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公開番号2021090165
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210610
出願番号2019220435
出願日20191205
発明の名称増幅器
出願人住友電気工業株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類H03F 1/32 20060101AFI20210514BHJP(基本電子回路)
要約【課題】簡易な回路構成によって出力における歪成分を十分に低下させること。
【解決手段】増幅器は、2つのバンドを含む入力信号を増幅する増幅器であって、入力信号に対してプレディストーション信号を生成するプレディストーション回路と、プレディストーション信号を増幅して出力信号を生成するパワーアンプと、出力信号の一部を取り出して帰還信号として出力する分岐部と、帰還信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に応じてプレディストーション回路を制御する補償回路と、を備え、補償回路は、帰還信号の所定の周波数帯域を通過させる帯域通過フィルタを有し、所定の周波数帯域は、2つのバンドのバンド幅の最大幅をBW、2つのバンドの間隔をBWの自然数N倍より大きい値であるΔfとしたとき、Δf+N×BWによって与えられる下限値よりも大きく、かつ、3×Δf-N×BWによって与えられる上限値よりも小さく設定されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
それぞれの中心周波数が互いに所定の間隔だけ離れた2つのバンドを含む入力信号を増幅する増幅器であって、
前記入力信号に対してプレディストーションを施し、プレディストーション信号を生成するプレディストーション回路と、
前記プレディストーション信号を増幅して出力信号を生成するパワーアンプと、
前記出力信号の一部を取り出して帰還信号として出力する分岐部と、
前記帰還信号をディジタル信号に変換し、前記ディジタル信号に応じて前記プレディストーション回路を制御する補償回路と、を備え、
前記補償回路は、前記帰還信号の有する周波数成分を所定の周波数帯域についてのみ通過させる帯域通過フィルタを有し、
前記所定の周波数帯域は、前記2つのバンドのそれぞれのバンド幅のうち最大のバンド幅をBW、前記所定の間隔をBWの自然数N倍より大きい値であるΔfとしたとき、Δf+N×BWによって与えられる下限値よりも大きく、かつ、3×Δf−N×BWによって与えられる上限値よりも小さく設定されている、
増幅器。
続きを表示(約 430 文字)【請求項2】
前記帯域通過フィルタは、前記帰還信号の有する周波数成分を所定の周波数帯域についてのみ通過させるアナログ帯域通過フィルタ、あるいは、前記ディジタル信号に対して、前記帰還信号の有する周波数成分を所定の周波数帯域についてのみ通過させることと等価的な処理を行うディジタル帯域通過フィルタの少なくともいずれか一方を有する、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記自然数Nは5に等しい、
請求項1又は請求項2に記載の増幅器。
【請求項4】
前記プレディストーション回路は、前記ディジタル信号に応じて前記帰還信号に含まれる歪成分が抑制されるように前記入力信号に歪成分を加える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の増幅器。
【請求項5】
前記パワーアンプは、窒化物半導体を含むトランジスタを増幅素子として有する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の増幅器。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、RF信号を増幅する増幅器に関するものである。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、データ通信における伝送レートの爆発的な上昇に対応するため、商用で利用可能な周波数帯域内に複数(例えば、2本)のキャリア周波数を設定し、各キャリア周波数のRF信号を同時に送受信することが一般的となっている。例えば、2本のキャリア周波数を用いて通信を行うデュアルバンド対応の送信器には、RF信号を増幅するアンプと、アンプの非線形動作によって生じる出力の歪を補償するディジタル歪補償(DPD:Digital Pre-Distortion)回路とが備えられる。DPD回路の構成の例としては、下記特許文献1〜3に記載の構成が知られている。プレディストーション(Pre-Distortion)とは、入力信号に対しアンプの出力に歪が生じる場合に、その歪とは逆の方向にあらかじめ歪ませた信号をアンプに入力することによって、アンプの出力において歪がキャンセルもしくは抑圧される技術を言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開2013/084778号公報
特開2012−227881号公報
特開2018−164185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のDPD回路の一例としては、各周波数帯域(バンド)に対して帰還ループを設け、各帰還ループによってDPD処理を施された出力を増幅器の出力部において合成する構成が採用されている。しかしながら、このような構成では、回路構成が複雑化し、消費電力も増加する傾向にあった。また、複数のバンドに対して1つの帰還ループにおいてDPD処理を施す構成も考えられる。しかし、このような構成では、アンプの出力の一部を分岐してDPD処理を施す場合に、混変調歪成分の影響を避けることが困難であり、増幅器の出力における歪成分を十分に低下させることが困難である。
【0005】
そこで、本開示は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、簡易な回路構成によって出力における歪成分を十分に低下させることが可能な増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一側面に係る増幅器は、それぞれの中心周波数が互いに所定の間隔だけ離れた2つのバンドを含む入力信号を増幅する増幅器であって、入力信号に対してプレディストーションを施し、プレディストーション信号を生成するプレディストーション回路と、プレディストーション信号を増幅して出力信号を生成するパワーアンプと、出力信号の一部を取り出して帰還信号として出力する分岐部と、帰還信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に応じてプレディストーション回路を制御する補償回路と、を備え、補償回路は、帰還信号の有する周波数成分を所定の周波数帯域についてのみ通過させる帯域通過フィルタを有し、所定の周波数帯域は、2つのバンドのそれぞれのバンド幅のうち最大のバンド幅をBW、所定の間隔をBWの自然数N倍より大きい値であるΔfとしたとき、Δf+N×BWによって与えられる下限値よりも大きく、かつ、3×Δf−N×BWによって与えられる上限値よりも小さく設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、簡易な回路構成によって出力における歪成分を十分に低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施形態に係る増幅器1の概略構成を示すブロック図である。
図1のDAC5及びPA7の入出力特性を示すグラフである。
図1のDPD部3の詳細な回路構成を示すブロック図である。
パワーアンプによって増幅されたシングルキャリア信号のスペクトル分布の一例を示すグラフである。
実施形態に係る増幅器1によって処理される信号のスペクトル分布の一例を示すグラフである。
図1のPA7の出力信号のスペクトル分布のイメージを示すグラフである。
増幅器1の出力信号のスペクトル分布の測定結果を示すグラフである。
変形例に係る増幅器1Aの概略構成を示すブロック図である。
増幅器1Aの出力信号のスペクトル分布の測定結果を示すグラフである。
変形例に係る増幅器1Bの概略構成を示すブロック図である。
増幅器1Bの出力信号のスペクトル分布の測定結果を示すグラフである。
増幅器1Bにおいて通過帯域Δf
BP
を変更した場合の出力信号のスペクトル分布の測定結果を示すグラフである。
比較例にかかる増幅器901の構成を示すブロック図である。
比較例に係る増幅器901によって処理される信号のスペクトル分布の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る増幅器1の構成を示すブロック図である。増幅器1は、携帯電話システムを構成する基地局等の設備において複数の搬送波バンドを含むアナログ信号(マルチキャリア信号)を増幅するのに用いられる。本実施形態の増幅器1は、好適には、2つの搬送波バンドを含むアナログ信号用のデュアルバンド方式の増幅器である。例えば、増幅器1の処理対象とするマルチキャリア信号は、少なくとも第1の搬送波バンドfb

の信号と第2の搬送波バンドfb

の信号とを含む信号である。第1の搬送波バンドfb

の中心周波数f

及び第2の搬送波バンドfb

の中心周波数f

は特定の値には限定されないが、例えば、f

=1.8GHz、f

=2.1GHzである。
【0011】
図1に示すように、増幅器1は、ディジタル信号である入力信号が入力される入力端子P
IN
と、入力信号から生成された増幅後のマルチキャリア信号を出力する出力端子P
OUT
と、入力端子P
IN
と出力端子P
OUT
との間で順次直列に接続されたDPD(Digital Pre-Distortion)部3、DAC(ディジタル−アナログ変換回路)5、PA(パワーアンプ)7、分岐部9、及びバンドパスフィルタ(帯域通過フィルタ)11と、分岐部9の分岐出力とDPD部3の制御入力との間で順次直列に接続されたアナログフィルタ(アナログ帯域通過フィルタ)13、ADC(アナログ−ディジタル変換回路)15、及びディジタルフィルタ(ディジタル帯域通過フィルタ)17とを含んで構成されている。これらのアナログフィルタ13、ADC15、及びディジタルフィルタ17は、DPD部3に内蔵されるDPD回路(プレディストーション回路)を制御する補償回路の一部を構成する。
【0012】
PA7は、窒化ガリウム(GaN)等の窒化物半導体からなるトランジスタを増幅素子として内蔵する増幅回路であり、入力信号を基にDPD部3及びDAC5によって生成されたマルチキャリア信号を増幅して出力信号を生成する。分岐部9は、PA7の出力に電気的に接続され、PA7から出力された出力信号を2つの出力経路に分岐する。すなわち、分岐部9は、一方の出力経路から出力信号をバンドパスフィルタ11を経由して出力端子P
OUT
に向けて出力し、出力信号から一部を取り出して他方の出力経路から帰還信号として補償回路に入力する。バンドパスフィルタ11は、分岐部9の一方の出力経路と出力端子P
OUT
との間に電気的に接続され、分岐部9から出力された出力信号の中の2つの搬送波バンドfb

,fb

を含む周波数帯域のみを通過させる。
【0013】
アナログフィルタ13は、分岐部9の他方の出力経路に電気的に接続され、分岐部9によって出力された帰還信号の有する周波数成分のうち、予め設定された所定の周波数帯域のみを通過させる。ADC15は、アナログフィルタ13を通過した帰還信号をA/D変換することによりディジタル信号を生成する。ディジタルフィルタ17は、ADC15から出力されたディジタル信号に対して、帰還信号の有する周波数成分のうち上記所定の周波数帯域のみを通過させることと等価的なディジタル信号処理を施すフィルタ回路である。ディジタルフィルタ17は、上記ディジタル信号処理を施したディジタル信号をDPD部3に入力する。
【0014】
DPD部3は、ディジタルフィルタ17から入力されたディジタル信号を基に入力信号に対してディジタル歪補償(DPD:Digital Pre-Distortion)を施すことによりプレディストーション信号を生成するディジタル信号処理回路である。DAC5は、DPD部3によって生成されたプレディストーション信号をD/A変換してマルチキャリア信号を生成し、マルチキャリア信号をPA7に入力する。
【0015】
ここで、図2を参照して、DAC5及びPA7の入出力特性について説明する。図2(a)はDAC5の入出力特性を示すグラフ、図2(b)はPA7の入出力特性を示すグラフである。このように、DAC5は入力信号を線形動作によってマルチキャリア信号に変換可能であるが、PA7は、GaNからなるトランジスタを増幅素子として含む場合には、高効率で動作させてマルチキャリア信号を増幅する際に非線形動作により出力波形が歪むことになる。本実施形態では、DPD部3によって入力信号にDPDを施すことにより、出力信号における歪を低減できる。
【0016】
図3は、DPD部3の詳細な回路構成を示すブロック図である。DPD部3は、歪補償回路(プレディストーション回路)19と、補償回路の一部を構成する歪補正量計算部21とを含む。歪補正量計算部21は、ディジタルフィルタ17から出力されたディジタル信号をその制御入力に受けて、ディジタル信号を基に補償対象の出力信号における歪成分を検出し、歪成分の検出結果からその歪成分を抑制させるための補正量を計算し、その補正量を基に歪補償回路19におけるDPDを制御する。歪補償回路19は、歪補正量計算部21の制御に応じて、入力信号に対して補正量に応じた歪成分を加えるようにDPDを施すことによりプレディストーション信号を生成し、プレディストーション信号をDAC5に向けて出力する。
【0017】
ここで、1つの搬送波バンドによって構成されるシングルキャリア信号を対象にした一般的なDPDの作用について説明する。図4(a)は入力信号に対応するシングルキャリア信号のスペクトル分布の一例、図4(b)は非線形動作によって増幅されてDPDが施されていないシングルキャリア信号のスペクトル分布の一例、図4(c)は非線形動作によって増幅される際にDPDが施されたシングルキャリア信号のスペクトル分布の一例を示している。このように、非線形動作によって増幅される際にDPDを施すことにより、搬送波バンドの両端に生じるバンドテール(搬送波の両側波帯に現れる歪成分)を低下させることができる。
【0018】
次に、上記構成の本実施形態の増幅器1において実現されるDPDの作用について説明する。増幅器1は、2つの搬送波バンドによって構成されるマルチキャリア信号を処理対象とする。図5(a)は入力信号に対応するマルチキャリア信号のスペクトル分布の一例、図5(b)はPA7によって生成される出力信号のスペクトル分布の一例、図5(c)はディジタルフィルタ17によって出力されるディジタル信号に対応するアナログ信号のスペクトル分布の一例を示す。このように、DPD部3の制御入力には、帰還信号の有する周波数成分のうちの2つの搬送波バンドfb

,fb

を含む通過帯域Δf
BP
のみを通過させた信号に相当するディジタル信号が入力される。そして、このディジタル信号を基に入力信号にDPDが施されることにより、PA7の出力においてはそれぞれの搬送波バンドfb

,fb

におけるバンドテールが低減された出力信号を生成することができる。
【0019】
さらに、本実施形態におけるアナログフィルタ13及びディジタルフィルタ17の好適な設計値について説明する。図6は、PA7の出力信号のスペクトル分布のイメージを示すグラフである。PA7に入力されるマルチキャリア信号は、それぞれの中心周波数f

,f

が互いに所定の間隔Δf=(f

−f

)だけ離れたバンド幅BWの2つの搬送波バンドfb

,fb

を含む。マルチキャリア信号がPA7に入力されると、その出力には、中心周波数f

を有するバンド幅BWの第1の搬送波バンドfb

と中心周波数f

を有するバンド幅BWの第2の搬送波バンドfb

に加えて、相互変調によって生じる周波数±k

・f

±k

・f

(k

,k

は自然数)を中心周波数としたバンド幅BWの相互変調(IM:intermodulation)歪の信号も現れる。k

+k

は相互変調の次数である。ここで、相互変調歪の成分のうちで問題となるのは、中心周波数が中心周波数f

,f

に最も近い、(k

=2、k

=1)の歪成分と、(k

=1、k

=2)の歪成分である。すなわち、中心周波数(2・f

−f

)の歪成分が中心周波数f

から低周波側にΔf=(f

−f

)だけ離れた位置に現れ、中心周波数(2・f

−f

)の歪成分が中心周波数f

から高周波側にΔf=(f

−f

)だけ離れた位置に現れる。
【0020】
アナログフィルタ13及びディジタルフィルタ17は、DPD部3におけるDPDの処理において相互変調歪成分の影響を避けるために、帰還信号に対して通過させる周波数帯域Δf
BP
が次のような特性となるように設定される。すなわち、間隔Δf>N×BW(Nは自然数)となる場合、2つの周波数f

,f

を中心とした、Δf+N×BWによって計算される下限値よりも大きく、3×Δf−N×BWによって計算される上限値よりも小さい周波数帯域Δf
BP
に設定される。ただし、第1の搬送波バンドfb

のバンド幅と第2の搬送波バンドfb

のバンド幅とが異なる値に設定されている場合には、BWはそれらのバンド幅のうちの最大値に設定される。特に、PA7による搬送波バンドfb

,fb

のバンドテールの歪成分をDPD部3によって検出可能としてDPDによってそれらの歪成分を低減させるためには、Nはある程度大きい値に設定されることが好ましく、特にN=5と設定されることがさらに好適である。
【0021】
以上説明した本実施形態に係る増幅器1によれば、分岐部9によってPA7の出力信号の一部が帰還信号として取り出され、補償回路によってその帰還信号がディジタル信号に変換されてディジタル信号に応じて歪補償回路19が制御される。そして、歪補償回路19によって2つの搬送波バンドfb

,fb

を含む入力信号に対してDPDが施されてプレディストーション信号が生成され、PA7においてプレディストーション信号を基に生成されたマルチキャリア信号が増幅されることにより出力信号が生成される。このとき、補償回路に含まれるアナログフィルタ13及びディジタルフィルタ17により、DPDのために参照される帰還信号の帯域が制限されるので、DPD処理における相互変調歪成分の影響を避けることができ、出力信号におけるバンドテール等の歪成分を十分に低下させることができる。また、このような出力信号の歪成分低下の効果を、1つの帰還ループの簡易な回路構成によって実現することもできる。
【0022】
一方で、マルチキャリア信号を増幅する増幅器の構成としては、それぞれの搬送波バンドに対してDPD用の帰還ループを設け、DPD処理が施された出力信号を増幅器の出力部(アンテナの直前)で合成する構成も考えられる。しかしながら、帰還ループを複数設けることはシステムの複雑化及び消費電力の増大を招く。2つの搬送波バンドを含むマルチキャリア信号を1つのパワーアンプで増幅する構成においては、そのパワーアンプが線形性に秀でるものであれば相互変調歪は生じないが、通常は相互変調歪を生じる。通常のパワーアンプ(増幅素子)は非線形性を有しており、特に高出力領域(大振幅領域)では、その入出力間の線形性が担保されないからである。1つのパワーアンプでマルチキャリア信号を増幅する構成に対して、単一の搬送波バンドに対応した1つの帰還ループを加える場合も想定される。その場合、帰還ループにおいて搬送波バンドのバンド幅の5倍のバンド幅の帰還信号の周波数成分に対してDPDを施すのが一般的である。ただし、このような1つの帰還ループの構成をマルチバンド(特に、デュアルバンド)システムに適用した場合、帰還ループにおけるDPDの処理対象を帰還信号のどの周波数帯域に設定したらよいかは従来未知であった。例えば、図13に示すような比較例にかかる増幅器901の構成も考えられる。図14(a)は増幅器901に入力される入力信号に対応するマルチキャリア信号のスペクトル分布の一例、図14(b)は増幅器901のPA7によって生成される出力信号のスペクトル分布の一例を示す。増幅器901の構成は、増幅器1の構成に対して、アナログフィルタ13及びディジタルフィルタ17を備えない点で相違する。増幅器901においては、単にPA7の出力を帰還ループに帰還する構成を採っているので、入力信号として2つの搬送波バンドfb

,fb

を含む信号を用いた場合に、DPDにおいて2つの相互変調歪成分の影響を受けてしまい、出力信号の2つの搬送波バンドfb

,fb

において裾部(フロア部)の残留歪が大きく現れてしまう。
【0023】
これに対して、本実施形態では、帰還ループにおけるDPDの処理対象の周波数帯域Δf
BP
が適切に設定されている。これにより、帰還信号における2つの搬送波バンドfb

,fb

を含む周波数帯域を通過させることができる一方で、これらの2つの搬送波バンドfb

,fb

に対応する相互変調歪成分をカットすることができる。その結果、出力信号における歪成分を一層低下させることができる(図5(b))。
【0024】
図7は、増幅器1の出力信号のスペクトル分布の測定結果を示すグラフである。グラフSP1は、増幅器1の出力信号のスペクトル分布を示し、グラフSP2は、ディジタルフィルタ17を取り除いた場合の増幅器1の出力信号のスペクトル分布を示す。ここでは、入力信号として、中心周波数2.02GHz、2.11GHz及びバンド幅BW=10MHzの2つの搬送波バンドを間隔Δf=90MHzで含む信号を用いた。また、アナログフィルタ13は、ADC15でサンプリングするのに必要な、サンプリング周波数の半分の帯域(ナイキスト帯域)を通過させるフィルタとして設定されている。ディジタルフィルタ17を含む場合は、各搬送波バンドのフロア(裾部)の強度が低減されている。詳細には、ディジタルフィルタ17を含む場合は、ディジタルフィルタ17を含まない場合に比較して、ピークの強度とフロアの強度との差が大きく確保される。図7に示すグラフと、以下に説明する図9、図11、及び図12のグラフは、各増幅器の出力信号のスペクトル分布の測定結果を示す。それぞれのグラフの縦軸は、スペクトラムの強度を表しており、これらの縦軸の下端の最小値と上端の最大値は全て互いに同じ値を表している。
【0025】
以上、好適な実施の形態において本開示の原理を図示し説明してきたが、本開示は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本開示は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【0026】
例えば、上記実施形態では、アナログフィルタ13及びディジタルフィルタ17の両方を含んでいたが、少なくともいずれか一方を有する構成であってもよい。例えば、図8に示す変形例に係る増幅器1Aのように、アナログフィルタ13のみを含む構成であってもよい。このような構成においては、アナログフィルタ13から出力されADC15に入力される帰還信号の周波数帯域が制限されている。従って、ADC15のサンプリング周波数(レート)を落としたとしても、いわゆるスプリアスを考慮する必要がなくなるため、A/Dコンバータとして低サンプリングレートの性能のものを選択することが可能となる。その結果、安価なA/Dコンバータを用いることが可能となる。
【0027】
図9は、増幅器1Aの出力信号のスペクトル分布の測定結果を示すグラフである。グラフSP3は、増幅器1Aの出力信号のスペクトル分布を示し、グラフSP4は、アナログフィルタ13を取り除いた場合の増幅器1Aの出力信号のスペクトル分布を示す。ここでは、入力信号として、中心周波数1.85GHz、2.1GHz及びバンド幅BW=10MHzの2つの搬送波バンドを間隔Δf=250MHzで含む信号を用いた。また、アナログフィルタ13の通過帯域Δf
BP
=491.52MHzに設定した。増幅器1Aの構成によれば、アナログフィルタ13が無い場合と比較して、搬送波バンドのフロアレベルとピークレベルとの差が改善されている。具体的には、アナログフィルタ13が無い場合は、3次の相互変調歪まで通過させてしまうためにデュアルバンド信号の歪が生じているが、アナログフィルタ13を設けた場合は、デュアルバンド信号を通過させながら3次の相互変調歪は減衰させているのでデュアルバンド信号の歪が改善されている。
【0028】
また、図10に示す変形例に係る増幅器1Bのように、ディジタルフィルタ17のみを含む構成であってもよい。このような構成では、帰還信号を、A/D変換した後にディジタルフィルタ処理を施したうえでDPD部3に帰還している。アナログフィルタの設計にはフィルタ特性を急峻にする(肩特性にする)ために種々の工夫が必要とされるが、本変形例ではディジタルフィルタを用いることによってそのような特性が比較的容易に実現できる。すなわち、ディジタルフィルタを例えば集積回路(IC)によって構成することにより、タップ係数等を設計及び設定することにより容易に特性を実現できる。
【0029】
図11は、増幅器1Bの出力信号のスペクトル分布の測定結果を示すグラフである。グラフSP5は、増幅器1Bの出力信号のスペクトル分布を示し、グラフSP6は、ディジタルフィルタ17を取り除いた場合の増幅器1Bの出力信号のスペクトル分布を示す。ここでは、入力信号として、中心周波数1.92GHz、2.04GHz及びバンド幅BW=10MHzの2つの搬送波バンドを間隔Δf=120MHzで含む信号を用いた。また、ディジタルフィルタ17の通過帯域Δf
BP
=3×Δf−5×BW=310MHzに設定した。つまり、ディジタルフィルタ17の通過帯域をN=5としたときの上限値に設定した。増幅器1Bの構成によっても、ディジタルフィルタ17が無い場合と比較して、搬送波バンドのフロアレベルとピークレベルとの差が改善されている。
【0030】
また、図12には、増幅器1Bにおいて通過帯域Δf
BP
を変更した場合の出力信号のスペクトル分布の測定結果を示している。グラフSP7は、増幅器1Bにおいてディジタルフィルタ17の通過帯域Δf
BP
を上限値以上である360MHzに変更した場合の出力信号のスペクトル分布を、上限値に設定した場合のグラフSP5と比較して示している。フィルタの通過帯域を上限値を超えて広げる場合には、相互変調歪のピークも含む帰還信号がDPD部3に帰還される。この場合は、明らかに搬送波バンドのフロアレベルが上昇し好ましくないことが明らかにされた。
【符号の説明】
(【0031】以降は省略されています)

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