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公開番号2021090310
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210610
出願番号2019220420
出願日20191205
発明の名称真空ポンプ
出願人株式会社島津製作所
代理人個人,個人,個人
主分類H02P 21/36 20160101AFI20210514BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】ブレーキ動作時におけるインバータ電圧の過電圧を防止することができる真空ポンプの提供。
【解決手段】真空ポンプ1は、ポンプロータ10と、ポンプロータ10を回転駆動するモータ13と、モータ13を制御するモータ制御部221と、モータ13のブレーキ動作時に発生する回生電力を消費するブレーキ抵抗24と、を備え、モータ制御部221は、ブレーキ動作時の電圧指令ベクトルを、電圧指令ベクトルのd軸成分とq軸成分との比が一定となるように設定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ポンプロータと、
前記ポンプロータを回転駆動するモータと、
前記モータを制御するモータ制御部と、
前記モータのブレーキ動作時に発生する回生電力を消費するブレーキ抵抗と、を備え、
前記モータ制御部は、ブレーキ動作時の電圧指令ベクトルを、前記電圧指令ベクトルのd軸成分とq軸成分との比が一定となるように設定する、真空ポンプ。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
前記モータ制御部は、前記電圧指令ベクトルのd軸成分をブレーキ動作時に、Vd=D×(r×Iq+Ke×ω)に設定する、真空ポンプ。ここで、Keは逆起電力定数、rはモータ線全体の巻線抵抗、ωはモータの角周波数、Dは定数である。
【請求項3】
請求項1または2に記載の真空ポンプにおいて、
前記モータ制御部は、前記電圧指令ベクトルのd軸成分をブレーキ動作時にはゼロに設定する、真空ポンプ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記モータ制御部は、前記電圧指令ベクトルのq軸成分をブレーキ動作時にVq=r×Iq+Ke×ωに設定する、真空ポンプ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプに関する。
続きを表示(約 6,700 文字)【背景技術】
【0002】
ターボ分子ポンプなどの軸流式真空ポンプは、真空排気するためにポンプロータを高速回転させる。このとき、稀薄ガスに対して圧縮仕事を行いながら排気するので、ポンプロータは一方向のみの回転となる。したがって、ポンプロータは、通常は、静止状態と正回転領域との間で加速・減速や、定常回転が行われる。
【0003】
ポンプロータを回転駆動するモータとしては、例えば、回転子に永久磁石を備えた同期モータが用いられる。一般に真空ポンプでは、同期モータをベクトル制御により制御する際に励磁電流ベクトル成分IdをId=0とする制御が適用される。加速時にはIq>0に設定され、減速時にはIq<0に設定される。Iq<0の減速時には、コントローラはモータから電力をもらい発電をすることになる。この発電した電力をコントローラに設けられたブレーキ抵抗で消費することで、モータのブレーキ動作を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2016−145555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、ブレーキ動作時には発電によりインバータ電圧が上昇するので、インバータ電圧をモニタしながらインバータ電圧が電子部品の定格電圧を越えないようにq軸電流Iqを制御している。しかしながら、ブレーキ動作時のIq制御においてインバータ電圧が不安定になる場合があり、不安定現象に起因するインバータ電圧急上昇にIq制御が対応できずに、インバータ電圧が定格電圧を越えてしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様による真空ポンプは、ポンプロータと、前記ポンプロータを回転駆動するモータと、前記モータを制御するモータ制御部と、前記モータのブレーキ動作時に発生する回生電力を消費するブレーキ抵抗と、を備え、前記モータ制御部は、ブレーキ動作時の電圧指令ベクトルを、前記電圧指令ベクトルのd軸成分とq軸成分との比が一定となるように設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブレーキ動作時におけるインバータ電圧の過電圧を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、真空ポンプの概略構成を示すブロック図である。
図2は、モータ駆動制御系を示すブロック図である。
図3は、ブレーキ動作時のインバータ電圧の従来例を示す図である。
図4は、本実施の形態におけるブレーキ動作時のインバータ電圧の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、真空ポンプ1の概略構成を示すブロック図である。真空ポンプ1は磁気軸受式のターボ分子ポンプであり、ポンプロータ10が設けられたポンプ本体1Aと、ポンプ本体1Aを駆動制御するコントローラ1Bを備えている。
【0010】
ポンプロータ10は回転軸11に締結されている。回転軸11は磁気軸受(MB)12により磁気浮上支持され、モータ(M)13によって回転駆動される。非通電時には、回転軸11はメカニカルベアリング等の保護ベアリング14によって支持される。図示は省略したが、ポンプ本体1Aには、ポンプロータ10に対してポンプステータが設けられている。
【0011】
コントローラ1Bには、商用電源2からの交流電力が供給される。入力された交流電力は、AC/DCコンバータ20により直流電力に電力変換される。AC/DCコンバータ20の出力側の直流ラインには、3相インバータ21が接続されている。3相インバータ21は、AC/DCコンバータ20から供給された直流電力を交流電力に変換して、モータ13を駆動する。3相インバータ21は、モータ13の回転に必要な周波数の交流電力が出力されるように、制御部22に設けられたモータ制御部221によって制御される。なお、モータ13はセンサレスの永久磁石同期モータであって、モータロータには永久磁石が設けられている。
【0012】
DC/DCコンバータ23は、直流ラインからの直流電力の電圧を降圧して制御部22に供給する。制御部22は磁気軸受12およびモータ13の制御を行うデジタル演算器であり、例えば、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース( I/O インタフェース)を備えたマイクロコンピュータやFPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成される。
【0013】
制御部22に設けられた軸受制御部222は、ポンプ本体1Aに設けられた磁気軸受12に駆動制御する。磁気軸受12には、回転軸11の変位を検出する変位センサ(不図示)が設けられている。軸受制御部222は、回転軸11が所望の位置に非接触支持されるように、変位センサの検出情報に基づいて磁気軸受12の駆動電力を制御する。
【0014】
ポンプロータ10の回転を停止する際には、3相インバータ21を回生制御し、回生ブレーキにより回転減速を行わせる。そのため、直流ラインには、ブレーキ抵抗24とスイッチ素子(トランジスタ等)25との直列回路が3相インバータ21に対して並列に設けられている。スイッチ素子25のオンオフは、モータ制御部221によって制御される。回生ブレーキ時にはスイッチ素子25がオンされ、回生電力がブレーキ抵抗24によって消費される。直流ラインには回生電力逆流防止用のダイオード26が設けられている。
【0015】
また、停電等によって商用電源2からの電力供給が停止した場合には、回生電力がDC/DCコンバータ23に入力される。その結果、モータ制御部221および軸受制御部222は回生電力によって動作し、回生電力によって回転軸11の磁気浮上が維持される。なお、回生電力をモータ制御部221および軸受制御部222に供給する際には、スイッチ素子25はオフされる。
【0016】
図2は、モータ13に関するモータ駆動制御系を示す図である。モータ駆動制御系には、制御部22に設けられたモータ制御部221、図1では図示していない電流検知器50および電圧検知器51等を含む。図示しないが、3相インバータ21は、複数のスイッチング素子と、それらをオンオフ駆動するためのゲートドライブ回路とを備えている。モータ13のU,V,W相コイルに流れる電流は電流検知器50によってそれぞれ検出され、検出結果としての電流検知信号はローパスフィルタ409を介してモータ制御部221の回転速度・磁極位置推定部407に入力される。また、U,V,W相コイルの各端子および中性点の電圧は電圧検知器51によって検出され、検出結果としての電圧検知信号はローパスフィルタ410を介してモータ制御部221の回転速度・磁極位置推定部407に入力される。
【0017】
回転速度・磁極位置推定部407は、電流検知信号および電圧検知信号に基づいて、モータロータの回転速度ωおよび磁極位置(電気角θ)を推定する。なお、モータロータの磁極位置は電気角θで表されるので、以下では、磁極位置のことを磁極電気角θと呼ぶことにする。算出された回転速度ωは速度制御部401,Id・Iq設定部402および等価回路電圧変換部403に入力される。また、算出された磁極電気角θはdq−2相電圧変換部404に入力される。
【0018】
速度制御部401は、入力された目標回転速度ωiと推定された現在の回転速度ωとの差分に基づいて、PI 制御(比例制御および積分制御)あるいはP制御(比例制御)を行い、電流指令Iを出力する。Id・Iq設定部402は、電流指令Iに基づき、回転座標dq系における励磁電流ベクトル成分(以下ではq軸電流と呼ぶ)Iqおよびトルク電流ベクトル成分(以下ではd軸電流と呼ぶ)Idを設定する。回転座標dq系のd軸は、回転しているモータロータのN極を正方向とする座標軸である。q軸はd軸に対してπ/2[rad]進みの直角方向の座標軸で、その向きは正回転時の逆起電圧方向となる。
【0019】
一般に、ターボ分子ポンプにおけるモータ制御においては、d軸電流IdはId=0のように制御される。本実施の形態では、ブレーキ動作時を除く加速時や定常回転時には、等価回路電圧変換部403は、予め記憶されている回転センサレス制御のパラメータKe[V0-pk/(rad/t)]、r[Ω]、L[mH]に基づいて、次式(1),(2)で表される回転座標dq系における電圧指令ベクトル(Vd,Vq)を求め、それをdq-2相電圧変換部404に入力する。
Vd=−ω×L×Iq …(1)
Vq=r×Iq+Ke×ω …(2)
【0020】
dq-2相電圧変換部404は、電圧指令ベクトル(Vd,Vq)と回転速度・磁極位置推定部407から入力された磁極電気角θとに基づいて、回転座標dq系における電圧指令Vd,Vqを固定座標αβ系の電圧指令Vα,Vβに変換する。2相-3相電圧変換部405は、2相の電圧指令Vα,Vβを3相電圧指令Vu,Vv,Vwに変換する。PWM信号生成部406は、3相電圧指令Vu,Vv,Vwに基づいて、3相インバータ21に設けられたスイッチング素子をオンオフ(導通または遮断)するためのPWM制御信号を生成する。3相インバータ21は、PWM信号生成部406から入力されたPWM制御信号に基づいてスイッチング素子をオンオフし、モータ13に駆動電圧を印加する。
【0021】
(ブレーキ動作の説明)
上述したように、加速時や定常回転時における電圧指令Vd,Vqは式(1),(2)により与えられる。一方、回転を停止する際のブレーキ動作時には、本実施の形態では次式(3),(4)に示すような電圧指令Vd,Vqをdq-2相電圧変換部404に入力し、3相インバータ21を回生制御する。ここで、rはモータ線全体の巻き線抵抗、Keは逆起電力定数、ωモータの角周波数である。
Vd=0 …(3)
Vq=r×Iq+Ke×ω …(4)
【0022】
回生制御によりモータ13による発電が行われると、モータ13からインバータ側に電流が戻ってきてインバータ電圧(3相インバータ21の直流ライン側の電圧)が上昇する。そして、インバータ電圧が所定値に上昇するとスイッチ素子25を導通状態とし、ブレーキ抵抗24に電流を流して電力を消費させる。ブレーキ動作時に、インバータ電圧がモータ13の発電により上がり過ぎてコントローラ1Bを構成する電子部品の定格電圧を超過してしまうと、それらを破損してしまうおそれがある。そのため、インバータ電圧が上がり過ぎないように、インバータ電圧をモニタしながらq軸電流Iqを制御するようにしている。
【0023】
本実施の形態では上述したように電圧指令VdをVd=0と設定する点が特徴であるが、従来は、式(1),(2)に従ってq軸電流Iqを制御してブレーキ動作を行うのが一般的である。式(1),(2)におけるパラメータKe,r,Lは実機のモータ13の値に現合調整される。しかしながら、パラメータKe,Lは、モータ13の回転速度ωに応じて変化するという特性を有している。そのため、式(1),(2)では一定値とみなしているパラメータKe,Lの値が実際にはq軸電流Iqの制御に伴って変化し、インバータ電圧が不安定に変化することになる。
【0024】
図3は、式(1),(2)に基づいてブレーキ動作を行った場合のインバータ電圧の一例を示す図である。t=t1においてブレーキ動作を開始する。パラメータKe,Lの値が回転速度ωに応じて変化するために下記(a)〜(d)の処理が繰り返されることになり、図3に示すような電圧波形となる。
(a)インバータ電圧を上げるためにq軸電流Iq=−|Iq|の値|Iq|を増加させる。|Iq|が小さいと電圧指令Vdも小さく回生効率が悪い(t=t2)。
(b)インバータ電圧を上げるためにさらに|Iq|を増加させると、電圧指令Vdが大きくなり回生効率が良くなる(t=t3)。
(c)インバータ電圧が急上昇するので(領域A)、過電圧を防止するために|Iq|を小さくする。
(d)領域Bに示すようにインバータ電圧が減少する。
【0025】
図3において、インバータ電圧の増加・減少が繰り返される符号Cの区間はブレーキがかかりにくいので、減速時間が延びてしまうことになる。また、インバータ電圧の急上昇に対応しきれない場合、インバータ電圧が電子部品の定格電圧を越えてしまうおそれがあった。
【0026】
一方、本実施の形態のように式(3)、(4)に基づいてブレーキ制御を行った場合には、インバータ電圧は図4に示すように変化する。t=t1でブレーキ動作が開始され、ほぼt=t11からインバータ電圧が増加し始め、t=12以後はインバータ電圧が安定する。図3のようなIq制御におけるインバータ電圧の不安定性は、|Iq|を増加させたときのKe、Lの変化に起因して、電圧指令ベクトル(Vd,Vq)の電気角が変動することが原因と考えられる。本実施の形態では、式(3)のようにVd=0と設定することにより、Iq制御時の電圧指令ベクトル(Vd,Vq)の電気角の変動が防止され、図4に示すような安定したインバータ電圧に制御することが可能となる。その結果、ブレーキ動作時におけるインバータ電圧の過電圧を防止することができると共に、減速時間の短縮を図ることができる。
【0027】
なお、Iq制御における電圧指令ベクトル(Vd,Vq)の電気角の変動を防止する方法としては、より一般的に、(Vd,Vq)のd軸成分Vdとq軸成分Vqとの比を「Vd/Vq=一定」のように設定しても良い。これは、式(3)に代えて、D=定数を使用した次式(5)を用いることを意味する。電圧指令Vd=0の設定は、D=0とした場合に対応する。
Vd=D×(r×Iq+Ke×ω) …(5)
【0028】
上述した例示的な実施の形態および変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0029】
[1]一態様に係る真空ポンプは、ポンプロータと、ポンプロータを回転駆動するモータと、モータを制御するモータ制御部と、モータのブレーキ動作時に発生する回生電力を消費するブレーキ抵抗と、を備える真空ポンプにおいて、モータ制御部は、ブレーキ動作時の電圧指令ベクトルを、前記電圧指令ベクトルのd軸成分とq軸成分との比が一定となるように設定する。電圧指令ベクトルのd軸成分とq軸成分との比を一定に設定することにより、Iq制御時の電圧指令ベクトル(Vd,Vq)の電気角の変動が防止され、安定したインバータ電圧に制御することが可能となる。その結果、ブレーキ動作時におけるインバータ電圧の過電圧を防止することができると共に、減速時間の短縮を図ることができる。
【0030】
[2]上記[1]に記載の真空ポンプにおいて、前記モータ制御部は、前記電圧指令ベクトルのd軸成分をブレーキ動作時に、Vd=D×(r×Iq+Ke×ω)に設定しても良い。ここで、Keは逆起電力定数、rはモータ線全体の巻線抵抗、ωはモータの角周波数、Dは定数である。ブレーキ動作時のVqはVq=r×Iq+Ke×ωのように制御されるので、Vd=D×(r×Iq+Ke×ω)と設定することで、電圧指令ベクトルのd軸成分とq軸成分との比が一定となる。
(【0031】以降は省略されています)

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