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公開番号2021103922
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210715
出願番号2019234443
出願日20191225
発明の名称発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
出願人日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
代理人特許業務法人鷲田国際特許事務所
主分類H02N 2/18 20060101AFI20210618BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】電圧が高く、且つバラツキの少ない、発電用磁歪素子および磁歪発電デバイスを提供すること。
【解決手段】磁歪材料から形成される磁歪部と、前記磁歪材料に積層された弾性材料から形成される応力制御部とを有し、前記磁歪材料のヤング率をEm[GPa]、板厚をtm[mm]とし、前記弾性材料のヤング率をEs[GPa]、板厚みをts[mm]としたとき、下記式(1)および(2)の関係を同時に満たす発電用磁歪素子、および当該発電用磁歪素子を備えた磁歪発電デバイスを提供する。
【数1】
<img id="000020" he="25" wi="138" file="2021103922.tif" img-format="tif" img-content="drawing"/>
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
磁歪材料から形成される磁歪部と、
前記磁歪材料に積層された弾性材料から形成される応力制御部とを有し、
前記磁歪材料のヤング率をEm[GPa]、板厚をtm[mm]とし、前記弾性材料のヤング率をEs[GPa]、板厚をts[mm]としたとき、下記式(1)および(2)の関係を同時に満たす、発電用磁歪素子。
続きを表示(約 180 文字)【請求項2】
前記弾性材料が、非磁性材料である、請求項1に記載の発電用磁歪素子。
【請求項3】
前記磁歪材料が、FeGa系合金、FeCo系合金、FeAl系合金、または電磁鋼板である、請求項1または2に記載の発電用磁歪素子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の発電用磁歪素子を備える、磁歪発電デバイス。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、発電用磁歪素子および磁歪発電デバイスに関する。
続きを表示(約 6,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年発展しているモノのインターネット(Internet of Things、以下「IoT」と略す)の利用においては、モノとインターネットとの接続のために、センサ、電源、および無線通信装置等が一体となった無線センサモジュールを使用する。このような無線センサモジュールの電源として、電池交換や充電作業等の人手による定期的なメンテナンスの必要なしに、設置場所の環境で発生しているエネルギーから電力を発生させることが可能な発電装置の開発が望まれている。
【0003】
このような発電装置の一例が、磁歪の逆効果である逆磁歪を使用した磁歪式振動発電装置である。逆磁歪とは、磁歪材料に振動などによって歪みが加えられたときに、磁歪材料の磁化が変化する現象である。磁歪式振動発電は、振動により磁歪材料に歪みを加えて、逆磁歪効果により発生する磁化の変化を、電磁誘導の法則により、磁歪素子の周囲に巻かれたコイルに起電力を発生させるものである。
【0004】
従来、磁歪材料の発電性能を高めるためには、その磁歪量を増加させる方法が試みられてきた。これは、磁歪量が大きいほど、磁歪材料に引っ張り歪みと圧縮歪みを交互に負荷した場合、逆磁歪を利用した磁束密度の変化(ΔB)が大きくなり、発電出力も大きくなるからである。このような観点から、磁歪量の大きな材料として、FeGa合金、FeCo合金、FeAl合金等が開発され、これらの磁歪材料を用いた発電デバイスも開発されている(特許文献1〜6)。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の発電デバイスにおいては、発電性能を向上させて品質のバラツキを低減するために、磁歪材料と軟磁性材料とを貼り合わせ、磁歪材料の磁化によって軟磁性材料の磁化を変化させる。こうすることで、磁歪材料の磁化の変化による電圧に加えて、軟磁性材料の磁化の変化による電圧も検出用コイルに誘起させる。使用する磁歪材料としては、FeCo、FeAl、Ni、NiFe、NiCo等が記載されており、軟磁性材としては、Fe、FeNi、FeSi、電磁ステンレスが記載されている磁歪材と軟磁性材を貼り合わせる方法としては、熱拡散接合、熱間圧延、熱間引抜、接着、溶接、クラトッド圧延、爆発圧着、等が記載されている。
【0006】
特許文献2に記載の発電デバイスにおいては、起電力の向上、製造コストの低減、量産性の向上のために、磁歪材料と磁性材料とを合わせた平行梁構造を作製し、磁性材料をバイアス磁場によって磁気飽和させた状態で使用する構造を有するアクチュエータが開示されている。当該アクチュエータにおいては、バックヨークをコの字状とし、中立面を磁歪材料の外に設け、振動によるバイアス磁場の変化を磁歪材料の磁化の変化に重畳させて起電力を向上させる。磁歪材料としてFeGa、FeCo、FeAl、FeSiB、アモルファス材料等が記載されており、磁性材料としては、SPCC、炭素鋼(SS400、SC、SK、SK2)、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)等が記載されている。磁歪材と磁性材、さらにバックヨークとの接合方法として、磁歪材両端の半田接合、溶接、ろう付け、抵抗溶接、レーザー溶接、超音波接合、接着剤が記載されている。
【0007】
特許文献3は、発電効率の向上、一様な応力負荷のために、磁歪材料と補強材としての非磁性材料とを貼り合わせ、磁歪材料と補強材の断面積比を補強材/磁歪材料>0.8になるように規定した発電素子が開示されている。磁歪材料としてはFeGa、FeCo、FeNi等が記載されている。さらに補強材として、フィラー含有樹脂、Al、Mg、Zn、Cu等が挙げられ、ヤング率が40〜100GPaのものが好ましいと記載されている。磁歪材料と補強材との接合方法として、超音波接合、固相拡散接合、液相拡散接合、樹脂系接着剤、金属ろう材が記載されている。
【0008】
特許文献4の発電デバイスにおいては、発電出力を向上させるために、コイルの巻数を多くすることのできる構造が採用されている。具体的には、磁歪板と非磁性構造体とを面接合した構造を作製し、磁歪板からコイルが巻かれたUの字状ヨークに磁界を還流させる。磁歪板としては、FeGaおよびFeCoが記載されており、非磁性構造体としてはステンレス(SUS304、等)が記載されている。磁歪材料と非磁性構造体との接合方法としては、接着剤、接着シート(光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂)が記載されている。
【0009】
特許文献5の発電デバイスにおいては、発電効率の向上および一様な応力負荷のために、磁歪材料と非磁性材料(補強材)とを貼り合わせた構造体を作製し、当該構造体を2本の平行梁として用いている。磁歪材料としては、FeGa、FeCo、FeCo系アモルファス、Fe系アモルファス、Ni系アモルファス、メタ磁性形状記憶合金、強磁性形状記憶合金等が記載されており、非磁性材料としては、酸化シリコン、アルミナ、ポリイミド、ポリカーボネート、繊維強化プラスチック、非磁性金属(Al、Cu)等が記載されている。
【0010】
特許文献6の発電デバイスにおいては、発電出力の向上のために、磁歪材料と磁性材料とを離した平行梁とした構造を使用する。当該構造によって、磁性材料を磁気飽和させない状態で使用し、磁歪材料の磁束の変化によって磁性材料の磁束を変化させ、磁歪材料による誘起電圧に、磁性材料による誘起電圧を足し合せた電圧を取り出せる設計としている。磁歪材料としては、FeGa、FeCo、FeNi、FeDyTeが記載されており、磁性材料としては、フェライト系ステンレス鋼、FeSi、NiFe、CoFe、SmCo、NdFeB、CoCr、CoPtが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
国際公開第2018/230154号
特開2018−148791号公報
国際公開第2014/021197号
国際公開第2013/038682号
国際公開第2013/186876号
特開2015−70741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
板形状の磁歪材料の単板に曲げ歪を加えた場合、中立面は板厚方向の真ん中になり、曲げ中立面を境にして一方側が圧縮歪、他方側が引っ張り歪となって、磁歪材料内の磁束密度の変化が互いに打ち消し合う状態になる。この打ち消しによって、検出用コイルに誘起される電圧は小さくなる。そこで、磁歪材料と弾性材料とを積層して磁歪素子とすることによって、磁歪材料に曲げ歪を与えたときの中立面を弾性材料の中に入れるという考え方が従来から知られている。
【0013】
例えば、特許文献1〜6には、磁歪材料を単独で使用するのではなく、他の材料と組み合わせて磁歪素子を構成し、磁歪素子の発電性能などを向上させる発明が記載されている。特に特許文献1〜4においては、磁歪材料と他の材料とを接着剤等を用いて積層する方法が記載されている。このように磁歪材料と他の材料とを積層すると、磁歪材料に曲げ歪を与えたときの中立面を磁歪材料の外に移動させて電圧を上げることが可能である。しかし、磁歪材料と他の材料とを全面的に均一に接合することは難しく、不均一な接合故に、磁歪発電素子に曲げ歪を与えたときに中立面の位置にばらつきが生じてしまうことが判明した。これは、磁歪材料と他の材料との間に接着剤等のインサート材が存在するときに、顕著である。そして中立面のばらつきの結果、当該発電素子を備える発電デバイスの発電電圧にばらつきが生じることも判明した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題に鑑み、本発明の第一は、下記の発電用磁歪素子である。
[1] 磁歪材料から形成される磁歪部と、前記磁歪材料に積層された弾性材料から形成される応力制御部とを有し、前記磁歪材料のヤング率をEm[GPa]、板厚をtm[mm]とし、前記弾性材料のヤング率をEs[GPa]、板厚をts[mm]としたとき、下記式(1)および(2)の関係を同時に満たす、発電用磁歪素子。
[2] 前記弾性材料が、非磁性材料である、[1]に記載の発電用磁歪素子。
[3] 前記磁歪材料が、FeGa系合金、FeCo系合金、FeAl系合金、または電磁鋼板である、[1]または[2]に記載の発電用磁歪素子。
【0015】
さらに本発明の第二は、下記の磁歪発電デバイスである。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の発電用磁歪素子を備える、磁歪発電デバイス。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、磁歪材料と弾性材料とを、接着剤等のインサート材を用いて貼り合わせたものを磁歪素子として用いる磁歪発電デバイスにおいて、磁歪材料のヤング率Emと板厚tm、弾性材料のヤング率Esと板厚tsが上記式(1)および式(2)の関係を同時に満たすと、より均一な歪みを磁歪部に加えることができることが判明した。これは磁歪部から遠くに外れた場所に中立面が位置するためと考えられる。さらに弾性材料から磁歪材料への応力の伝わり方が、接着剤厚みのばらつきの影響を受け難くなり、その結果、発電電圧のばらつきも低減するものと考えられる。従って、電圧が高く、且つバラツキの少ない、発電用磁歪素子および磁歪発電デバイスが本発明によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
磁歪素子に曲げ歪みを加えて、磁束密度変化ΔBを測定するためのユニットの模式図である。
磁歪発電デバイスの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、例示的な実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
1.発電用磁歪素子
本発明は、磁歪材料から形成される磁歪部と、磁歪材料に積層された弾性材料から形成される応力制御部とを有する、発電用磁歪素子に関する。
【0020】
本発明において「発電用磁歪素子」(以下、しばしば、「磁歪素子」と略す場合もある)とは、磁歪特性、即ち、磁場の印加による形状変化(即ち、歪み)、を示す磁性材料によって形成された磁歪部を有し、磁歪部の逆磁歪に基づく発電が可能な素子を意味する。
【0021】
本発明の発電用磁歪素子における磁歪部は、磁歪材料から形成される。「磁歪材料」とは、磁歪特性、即ち、磁場の印加による形状変化(即ち、歪み)、を示す磁性材料であり、本発明においては、逆磁歪に基づく発電が可能な材料を意味する。磁歪材料の種類に特に限定はないが、従来から発電用磁歪素子に用いられてきた材料を使用することができる。このような材料としては、FeGa系合金(好ましくはFeGa単結晶)、FeCo系合金(好ましくはFeCo圧延材)、FeAl系合金(好ましくはFeAlインゴット切断材)などが挙げられる。
【0022】
さらに磁歪材料としては、電磁鋼板も使用することができる。本発明において「電磁鋼板」とは、鉄(Fe)にケイ素(Si)を添加して鉄の磁気特性を向上させた、「ケイ素鋼板」と呼ばれることもある機能材料である。本発明における電磁鋼板は、ケイ素の含有量が0.5%以上4%以下の電磁鋼板である。ケイ素の含有量が0.5%以上4%以下の電磁鋼板はケイ素添加による電気抵抗の増加によって、交流振動における磁化の変化を妨げる渦電流の発生を抑制できるため、磁歪部に用いるのに適している。
【0023】
さらに電磁鋼板には、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板とがあり、本発明においては、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板のどちらも磁歪部に使用可能である。方向性電磁鋼板とは、鋼板の圧延方向に金属結晶の結晶方位を揃えたものである。具体的には、その圧延方向に<100>方向を揃え、圧延面を(110)方位とした{110}[100]GOSS集合組織を有する電磁鋼板である。一方、無方向性電磁鋼板とは、金属結晶の結晶方位が一定の方向に揃えられていない、比較的ランダムな結晶方位を有するものである。方向性電磁鋼板も、無方向性電磁鋼板も、飽和磁歪がFeGa合金やFeCo合金よりも低い材料であるが、従来の磁歪材料と同等またはそれらを超える発電が可能である。その理由は明確ではないが、次のように推定される。
【0024】
上述したように、方向性電磁鋼板は、その圧延方向に<100>方向を揃え、圧延面を(110)方位とした{110}[100]GOSS集合組織を有する。本発明者らは、方向性電磁鋼板の[100]方向にバイアス磁場を印加した状態で、圧縮歪みを負荷した場合、方向性電磁鋼板の磁束密度が大きく変化することを新たに見出した。これは、方向性電磁鋼板の[100]方向に所定の磁場を印加すると、[100]方向に平行な180°磁区と90°磁区との割合が、両者が上手く相互作用する割合となり、方向性電磁鋼板に歪みを負荷した際に、180°磁区から90°磁区への変換、あるいは、90°磁区から180°磁区への変換が生じやすくなるためと考えられる。具体的には、180°磁区の磁化の方向に平行(すなわち、[100]方向)に圧縮歪みを負荷すると、180°磁区が減少して90°磁区が増加し、[100]方向に引っ張り歪みを負荷すると、90°磁区が減少して180°磁区が増加する。また、180°磁区の磁化の方向に垂直(すなわち、[110]方向)に圧縮歪みを負荷すると、90°磁区が減少して180°磁区が増加し、[110]方向に引っ張り歪みを負荷すると180°磁区が減少して90°磁区が増加する。これらの磁区の変化によって、方向性電磁鋼板の磁化が変化し、磁歪素子の磁歪部として機能する。磁歪発電デバイスにおいては、上記磁化の変化によって、磁歪素子に巻かれた検出用コイルに電圧が誘起される。
【0025】
また、無方向性電磁鋼板には方向性電磁鋼板のような結晶配向は存在しないが、バイアス磁場を印加した状態で歪みを負荷した場合に磁束密度が大きく変化することを見出した。無方向性電磁鋼板では、結晶方位が比較的ランダムであるために、方向性電磁鋼板に比べて磁区が小さい。そのために、歪みを負荷した場合、多数ある磁区の中でより動きやすい磁区から動くことが可能になるため、磁歪素子の磁歪部として使用した際に、大きな磁束密度の変化が得られると考えられる。
【0026】
本発明においては、方向性電磁鋼板の方が無方向性電磁鋼板よりも大きな磁化の変化を誘起しやすいことから、方向性電磁鋼板の方が磁歪部として好ましい。
【0027】
方向性電磁鋼板の具体例としては、例えば、日本製鉄のオリエントコア、オリエントコアハイビー(例えば、27ZH100)、オリエントコアハイビー・レーザー、オリエントコアハイビー・パーマネント、等が挙げられる。
【0028】
無方向性電磁鋼板の具体例としては、例えば、日本製鉄のハイライトコア(例えば、35H210)、ホームコア、等が挙げられる。
【0029】
さらに本発明の発電用磁歪素子は、弾性材料から形成される応力制御部を有する。本発明の磁歪素子における「応力制御部」とは、磁歪素子に曲げ歪み、等を加えた際に磁歪部全体に対して圧縮、または、引っ張りのどちらか一方の応力負荷を達成するために、応力を制御するための部分である。応力制御部を形成する材料は、上記目的を達成し得る弾性材料である限り特に限定はなく、非磁性材料および磁性材料のいずれも使用可能である。
【0030】
応力制御部を形成する弾性材料を非磁性材料とすると、バイアス磁場の調整が容易であるため好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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