TOP特許意匠商標
特許ウォッチ DM通知 Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2021103940
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210715
出願番号2020209394
出願日20201217
発明の名称磁歪発電デバイス
出願人日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
代理人特許業務法人鷲田国際特許事務所
主分類H02N 2/18 20060101AFI20210618BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】低コスト且つ耐久性に優れ、従来の磁歪発電デバイスと同等またはそれらを超える発電量を達成しうる、性能の安定な磁歪発電デバイスを提供すること。
【解決手段】電磁鋼板で形成された磁歪部、および弾性材料で形成された応力制御部を有する磁歪素子と、前記磁歪素子と連続したフレームとを備え、フレームの少なくとも一部が、磁歪部から延びた電磁鋼板と、応力制御部から延びた弾性材料とを含む積層体で構成されている、磁歪発電デバイスを提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電磁鋼板で形成された磁歪部、および弾性材料で形成された応力制御部を有する発電用磁歪素子と、
前記発電用磁歪素子と連続したフレームと
を備える磁歪発電デバイスであって、
前記フレームの少なくとも一部が、前記磁歪部から延びた前記電磁鋼板と、前記応力制御部から延びた前記弾性材料とを含む積層体で構成されている、
磁歪発電デバイス。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
前記電磁鋼板が方向性電磁鋼板である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電磁鋼板が無方向性電磁鋼板である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記弾性材料が非磁性材料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記フレームの全体が、前記磁歪部から延びた前記電磁鋼板と一体構成である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記フレームの全体が、前記応力制御部から延びた前記弾性材料と一体構成である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記フレームの全体が、前記発電用磁歪素子と一体構成である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記フレームが少なくとも1か所の曲部を有する形状であり、前記フレームおよび前記発電用磁歪素子において、前記電磁鋼板が前記デバイスの内側に位置し、前記弾性材料が前記デバイスの外側に位置する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記フレームが少なくとも1か所の曲部を有する形状であり、前記フレームおよび前記発電用磁歪素子において、前記弾性材料が前記デバイスの内側に位置し、前記電磁鋼板が前記デバイスの外側に位置する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、磁歪発電デバイスに関する。
続きを表示(約 8,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年発展しているモノのインターネット(Internet of Things、以下「IoT」と略す)の利用においては、モノとインターネットとの接続のために、センサ、電源、および無線通信装置等が一体となった無線センサモジュールを使用する。このような無線センサモジュールの電源として、電池交換や充電作業等の人手による定期的なメンテナンスの必要なしに、設置場所の環境で発生しているエネルギーから電力を発生させることが可能な発電装置の開発が望まれている。
【0003】
このような発電装置の一例が、磁歪の逆効果である逆磁歪を使用した磁歪式振動発電装置である。逆磁歪とは、磁歪材料に振動などによって歪みが加えられたときに、磁歪材料の磁化が変化する現象である。磁歪式振動発電は、振動により磁歪材料に歪みを加えて、逆磁歪効果により発生する磁化の変化を、電磁誘導の法則により、磁歪素子の周囲に巻かれたコイルに起電力を発生させるものである。
【0004】
従来、磁歪材料の発電性能を高めるためには、その磁歪量を増加させる方法が試みられてきた。これは、磁歪量が大きいほど、磁歪材料に引っ張り歪みと圧縮歪みを交互に負荷した場合、逆磁歪を利用した磁束密度の変化(ΔB)が大きくなり、発電出力も大きくなるからである。このような観点から、磁歪量の大きな材料として、FeGa合金、FeCo合金、FeAl合金等が開発され、これらの磁歪材料を用いた発電デバイスも開発されている(特許文献1〜6)。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の発電デバイスにおいては、発電性能を向上させて品質のバラツキを低減するために、磁歪材料と軟磁性材料とを貼り合わせ、磁歪材料の磁化によって軟磁性材料の磁化を変化させる。こうすることで、磁歪材料の磁化の変化による電圧に加えて、軟磁性材料の磁化の変化による電圧も検出用コイルに誘起させる。使用する磁歪材料としては、FeCo、FeAl、Ni、NiFe、NiCo等が記載されており、軟磁性材料としては、Fe、FeNi、FeSi、電磁ステンレスが記載されている。
【0006】
特許文献2に記載の発電デバイスにおいては、起電力の向上、製造コストの低減、量産性の向上のために、磁歪材料と磁性材料とを合わせた平行梁構造を作製し、磁性材料をバイアス磁場によって磁気飽和させた状態で使用する構造を有するアクチュエータが開示されている。当該アクチュエータにおいては、バックヨークをコの字状とし、中立面を磁歪材料の外に設け、振動によるバイアス磁場の変化を磁歪材料の磁化の変化に重畳させて起電力を向上させる。磁歪材料としてFeGa、FeCo、FeAl、FeSiB、アモルファス材料等が記載されており、磁性材料としては、SPCC、炭素鋼(SS400、SC、SK、SK2)、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)等が記載されている。
【0007】
特許文献3は、発電効率の向上、一様な応力負荷のために、磁歪材料と補強材としての非磁性材料とを貼り合わせ、磁歪材料と補強材の断面積比を補強材/磁歪材料>0.8になるように規定した発電素子が開示されている。磁歪材料としてはFeGa、FeCo、FeNi等が記載されており、補強材としてはフィラー含有樹脂、Al、Mg、Zn、Cu等が記載されている。
【0008】
特許文献4の発電デバイスにおいては、発電出力を向上させるために、コイルの巻数を多くすることのできる構造が採用されている。具体的には、磁歪板と非磁性構造体とを面接合した構造を作製し、磁歪板からコイルが巻かれたUの字状ヨークに磁界を還流させる。磁歪板としては、FeGaおよびFeCoが記載されており、非磁性構造体としてはステンレス(SUS304、等)が記載されている。
【0009】
特許文献5の発電デバイスにおいては、発電効率の向上および一様な応力負荷のために、磁歪材料と非磁性材料(補強材)とを貼り合わせた構造体を作製し、当該構造体を2本の平行梁として用いている。磁歪材料としては、FeGa、FeCo、FeCo系アモルファス、Fe系アモルファス、Ni系アモルファス、メタ磁性形状記憶合金、強磁性形状記憶合金等が記載されており、非磁性材料としては、酸化シリコン、アルミナ、ポリイミド、ポリカーボネード、繊維強化プラスチック、非磁性金属(Al、Cu)等が記載されている。
【0010】
特許文献6の発電デバイスにおいては、発電出力の向上のために、磁歪材料と磁性材料とを離した平行梁とした構造を使用する。当該構造によって、磁性材料を磁気飽和させない状態で使用し、磁歪材料の磁束の変化によって磁性材料の磁束を変化させ、磁歪材料による誘起電圧に、磁性材料による誘起電圧を足し合せた電圧を取り出せる設計としている。磁歪材料としては、FeGa、FeCo、FeNi、FeDyTeが記載されており、磁性材料としては、フェライト系ステンレス鋼、FeSi、NiFe、CoFe、SmCo、NdFeB、CoCr、CoPtが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
国際公開第2018/230154号
特開2018−148791号公報
国際公開第2014/021197号
国際公開第2013/038682号
国際公開第2013/186876号
特開2015−70741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1〜6の記載から明らかなように、磁歪発電素子および磁歪発電デバイスにおいては、種々の磁歪材料が他の材料と共に使用されている。磁歪材料としては、最も磁歪量の大きな材料として知られるFeGa合金が特許文献2〜6に記載されているが、FeGa合金は単結晶引き上げ方法(CZ法)で製造されるため、非常に高価である。特許文献1〜6に記載されているFeCo合金は圧延法で製造されるが、Coを含有しているため、やはり高価である。また、特許文献1および2に記載されているFeAl合金は、FeGa合金やFeCo合金と比べて安価ではあるものの、やはり高価である。さらに靭性が低く、通常の圧延法で板形状に製造することが容易ではないといった問題も有している。
【0013】
このような問題を鑑みて、上述したようなコストの高い磁歪材料を使用して磁歪発電デバイスを製造する際には、磁歪材料とそこに貼り合わせる相手材とで構成される発電用磁歪素子を製造し、当該発電用磁歪素子を、より低コストの材料で製造したフレーム等に固定した構造を採用している。このように発電用磁歪素子をフレームに固定した磁歪発電デバイスにおいては、発電用磁歪素子とフレームとの間で十分な接合強度を維持するのが難しく、耐久性が低下し得る。また、発電用磁歪素子とフレームとの接合部に磁気的なギャップが生じ得ることから、ギャップのサイズのバラツキによって磁気抵抗にバラツキが発生し、発電用磁歪素子に印加するバイアス磁場を一定に調整することも難しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、下記の磁歪発電デバイスである。
[1] 電磁鋼板で形成された磁歪部、および弾性材料で形成された応力制御部を有する発電用磁歪素子と、前記発電用磁歪素子と連続したフレームとを備える磁歪発電デバイスであって、前記フレームの少なくとも一部が、前記磁歪部から延びた前記電磁鋼板と、前記応力制御部から延びた前記弾性材料とを含む積層体で構成されている、磁歪発電デバイス。
[2] 前記電磁鋼板が方向性電磁鋼板である、[1]に記載のデバイス。
[3] 前記電磁鋼板が無方向性電磁鋼板である、[1]に記載のデバイス。
[4] 前記弾性材料が非磁性材料である、[1]〜[3]のいずれかに記載のデバイス。
[5] 前記フレームの全体が、前記磁歪部から延びた前記電磁鋼板と一体構成である、[1]〜[4]のいずれかに記載のデバイス。
[6] 前記フレームの全体が、前記応力制御部から延びた前記弾性材料と一体構成である、[1]〜[4]のいずれかに記載のデバイス。
[7] 前記フレームの全体が、前記発電用磁歪素子と一体構成である、[1]〜[4]のいずれかに記載のデバイス。
[8] 前記フレームが少なくとも1か所の曲部を有する形状であり、前記フレームおよび前記発電用磁歪素子において、前記電磁鋼板が前記デバイスの内側に位置し、前記弾性材料が前記デバイスの外側に位置する、[1]〜[7]のいずれかに記載のデバイス。
[9] 前記フレームが少なくとも1か所の曲部を有する形状であり、前記フレームおよび前記発電用磁歪素子において、前記弾性材料が前記デバイスの内側に位置し、前記電磁鋼板が前記デバイスの外側に位置する、[1]〜[7]のいずれかに記載のデバイス。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電磁鋼板で形成された磁歪部および弾性材料で形成された応力制御部を有する磁歪素子と、前記磁歪素子と連続したフレームとを備える磁歪発電デバイスにおいて、フレームの少なくとも一部を、磁歪部から延びた電磁鋼板と、応力制御部から延びた弾性材料とを含む積層体で構成することによって、低コスト且つ耐久性に優れ、従来の磁歪発電デバイスと同等またはそれらを超える発電量を達成しうる、性能の安定な磁歪発電デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示す模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示す別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
比較例の磁歪発電デバイスの構造を示す模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
本発明の磁歪発電デバイスの構造を示すさらに別の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述したように、従来技術において発電用の磁歪材料として記載されているのは、主に、飽和磁歪が約200ppmレベルのFeGa合金、あるいは、飽和磁歪が80ppmレベルのFeCo合金やFeAl合金といった、飽和磁歪の大きな材料である。これは飽和磁歪が大きい程、磁歪材料に歪みを与えた場合に発生する磁気弾性エネルギーも大きく、このエネルギーを下げるために磁歪材料内の磁化の向きが変化し易くなるためである。そして、磁化の向きが変化し易い程、検出用コイルに誘起される電圧は大きくなる。言い換えれば、飽和磁歪が8ppmレベルの電磁鋼板(即ち、FeSi合金)を発電用磁歪材料として用いることは、従来想定されていなかった。
【0018】
このような状況において本発明者らは、発電用磁歪素子の磁歪部を電磁鋼板で形成し、そこに積層する応力制御部を弾性材料で形成し、さらに磁歪発電デバイスの磁歪素子と連続するフレームの少なくとも一部を、磁歪部から延びた電磁鋼板と、応力制御部から延びた弾性材料とを含む積層体で構成した。このような磁歪発電デバイスにおいては、発電用磁歪素子とフレームとの接合部が磁歪素子中もしくは磁歪素子の近傍に存在しないことから、発電のために磁歪素子に連続的な歪みが加えられた際に、接合部に応力集中が起こりにくく、デバイスの耐久性が向上した。さらに磁気回路を構成する部材内の連続性が高まるために磁気的なギャップの発生が低減されて、磁石によるバイアス磁場の調整が容易となり、電圧を安定させることができた。また、電磁鋼板は従来の磁歪材料であるFeGa合金、FeCo合金等よりも低コストであるため、従来の磁歪発電デバイスと同等またはそれらを超える発電量を達成しながらも、磁歪発電デバイスのコストを下げることが可能となり、本発明を完成するに至った。
【0019】
以下に、例示的な実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本発明は磁歪発電デバイスに関する。本発明の磁歪発電デバイスは、発電用磁歪素子と支持部とを備える磁歪発電デバイスである。
本発明において「発電用磁歪素子」(以下、しばしば、「磁歪素子」と略す場合もある)とは、電磁鋼板から形成される磁歪部と、弾性材料から形成される応力制御部とを含み、磁歪部の逆磁歪(即ち、磁歪部の形状変化(歪み)に伴う磁場の発生)に基づく発電が可能な素子を意味する。構造的には、磁歪部と応力制御部とを含む積層体の周りに検出用コイルの巻かれた、発電に寄与する領域である。実際の発電デバイスにおいては、コイルの巻かれた領域の外側の隣接部分も発電に寄与するが、本願明細書においては、コイルの巻かれる領域を磁歪発電素子と定義する。
【0021】
本発明の発電用磁歪素子における磁歪部は、電磁鋼板から形成される。本発明において「電磁鋼板」とは、鉄(Fe)にケイ素(Si)を添加して鉄の磁気特性を向上させた、「ケイ素鋼板」と呼ばれることもある機能材料である。本発明における電磁鋼板は、ケイ素の含有量が0.5%以上4%以下の電磁鋼板である。ケイ素の含有量が0.5%以上4%以下の電磁鋼板はケイ素添加による電気抵抗の増加によって、交流振動における磁区変化を妨げる渦電流の発生を抑制できるため、磁歪部に用いるのに適している。
【0022】
さらに電磁鋼板には、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板とがあり、本発明においては、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板のどちらも磁歪部に使用可能である。方向性電磁鋼板とは、鋼板の圧延方向に金属結晶の結晶方位を揃えたものである。具体的には、その圧延方向に<100>方向を揃え、圧延面を(110)方位とした{110}[100]GOSS集合組織を有する電磁鋼板である。一方、無方向性電磁鋼板とは、金属結晶の結晶方位が一定の方向に揃えられていない、比較的ランダムな結晶方位を有するものである。方向性電磁鋼板も、無方向性電磁鋼板も、飽和磁歪がFeGa合金やFeCo合金よりも低い材料であるが、従来の磁歪材料と同等またはそれらを超える発電が可能である。その理由は明確ではないが、次のように推定される。
【0023】
上述したように、方向性電磁鋼板は、その圧延方向に<100>方向を揃え、圧延面を(110)方位とした{110}[100]GOSS集合組織を有する。本発明者らは、方向性電磁鋼板の[100]方向にバイアス磁場を印加した状態で、圧縮歪みを負荷した場合、方向性電磁鋼板の磁束密度が大きく変化することを新たに見出した。これは、方向性電磁鋼板の[100]方向に所定の磁場を印加すると、[100]方向に平行な180°磁区と90°磁区との割合が、両者が上手く相互作用する割合となり、方向性電磁鋼板に歪みを負荷した際に、180°磁区から90°磁区への変換、あるいは、90°磁区から180°磁区への変換が生じやすくなるためと考えられる。具体的には、180°磁区の磁化の方向に平行(すなわち、[100]方向)に圧縮歪みを負荷すると、180°磁区が減少して90°磁区が増加し、[100]方向に引っ張り歪みを負荷すると、90°磁区が減少して180°磁区が増加する。また、180°磁区の磁化の方向に垂直(すなわち、[110]方向)に圧縮歪みを負荷すると、90°磁区が減少して180°磁区が増加し、[110]方向に引っ張り歪みを負荷すると180°磁区が減少して90°磁区が増加する。これらの磁区の変化によって、方向性電磁鋼板の磁化が変化し、磁歪素子の磁歪部として機能する。磁歪発電デバイスにおいては、上記磁化の変化によって、磁歪素子に巻かれた検出用コイルに電圧が誘起される。
【0024】
また、無方向性電磁鋼板には方向性電磁鋼板のような結晶配向は存在しないが、バイアス磁場を印加した状態で歪みを負荷した場合に磁束密度が大きく変化することを見出した。無方向性電磁鋼板では、結晶方位が比較的ランダムであるために、方向性電磁鋼板に比べて磁区が小さい。そのために、歪みを負荷した場合、多数ある磁区の中でより動きやすい磁区から動くことが可能になるため、磁歪素子の磁歪部として使用した際に、大きな磁束密度の変化が得られると考えられる。
【0025】
本発明においては、方向性電磁鋼板の方が無方向性電磁鋼板よりも大きな磁化の変化を誘起しやすいことから、方向性電磁鋼板の方が磁歪部として好ましい。
【0026】
方向性電磁鋼板の具体例としては、例えば、日本製鉄のオリエントコア、オリエントコアハイビー(例えば、27ZH100)、オリエントコアハイビー・レーザー、オリエントコアハイビー・パーマネント、等が挙げられる。
【0027】
無方向性電磁鋼板の具体例としては、例えば、日本製鉄のハイライトコア(例えば、35H210)、ホームコア、等が挙げられる。
【0028】
さらに発電用磁歪素子は、弾性材料から形成される応力制御部を有する。磁歪素子における「応力制御部」とは、磁歪素子に曲げ歪み、等を加えた際に磁歪部全体に対して圧縮、または、引っ張りのどちらか一方の応力負荷を達成するために、応力を制御するための部分である。応力制御部を形成する材料は、上記目的を達成し得る弾性材料である限り特に限定はなく、非磁性材料および磁性材料のいずれも使用可能である。
【0029】
応力制御部を形成する弾性材料を非磁性材料とすると、磁歪素子部(磁歪素子に相当する部分)の磁歪部のみに磁場が優先的に流れるため磁歪部のバイアス磁場の調整が容易であるため好ましい。さらに、磁歪部が方向性電磁鋼板で形成され、応力制御部が非磁性材料で形成された磁歪素子に曲げ歪みを負荷した場合に、他の組み合わせと比べてより大きな磁束密度の変化が生じることを、本発明者らは見出した。これは、弾性材料に磁性材料を用いた場合には弾性材料と電磁鋼板の間に磁気的相互作用が生じ、90°磁区と180°磁区の変換が妨げられる場合が生じるが、弾性材料が非磁性材料の場合には、このような磁気的相互作用が生じないために、電磁鋼板の90°磁区と180°磁区の変換が生じ易くなるからであると考えられる。
【0030】
応力制御部を形成する非磁性材料である弾性材料としては、繊維強化プラスチック(例:CFRP、GFRP)、オーステナイト系ステンレス鋼(例:SUS304、SUS316、など)、銅合金(例:黄銅、りん青銅)、アルミ合金(例:ジュラルミン)、チタン合金(例:Ti−6Al−4V)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、ヤング率が比較的高く、曲げ歪みを負荷した場合の中立面を磁歪部の外に位置させることが容易である点で、繊維強化プラスチック、オーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
磁歪発電デバイス
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
有機電界発光素子
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
金属張積層板及び回路基板
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
コンクリート剥落防止方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
フェノキシ樹脂の製造方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
回路基板及びその製造方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
プロゾーン現象の抑制方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
樹脂組成物及び樹脂フィルム
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
樹脂組成物及び樹脂フィルム
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
エポキシ樹脂組成物および成形物
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
ポリイミドフィルム及び銅張積層板
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
樹脂組成物、樹脂フィルム及び金属張積層板
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
樹脂組成物、樹脂フィルム及び金属張積層板
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
樹脂組成物、樹脂フィルム及び金属張積層板
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
エポキシ樹脂粉体塗料及び塗膜熱変色抑制方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
ポリイミドフィルム、金属張積層板及び回路基板
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
コンクリート構造物の曲げ補強方法及び曲げ補強構造
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
樹脂フィルムの製造方法及び金属張積層板の製造方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
ポリイミド膜の製造方法及び金属張積層板の製造方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
繊維強化プラスチック積層成形体、およびその製造方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
シリカ粒子、樹脂組成物、樹脂フィルム及び金属張積層板
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
ポリイミドフィルムの製造方法及び金属張積層板の製造方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
エポキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
フェノキシ樹脂及びその製造方法、その樹脂組成物及び硬化物
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
エポキシ樹脂組成物、それを使用した積層板及びプリント回路基板
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
筐体用コーティング膜および筐体用光硬化性コーティング樹脂組成物
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
コンクリート構造物におけるコンクリート部材のせん断補強方法及びせん断補強構造
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
中空シリカ粒子とその製造方法およびそれを用いた樹脂複合組成物並びに樹脂複合体
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
シロキサン樹脂を含む硬化性樹脂組成物、及びその硬化膜、シロキサン樹脂の製造方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
エポキシアクリレート樹脂、アルカリ可溶性樹脂、それを含む樹脂組成物及びその硬化物
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
タッチパネル用感光性樹脂組成物およびその硬化膜、ならびに当該硬化膜を有するタッチパネル
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、その製造方法、感光性樹脂組成物、及びその硬化膜。
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
ブラックレジスト用感光性樹脂組成物及びその硬化塗膜、並びにカラーフィルター遮光膜の製造方法
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
ポリイミド組成物、樹脂フィルム、積層体、カバーレイフィルム、樹脂付き銅箔、金属張積層板及び回路基板
続きを見る