斜視図である。
本発明の第6実施形態である磁性楔の斜視図である。
本発明の第7実施形態である磁性楔の斜視図である。
本発明の第8実施形態である磁性楔の斜視図である。
本発明の第9実施形態である回転電機の模式図である。
本発明の第10実施形態である磁性楔の製造方法についての工程フローである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1に磁性楔100の斜視図を示す。また、磁性楔100を裏返しにしたときの斜視図を同図中右側に示す。磁性楔100は、異なる透磁率を有する複数の部分からなり、本実施形態では、全体として断面が凸形状となっている。そして、磁性楔100の幅方向の一端から逆側の一端に向かって、第一の高透磁率部分11、低透磁率部分20、第二の高透磁率部分12の順で形成されている。つまり、高透磁率部分11と12は磁性楔100の軸方向両端側に位置し、低透磁率部分20は、磁性楔100の軸方向中央側で、凸形状の突出部分の範囲内に位置しており、磁性楔100の長手方向に沿って細長く形成されている。また、低透磁率部分20は、磁性楔100を厚さ方向に貫通するように配置されている。なお、磁性楔100の概略寸法は、例えば、長手方向が20mmから300mm、幅方向が2mm〜20mm、厚みが1〜5mm程度である。
【0022】
図2は、高透磁率部分11または12と、低透磁率部分20の境界を拡大して示した模式図である。高透磁率部分11及び12は、複数のFe基軟磁性合金粒子で構成され、より具体的には、Feよりも酸化しやすい元素Mを含有する複数のFe基軟磁性合金粒子1の圧密体である。そして、圧密体の粒子間に、空隙2と、Fe基軟磁性合金粒子1同士を結着するFe基軟磁性合金粒子の表面酸化物相3とを有している。かかる表面酸化物相は元素Mを含む酸化物相である。
【0023】
また、低透磁率部分20は、Fe基軟磁性合金粒子1より透磁率が低い複数の低透磁率金属粒子4で構成される。ここで低透磁率金属粒子4は、Feよりも酸化しやすい元素Mを含有することを特徴とする。そして、低透磁率金属粒子4の粒子間に空隙2と、低透磁率金属粒子4同士を結着する表面酸化物相5とを有している。かかる表面酸化物相は元素Mを含む酸化物相である。
【0024】
さらに、Fe基軟磁性合金粒子1と低透磁率金属粒子4とが隣接する場所においては、表面酸化物相6が形成されている。表面酸化物相6は、Fe基軟磁性合金粒子1の表面酸化物相3と低透磁率金属粒子4の表面酸化物相5が接合して一体化したものであって、隣接する粒子により成分が異なる相となる。ただし、Fe基軟磁性合金粒子1と低透磁率金属粒子4に、同じ元素Mを含有することで、表面酸化物相6を、元素Mを主体とする、より均質な表面酸化物相6にすることができる。これにより、Fe基軟磁性合金粒子1および低透磁率金属粒子4の粒子間を強固に結着することができる。
【0025】
磁性楔100を構成する各合金粒子を上述のように表面酸化物相で強固に結着することにより、磁性楔100の曲げ強度を高くすることができる。また、表面酸化物相は絶縁体であるため、磁性楔100を構成する各合金粒子間を電気的に隔絶し、磁性楔100を全体として高電気抵抗とすることができる。これにより、磁性楔100に生じる渦電流損失を効果的に抑制することができる。
【0026】
ここで、Fe基軟磁性合金粒子1は、他の元素よりFeの含有量が質量比で最も多い軟磁性合金粒子であり、CoやNiを含有する軟磁性合金粒子にしてもよい。ただし、CoやNiの含有量はFeの含有量を超えてはならない。
【0027】
Fe基軟磁性合金粒子1の粒径を小さくすることで、磁性楔100自身に発生する渦電流損失低減に有利である一方、粒径が小さいと、粒子の製造自体が困難になる可能性がある。そこで、磁性楔100の断面観察像において、Fe基軟磁性合金粒子1の各粒子の最大径の平均は、0.5μm以上、15μm以下であるのが好ましく、0.5μm以上、8μm以下であるのがより好ましい。また、最大径が40μmを超える粒子個数比率は、1.0%未満であるのが好ましい。
【0028】
なお、ここで言うFe基軟磁性合金粒子1の各粒子の最大径の平均とは、磁性楔100の断面を研磨して顕微鏡観察を行い、一定の面積の視野内に存在する30個以上の粒子の最大径を読み取ったそれらの平均値のことである。
【0029】
また、Fe基軟磁性合金粒子1は、Feよりも酸化しやすい元素Mを含有する粒子である。ここで、「Feよりも酸化しやすい元素M」とは、酸化物の標準生成ギブズエネルギーが、Fe



よりも低い元素を意味している。この条件を満たす元素は、元素Mとして選択できるが、過激な反応性や毒性が少なく、磁気楔100を製造しやすいので、Al、Si、Cr、Zr、Hfから選択するのが好ましい。
【0030】
このような元素Mを含有することで、Fe基軟磁性合金粒子1同士を強固に結着する良好な表面酸化物相3を容易に形成することができる。具体的には、複数のFe基軟磁性合金粒子1を、成形後に酸化することで、元素Mの含有量がFe基軟磁性合金粒子1の内部よりも高い表面酸化物相3を、容易に形成することができる。特に、元素MにAlを選択した場合、とりわけ化学的に安定で電気抵抗の高い良好な表面酸化物相3が得られるので好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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