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公開番号2021092709
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210617
出願番号2019224161
出願日20191212
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人特許業務法人秀和特許事務所
主分類G03G 9/087 20060101AFI20210521BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】低温定着性、画像の耐熱性及び画像の耐擦過性を両立するトナー。
【解決手段】結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、トナーの動的粘弾性測定における、30℃における複素弾性率をG*(30)、50℃における複素弾性率をG*(50)とし、トナーの示差走査熱量測定において、150℃まで昇温した後の降温過程における、該結晶性樹脂由来の発熱ピークのピーク温度をTc(℃)、該降温過程の後の昇温過程における、該結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピーク温度をTm(℃)、吸熱量をΔH(J/g)としたとき、G*(50)、G*(30)Tc、Tm及びΔHが所定の関係を満たす、トナー。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの動的粘弾性測定における、30℃における複素弾性率をG

(30)、50℃における複素弾性率をG

(50)としたとき
1.00≧G

(50)/G

(30)≧0.30
を満たし、
該トナーの示差走査熱量測定において、150℃まで昇温した後の降温過程における、該結晶性樹脂由来の発熱ピークのピーク温度をTc(℃)、該降温過程の後の昇温過程における、該結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピーク温度をTm(℃)、吸熱量をΔH(J/g)としたとき、
Tmが50.0℃以上80.0℃以下であり、
ΔHが35J/g以上60J/g以下であり、
Tm−Tcが0.0℃以上7.0℃以下である、トナー。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
結晶性樹脂及びワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの動的粘弾性測定における、30℃における複素弾性率をG

(30)、50℃における複素弾性率をG

(50)としたとき
1.00≧G

(50)/G

(30)≧0.30
を満たし、
該トナー粒子中の該ワックスの含有量が、該結晶性樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であり、
該トナーの示差走査熱量測定において、150℃まで昇温した後の降温過程における最大発熱ピークのピーク温度をTc’(℃)、該降温過程の後の昇温過程における、最大吸熱ピークのピーク温度をTm’(℃)、吸熱量をΔH’(J/g)としたとき、
Tm’が50.0℃以上80.0℃以下であり、
ΔH’が35J/g以上60J/g以下であり、
Tm’−Tc’が0.0℃以上7.0℃以下である、トナー。
【請求項3】
前記結晶性樹脂が単量体(a)に由来する単量体単位を含有し、
該単量体(a)が、炭素数18〜36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートであり、
該結晶性樹脂中の該単量体(a)に由来する単量体単位の含有割合N(a)が、30質量%以上60質量%以下である、請求項1または2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナー粒子中の前記結晶性樹脂の含有量が、60質量%以上100質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項5】
前記結晶性樹脂のガラス転移温度(℃)が、50℃以上90℃以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項6】
前記トナー粒子がさらに非晶性樹脂を含有し、
該非晶性樹脂のSP値をSP(B)(J/cm


0.5
、前記結晶性樹脂のSP値をSP(A)(J/cm


0.5
としたとき
3.0≧|SP(B)−SP(A)|≧0.0
を満たす、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項7】
前記結晶性樹脂が、さらに単量体(b)に由来する単量体単位を含有し、
前記単量体(a)に由来する単量体単位のSP値をSP(a)(J/cm


0.5
、前記単量体(b)に由来する単量体単位のSP値をSP(b)(J/cm


0.5
とし
たとき、
SP(b)−SP(a)≧4.0
を満たし、
前記結晶性樹脂中の前記単量体(a)に由来する単量体単位以外の全単量体単位中の、前記単量体(b)に由来する単量体単位の含有割合N(b)が、50質量%以上100質量%以下である、請求項3に記載のトナー。
【請求項8】
前記結晶性樹脂が、さらに単量体(c)に由来する単量体単位を含有し、
該単量体(c)のQ値が、前記単量体(a)のQ値よりも小さい、請求項3に記載のトナー。
【請求項9】
前記単量体(c)のQ値をQ(c)、前記単量体(a)のQ値をQ(a)としたとき、Q(a)−Q(c)が0.210〜0.230である、請求項8に記載のトナー。
【請求項10】
前記結晶性樹脂中の前記単量体(a)に由来する単量体単位以外の全単量体単位中の、前記単量体(c)に由来する単量体単位の含有割合N(c)が、20質量%以上100質量%以下である、請求項8又は9に記載のトナー。
【請求項11】
前記結晶性樹脂が、さらに単量体(b)に由来する単量体単位を含有し、
前記単量体(c)に由来する単量体単位のSP値をSP(c)(J/cm


0.5
、該単量体(b)に由来する単量体単位のSP値をSP(b)(J/cm


0.5
、前記単量体(a)に由来する単量体単位のSP値をSP(a)(J/cm


0.5
としたとき、
SP(b)−SP(c)≧3.0
SP(c)−SP(a)≦4.0
を満たす、請求項8〜10のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項12】
前記単量体(c)が下記式(1)で表される構造を有する、請求項8〜11のいずれか一項に記載のトナー。
R−COO−CH=CH

(1)
(式中、Rはフェニル基又は炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
【請求項13】
前記単量体(c)が、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びプロピオン酸ビニルからなる群から選択される少なくとも一である、請求項8〜12のいずれか一項に記載のトナー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、電子写真法、静電記録法、トナージェット式記録法のような方法によって形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成するために用いるトナーに関する。
続きを表示(約 9,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、プリンターや複写機のさらなる省電力化に対応するため、より低温定着性に優れたトナーが求められている。これに対応するためには、より低い温度で速やかに溶融する、すなわちシャープメルト性に優れたトナーが好ましい。シャープメルト性に優れたトナーを得るために、結晶性樹脂を結着樹脂として用いたトナーの検討がなされている。
結晶性樹脂は分子が規則的に配列することで固体になる性質を持つため、この規則的な配列がほぐれる温度まで加熱すると、結晶性樹脂全体の粘度が急激に低下する。結果として優れた耐熱保存性を得つつも、低い温度で速やかに溶融するシャープメルト性に優れたトナーが得られる。
このような背景から、特許文献1〜4では、結晶性樹脂を含む結着樹脂を用いたトナーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014−130243号公報
特開2014−142632号公報
国際公開第2018/110593号
特開2014−59359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、プリンターや複写機はオフィス用途以外の使用用途に関しても注目されており、得られた成果物のクオリティの向上がより強く求められている。特に、得られた成果物の耐熱性・耐擦過性については従来を超えた性能が求められている。本開示における耐擦過性とは、画像表面を擦った場合の傷つきやすさ又は剥がれにくさを意味する。
結晶性樹脂はシャープメルト性に優れる一方で弾力性が低いため、樹脂として割れやすい特性がある。結果として結晶性樹脂を結着樹脂として用いたトナーは、得られた画像の耐擦過性に改善の余地が大きい傾向にある。
【0005】
特許文献1には、結晶性樹脂を結着樹脂として用いたコアを被覆するシェルを有するトナーが提案されている。また、特許文献2には、結晶性樹脂を主成分とする海部と、非晶性樹脂を主成分とする島部とが存在する海島構造を有するトナーが提案されている。特許文献1,2には、上記のような構成により低温定着性と画像の折り曲げ強度を両立したと記載されている。
しかし、特許文献1,2に記載のトナーにおいては、結晶性樹脂と非晶性樹脂が個別に存在しているため、結晶性樹脂特有の割れやすさという観点から、画像の耐擦過性にはさらなる改善の余地がある。
このような課題に対して、結晶性樹脂に非晶性部位を導入し、樹脂の弾力性を向上させることで、画像の耐擦過性を向上させることができる。しかしながら、結晶性樹脂に非晶性部位を導入すると、結晶性部位の結晶化が阻害されるため、結晶化速度が低下する。そのため、定着後の画像が十分に固まることができず、画像の耐熱性が低下する。
【0006】
特許文献3には、炭素数18〜36の鎖状の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート
を必須構成単量体とする重合体を結着樹脂として用いることで、低温定着性と保存性を両立したと記載されている。しかしながら、用いる単量体に関して、特に結晶性樹脂の結晶化速度の観点からは検討されておらず、結果として得られた画像の耐熱性にさらなる改善の余地がある。
【0007】
特許文献4には、結晶性樹脂を含有する結着樹脂を用い、さらに造核剤を用いることで低温定着性と画像の耐熱性を両立したと記載されている。しかしながら、結晶化速度が十分ではなく、結果として低温定着性と画像の耐熱性の両立に関し、現在求められているトナー性能の観点からさらなる改善の必要がある。
【0008】
これらの理由により、結晶性樹脂を結着樹脂として用いたトナーにおいて、画像の耐擦過性と画像の耐熱性、さらには低温定着性の両立は困難である。
本開示は、上記のような問題点を解決したトナーを提供するものである。
すなわち本開示は、低温定着性、画像の耐熱性及び画像の耐擦過性を両立したトナーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、
結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの動的粘弾性測定における、30℃における複素弾性率をG

(30)、50℃における複素弾性率をG

(50)としたとき
1.00≧G

(50)/G

(30)≧0.30
を満たし、
該トナーの示差走査熱量測定において、150℃まで昇温した後の降温過程における、該結晶性樹脂由来の発熱ピークのピーク温度をTc(℃)、該降温過程の後の昇温過程における、該結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピーク温度をTm(℃)、吸熱量をΔH(J/g)としたとき、
Tmが50.0℃以上80.0℃以下であり、
ΔHが35J/g以上60J/g以下であり、
Tm−Tcが0.0℃以上7.0℃以下であるトナーに関する。
【0010】
また、本開示は、
結晶性樹脂及びワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの動的粘弾性測定における、30℃における複素弾性率をG

(30)、50℃における複素弾性率をG

(50)としたとき
1.00≧G

(50)/G

(30)≧0.30
を満たし、
該トナー粒子中の該ワックスの含有量が、該結晶性樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であり、
該トナーの示差走査熱量測定において、150℃まで昇温した後の降温過程における最大発熱ピークのピーク温度をTc’(℃)、該降温過程の後の昇温過程における、最大吸熱ピークのピーク温度をTm’(℃)、吸熱量をΔH’(J/g)としたとき、
Tm’が50.0℃以上80.0℃以下であり、
ΔH’が35J/g以上60J/g以下であり、
Tm’−Tc’が0.0℃以上7.0℃以下であるトナーに関する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、低温定着性、画像の耐熱性、及び画像の耐擦過性を両立したトナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。また、各物性の測定方法についてはまとめて後述する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
「単量体単位」とは、重合体中の単量体物質の反応した形態をいう。例えば、重合体中のビニル系単量体が重合した主鎖中の、炭素‐炭素結合1区間を1単位とする。
結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂をいう。
【0013】
本開示の第一のトナーは、
結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの動的粘弾性測定における、30℃における複素弾性率をG

(30)、50℃における複素弾性率をG

(50)としたとき
1.00≧G

(50)/G

(30)≧0.30
を満たし、
該トナーの示差走査熱量測定において、150℃まで昇温した後の降温過程における、該結晶性樹脂由来の発熱ピークのピーク温度をTc(℃)、該降温過程の後の昇温過程における、該結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピーク温度をTm(℃)、吸熱量をΔH(J/g)としたとき、
Tmが50.0℃以上80.0℃以下であり、
ΔHが35J/g以上60J/g以下であり、
Tm−Tcが0.0℃以上7.0℃以下である。
【0014】
本開示の第二のトナーは、
結晶性樹脂及びワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの動的粘弾性測定における、30℃における複素弾性率をG

(30)、50℃における複素弾性率をG

(50)としたとき
1.00≧G

(50)/G

(30)≧0.30
を満たし、
該トナー粒子中の該ワックスの含有量が、該結晶性樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であり、
該トナーの示差走査熱量測定において、150℃まで昇温した後の降温過程における最大発熱ピークのピーク温度をTc’(℃)、該降温過程の後の昇温過程における、最大吸熱ピークのピーク温度をTm’(℃)、吸熱量をΔH’(J/g)としたとき、
Tm’が50.0℃以上80.0℃以下であり、
ΔH’が35J/g以上60J/g以下であり、
Tm’−Tc’が0.0℃以上7.0℃以下である。
【0015】
ここで、第二のトナーにおいて、トナー粒子中のワックスの含有量が、結晶性樹脂の含有量に対して少ないので、最大発熱ピークのピーク温度Tc’、最大吸熱ピークのピーク温度Tm’及び吸熱量ΔH’は、結晶性樹脂由来のものとして扱う。
【0016】
トナーの示差走査熱量測定(以下、単にDSC測定ともいう。)において、150℃まで昇温した後の降温過程における、該結晶性樹脂由来の発熱ピークのピーク温度をTcとし、該降温過程の後の昇温過程における、該結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピーク温度をTmとしたとき、TmとTcとの差Tm−Tcを、結晶化速度の指標として用いている。また、該降温過程の後の昇温過程における、結晶性樹脂由来の吸熱量をΔHとする。
ここで、Tmは該結晶性樹脂の融点を示し、Tcは該結晶性樹脂の結晶化温度を示す。
【0017】
該結晶性樹脂由来のTc、Tm、ΔHは、トナー粒子中にワックスが含まれない場合や、該結晶性樹脂由来の発熱ピークのピーク温度、該結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピーク温度及び吸熱量と、該ワックス由来の発熱ピークのピーク温度、該結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピーク温度及び吸熱量がそれぞれ大きく離れている場合には特定可能である。
しかし、該結晶性樹脂由来の発熱ピークのピーク温度、該結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピーク温度及び吸熱量と、該ワックス由来の発熱ピークのピーク温度、該結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピーク温度及び吸熱量がそれぞれ近く、どちらのものか判別が困難な場合には、以下のようにしてTc’、Tm’及びΔH’を求める。
トナー粒子中の該ワックスの含有量が、該結晶性樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であるとき、
該トナーのDSC測定において、150℃まで昇温した後の降温過程における最大発熱ピークのピーク温度をTc’、上記降温過程の後の昇温過程における最大吸熱ピークのピーク温度をTm’、吸熱量をΔH’とする。
【0018】
結晶性樹脂の結晶化速度が遅いほど、より低い温度に冷却しないと結晶核が生成されないため、結晶化温度が低くなる。結果としてTm−Tc又はTm’−Tc’の値は大きくなる傾向にある。
例えば、結着樹脂中の結晶性樹脂が結晶性部位及び非晶性部位を有する場合、結晶性樹脂中の非晶性部位の含有量が多いほど結晶化速度は低下するため、該Tm−Tc又はTm’−Tc’の値は大きくなる傾向にある。
他方、結晶性樹脂中の結晶性部位の含有量が多いほど結晶化速度が速いため、該Tm−Tc又はTm’−Tc’の値は小さくなる傾向にある。該Tm−Tc又はTm’−Tc’の値が小さいほど、定着後の画像が固まるのが速いため、優れた画像の耐熱性が得られる傾向にある。
【0019】
上記物性を達成する手段としては種々ある。例えば、結晶性部位及び非晶性部位を有する結晶性樹脂が結着樹脂に含まれるトナーの場合、該結晶性樹脂のガラス転移温度(以下、単にTgともいう)を下げることで、画像の耐熱性が向上し、他の特性との両立がより良好に図られる。
一般的には、結着樹脂のTgを下げるほど、低い温度でトナーが軟化するため、トナーや画像の耐熱性は低下する。しかし、結晶性部位及び非晶性部位を有する結晶性樹脂が結着樹脂に含まれるトナーでは、該結晶性樹脂のTgが下がるほど、結晶性樹脂の結晶化速度が向上する(Tm−Tc又はTm’−Tc’の値は小さくなる)傾向があることがわかった。これは、結晶性樹脂が結晶化する温度よりも、結晶性樹脂のTgが高い場合には、結晶性樹脂の分子運動が非晶性部位に拘束されて結晶化速度が低下していたためだと考えている。
結果として、結晶性樹脂を結着樹脂として用いたトナーでは、結晶性樹脂のTgが低いほど、画像の耐熱性が向上する傾向がみられる。
【0020】
一方、G

(50)/G

(30)が0.30〜1.00を満たすことは、画像の保存温度における、弾性率の変化が少ないことを意味する。これを達成するためには、例えば、Tm又はTm’を50.0℃〜80.0℃とすると同時に、結晶性樹脂のTgをある程度高くすることなどが挙げられる。
【0021】
本開示のトナーは、該トナーの動的粘弾性測定における、30℃における複素弾性率をG

(30)、50℃における複素弾性率をG

(50)としたとき、下記式を満たす。
1.00≧G

(50)/G

(30)≧0.30
ここで、G

(50)/G

(30)は、画像の耐熱性の指標として用いている。G

(50)/G

(30)の値が大きいということは、30℃から50℃における複素弾性率の変化が小さく、トナーの硬さが維持できていることを意味する。
該G

(50)/G

(30)が0.30以上であることで、優れた画像の耐熱性が得られる。該G

(50)/G

(30)は、0.40以上1.00以下であることが好ましく、0.50以上1.00以下であることがより好ましい。
該G

(50)/G

(30)は、例えば、Tm又はTm’や、該結晶性樹脂のTgを変更したり、非晶性部位を形成し得る単量体を結晶性樹脂に用いたりすることなどによって制御することができる。
【0022】
本開示のトナーにおいて、Tm又はTm’は、50.0℃以上80.0℃以下である。
Tm又はTm’が50℃以上であることで、優れた画像の耐熱性が得られる。また、Tm又はTm’が80.0℃以下であることで、優れた低温定着性が得られる。該Tm又はTm’は、50.0℃以上75.0℃以下であることが好ましく、50.0℃以上70.0℃以下であることがより好ましい。該Tm又はTm’は、該結晶性樹脂に用いる単量体の種類や含有比率によって制御することができる。
【0023】
本開示のトナーは、ΔH又はΔH’が、35J/g以上60J/g以下である。ΔH又はΔH’が35J/g以上であることで、優れた低温定着性が得られる。ΔH又はΔH’が60J/g以下であることで、優れた画像の耐擦過性が得られる。該ΔH又はΔH’は、35J/g以上55J/g以下であることが好ましく、35J/g以上50J/g以下であることがより好ましい。
該ΔH又はΔH’は、トナー粒子中の該結晶性樹脂の含有量や、該結晶性樹脂に用いる単量体の種類や含有比率などによって制御することができる。
【0024】
本開示のトナーのTm−Tc又はTm’−Tc’は、0.0℃以上7.0℃以下である。Tm−Tc又はTm’−Tc’がこの範囲内であることで、優れた画像の耐熱性が得られる。Tm−Tc又はTm’−Tc’は、0.0℃以上6.5℃以下であることが好ましく、0.0℃以上6.0以下であることがより好ましい。
Tm−Tc又はTm’−Tc’は、トナー粒子中の該結晶性樹脂の含有量、結晶性樹脂以外の成分の組成や物性、該結晶性樹脂のTgなどによって制御することができる。
また、後述するように、該結晶性樹脂に用いる単量体の種類を、各単量体のSP値やQ値の観点から選定して、結晶性樹脂のTm−Tc又はTm’−Tc’が所望の値となるように設計することもできる。
【0025】
さらに、本開示のトナーは、Tc又はTc’が40.0℃以上80.0℃以下であることが好ましく、48.0℃以上75.0℃以下であることがより好ましい。Tc又はTc’が上記範囲内であると得られる画像の結晶化度を十分に高めることができるため、優れた画像の耐熱性を得ることができる。該Tc又はTc’は、トナー粒子中の該結晶性樹脂の含有量、結晶性樹脂以外の成分の組成や物性、該結晶性樹脂のTgなどによって制御することができる。
【0026】
これら全ての物性を同時に達成したトナーは従来にはなく、また結晶性樹脂のTgを下げるという従来技術の考え方とは逆の発想を導入することで、より好ましい物性を達成できる。
【0027】
本開示のトナーは、以下の態様であることが好ましい。
該結晶性樹脂が単量体(a)に由来する単量体単位を含有し、
該単量体(a)が、炭素数18〜36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートであり、
該結晶性樹脂中の該単量体(a)に由来する単量体単位の含有割合N(a)が、30質量%以上60質量%以下である。
炭素数18〜36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートに由来する単量体単
位を有する結晶性樹脂は、側鎖である鎖状炭化水素基部分が結晶化する側鎖結晶性樹脂であるため、結晶性ポリエステル等の折り畳み結晶型の結晶性樹脂に比べて、結晶化速度が速い。結果としてより優れた画像の耐熱性が得られる。
該単量体(a)に由来する単量体単位の含有割合N(a)が、30質量%以上であることで、シャープメルト性に優れ、良好な低温定着性が得られる。また、60質量%以下であることで、画像の耐擦過性に優れたトナーが得られる。該単量体(a)に由来する単量体単位の含有割合N(a)は、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
【0028】
該炭素数18〜36のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、炭素数18〜36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコシル、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドトリアコンチルなど]及び炭素数18〜36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなど]が挙げられる。
これらのうち、画像の耐熱保存性と低温定着性の観点から、好ましくは炭素数18〜36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一つであり、より好ましくは炭素数18〜30の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一つであり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸ステアリル及び(メタ)アクリル酸ベヘニルからなる群から選択される少なくとも一つである。
【0029】
該トナー粒子は、該結晶性樹脂以外の公知の樹脂を、結着樹脂として含有していてもよいが、該トナー粒子中の該結晶性樹脂の含有量は、60質量%以上100質量%以下であることが好ましい。60質量%以上であることで、該結晶性樹脂を結着樹脂として用いたトナーの特性が得らえるため、より優れた低温定着性及び画像の耐熱性が得らえる。該トナー粒子中の該結晶性樹脂の含有量は、より好ましくは65質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
該結晶性樹脂以外の樹脂として、結着樹脂として従来トナーに用いられる樹脂を使用することができる。例えば、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0030】
該結晶性樹脂のガラス転移温度は、50℃以上90℃以下であることが好ましい。該結晶性樹脂のガラス転移温度が50℃以上であると、保存温度においても軟化しにくい樹脂となるため、より優れた画像の耐熱性が得られる。また、該結晶性樹脂のガラス転移温度が90℃以下であると、該結晶性樹脂の結晶化速度が向上するため、該Tm−Tc又はTm’−Tc’の値を小さくできる。結果としてより優れた画像の耐熱性が得られる。
該ガラス転移温度は60℃以上85℃以下であることが好ましく、65℃以上80℃以下であることがより好ましい。該ガラス転移温度は、該結晶性樹脂に用いる単量体の種類や含有比率によって制御することができる。
(【0031】以降は省略されています)

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