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公開番号2021136818
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210913
出願番号2020033170
出願日20200228
発明の名称誘導溶解炉用マトリックスコンバータを用いた負荷力率制御方法
出願人浜松ヒートテック株式会社
代理人特許業務法人太田特許事務所
主分類H02M 5/293 20060101AFI20210816BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】
誘導加熱炉コイルの負荷インダクタンス変化に対して,出力周波数調整により,負荷力率を指令通りに制御する方法を提案する。
【解決手段】
力率角Δφが力率角指令値Δφ*に対して遅れの場合は,マトリックスコンバータの出力周波数frを小さくして,力率角Δφを力率角指令値Δφ*に追従させ、力率角Δφが力率角指令値Δφ*に対して進みの場合は,マトリックスコンバータの出力周波数frを大きくして,力率角Δφを力率角指令値Δφ*に追従させるようにしたことを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
誘導溶解炉用マトリックスコンバータを用いた負荷力率制御方法において、
力率角Δφが力率角指令値Δφ*に対して遅れの場合は,
マトリックスコンバータの出力周波数frを小さくして,
力率角Δφを力率角指令値Δφ*に追従させ、
力率角Δφが力率角指令値Δφ*に対して進みの場合は,
マトリックスコンバータの出力周波数frを大きくして,
力率角Δφを力率角指令値Δφ*に追従させるようにしたことを特徴とする誘導溶解炉用マトリックスコンバータを用いた負荷力率制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導溶解炉用マトリックスコンバータを用いた負荷力率制御方法に関する。
続きを表示(約 5,400 文字)【背景技術】
【0002】
誘導加熱装置は,ガス炉や電気炉などの従来の加熱装置と比べ,安全安心で高効率,クリーンな加熱が可能であり,近年需要が高まっている。
誘導加熱は、コイルに高周波電流を流すことで、電磁誘導の法則によって負荷となる金属に誘導電流を流し、
誘導電流と金属の内部抵抗でジュール熱を発生させて金属を直接加熱する方法である。
このような従来の誘導溶解炉の制御においては、
負荷力率を常に1に近づけるよう制御を行う力率制御が重要であることが知られている。
例えば特許文献1には、
被溶解材を溶解させる第1段階において、力率検出部を介して検出される出力力率が1となる周波数の制御信号を生成し、
溶解した被溶解材に成分調整材を添加する第2段階において、成分調整材を被溶解材に溶け込ませるのに適した周波数の制御信号を生成し、
成分調整材を被溶解材に溶け込んだ後の第3段階において、力率検出部を介して検出される出力力率が1となる周波数の制御信号を生成することを特徴とする誘導溶解炉について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2012−74196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の誘導溶解炉の制御方法では、以下のような課題がある。
たとえば、誘導溶解炉に用いる誘導加熱コイルは被溶解材の加熱中にインダクタンス変化が生じる。
それにより,出力電圧と電流との力率角が変化し,効率低下,電力変化,ハードスイッチングによるスイッチングロスの増加などの問題が発生する。
すなわち、従来のマトリックスコンバータでは,負荷力率は一定として制御しているが,誘導加熱装置では,負荷のコイルのインダクタンスが稼働中に変化するため(被溶解材の温度上昇により),負荷力率は変化する。
ここで,ソフトスイッチングの電流条件を満たすには,マトリックスコンバータの出力電流ioutは正弦波であるため,出力電流ioutは,出力電圧voutに対して,ある程度遅れ,つまり,力率角Δφは正のある一定の値以上である必要があった。
また,負荷力率が1から遠ざかるほど,負荷の効率は悪くなる。
そのため,ソフトスイッチング可能で,効率が最大になる最適の負荷力率角に保つことが望ましかった。
本発明は,上記の課題を解決することを目的とし、誘導加熱炉コイルの負荷インダクタンス変化に対して,出力周波数調整により,負荷力率を指令通りに制御する方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の誘導溶解炉用マトリックスコンバータを用いた負荷力率制御方法は、
力率角Δφが力率角指令値Δφ*に対して遅れの場合は,
マトリックスコンバータの出力周波数frを小さくして,
力率角Δφを力率角指令値Δφ*に追従させ、
力率角Δφが力率角指令値Δφ*に対して進みの場合は,
マトリックスコンバータの出力周波数frを大きくして,
力率角Δφを力率角指令値Δφ*に追従させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の誘導溶解炉用マトリックスコンバータを用いた負荷力率制御方法は、誘導加熱炉のコイルの負荷インダクタンス変化に対して,出力周波数調整により,負荷力率を指令通りに制御することができる。
すなわち、誘導加熱装置の負荷力率制御をすることで,任意の力率角に追従させることができる。
また,マトリックスコンバータを使用することで,三相交流を、直接,高周波交流に変換できるので,装置の小型化や高効率化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の誘導溶解炉用マトリックスコンバータの負荷力率制御装置の主回路構成である。
RLC直列回路ベクトル図である。
電流検出回路の概略を示す。
力率角Δφの算出を示す。
直流成分ΔIoutの算出を示す。
実施例の実験波形を示す。
実施例の出力電圧、電流波形を示す。
実施例の制御特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて、本実施形態の誘導溶解炉用マトリックスコンバータを用いた負荷力率制御方法について説明する。
【0009】
図1に、本発明の誘導溶解炉用マトリックスコンバータの負荷力率制御装置の主回路構成を示す。
図1に示すように、本発明の誘導溶解炉用マトリックスコンバータの負荷力率制御装置は、
三相交流電源(esu、esv、esw)、LCフィルタ(Lf、Cf)、マトリックスコンバータ(MC)、高周波トランス(T1,T2)、誘導加熱炉(Rw,Lw)、共振コンデンサ(C)によって構成される。
図1において、整合トランス(T1)の一次側を電源側(Power Supply side),二次側を負荷側(Load side)と呼び、
三相交流電源(esu、esv、esw)は,電源に流れる電流の高調波成分を抑制するためにLfとCfからなるLCフィルタを通してマトリックスコンバータ(MC)に接続されている。
負荷側は,カレントトランス(T2)を介して共振コンデンサ(C)と負荷インダクタンス(Lw)が直列に接続されており,LC共振するようになっている。
【0010】
また、力率角の検出は以下のようにして行う。
すなわち、マトリックスコンバータ(MC)の出力電圧(vout),出力電流(iout)を,実効値(Vout,Iout)の正弦波で近似し,次式で与えられる。
【0011】
式(1)
式(2)
式(3)
【0012】
前記式(1)、(2)、(3)を用いて、出力周波数frの半周期ごとに力率角Δφを検出する。
すなわち、力率角Δφの検出は、例えば、後述する電流検出回路(図3参照)を用いて、
0<θ<πの半周期において,θ=π/4、3π/4の出力電流iout(π/4)、iout(3π/4)を検出し,(2)式に代入して,次式(4)乃至(7)で、力率角Δφ,出力電流実効値Ioutを得る。
【0013】
式(4)
式(5)
式(6)
式(7)
【0014】
次に、本発明における力率制御について説明する。
すなわち、本発明の誘導溶解炉用マトリックスコンバータを用いた負荷力率制御方法においては、溶解する金属を加熱する途中で、負荷インダクタンスLwの変化に対応させる。
負荷インダクタンスLwの変化に伴い力率角Δφも変化するため,マトリックスコンバータ(MC)の出力周波数frを調整し,力率角Δφを制御するようにしている。
【0015】
また、本発明においては、負荷側に直列に接続されている負荷インダクタンスLwの温度による変化があるので,力率角Δφを下記のように調整する。
すなわち、図1に示す回路において,負荷側(整合トランス(T1)の二次側)は、カレントトランス(T2)を介してRLC直列回路となっているため,整合トランス(T1)及びカレントトランス(T2)の巻数比をそれぞれn1,n2とすると、マトリックスコンバータ(MC)の出力電圧(vout)と出力電流(iout)の関係式,位相差(力率角Δφ)は、それぞれ式(9)、(10)で表すことができる。
【0016】
式(9)
式(10)
これらの式(9)(10)から、力率角Δφは,電流が遅れの時を正にしているため,誘導加熱炉のコイルの負荷インダクタンス(Lw)が大きくなると遅れ,小さくなると進むことがわかる。
【0017】
図2は,RLC直列回路ベクトル図であり、式(9)(10)のベクトル図を示す。
力率角指令値Δφ*に対して,力率角Δφが,図2(a)では遅れ,図2(b)では進みの場合を示している。
本発明では、力率角誤差Δφ*−Δφに対してPI制御演算をし,マトリックスコンバータ(MC)の出力周波数frにフィードバックして、力率角Δφを制御するようにしている。詳しくは後述する。
【0018】
次に、実施形態で用いた電流検出回路を図3に示す。
図3に示すホールCT型電流センサ(レムジャパン株式会社製,LA55−P)を、図1に示すマトリックスコンバータ(MC)の出力電流(iout)に取付け、測定抵抗により電圧に変換し,ボルテージフォロアを通ったアナログ量をSMB同軸コネクタを通してFPGAボード(Xilinx社のXC6SLX45−2FGG676Cを使用)に入力する。
電流センサの巻き数比は1:1000で,実施形態では,ホールCTに一回電流が通るように配線している。
そのため,電流の最大入力電流ioutmaxは、式(11)で示される。
【0019】
式(11)
【0020】
図3に示す電流検出回路において、マトリックスコンバータ(MC)の出力電流(iout)を検出し,以下のようにして力率角Δφを算出するのであるが、まずは、マトリックスコンバータ(MC)の出力周波数(fr)の半周期ごとに力率角Δφを算出する。
この場合、マトリックスコンバータの出力電流(iout)を,実効値(Iout)の正弦波で近似し,次式(12)、(13)で与える。
これらの式において,電流は電圧に対してΔφ遅れとする。
【0021】
式(12)
式(13)
【0022】
図4に出力電圧(vout)と出力電流(iout)の波形を示す。
図4に示すように、0≦θ<πの半周期において、
θ=π/4の出力電流(iout(π/4))、
θ=3π/4の出力電流(iout(3π/4))を検出し,
出力電流(iout)の式に代入すると式(14)を得る。
【0023】
式(14)
この式(14)式を連立方程式として解くことで,式(15)、(16)に示すように、力率角Δφ,出力電流実効値(Iout)が得られる。
【0024】
式(15)
式(16)
【0025】
次の、π≦θ<2πの半周期においても,
iout(5π/4)=−iout(π/4)、
iout(7π/4)=−iout(3π/4)となり、
力率角Δφ、出力電流実効値(Iout)は同様の結果を得ることができる。
ここで,出力電流実効値(Iout)は大電流が流れた時の制御停止に用いる。
【0026】
なお、実施形態では,計算の簡単化のためにθ=π/4、3π/4を用いているが、
図4の説明から分かるように,0,πからの距離が同じであれば、θ=π/4、3π/4でなくとも良い。
すなわち、検出ポイントをπ/4、3π/4に決める必要はなく、電圧位相を基準として、電流波形でのθに対して、「0+α」、「π−α」の点が同じ値であれば位相差が0となり、力率は1となるので、電流波形でのθに対して、「0+α」、「π−α」の点での電流を検出すればよい。
【0027】
図5は,
式(15)、式(16)の出力電流(iout)の波形である。
図5を参照して、直流成分ΔIoutの算出方法を以下に示す。
図5において、出力電圧(vout)が正半周期0≦θ<πと負の半周期π≦θ<2πにおけるI+(図4参照)をそれぞれI++、I+−とおくと,
直流成分ΔIoutによって図5に示すように|I++|≠|I+−|となる。
I++とI+−の絶対値の差をΔI+とおくと,次式(17)で表される。
【0028】
式(17)
つまり,ΔI+=4ΔIout=0
となるように制御すればよいことがわかる。
【0029】
また,出力電流ioutに直流成分ΔIoutが乗ったとき,出力電流ioutを次式(18)で表わされる。
【0030】
式(18)
式(18)において、ΔIoutが0の場合、すなわち、0+α、π+αの点での和が0であれば直流成分が0となり、そのときの電流は正弦波であるので、以下の式(18−1)の和が0になる。
(【0031】以降は省略されています)

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